金色のコルダ3(フルボイス Special)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『金色のコルダ3(フルボイス Special)』とは、株式会社コーエーテクモゲームスから発売された、「音楽」がテーマの女性向け恋愛シミュレーションゲーム『金色のコルダ』の新作タイトル。
季節は夏、主人公はとある手紙をもらったことをきっかけに星奏学院に転校し、オーケストラ部に入り「全国学生音楽コンクール アンサンブル部門」での優勝を目指す。
全国各地の強力なライバルたちを相手に、仲間たちと共に勝利をつかむため暑い夏を駆け抜ける、青春恋愛ストーリーである。

冥加が思い出した幼い頃の「死の絶望」。

全国大会当日1日目。
午前の部で勝ち上がったのは天音学園と、九州の強豪であるサンセシル女学院だった。
サンセシル女学院の部長である円城寺 冴香(えんじょうじ さえか)は冥加を恨んでいた。
自分の弟である関芸大付属の円城寺 阿蘭は、前回のコンクール後ヴァイオリンを弾けなくなり、演奏者として生命をたたれたのだ。
冴香は今回の大会で冥加を討ち滅ぼすことだけを目標にしていた。

天音学園の演奏が終わり、次にサンセシルが「ソルヴェイグの歌」を演奏する。
すると、冥加の顔色が真っ青に変わる。
「ソルヴェイグの歌」、この曲は冥加にとって「死の絶望」の再現だった。
冥加一家は吹雪の夜交通事故にあい、父母は命を落としていた。
吹雪の中、残された冥加兄妹は次第に冷えていく体をかかえ、夜明けまで死へと近づく恐怖と戦ったのだ。
その時この「ソルヴェイグの歌」が車のオーディオからずっと流れ続けていたのだ。
冴香はこの曲が冥加のトラウマの曲であると知り、演奏し冥加に絶望を味わせることで、彼が弟と同じようにヴァイオリンが演奏できないようになればいいと思ったのだ。
次は天音学園の演奏、冥加は動揺しながら演奏し、なんとか演奏を終わらせた。
勝負は天音学園の勝利で幕を閉じた。

翌日、全国大会当日2日目。
会場は神南を応援する若い女性で埋まり、星奏学院には不利な空気だ。
なんとか午前の部は無事終了し、午後の部は星奏と神南と2校の一騎討ちとなる。

神南の演奏が終わる。
彼らの素晴らしい演奏に未だに客席の興奮はおさまらない。
主人公は空気に呑まれ不安になるが、律が両手で握り「大丈夫だ怖く無い」と励ましてくれる。
主人公は律の分もステージに上がろうと決意し、星奏学院は素晴らしい演奏をする。
両者の演奏が終わり、勝者は星奏学院になった。
これで星奏学院の全国大会ファイナルへの出場が決まり、ファイナルでの天音学園との闘いが決定したのだった。

全国大会ファイナル

優勝トロフィーを手にして喜ぶ星奏学院メンバー。

いよいよ次は全国大会ファイナルだ。
勝利すれば全国大会優勝、全国一になれる。

星奏メンバーは部室に集まり、ファイナルへ向けての準備を始める。
心配していた律の手首の症状は大分よくなりファイナルに出場できるようだ。
しかし律は、セミファイナル同様に1stは主人公につとめてほしいという。
星奏メンバーは全国大会にむけて今以上の演奏をするために練習をするのだった。

ある日、ニアが映画のレイトショーチケットを持って主人公に共に行こうと誘う。
さっそく映画を楽しんだ2人は、回り道して散歩がてら帰ることに。
気持ちの良い夏の夜風を楽しみながらのんびり帰っていると、どこからかニアを呼ぶ声が聞こえ、男性が近づいてくる。
彼はニアに近づきながらもそばにいた主人公に気づき、「あの時のお嬢さん!」と嬉しそうに言う。
主人公はなんとなく覚えがあり、彼とは昔子供のころコンクールで会ったことを思い出した。
ニアと軽く話しあっさり去っていく男性を見送りながら、彼が天音の理事長であり、世界的に有名な指揮者であるアレクセイ・ジューコフだと教えられる。
そういえばラウンジに置いてあった雑誌に「アレクセイ・ジューコフ来日公演」と載っていた。
「あいつのせいで人生が狂った人がたくさんいる、恐ろしい人物だぞ」とニアは主人公を脅したのだった。

ついに全国大会ファイナル当日だ。
朝、寮を出るとオーケストラ部の部員が集まり、これからファイナルへと挑むアンサンブルメンバーを激励してくれた。
オーケストラ部全員の気持ちを背負い、気合が入ったメンバーは会場へ向かった。

