息もできない(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『息もできない』とは、2008年公開の韓国のインディーズ映画。暴力や暴言を吐くことでしか自分を表現出来ない取り立て屋の男サンフンが、ある女子高生ヨニと出会う。最低最悪な出会い方をした2人だったが次第に心を通わせて行き、似たような過去やトラウマを抱えてきた2人の魂の解放を描く。怒りと憎しみで支配されたサンフンと、傷ついた心を隠し生きている負けん気の強いヨニ。それぞれの痛みを抱えた2人が不器用に惹かれ合って行くのだった。主人公ヤン・イクチュンが監督、脚本、編集を務めている。

ハン・ヨンジェ(演:イ・ファン)

ヨニの弟。
高校の同級生のファンギュの紹介で、サンフンの下に付き借金取りを始める。家ではヨニにお金をせびっては暴れているが、外では怖気づき大胆に振る舞えず、サンフンに「もたもたすんな」「遊びに来たのか?」と散々なじられる。サンフンと2人で集金先へ向かった日、今度は打って変わって債務者に対し暴力を振るうが、サンフンに止められてしまう。サンフンに対し苛立ちを募らせていたため衝動的にサンフンを金槌で殴り、「もたもたすんなと俺に言ったろ?なのにてめえはなんでためらう?」と執拗に殴りつけ、殺してしまう。

マンシク(演:チョン・マンシク)

サンフンの友人であり、社長。サンフンより4歳年上。サンフンに手を焼いているが、いつも気にかけ世話をしている。サンフンが父親とうまく行っていないこと、サンフンの父親が人を殺し前科者であることをを知っているが、孤児で育ったため「そんな父親でいてほしい」とサンフンに話していた。刑務所帰りのサンフンの父親を気遣って、金銭的支援をしている。
サンフンから仕事を辞めると告げられた日自分も一緒に辞めると宣言するが、その日にサンフンは死んでしまう。サンフンの死後、焼肉屋を開業する。

ファンギュ(演:ユン・スンフン)

マンシクの事務所の新入り。サンフンの下に付き忠実に従ってはいるが、内心反感を持っている。お調子者で思慮が浅いところがあり、よくサンフンに引っぱたかれる。ヨンジェを誘った人物。

ヒョンイン(演:キム・ヒス)

サンフンの姉の子供。甥。
両親は離婚しており、サンフンの姉である母親に育てられる。甥であろうが誰に対しても粗暴な振る舞いをし、子供扱いをしないサンフンに懐くようになる。サンフンの父親とも交流があり仲良くしているのだが、ある日サンフンが父親を殴っているのを見てしまい、「おじいちゃんを殴るな」と泣いて訴える。

サンフンの父スンチョル(演:パク・チョンスン)

サンフンの父親。
自分の妻に暴力を振るい、逆上して包丁を持ち出した際に止めに入った娘、サンフンの妹を刺し殺してしまう。錯乱状態になった妻は外へ飛び出し車に惹かれて亡くなった。
殺人罪で15年の刑期を終え出所するが、サンフンから恨まれ暴力を受け続けていた。謝罪するも、更にサンフンを苛立たせ暴力が悪化する。ある日手首を切って自殺を図るがサンフンに助けられ未遂に終わる。自身にとって孫にあたる、母親が違うサンフンの姉の子供ヒョンインを可愛がっている。

ヨニの父(演:チェ・ヨンミン)

ヨニとヨンジェの父親。
ベトナム戦争帰還後、精神のバランスを崩す。そのためヨニに、すでに死んだ妻を探しに行くよう言ったり、食事に毒を入れたなどと妄言を吐くようになる。

ヒョンインの母(演:オ・ジヘ)

サンフンの姉で、ヒョンインの母親。
夫の暴力が原因で離婚し、携帯ショップで働きヒョンインを育てている。サンフンとは父親は同じだが、母親が違う。サンフンのつらさも父親の苦しみも理解しているため無理に和解させようとはせず、1歩下がって見守っている。

『息もできない』の用語

씨발놈아(シバラマ)

主人公サンフンの口癖。劇中で事あるごとに口にしている。正しくは「ッシバルノマ」と発音するらしい。
日本語字幕では「クソ野郎」と表記されているが、韓国でもトップクラスの悪口だという。
劇中の序盤でサンフンは封筒に入った小切手をマンシクから受け取り、「俺のはラブレターかよ?なんでこんなに薄いんだ?答えやがれクソ野郎(씨발놈아)」と言っている。

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