風夏(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『風夏』とは週刊少年マガジンにて4年間(2014年2月〜2018年4月)連載されていた瀬尾公治原作の日本の漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。ロックバンドを題材とした漫画でジャンルとしては青春・恋愛・ヒューマンドラマに分類される。内向的な主人公・榛名優が秋月風夏と出会い、人間的に成長していく様子、彼らが結成するバンドが憧れのバンドへと追いついていく様子が描かれる。物語序盤で主要キャラが交通事故で亡くなるため、人間の死と向き合い、乗り越えていくヒューマンドラマの要素が大きい。

『風夏』の概要

『風夏』とは瀬尾公治原作の日本の漫画・アニメ。ジャンルとしてはバンドを題材とした青春漫画であり恋愛漫画。様々なキャラにフォーカスが当たるため群像劇としても楽しめる。主要キャラの死が物語の序盤に起こる。その後は死と向き合い、乗り超えて生きていくヒューマンドラマの要素も見受けられる。週刊少年マガジンにて4年間(2014年2月〜2018年4月)連載されていた。コミックスも全20巻発売され、堂々完結している。2017年にはアニメ化に成功し、2017年冬クール(1月〜3月)に放送した。風夏がソロデビューする等、ところどころで原作とは違う物語が展開されている。原作では想像するしかなかった劇中歌を音楽として具現化している。

瀬尾公治

1975年、広島県庄原市出身。1996年、『HALF & HALF』で漫画家デビューを果たす。各作品の完結が早く、読み易いことがひとつの特徴である。代表作として『涼風』、『君のいる町』、『ヒットマン』が挙げられる。

『風夏』のあらすじ・ストーリー

出来心から始まったアマチュアバンドの成長を描く。内気な主人公・榛名優が秋月風夏との出会いをキッカケに変わっていく様子が描かれる。

プロローグ(1巻)

両親が仕事の都合で海外へ移住するため子供達4人は東京で暮らすことになる。主人公、榛名優が制服姿の女の子・秋月風夏と衝突するシーンから本作『風夏』は始まる。優は内気な性格であったが、風夏のおかげでクラスに馴染むことができる。風夏を中心に交友関係も広がっていき、後のバンドメンバーとなる那智一也や三笠真琴ともここで出会う。優と風夏は互いに惹かれながら何気ない毎日を過ごしていく。一方SNSでは、昔の友達であり、今は国民的アイドルとして活躍している氷無小雪から連絡が来て、三角関係が出来上がりつつあった。

バンド結成・初ライブ(2~4巻)

風夏は優と三笠は、担任の友美先生の知り合いの海の家でバイトをしていた。バイト最終日、4人で打ち上げをしているところに友美と那智、矢作の友人であるヒサシが遊びに来る。話題はバンドのことになり矢矧達がロックバンド「HEDGH HOGS」であることを知らされる。彼らはボーカルとベースが突発的に旅に出た為活動休止中だと言う。話の成り行きで風夏と優はボーカルとベースとして即席で演奏することに。風夏の生の歌を聞き感動した一同。その後スタジオで出会ったヒサシの妹、石見紗羅も加え、5人体制でバンドを始めることとなる。5人は学園祭を初ライブの場として定める。ベース素人の優は課題曲の「climber's high/hedge hogs」に苦戦するも猛練習する。5人の演奏が完成し本番の日を迎えるが当日の会場はガラの悪い若者達で溢れかえっていた。その理由は優と氷無小雪のプライベートの写真がSNSに上げられたからだった。熱烈なファンは優の初ライブをぶち壊そうと息巻いていた。そんなアンチもひっくるめて優たちはライブを大盛況に納める。こうして「The fallen moon」は結成された。

風夏の死(4巻~5巻)

文化祭の初ライブ後ブッキングされライブをすることになった。ライブの日、集合時間になっても風夏の姿は見えずボーカルは優が兼任することとなる。ライブを何とか乗り越えるが後ほど風夏が交通事故で死んだことを知らされる。その事実にメンバーはショックを受け、風夏の思いを中心に造られたバンドは自然消滅していく。1番ショックを受けたのは優でその事実を飲み込むのにも時間がかかっていた。何事にもやる気を出せず学校も休むようになって1ヶ月優の心を動かすことが起こる。1ヶ月ぶりに電源を着けた携帯電話に風夏からのメッセージが届いていた。声を聞いて脳裏に思い出が蘇る。バンドを続けることに風夏との繋がりを感じた優はメンバーをもう一度集める。それぞれの道に進んでいた3人を引き止め自分の意志を伝えるのだった。最後のチャンスと言われ優が作ったオリジナル曲をセッションした4人は完成度の高さに高揚感を覚えバンドを再結成することを決める。

電光リベリオン編(6巻〜7巻)

優はひとりの女の子と出会う。名前は驚くことに碧井風夏といい、必然的にふたりは仲良くなるのだった。そんな中、バンドの飛躍の為、フェスイベントに出ることとなる。優勝すればメジャーデビューの権利や賞金が獲得出来る。1次審査に通過し2次審査の会場にてライブ審査に参加する。その後同世代バンドとしてしのぎを削ることになる「Le-bard」や「ラビッツ」碧井風夏率いる「other side of the wall」他と出会う。このイベントがプロデューサー、最上による出来レースであることを知った優はイベントを棄権を宣言した上でライブを行う。優勝はできなかったものの関係者から一目置かれる存在となる。

事務所所属(7巻~8巻)