会場では全国大会ファイナル、決勝戦が始まった。
まず両者が一曲目を演奏するが、どちらも引かず勝負は五分五分の状態へ二曲目へ。
天音学園の二曲目、彼らはこれまでの中で最上と言える演奏をする。
観客は鳥肌が立つすほどの並外れた演奏に、文句なしパーフェクトとほめたたえた。
天音学園のこれまでとはけた違いのレベルの演奏を聞き、主人公は本当に自分が1stで勝てるか不安になる。
しかし主人公は自分の音楽、そして仲間を信じて弾ききろうと決めていた。
このメンバーで演奏できるのはこの夏だけ、悔いが残らないよう、そして最高の演奏をするためステージへと上がったのだった。

勝敗の結果、星奏学院が天音に勝利した。
星奏学院の全国大会優勝となり、主人公達はついに全国一へ上り詰めたのだ。
夢にまで見た全国制覇、優勝トロフィーを受け取り星奏メンバー全員で喜ぶ。
会場外に出るとオーケストラ部のみんなが待っており、喜びあふれながら胴上げされ、全員でもみくちゃになりながら優勝した喜びをわかちあった。
熱く走り抜けた星奏学院全員の夏が終わったのだった。
(※ノーマルエンディング終了となる)

そこへ主人公宛にプレゼントが届く。
箱の中にはドレスと一通の手紙が入っており、相手は円城寺 冴香だった。
彼女は「君の演奏に心から感謝を、コンクールの演奏を聞いて阿蘭がヴァイオリンを頑張ってみようと思い直した」という、ドレスは感謝の気持ちだと言うのだ。
主人公は喜んで、ドレスをこの後の祝賀会に着ていくことにした。
祝賀会の会場は喜びで溢れている。
キラキラと光り輝くホールを主人公は目当ての人物と抜け出し、この夏育んだ恋の告白を迎えたのだった。
(※恋愛エンディング終了となる)

『金色のコルダ3(フルボイス Special)』の各キャラルート・エンディング

如月 響也(きさらぎ きょうや)

落ち込む響也を、主人公が抱きしめる。

学内選抜に向けての練習中、屋上で響也がヴァイオリンを弾いている。
しかし彼は自分の好きな曲ばかりを弾いており、学内選抜で弾く曲を練習しない。
主人公がアンサンブルの練習はどうしたのか聞くと、彼は本番までになんとかしておく、と適当な返事を返したのだった。

主人公と響也は帰り道で冥加と出会う。
冥加は主人公を敵対視しており、主人公以外の星奏メンバーをバカにする。
それを聴いた響也は「主人公も仲間への侮辱も許せない」と怒り、冥加にヴァイオリンの演奏勝負を申し込んでしまう。
しかし冥加の実力はけた違いの高さのレベルだった。
身体が震えてしまうほどの圧倒的な実力差に、負けた響也は嘲笑う冥加の背中を見送るしかなかった。
響也は「仲間を侮辱されて言われっぱなしで、言い返したいのになにもできなかった」と落ち込んでしまう。
それ以降、響也は1人で出かけて練習することが多く、塞ぎ込むようになってしまった。

全国セミファイナルでの演奏を、主人公が1st、響也が2stを務めることに決まる。
響也は1stに選ばれなかったことが悔しく、必死に練習するが上手く弾けない。
反対に主人公は練習を重ね、弾けなかった箇所がうまく弾けるように成長していた。
彼は急成長する主人公の音を聞き、自分の進歩のなさにさらに落ち込んでしまった。

主人公が帰ろうとすると練習室から罵声が聞こえる。
部屋から出てきた響也は走り去ってしまい、主人公は彼を追いかけ方々を探す。
公園のブランコに座る彼を発見した頃には、もう夜になっていた。
主人公が響也の元に駆け寄るも、彼はうつむき目も合わせてくれない。
主人公は彼が話すのをひたすら待つと、響也は静かに話し出してくれる。
先程響也は先生に練習を見てもらっていたのだが、演奏を指摘され嫌になったという。
「他人の話きいて練習するのなんて嫌じゃないか?なにも知らないやつにこうしろああしろ言われて、別の奴には違うこと言われて、いろんな意見に振り回されてうんざりだ!」
響也は上手くなりたいが、人に言われれば言われるほど自分の演奏がわからなくなると言う。
人の言う通りにヴァイオリンを弾いても苦しくなってしまう、うまくならない、つらいだけで意味がない、ヴァイオリンなんてやめたい。
響也は練習に打ち込めば打ち込むほど苦しくなっていったのだ。
そんな響也を主人公はそっと抱きしめる。
「俺を甘やかすな優しくするな。俺はどうしてこんなみっともねぇんだ…」と弱音を吐く響也が落ち着くまで、2人はずっとそのままでいた。

