BEAST COMPLEX(ビーコン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『BEAST COMPLEX(ビースト コンプレックス)』とは、擬人化した肉食獣と草食獣が織り成す社会模様を描いた、板垣巴留(いたがき ぱる)による漫画作品。
スマホなども存在する現代風の世界。そこでは二足歩行する能力と高い知性を持った動物たちが、文明的な生活を謳歌していた。それでいて彼らは獣としての本能を捨て切れず、肉食獣は隣人たる草食獣の肉を欲してやまず、潜在的にそれを理解している草食獣は肉食獣を恐れている。危うい均衡で成立する社会の中、苦悩しながらも歩み続ける獣たちを描いた短編集。

アズモ

コウモリの少年。ラウルとは同級生。一年前にライオンの犯罪者に両親を殺されて以来、生きることへの望みを無くして引き籠るようになっていた。ラウルが訪ねてきた際、最初は「しょせんコイツもいざとなれば暴力に訴える野蛮な獣」だと軽んじる一方、実際に激昂したラウルに掴みかかられた時には“死にたくない”と内心で震えあがっていた。
自身の欠点を理解し、それを克服することを望み、その上で自分との関係を新たに築こうと努力するラウルに次第に心を開いていき、気付けば冗談を言い合うような間柄になっていた。彼との交流の中で、自分の中にまだ「生きたい」と願う心があることを知り、住み慣れた街を離れることを決意する。

第2話

ゴン

トラの少年。モグとは幼馴染で無二の親友。
全寮制の学校で暮らしているが、「肉食獣と草食獣は十歳前後から体格差が顕著になる」ことから、近々モグとは別々の寮に入れられることになっており、それを受け入れられずにいる。
勇敢で正義感が強いがやや無鉄砲で、イジメられていた草食獣を助けようとして上級生の肉食獣たちと大立ち回りを演じた。

『BEASTARS』にも成長した姿で登場しており、そこでは主人公レゴシたちの通うチェリートン学園の学園長を務めている。

モグ

ビーバーの少年。ゴンとは幼馴染で無二の親友。
ゴンと比べると比較的大人びており、いずれ訪れるだろうゴンとの別れを漠然と理解している。上級生の肉食獣に追われる中でゴンが見せた大型肉食獣としての勇猛さを見て、それこそがゴンのあるべき姿だと感じた。

第3話

ガロム

ヒトコブラクダの記者。「草食獣を食べる肉食獣はどのような心理状態にあるのか」を知りたい一心でこの仕事を始めたものの、その努力はついに実らず、記者をやめることを決意していた。
最後の記事をまとめる中で出会ったメスオオカミのアビーに心奪われ、彼女と一夜限りのデートに興じる。その中で乞われるままに左手の薬指を食べさせるが、本人曰く「“食われたくない”なんて平凡な本能に従うには彼女は魅力的過ぎた」とのことで、特に後悔はしていない。
幻想のようなその一夜の思い出を胸に、十年後も記者を続けている。

アビー

喫茶店で記事をまとめていたガロムに、コーヒーを片手に相席していいか尋ねたメスオオカミ。
成熟した大人のような、無邪気な子供のような不思議な雰囲気の持ち主。ガロムに「草食獣を食べたいと思ったことはあるか」と尋ねられて気分を害し、慌てて謝罪した彼に詫びとして一夜のデートを要求する。
最終的にガロムをホテルに連れ込み、「あなたを食べたくなった」と告げる。決して命は取らないと約束した上で、双方同意の上でガロムの左手の薬指を食べる。彼女が何を意図してこのように要求したのかは不明だが、この経験がガロムに記者としての新たなモチベーションをもたらすこととなる。

第4話

カンガルーの管理人

郊外のホテルを管理するカンガルーの男性。本名不明。
治安が悪化するに連れて客足も減っていき、経営は青息吐息の状態。本人もすっかりやさぐれており、接客業にしては言動が荒っぽいが、根は親切で善良な人物である。
護身のために拳銃を持ち歩いている。メグが犯罪組織「ブラッカス」に関与していたことを知りつつ、彼女がまだ善も悪も分かっていないただの子供であることを悟り、足を洗うよう諭しつつ彼女を見逃した。

メグ

クロヒョウの少女。本人は「三十二歳」だと冗談めかして主張するシーンもあるものの、その姿や言動から管理人は「まだ十五にもなっていない」と推測している。
大きなスーツケースを手に、治安の悪い郊外のホテルに一匹で宿泊する。その正体は犯罪組織「ブラッカス」の運び屋で、スーツケースの中には草食獣の肉が入っていた。「好きでやっているわけじゃない」とも述べており、この歳でそんな悪事に加担しているのにはなんらかの事情がある模様。
流行歌を口ずさむ、管理人がくれたサイダーの美味しさに感激して「大金が手に入ったらこれをたくさん買う」と語る、拳銃を突き付けられた状況でも花火の美しさに目を奪われるなど、中身は純粋で無邪気で善悪の判断も覚束ないただの子供。それを見抜いた管理人に足を洗うよう諭されつつ見逃され、去り際に彼に感謝の言葉を残していった。

YAMAKUZIRA
YAMAKUZIRA
@YAMAKUZIRA

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