ブレイクダウン(さいとう・たかを)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブレイクダウン』とは、さいとう・たかを&さいとう・プロダクションによる、サバイバル・ファンタジー劇画である。
1970年代に人気を博した同氏の少年劇画『サバイバル』を青年向けの物語として再構成したかのような内容が特徴であり、ファンタジー要素が薄れた代わりに、災害に見舞われた人間が置かれるシビアな環境をリアルに描き出している。

物語のラストで、都庁に取り残された子ども達を救い出した大友が廃墟の東京で語った言葉。
大友の「こうなってしまった大都会なんて、人間の生きていける場所じゃない。ただの墓場だっ!! "文明の墓場"だっ!!」というセリフに続くもので、文明のもろさを切実に語る。
また、作者さいとう・たかをの文明と自然に対する哲学が垣間見えると共に、結局人間は資源なくしては生きていく事はできないという本質を表すものとなっている。

『ブレイクダウン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

子どもはパソコンが得意という誤解

本作は誉田季美子をはじめとして、コンピュータ(パソコン)に強い子ども、という描写が目立つ。
『ブレイクダウン』連載当時の1990年代中盤頃の、大人が子どもに持つイメージの一種なのだが、これは誤解である。
スマートフォンをはじめコンピュータがほぼ全員の手に渡った現代では明らかになっているが、パソコンが得意かどうかは年齢というより、その人個人の資質による。
要するに、パソコンは道具のひとつに過ぎず、例えば自動車の運転や英会話の習熟のように、若ければ必ず得意になるというものではない。

予言された津波災害

本作のウィルビー地球衝突による大地震では、東京が津波にさらわれて滅んでいる。
連載当時の災害である1995年の阪神・淡路大震災では、津波被害は起きなかったが、本作はそれすら不幸中の幸いであった事を語る。
なぜなら、16年後の2011年には、津波の恐ろしさを日本人と、世界中の人々が目の当たりにする事になったからだ。
まさに災害の予言であったといえる。

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