全国大会セミファイナル2日目、神南2回目の演奏終わり、星奏メンバーは窮地に立たされる。
挑発する東金に、主人公は「しっかり見てろ、受けて立つ」と言い返す。
そんな主人公を見て、響也は主人公がヴァイオリンだけでなく内面も強くなったことを感じていた。
響也は「上手くなるためならそうやって変わることができたのか。ちっちゃいプライドにしがみついて、頭下げるのなんてカッコ悪いなんてちがうよな。ほんとにカッコ悪いのはステージでちゃんと弾けないこと、がむしゃらになることは恥ずかしいことじゃない」と自覚する。

音楽室で律と響也が言い合っていた。
主人公が思わず止めに入るも、意外にも彼らは冷静な様子。
実は喧嘩しているわけではなく、響也の今後の練習方法について意見を交わしていただけだったのだ。
響也はあんなに苦手にしていた律の、人の意見やアドヴァイスを聞こうと努力していたのだ。
落ち込んでいた彼はもういない、響也は自分の力で立ち上がることができたのだった。

ファイナル本番、最高の演奏ができた響也は、ようやく俺自身の音を見つけた気がする、と感動する。
今までの彼の努力が実った瞬間だった。

ファイナル本番後の祝賀会で「俺たち優勝したんだな」と喜んでいる響也に、主人公は思わず抱きつく。
しかし彼は困ったように笑いながらも、主人公を抱きしめた。
そして彼は「家族の好きじゃない、恋って意味でお前が好きみたいだ。お前を誰かに取られたくない、ずっとそばにいてほしい」と告白してくれたのだった。

如月 律(きさらぎ りつ)

暗い夜道を、律が手を引いてくれる。

突然律に誘われ、街に出かけることになった主人公。
デートかな、とわくわくしながらおしゃれをし待っていたのだが、彼は制服のままでいつもと同じ態度だ。
主人公が「てっきりデートに誘われたのかと思った」というと、律は「部の買い物だ」と平然と返す。
律の買い出しに付き合うと、帰る頃にはあたりは暗くなっていた。
ヒールのある靴を履いていた主人公を気遣い、律が手を差し出し、2人は暗い道を手をつなぎながら帰ったのだった。

また別の日、律から「明日予定があいているか?」と誘われる。
少し期待をしながら待ち合わせ場所へ向かうと、律は「今日は、先日主人公が言っていたようにデートで誘った」と照れたように言う。
そして2人は、律が主人公を案内したいという、たくさんの楽器が飾られている展示へと向かった。
会場には昔の楽器がずらりと並んでおり、楽器を見ている律はとても楽しそうだ。
彼はヴァイオリンに命を吹き込む、そんな仕事ができたらいいなと将来の夢を語ってくれた。
今日の律はいつもの仏頂面をではなくよく笑ってくれる。
「なんだか小さい頃の律に戻ったみたいだ」と主人公が嬉しくなると、律は「俺は昔から愛想がないと言われた。もし俺が笑ったのだとしたら、お前の笑顔につられたんだな」と微笑んでくれた。

主人公とニアは、森の広場の「池を覗き込むと、初恋の人の顔が水面に映る」という噂を知り、試してみることにした。
池の水面は太陽を反射してキラキラと光っている。
そのまぶしい光を見て、主人公は子供の頃の律との思い出を思い出した。
昔、主人公が川に帽子を落として泣いていると、律がびしょ濡れになりながら帽子をとってくれたのだ。
ニアの呼びかけにはっと現実に戻る主人公は、とっさに噂はガセネタだったとごまかし、律を思い出したことは黙っておくことにしたのだった。

全国大会予選。
二曲目演奏のステージに上がる前、主人公は律から小さな指輪を渡される。
この指輪は律がずっと持っていたお守りのような物で、「ステージの上で主人公を守るだろう」と託される。
無事勝利し、主人公が律に指輪を返そうとするが、彼は「これからも持っているといい。今まで俺にとってもそうだったように、これからお前のステージでの支えになってくれる」と言い、主人公に指輪をプレゼントしてくれたのだった。