同年3月、那智先輩の卒業の日に3人は高校を中退する。音楽に専念する為だった。知名度向上のためには事務所に所属すべきだと言われた4人。そんな中、「電光リベリオン」を見ていた天谷沙織から事務所に誘われる。背に腹はかえられぬ4人は事務所に入るがそこには大きなノルマが課せられた。半年後に1300人のキャパを埋めることである。100人程度のキャパでライブをしていた4人にとっては高すぎるハードルだった。おまけに4人は共同生活を始めることになる。高校も辞め実家を出た4人は生活のためバイトを行うことに。優は天谷社長に進められ武道館の清掃員をすることとなる。そこでは碧井風夏もバイトをしており、話を聞くと碧井もソロの歌手として天谷社長にスカウトされたらしい。互いに切磋琢磨して高め合うふたり。「HEDGH HOGS」の復活、「氷無小雪」の芸能界引退、バンドのマネージャーの登場、新曲完成等様々なことが起こりながらも4ヶ月が経ったが動員数は伸び悩んでいた。そんな中であるライブのオファーが来る。「ラビッツ」のOAとして武道館でライブをして欲しいというものだった。何故オファーが来たのか、その理由は「ラビッツ」のボーカルは氷無小雪だった。風夏の夢だった武道館に立ち5人でライブをする。4人はそこに風夏の存在を感じていた。その繋がりもあり、4人は1300人の客を集めライブを成功させることが出来た。

SONIC BOOM FES(9巻〜11巻)

天谷社長のノルマはクリアしたもののライブ後のアンケートの結果はよろしくなかった。ボーカルの華の無さや演奏のズレが課題点らしい。「HEDGH HOGS」や社長のアドバイスを聴きながら着実にレベルアップしファーストアルバムを作る。碧井風夏をバンドに加えることを提案されるが秋月風夏のこともあり受け入れきれずにいた。レベルアップした末に「HEDGH HOGS」主催の野外フェス「SONIC BOOM FES」に参加する。全てを出し切ったが別ステージのバンドのスタートと同時に客が減っていくのを目の当たりにした。それは碧井風夏も同じで「ラビッツ」に客を取られていた。2組は、たまの勧めもあり今夜限りのバンドを組み即席でライブを行う。演奏者も観客も完成度の高さを感じていた。演奏後に青葉にバンド結成を勧められるが今夜限りだと4人は断る。その後、フェスは進み大トリである「HEDGH HOGS」が登場する。MCでたまの喉の病気が理由でこのフェスを最後に解散すると発表する。ラストライブの迫力を目の当たりにし若手バンド達はその意志を受け継ぐのだった。

「Blue Wells」結成(11巻〜12巻)

「SONIC BOOM FES」が終わりメンバーはひとつのことを決心する。碧井風夏をメンバーに加えることだ。野外フェスでの演奏の興奮は誰もが感じていた。その事を秋月風夏に伝えようと墓参りに行く4人だったが何故かそこには碧井風夏の姿があった。秋月風夏の交通事故の際にそのトラックを運転していたのが碧井風夏の父親であった。体調が優れない父親に仕事に行くように急かした自分に非を感じていた。優たちが秋月風夏のバンドメンバーであったことを知った碧井風夏は一緒にバンドをやるべきじゃないと判断し音楽を辞め、実家に帰ってしまう。優は碧井の実家に赴き彼女を説得する。秋月風夏を碧井風夏に重ねていた優はこの一件を通じて秋月ではなく碧井が必要だと本人に伝える。3人も合流しバンド名も改めることとなった。こうして碧井の故郷にて「Blue Wells」は結成される。

全国ツアー(12巻〜16巻)

バンドのアルバムの借金返済のため、全国ツアーに出る。「Le-bard」、「ラビッツ」、最上率いる「カナリア」との対バンに加え新たなバンドとも出会う。スタジオライブやファンとの交流、恋愛模様の発展等、個人としても、バンドとしても成長しながら日本各地を回る。ツアーの終盤、福岡では街フェスに参加する。ここでは碧井と優にすれ違いが生じ、碧井がバンドを辞めようとする。昔からの友人である不知火のバンド「FUNBOOK」へスカウトされていた。それを知った優はライブ中のライブハウスへ乱入し碧井を連れ戻す。碧井の脱退は免れるがツアーを終えるが、同時に問題も生じていた。

BLUE SUMMER(16巻〜20巻)

碧井が加入しようとした「FUNBOOK」の所属する「ゼータミュージック」の社長である生駒は音楽界の大物であった。CDのリリースもメディア進出もライブの出演も彼女のひとことでボツにされ5人は打つ手なしの状況に陥る。5人はこれを機に個人のレベルアップを考える。「HEDGE HOGS」のメンバーからスキルを学びバンドとしてのランクアップを果たすが生駒の圧力は想像以上だった。ライブの出演が無理なら自分でライブを主催すればいいと考えた優はフェス「BLUE SUMMER」を主催することを決意する。知人の協力を得て徐々にフェスの計画が建てられる。生駒も対抗して同日に近場でフェスを開催する。ふたつのフェスは対立した状態でフェス当日を迎える。これまで作品に登場したアーティスト達が軒並み登場し両会場は盛り上がりを見せる。更には「HEDGH HOGS」が登場する。たまの代わりに氷無小雪や世界の歌姫シェリーホーネットがボーカルを務め復活を果たす。日も落ちトリを務める「Blue Wells」はステージに上がる。アンコールでは5人に秋月風夏を加えた6人体制の「Blue Wells」と 創設時のもう1人のメンバー西辺を加えた「HEDGH HOGS」が対バン形式でステージに並ぶ。師弟の関係の2バンドがしのぎを削りながら「Blue Wells」の楽曲を演奏する。憧れの「HEDGH HOGS」と肩を並べ同じにステージに立ちフェスは終幕する。

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