狼陛下の花嫁(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『狼陛下の花嫁』とは2009年から2018年まで『LaLa』で連載された可歌まとによる人気ラブコメディ少女漫画。
舞台は中華風の国、白陽国の王宮と後宮、そして下町。
下町で働く汀 夕鈴(てい ゆうりん)が父の知人の紹介で”冷酷非情な狼陛下”と呼ばれる白陽国(はくようこく)国王、珀 黎翔(はく れいしょう)の臨時花嫁として雇われ、時に甘く、時に悲しく厳しい現実に立ち向かい数々の困難を周囲の協力を得て乗り越え成長していく物語である。
再会の宴
夕鈴は李順の反対を押し切り妃として後宮に残ることを決意したのだったが突然、晏流公と菫蘭瑶の王都への呼び戻しを知らされる。
再会の宴で黎翔から”唯一にして最愛の妃”として紹介された夕鈴を見て驚く2人。
夕鈴の顔を見た晏流公は知人にとても似ていてまるで彼女が自分たちを兄の元へ導いてくれたようだと語る。
知らぬ存ぜぬを貫けと言われていた夕鈴は笑みでその場を乗り越えた。
炎波国、赤朱音の来訪
ある日同盟国である炎波国から”交友関係の強化”を名目に使節団が来訪することが決まる。
その後使節団の名簿に炎波国の王女である赤朱音の名前があることに気づいた李順は、想定外のお客様に驚き困惑するがひとまず翌日に行われる宴に参加することと赤朱音の相手をすることを夕鈴に命じる。
菫蘭瑶に教わっている妃修行の成果を見せるときだ、と張り切る夕鈴だったが仲良くしようとする様子がまったく見られない赤朱音。
李順から「黎翔との縁談を申し込まれても困るため今後の交流は夫婦で行い、炎波国の使節団の滞在中は縁談を申し込むのが馬鹿馬鹿しくなるくらいイチャイチャするように」と言われる。
乗り気な黎翔とそれに危機感を感じる夕鈴はほどほどでいいと言って欲しいと頼むが、李順はそれを無視し、忙しいと言い立ち去るのであった。
そして、李順に褒められるほどバカバカしいほどにイチャイチャした2人は交流会を無事乗り越えたのであった。
黎翔の過去
ある日、夕鈴は周康蓮と黎翔の不仲説を耳にする。黎翔本人に聞くがうまくかわされ、浩大に聞くも意味深なことを言われ真実がわからずモヤモヤする夕鈴は、周康蓮本人に直接問いただす。
周康蓮は「過去に自分が陛下からの信頼を失ったからだ。この国、王のために貴方は必要な方でございます。お困りごとがありましたらお申し付けください」と答える。
その会話を聞いていた黎翔は夕鈴がいままで見たことのないくらい本気で怒っていた。だが夕鈴は黎翔がなぜいまの会話で怒ったのかわからなかった。
数日後、夕鈴は不仲説について徐克右に尋ねると徐克右からは裏切りという言葉が出たが忘れて欲しいと言われる。
どうしてもモヤモヤが収まらない夕鈴は決意と共に過去に幽閉されていた檻部屋に自ら籠城し、不仲説の原因を聞くまで出ないと黎翔に宣言するのであった。
観念した黎翔は面白い話ではないと言い少しずつ語り始める。
黎翔は母が亡くなってから北の辺境で静かに暮らしていた。
当時そこの地方官を李順の父がしており、その頃から李順は黎翔のお守り役だった。王都にいる兄から密かに命を狙われており、黎翔の父が亡くなると同時にその兄が即位した。権力を手にした兄は一番に黎翔の処刑を望むためいち早く黎翔の身を隠す必要があった。
王宮には不慮の事故で生死不明と報告して国境警備をしている部隊の隊長の元へ身を隠す。そしてその隊長は黎翔に「今日から俺がお前の親父でお前はうちの一員だ。」と告げる。
その日から黎翔の人生が一変し、”王の子供”という立場をなくした黎翔は体が軽くなったように感じた。
新しい生活に慣れてきた頃、国王の不興を買った周康蓮が左遷されてやってきた。有能は周康蓮に黎翔は行政をたくさん学び、後にやってきた徐克右や李順と共に日々を過ごしていたがある日移民からの奇襲を受ける。
なんとか逃げ延びた黎翔だったが義父や仲間を失う。義父の最後の言葉に従って王弟を名乗り奇襲を退けた黎翔に待っていたのは、国王が倒れたという知らせと周康蓮が次の王に黎翔を据えようと準備していた報告だった。
そして黎翔はいつの間にか以前のような自由を失い、幼い頃のような窮屈な生活に戻っていた。
王位を望まない黎翔と望む臣下、どこかで黎翔も逃げられないことがわかっていた。王都に戻った黎翔は新王の名の下反乱を制圧、中央政府の粛清を成し遂げ”冷酷非情の狼陛下”と呼ばれるようになり、それ以降周康蓮との溝も深まったのであった。