部室のテーブルの上に古い楽譜が置いてある。
テーブル上に置かれた楽譜は、夕日の光を浴びて不思議な光を帯びているように見える。
主人公がそう言うと、律は「当時の先輩が、これは音楽の妖精がくれた楽譜だと言っていた」と教えてくれた。
妖精の楽譜、不思議と惹かれた主人公はその楽譜を借りることにした。
翌日、主人公は律に一緒に演奏しようと誘われる。
弾くのはこの間借りた妖精の楽譜だ。
一つの譜面を2人で見てメロディを奏でると、その瞬間、なにか小さなものが光を振りまいて羽ばたいていった気がした。
「もしかして音楽の妖精?」と主人公が言うと、律が「音楽を楽しんでいると音楽の妖精が現れて魔法をかけてくれる。その時人は金色の光に包まれて輝いてみえる」と教えてくれた。
「実家近くの川覚えているか?」と律が話し出した。
主人公が川辺に落とした帽子を、彼が濡れながら拾ってくれた思い出だ。
彼はその時、川の中で小さく光った小さな指輪を拾い、それこそが律が地方大会で主人公に渡した指輪だった。
律が指輪を拾ったとき、「これはきっと妖精の王冠だ」と子供の頃の主人公は笑ったのだと言う。
彼はそれからずっとお守り代わりで持っていてくれたのだ。
律は「その指輪をにぎるとステージでも不思議と落ち着いた。やっぱり妖精の王冠かもな」と小さな頃と同じように無邪気な笑顔を向けてくれたのだった。

全国大会で無事勝利し、祝賀会を楽しむ星奏メンバー。
律と主人公は2人でパーティー会場を抜け出し、律は主人公の手をとりそっと包む。
そして彼から「今はみんなで喜びをわかちあうべきかもしれないが、今だけは2人でいたい。お前の笑顔は他の誰かに見せなくていい、俺の前だけで笑っていてくれ」と告白されたのだった。

榊 大地(さかき だいち)

大地と、秘密の出入り口から学校へ忍びこむ。

寮に帰り、夕食の前にもう一度楽譜を見ておこうとするが見つからない。
どうやら学校の自分の机の上に置いてきてしまったようだ。
もう夜も遅いが主人公は楽譜を取りに学校へ向かうことにする。
寮を出たところで、律に用があって寮に来ていた大地とばったり出くわし、彼も学校へ付き合ってくれるという。
しかし学校に着いたはいいものの、生徒用の通用口はすでに戸締りされて閉まっている。
困る主人公の手を引き、ついておいでという大地と一緒に校舎へ向かうと、一箇所鍵が壊れている窓を教えてくれる。
ここは大地の秘密の出入口だという、彼に手を貸してもらい校舎の中へ。
無事楽譜も見つかり、2人だけの秘密ごとにドキドキしながら帰路についたのだった。

大地がクラスメイトと雑談している。
彼らは三年生で、夏期講習にうんざりしている様子。
その中でも大地は外部への受験、医学部志望という難関でとても大変そうだ。
クラスメイトは「音楽科に混ざって大会に出てる場合なのか?」と言うが、大地は「この夏しかできないことがある、全国優勝が夢なんだ」と夢中で語っていた。

地方大会後、次のセミファイナルに大地と律がもめている。
セミファイナルにむけて律は主人公が1st、響也が2stと決めていた。
しかし大地は「地方大会の自由曲での編成と同じ響也が1st、主人公2stがいいと思う」と反論している。
そして大地は主人公へ「君は1stを本当にやりたいのか、しっかり考えてくれ」と言った。
律の決定に大地は納得していないようだ。
数日経ち、大地が先日の1stヴァイオリンのことついてどう考えたか聞きに現れた。
主人公は「やりたい」と彼に告げるが、それでもなお大地は「正直疑問に思っている」と言って譲らない。
大地は全国大会で優勝したかった、そのために妥協はしたくないようだった。

一緒に練習していると大地は主人公の成長に驚く。
1stを任せることを疑問に思っていたときからはるかに演奏レベルが上がっており、彼はついに主人公を認めてくれたのだった。
彼は「今までさんざん疑っていた俺を怒らなくていいのか?」と聞くが、主人公はそんなこと気にしない。
大地に認められただけで十分だった。
大地は主人公を信じていなかった自分を戒め「今後俺は君を全力で支える」と誓ってくれたのだった。

全国大会セミファイナル当日、
まず神南の演奏が終わり、主人公たちを挑発する神南メンバー。
主人公は大地に「あなたを信じている」と伝えると、彼は「君のことは裏切れないね」と笑いながらもいつも以上に気合を入れてステージに立った。
結果は星奏学院の優勝。
演奏終了後、大地は主人公へ「君がいてくれたから今回の勝利があった。まさに勝利の女神だね」と感謝してくれたのだった。

