王家の紋章(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『王家の紋章』とは、細川智栄子あんど芙~みんにより、1976年『月刊プリンセス』にて連載が開始されたタイムトラベル少女漫画である。物語の舞台は、古代エジプト。タイムスリップしたヒロイン・キャロルは若きファラオ・メンフィスに見初められる。可憐で英知あるキャロルと、富と名声を併せ持つメンフィスは数々の事件や謀略に巻き込まれるが、二人はそのたびに危機を乗り越えて互いの愛と絆を深めていく。波瀾万丈のストーリーや入り乱れる恋模様が魅力の作品。

古代ミノア王国の若き少年王。病弱で気持ちも弱く王としての気概を持てずにいるため母の王太后が常に傍にいる。ミノア将軍ユクタスの申し出でミノア王国に訪れたキャロルの看病の結果、病気が完治し王としての自信を取り戻す。しかしキャロルをエジプトに返したくなくなり、王太后と共謀して薬の力で強引に婚姻を結ぼうとする。これは失敗に終わるが迎えに来たメンフィスと対面し、キャロルを妃に迎えるには自身に至らない点が多いと自覚。いつかキャロルにふさわしい王となりキャロル奪取の夢を胸に秘める。

マシャリキ王子

古代アビシニア王国の「青の王子」。カプター神官の策謀の結果、王宮を飛び出した傷心のキャロルの従者になりすます。その後、別の国にキャロルは誘拐されてしまったが、追ってきたメンフィスにキャロル隠匿を疑われ牢に繋がれて鞭を打たれる。これを恨みメンフィス暗殺の命をくだしたエレニーをエジプト王宮に潜入させる。

現世の人物

ライアン・リード

キャロルの兄でありリード・コンツェルンの長男。父の死によりリード・コンツェルン社長となる。黒の長髪で長身、敏腕冷静な青年実業家。世界中を飛び回っているが妹キャロルを溺愛しており、たびたびエジプトに駆け付けている様子。現代によみがえったアイシスから守るためにキャロルにコブラ毒の解毒剤を持たせたり、砂嵐を介して繋がった古代の砂漠にいたキャロルを守るためにイズミル王子に発砲するなど物語の要所で重要な役割を果たす。またコンツェルン総裁らしくヘリコプターやクルーザー、ジープなどあらゆる手段を駆使して移動したりキャロルを捜索する。キャロルを失い失意の母を慰める優しい面もある。

ジミー

カイロ学園の学生でキャロルの恋人。キャロルを愛し真剣に守るつもりの明るく真面目な好青年。結婚の約束もしておりキャロルもそのつもりでいたが、古代にタイムトリップしたキャロルの中でメンフィスへの思いが強まるにつれて次第に存在感が薄くなる。

『王家の紋章』の用語

エジプト国

ファラオ・メンフィスが統治する大国。物語の舞台でありナイル川沿岸に発展する。上エジプトと下エジプトに分かれ南部の上エジプトをメンフィスが治め、地中海付近の下エジプトをアイシスが治めていた。毎年氾濫を起こすナイル川が土壌を豊かにするため民は氾濫をナイルの恵みとして喜んでいた。『王家の紋章』におけるエジプト国は大変豊かな国であり、他国は同盟・追従の姿勢を見せながら一部では羨望と敵意の対象になり慢性的に陰謀がなされていた。

ヒッタイト国

イズミル王子の父が治める国。地中海を挟んでエジプトの対岸にある大国である。鉄器の製造技術で国の勢力を拡大したと言われている。キャロルに執着するイズミル王子とそれをよしとしない父王は折り合いが次第に悪くなり、ついにイズミル王子は王子の位を捨てて城を去る。

アッシリア国

アルゴン王が治めるアッシリア国はチグリス川流域に発展した国で現在のイラク北部に位置し、ヒッタイト国の西にありエジプトの北西にあたる。物語の中では残虐な国として恐れられており、メンフィスがアルゴン王におびき出されたと聞いたキャロルはメンフィスの身を案じてとても心配をした。キャロルの作戦で城内に流れ込んだチグリス川の水流でアッシリア城は壊滅状態に陥った。

バビロニア国

ラガシュ王の治める西の大国。現代のペルシャ湾北部に広がりチグリス河とユーフラテス河の沿岸一帯に位置した。物語ではキャロルを殺害するために、建築中のバベルの塔の見学をラガシュ王はキャロルに持ち掛け、キャロルは喜んでこれに応じる。またメンフィスの姉アイシスはラガシュ王に嫁ぎバビロニア王妃となる。

ミノア国

地中海のクレタ島からエーゲ海にかけて栄えるミノア王国は若き少年王ミノスに統治される海洋国家である。海戦においては諸国が一目置く力を持つもエジプトとは同盟国であり友好的な関係を維持する。若く病弱なミノス王の背後で母の王太后が巧みな政治手腕を発揮する。物語ではキャロルはミノア噴火を学んでおり、ミノア国が時期はわからないが噴火により一夜にして滅びることを危惧する。異様な外見から世に隠されたミノス王の兄アトラスが、巨大イルカのマカオンとともに密かに外敵を阻む。

アマゾネス

女性だけの王国。黒海南沿岸にあるとされる勇敢な戦士でありキャロルの命を何度も救う。アマゾネス女王はキャロルを信頼しており、ヒッタイト国王の拷問を受け重体となった妹のヒューリアを内密にキャロルに託した。

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