夕鈴の記憶喪失
ある日夕鈴は体調不良のため数段しかない階段を踏み外してしまう。妊娠の可能性があった夕鈴はとっさにお腹をかばったため頭を強打してしまう。
数日間眠り続けた夕鈴が次に目覚めた時王宮で臨時花嫁として働いていた数年間の記憶だけを失っていた。
夕鈴が目覚めたという報告を受け駆けつけた黎翔、目覚めたことに安堵したがその後夕鈴が記憶を失っていてることを聞く。
自分が国王の妃になっていることに動揺する夕鈴に対し黎翔は少し悲しそうな表情を浮かべしっかり身体を休めるよう伝える。
数日後李順に家族が心配なため下町の実家に帰りたいと相談する。
それに対し李順は「許可できない、記憶がなくてもあなたは妃であり怪我人。家族は問題なく元気に過ごしているし仕送りも届いている。」と伝える。そして国王のためにここに残るよう頼む。
夕鈴は記憶を失ってからたくさんの人が自分に親切にしてくれるが、それを受け取るのは記憶を失っている自分ではないと黎翔に伝えると、黎翔は少し微笑み「やっぱり記憶はなくても夕鈴は夕鈴だ」と言い、夕鈴を連れて下町へと繰り出す。
実家に帰った2人を迎えてくれた夕鈴の父と弟、そして黎翔は夕鈴が王宮にいた数年分のみ記憶を失っていることを伝える。
黎翔は夕鈴の幼馴染である几鍔に「実家で笑って過ごしている夕鈴を見て彼女は下町に戻り、普通に結婚して自分がいなくても当たり前に幸せになれるということをつきつけられているように感じるがもう手放すことはできない」と伝える。
それに対し几鍔は「夕鈴は強くもないししっかりもしていない、自分自身が弱いということを忘れているだけだから黎翔はそういう部分もまとめて受け止めろ。そうじゃないと自分の妹分はやれない。」と励ます。
顔色が優れない夕鈴は弟から休むよう言われ、横になっている夕鈴は自分がなにか大切なことを忘れているような気持ちになる。
そして自分が階段から落ちたその日、朝から体調が優れずふらついてしまい怪我をしたこと、その瞬間無意識的に妊娠の可能性があるお腹を守らないと思ったことを思い出す。
それをきっかけにどんどん蘇る記憶、そして自分は大切な忘れ物をしていたことに気づく。いてもたってもいられず夕鈴はいままでの王宮でのこと、黎翔とのことが夢だったらどうしよう、置いていかれたらどうしようと必死で黎翔を探し、黎翔を見つけた途端、夕鈴は子供のように泣き出す。
泣き止んだ夕鈴はまだわからないがと言い妊娠の可能性を黎翔へ伝え、王宮へ戻った後李順からこってり怒られるのであった。
正妃冊立の儀
そうしてついに正妃冊立の儀の日を迎えた夕鈴。
とてつもなく緊張している夕鈴に李順は夕鈴が王宮にきたことにより新たな光が差し込み、白陽国を良き国へ導いたこと、本日を迎えるまでの夕鈴の努力に対し最高の敬意と感謝の言葉を伝える。
そしてたくさんの文官や他国の姫に見守られ、夕鈴はゆっくりと黎翔の元へ歩みを進める。
正妃冊立の儀も終わりその後の宴のなか少し抜け出し会話する夕鈴と黎翔の元へ忍び寄る影。
その影の正体は2人の宝物だった。その名は飛翔。護衛役の徐克右を振り切って両親の元へ飛び込んできた飛翔は夕鈴にはべったりの状態だが、”狼陛下”の黎翔へはまだ緊張するようでためらいがあるようだ。
飛翔を抱き上げた黎翔は宴へ戻るために夕鈴に声を掛ける。
『狼陛下の花嫁』の登場人物・キャラクター
主要人物
汀 夕鈴(てい ゆうりん)
CV:堀江由衣(ドラマCD)
本作の主人公。下町役人の娘。17歳。「内容はわからないが割のいい仕事がある」と父の知人から紹介され王宮に行くが”狼陛下”として恐れられている国王の臨時花嫁役をすることだった。偶然彼の裏の顔を知ってしまい辞めようと迷っていたが本格的に臨時花嫁をすることになる。
勇気と思い切りがあり困っている人を見過ごせないという優しい性格の持ち主だが恋愛経験はなく鈍感。
”狼陛下”に対してドキドキするが恐怖からくるものであると思い恋愛感情と気づくまでに時間がかかる。
放っておくと自分から厄介ごとに首を突っ込む癖があり周りをハラハラさせる一面もある。優しい性格から友人の氾紅珠からとても慕われており王宮の人たちや他国の王女からも気に入られている。
下町ではすぐに借金を作ってくる父には厳しく接するが弟にはかなりのブラコン。
珀 黎翔(はく れいしょう)
CV:緑川光(ドラマCD)