朝起きると主人公宛に寮に手紙が届いていた。
そこには「話したいことがある。今日の昼過ぎ学校の屋上で待ってるので必ず来て欲しい」の一文が。
封筒に名前が書いていないため誰からの手紙かわからない。
指定された時間に屋上へ行ってみると、普通科三年の男子生徒がおり、「君のこと前々からいいな〜と思っていた」と告白される。
俺と付き合って、と主人公に詰め寄る男子生徒、そこへ大地が現れ主人公をかばってくれる。
「主人公はファイナル直前の大事な1st、大事な時にちょっかいだすのはやめろ」と止めてくれた。
主人公は大地に礼を言うと、彼は「口だすなって怒っていいよ」と言う。
そして「副部長だからって君の恋に口を出す権利はない。君のことは可愛い後輩とだけ思ってたつもりだったのに他の男に取られてしまうかもしれないと思ったら居ても立っても居られなかった」と大人気ない自分に苦笑したのだった。

主人公は大地に、なぜ普通科なのにオケ部に入部したのか聞いてみた。
普通科なのにオケ部、そして副部長だなんて大変じゃないか、と思ったのだ。
実は彼は星奏を受験した時、ここを本命にする気なんてなかったという。
家が近く受験の肩慣らしで受けてみたのだが、受験日に森の広場に行き、そこで偶然律の演奏を聞き、全国で一番になるという律の夢を知ったという。
彼は「今時本気か、日本一なんて恥ずかしすぎる野望だ」とバカにしながらも、自分も律みたいにバカになってみたいと思ったという。
そこでオーケストラ部に入り、律と一緒に全国優勝を目指すのが大地の夢になったのだった。

全国大会後の祝賀会を、主人公と大地は2人で抜け出していた。
大地は優勝したことがまだ実感がないと笑いながらも、夢が叶ったことを喜んでいた。
そしてさらに自分の次の夢は、主人公と一生一緒にいることだと言う。
彼は主人公へ、「君はとびきり可愛くて、優秀なヴァイオリニストで、俺の最高の恋人だ。君がパートナーならきっと最高に楽しい。誰よりも君のことが好きだ」と告白してくれたのだった。

水嶋 悠人(みずしま はると)

ハルと気分転換に遊園地で遊ぶ。

主人公は東金から言われた「花がない」ことを悩み、練習しても演奏しても上の空。
そんな主人公へ、ハルが気分転換してはどうかと提案してくれる。
そこで気分転換に星奏メンバーみんなでプールに行くことに。
暑い夏、冷たい水、開放的な空気、プールはとても良い気分転換になり、主人公はハルに感謝する。

また練習で煮詰まっているとき、ハルから気分転換に誘われる。
今度は2人だけで遊園地へ行くことに。
アトラクションで遊んでいると、突然現れたニアに写真を撮られてしまう。
2人をからかうニアに、「これは演奏向上のための気分転換であってデートじゃない!」と焦るハル。
「不純な動機じゃありません!」と怒る彼が主人公の手を引き、2人でその場から逃げる。
彼と手を繋いで走る逃避行はとても楽しかった。

練習が終わり、ハルと帰宅しようとするも、部室のドアの立て付けが悪くなかなか開かない。
ドアが開かず苦戦している主人公にハルが開けるコツを教えてくれた。

またある日の練習中、森の広場で猫に出会い、ハルがこの猫は仔猫を身ごもっているのだと教えてくれた。
後日猫の様子を見に行くと、なんと仔猫が生まれていた。
ハルに教えようと慌ただしく登場した主人公に何事かと驚くハル。
事の真相を聞いて、彼は「主人公には落ち着きが足りない。自制心を持ってくれ」と怒る。
血相を変えて現れた主人公に何かあったのか、と心配したからだ。
主人公はハルと気まずくなり一度別れるも、やっぱりちゃんと謝ろうとハルを探して音楽室に入ったところで大きな地震が起きる。
何かが戸棚から主人公めがけて落ちてきて、気づいたら主人公は気を失ってしまっていた。
主人公が気がつくといつのまにか夜になっており、外に出ようとするもドアが開かない。
この立て付けが悪いドアは、地震のせいでさらに開きにくくなってしまったようだ。
大声で助けを求めても誰からの反応もない。
携帯の残り少ない充電を使って、主人公はハルに電話をかけた。
昼間のことを引きずり不機嫌ながらも電話に出てくれた彼に「まだ部室にいる」と言うと、その瞬間充電が切れてしまう。
助けてほしいとも伝えられなかった、ハルは来てくれるのか不安な中、主人公は1人で待つ。
しばらく経つと、ドアの反対側からハルの声が聞こえた。
主人公は大声を出しハルに助けを求めると、彼はドアが開かないことに気づき、外から箒で衝撃をあたえてドアを開けてくれた。
助かった主人公は安心し、思わずハルに駆け寄り抱き着く。
主人公が「ハルなら来てくれるって信じてた」と言うと、ハルはため息をつきながらも「あなたは危なっかしい、僕を振り回してばかり。でもあなたに頼られるのは嫌いじゃない」と自覚する。
そして彼は「あなたに好意を持ってしまった。なにかあったら僕を1番に思い出してほしい」と言ってくれたのだった。

主人公とハルは祝賀会会場を2人で抜け出していた。
ハルはドレスを着た主人公を褒めてくれる。
そして彼は「これはあなたに教えてもらった感情だ。僕はあなたに恋をしている」と告白してくれたのだった。

八木沢 雪広(やぎさわ ゆきひろ)

八木沢と一緒に観光ガイドブックを眺める。

主人公は花を眺めながら東金に「花がない」と言われたことを思い出していた。
花とは何なのか、寮の庭でぼーっと佇んでいると外の暑さで目の前がクラクラしてくる。
そんな主人公に八木沢が声をかけ、室内へ入るよう促してくれた。
そこで主人公は八木沢に、「演奏の花がない」と言われたこと打ち明けた。
八木沢は主人公の話をしっかり静かに聞いてくれて、彼に話したことで主人公も気分がすっきりした。
「またいつでも相談してください」という彼に主人公は甘えることにした。

八木沢が地図を片手に迷っている。
彼は横浜にいる間に観光しているという、主人公は先日の相談のお礼に観光案内役をかってでることにした。
2人は横浜観光を思いっきり楽しみ八木沢は満足そうだ。
次の行き先を決めようと、ベンチに座って一息つく2人をニアがこっそり写真に撮っていた。
後日、八木沢に練習についてまた相談していると、ニアがあらわれカメラのシャッターをパシャリ。
「こんなところでいちゃつくなんて」とからかうニアは、これまでに撮った主人公と八木沢の2ショット写真を披露する。
どの写真も2人の距離が近く親密そうにしているものばかり。
「どうみてもラブラブだ」とからかうニア、「こんなつもりじゃ…」と純情な八木沢は顔を赤く染めたのだった。

全国大会セミファイナル後、神南に勝った主人公たちは全国大会ファイナルに向けて練習を続けていた。
主人公は八木沢に、次の対戦相手である天音学園に勝つアドバイスを求める。
すると彼は「負けた自分は答える資格がない」と意見を言おうとしない。
表面上穏やかにしていた彼だが、実はまだ負けたことへの心の整理がついていなかったのだ。
彼は「部長の自分に力があれば全国につれていけたかもしれない。負けたのは僕の責任だ」と自分を責めていた。
主人公はそんなことはないと精一杯伝えるが、勝者である主人公の言葉は敗者である八木沢の胸に響かない。
八木沢の「勝ちたかった…」とつぶやく本音に、主人公は胸をしめつけられたのだった。

主人公は八木沢からコンビニへの道を聞かれたので案内していると、ハルから「部室へ来て欲しい」とメールが入る。
しかし主人公は八木沢を優先したくて返信を後回しにしてしまう。
その後八木沢と談笑していると、主人公の元へハルが来て「忙しくて来られないなら連絡をください」と苦情を言う。
八木沢は驚き、主人公へ「アンサンブルの話し合いにでなかったのか?」と問い詰める。
うなずくと、彼は普段の優しい態度を一変し「あなたにとってアンサンブルはそんなに優先度が低いのか?音楽に対して不真面目だ。楽しく過ごすより今は大切なことがあるはず。僕と無駄な時間を過ごしていてはいけない」と責める。
「八木沢との時間は決して無駄じゃない」と主人公が言い返すも、彼は「僕のせいで君がダメになってしまうのを見たくない。この夏の間は僕に近づかないでくれ」と去ってしまった。

主人公は八木沢のことを思い浮かべながら練習をしていた。
演奏しながら思い浮かべるのは八木沢と楽しく過ごした大事な記憶。
八木沢と過ごした時間は、主人公の音楽にとって絶対に無駄ではなかったのだ。
そこへ八木沢がやって来て、主人公の演奏から主人公の想い感じ、「自分が間違っていた」と謝罪してくれたのだった。