白陽国国王。21歳。通称”狼陛下”と呼ばれ王宮の人たちから恐れられている。北の辺境で育ち気ままに暮らしていたが突然王の座が転がり込む。即位後、国内外の問題を実力ですぐに解決をしてしまい、それをきっかけに”冷酷非情な狼陛下”と恐れられるようになる。
彼には裏の顔がありその裏の顔は子犬のようなおっとりした優しい性格。しかし周囲になめられないよう、王宮では常に”狼陛下”の状態で執務をしている。
夕鈴に好意があるが嫌われたない、怖がられたくないという想いから”狼陛下”は演技と言っているが実際は両方本来の性格である。また、夕鈴を大切に思うあまり王宮の内情に関わらせないようにしておりそれに対し夕鈴は実際の花嫁ではないため線引きをされていると勘違いをしている。
李翔(りしょう)という偽名を使用して下町に夕鈴と出かけることがある。
李順
CV:小野大輔(ドラマCD)
国王の側近で幼少期より行動を共にする。夕鈴のバイトの上司。24歳。
休暇を与えられても仕事のことを考えてしまう根っからの仕事人間。
いつも国王の言動に振り回されており苦労している。本人曰く、申し訳ないと思うのであれば負担を減らして欲しい、だそうだ。
夕鈴には言動から”お義母さん”と呼ばれることもありお妃教育も行っている。いわゆる縁の下の力持ちである。
王宮関係者
柳方淵(りゅう ほうえん)
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目次 - Contents
- 『狼陛下の花嫁』の概要
- 『狼陛下の花嫁』のあらすじ・ストーリー
- 白陽国王、珀黎翔と汀夕鈴との出会い
- 春の宴
- 星祭り
- 蒼玉国、瑠霞姫の来訪
- 壬州の閑積への地方視察
- 臨時花嫁バイト終了
- 蓉州、晏流公のお邸への潜入
- 王都の妓館へ潜入
- 幽閉された花嫁
- 告白
- 再会の宴
- 炎波国、赤朱音の来訪
- 黎翔の過去
- 夕鈴の記憶喪失
- 正妃冊立の儀
- 『狼陛下の花嫁』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 汀 夕鈴(てい ゆうりん)
- 珀 黎翔(はく れいしょう)
- 李順
- 王宮関係者
- 柳方淵(りゅう ほうえん)
- 氾水月(はん すいげつ)
- 氾紅珠(はん こうじゅ)
- 張元(ちょう げん)
- 浩大(こう だい)
- 徐克右(じょ こくう)
- 周康蓮(しゅう こうれん)
- 柳義広(りゅう ぎこう)
- 氾史晴(はん しせい)
- 珀瑠霞(はく るか)
- 赤朱音(せき しゅおん)
- 晏流公(あんりゅうこう)
- 菫蘭瑶(とう らんよう)
- 柳経倬(りゅう けいたく)
- 桃香(とうか)
- 韋良(いりょう)
- 下町関係者
- 汀青慎(てい せいしん)
- 几鍔(き がく)
- 汀 岩圭(てい がんけい)
- おばば様
- 明玉(めいぎょく)
- 『狼陛下の花嫁』の用語
- 地名
- 白陽国(はくようこく)
- 蒼玉国(そうぎょくこく)
- 炎波国(えんはこく)
- 壬州(じんしゅう)
- 蓉州(ようしゅう)
- 白華園(はくかえん)
- 離宮(りきゅう)
- 名称
- 狼陛下(おおかみへいか)
- 妖怪妃(ようかいきさき)
- 『狼陛下の花嫁』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 珀黎翔「ごめん、夕鈴。僕はもう君が目の前にいて愛しさを抑えることが出来る気がしない」
- 汀夕鈴「この先がどんな形になっても私はもう後悔はしないんです」
- 晏流公「まるで彼女が私たちを兄上の元へ導いてくれたみたいだと」
- 珀黎翔「お前が私に仕掛けた”戰”なかなか面白いものであった」
- 赤朱音「全員殴るだけ…一人目で大当たりとは運がいいわ」
- 菫蘭瑶「けれど、私にしてみれば後宮の女などすべて妖の類にございますよ」
- 珀黎翔「君を僕から引き離そうとするなら、それが何者であっても…必ず滅びの末路を与えよう」
- 『狼陛下の花嫁』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 夕鈴の臨時バイトの紹介者は周康蓮
- 黎翔は仕事以外、夕鈴にかまうことしか興味が湧かない
- お転婆な夕鈴似の女性を探し出すのは困難
- 紅珠の小説のタイトルは『リリカルドリーミング☆ラブロマンス』