主人公の耳に、風にのってトランペットの音が聞こえてくる。
歌いかけるような優しく柔らかい音色をたどり、音色に導かれるとそこには八木沢の姿があった。
彼の側には「メリー・ウィドウ・ワルツ」の楽譜があり、主人公は彼から一緒に弾いてほしいと頼まれ共に演奏する。
風でめくれた楽譜のページにはドイツ語の歌詞が書いてある。
「唇は語らずとも調べはささやく。あなたを愛しています、心から愛しています、と」
演奏が終わると彼は静かに話し始めた。
「以前近づかないでほしいとお願いした、あのときはその方がいいと思っていた。でもそれは僕にとって予想以上につらいものだった」
八木沢はそう言うと、主人公としっかり目を合わせ、「あなたのことが好きです。嘘偽りない僕の本当の気持ちです」と告白してくれたのだった。

全国大会優勝の祝賀会で、主人公と八木沢は別れを惜しんでいた。
彼はもうすぐ仙台へ帰ってしまう。
寂しい気持ちを隠せず落ち込む主人公、しかし彼は主人公の手を取り「どうか僕の恋人になってもらえませんか?うなずいてくれたら一生大切にします」と約束してくれたのだった。

火積 司郎(ほづみ しろう)

海で火積と約束を交わす。

主人公は練習中、火積に呼ばれ木陰につれていかれる。
彼は水を差し出し、主人公へ「ここで休め」と言いつける。
夏の練習は暑さが厳しい。
彼は主人公の体調を案じ、「ぶっ倒れないように気をつけな」と心配をしてくれたのだ。
また、主人公が練習帰りで遅くなってしまったとき、ランニング中の火積とばったり会う。
彼は「こんな夜遅くに女子一人じゃ危ないだろ」と、帰り道を一緒に寮までついてきてくれた。
主人公は、彼はとても優しい人だ、と感じたのだった。

トランペットの音が聞こえ、主人公が向かうと火積が練習していた。
彼はいつも人一倍練習しているようだ。
主人公は前回飲み物をもらったお礼に冷たい飲み物を買ってきており、彼の近くのベンチに置いて去る。
休憩をとろうとした火積は、主人公の差し入れに気づき、胸を熱くしたのだった。

全国大会予選が終わり、主人公が火積に会うと、彼の目は泣き腫らしたようで赤い。
そして火積は自分たちが負けた相手になんと言っていいか分からず、黙り込んでいる。
彼はまだ昨日の負けを自分の中で消化できていないでいた。
そんな火積に主人公が「良い演奏だったね」と声をかける。
彼は八木沢に「お前たちの演奏は誇りだ」と言われたことを思い出し、「お前たちもそう思ってくれるのか」と感動する。
自分の演奏は主人公のもとへ届けることができていたのだ。
彼の中でやっと自分の演奏を認めることができた瞬間だった。

至誠館メンバーがラウンジで騒いでいる。
みなで夏の思い出である写真を眺めながら火積を褒めているようだ。
写真には宿舎や公園で火積が中心になって練習してる姿が写っていて、写真の中の火積は真剣に部活動に取り組んでいる。
八木沢は次の部長は火積にやってほしいと言う。
「無理に決まってる」と断る火積だが、周りは大賛成。
八木沢は「やる前から逃げないで。ゆっくり考えてみて」と言う。

朝、海にトランペットを吹きに行くという火積に主人公はついていくことにした。
海はいい風が吹き天気も良い。
火積がトランペットを思いっきり吹き鳴らすと、ふと彼が「吹っ切れた気がする」とつぶやく。
今吹いたのは彼がトランペットを初めて最初にやった曲で、全然吹けなかったのにいつの間にかしっかり吹けるようになっていた。
「俺も変われるんだな」と火積はつぶやく。
そして主人公へ、決意表明のように「部長になる話を受けることにした」と言う。
そして彼は主人公の手を取り、「大会が終わったときなんて真っ白で来年のことなんて考えられなかった。でも今年で世界が終わるわけじゃない、泣いても笑っても来年はある。来年こそ全国大会へ行く」と言い、来年も全力で戦おうと約束する。
火積はこの夏の敗北から立ち上がり、新しい目標に向けて決意していたのだ。
そして彼は表情をやわらげ、「主人公と出会ってここにいる。良い夏だったな」と笑ってくれたのだった。

全国大会ファイナル後の祝賀会、火積は主人公のドレス姿を見て顔を赤らめていた。
そんな火積を「可愛い」と笑う主人公。
しかし彼は「笑わないでくれ」と言いながら主人公を抱き寄せ、「俺はあんたに惚れたみてぇだ。あんたが俺のとなりで笑ったりしゃべったりするのが嬉しい。何度夏が来てもこの気持ちは変わらねぇ」と言い、主人公に必ず会いに来ると約束してくれたのだった。

6rhashiruna
6rhashiruna
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金色のコルダ2(2f / 2ff / アンコール)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『金色のコルダ2(2f / 2ff / アンコール)』とは、株式会社コーエーテクモゲームス発売の女性向け恋愛シミュレーションゲーム『金色のコルダ』の続編タイトル。 『2』『2 アンコール』の順で発売、『2f』『2f アンコール』『2ff』は移植版。 季節は秋、前作の半年後のストーリー。 ヴァイオリン奏者の主人公のもとに、アンサンブルコンサートのお誘いが舞い込んでくる。そんな中、突如おとずれる学院の危機。 主人公は学院のため、仲間たちとコンサートの成功に向けて協力し、恋や絆が芽生えていく。

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金色のコルダ1(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

金色のコルダ1(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『金色のコルダ1』とは、株式会社コーエーテクモゲームスの開発チーム「ルビー・パーティー」から発売された、女性向け恋愛シミュレーションゲーム。ネオロマンスシリーズの第3作目。 現代の学園で「音楽」を通して、ライバルたちと恋愛を繰り広げる乙女ゲームである。 コンクールに向けて練習する中で、ライバルたちとの仲を深め、お互いを励まし合い、音楽と共に成長していくストーリー。 主人公はヴァイオリン奏者、作中では多数の楽曲を演奏でき、プレイしながら多彩なクラシック音楽を聴き楽しむことができる。

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遙かなる時空の中で2(遙か2)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

遙かなる時空の中で2(遙か2)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『遙かなる時空の中で2』とは、Windows95 / 98 / Me用恋愛アドベンチャーゲーム。コーエーテクモゲームズのルビーパーティ原作で、キャラクターデザインを水野十子が担当した。PlayStation 2用ソフト、PSPソフトも発売。前作『遙かなる時空の中で1』から100年後の世界が舞台で、ゲームシステムは1作目を世襲。平安時代の京都をモデルにした「京」と呼ばれる異世界に引き込まれてしまった女子高生、高倉花梨が活躍する。

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遙かなる時空の中で1(遙か1)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

遙かなる時空の中で1(遙か1)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『遙かなる時空の中で1』とは、2000年4月6日に発売されたPlayStation用恋愛アドベンチャーゲーム。コーエーテクモゲームズのルビーパーティ原作で、キャラクターデザインを水野十子が担当した。平安時代の京都を舞台にした「京」と呼ばれる異世界に引き込まれてしまった女子高生、元宮あかねが活躍する。2018年2月22日に本作のリニューアル版である『遙かなる時空の中で Ultimate』がPlayStation Vita、スマホとタブレットに対応したiOS、Android版が発売されている。

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金色のコルダ3 AnotherSky(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

金色のコルダ3 AnotherSky(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『金色のコルダ3 AnotherSky』とは、株式会社コーエーテクモゲームスから発売された女性向け恋愛シミュレーションゲーム『金色のコルダ3』のIFストーリーを描いたタイトル。 季節は夏。ヴァイオリニストの主人公は自分の音楽を見つけるため各学校に転校し、それぞれのメンバーと全国学生音楽コンクール アンサンブル部門での優勝を目指す。 『金色のコルダ3』でライバルとして登場したキャラクターたちと仲間になり、彼らと共に過ごしながら、音楽と恋愛が盛りだくさんの青春恋愛ストーリーを楽しむことができる。

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遙かなる時空の中で6(遙か6)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

遙かなる時空の中で6(遙か6)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『遙かなる時空の中で6(遙か6)』とは、コーエーテクモゲームス(ルビー・パーティー)制作の女性向け恋愛アドベンチャーゲームである。『遙かなる時空の中で』シリーズの第6作目で、シリーズ15周年の記念作品でもある。平凡な高校生活を送る主人公は、ある日突然「黒龍の神子」として異世界である帝都東京に召喚され、人々を苦しめる怨霊を倒す使命を与えられる。主人公は元の世界に戻るため、帝国軍と鬼の一族、2つの抗争に巻き込まれながらも仲間とともに戦い世界を救うストーリーである。

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【声優】日野聡が演じた乙女ゲームキャラクターまとめ!『AMNESIA』のトーマ・『金色のコルダ』の衛藤桐也など!

【声優】日野聡が演じた乙女ゲームキャラクターまとめ!『AMNESIA』のトーマ・『金色のコルダ』の衛藤桐也など!

声優・日野聡が演じた乙女ゲームの登場人物・キャラクターをまとめました。『AMNESIA』のトーマや『金色のコルダ』の衛藤桐也など、魅力的なキャラクターばかりとなっています。日野聡が好きな方はもちろん、乙女ゲームに興味がある方もぜひチェックしてみてください。

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