ゆらぎ荘の幽奈さん(漫画・アニメ・ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ゆらぎ荘の幽奈さん』とは、ミウラタダヒロが2016年から2020年まで『週刊少年ジャンプ』で連載していた漫画およびそれを原作としたアニメ、ゲーム作品。架空の湯煙温泉郷をメインの舞台とした、バトルを含むラブコメである。地縛霊・湯ノ花幽奈(ゆのはなゆうな)の未練を晴らして成仏させることを目的に、冬空(ふゆぞら)コガラシが奮闘する様子を描く。

『ゆらぎ荘の幽奈さん』の概要

『ゆらぎ荘の幽奈さん』とは、ミウラタダヒロが『週刊少年ジャンプ』で2016年10号から2020年27号まで連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ、ゲーム作品。
架空の湯煙温泉郷をメインの舞台とした、バトルを含むラブコメである。

主人公のコガラシが意図せず性的なトラブルに見舞われるシーンなどでは、雑誌掲載時だと乳房や乳首がうまく隠されていたが、単行本ではそれらがハッキリ写るように修正されている(修正が取り除かれている)。
回想を除き、作中ではコガラシの湯煙高校入学前から高校2年生のクリスマスまでの時間経過があり、単行本の最終巻にメインキャラクターごとのその後が描かれている。
架空の街、湯煙温泉郷にある元温泉旅館の温泉下宿「ゆらぎ荘」をメインの舞台として、ヒロインを含む登場人物は人間、幽霊、妖怪、神族と多彩で、それらを敵としたバトルと、主人公のコガラシが惚れられるラブコメが展開される。
ゆらぎ荘の地縛霊である女の子、湯ノ花幽奈を除霊するのが物語の主題であるが、殴る事でしか除霊できず、女性を殴れないコガラシは代わりに未練を晴らし、幸せにする事で成仏させると決める。
生前の記憶がない幽奈の未練を探しながらも、誠実なコガラシに恋をしてしまった幽奈は成仏したくないという未練ができてしまっていた。
この物語はコガラシと幽奈を中心として紡がれる絆を描く物語でもある。

『ゆらぎ荘の幽奈さん』のあらすじ・ストーリー

ゆらぎ荘へ住む事になる

自称肉体派霊能力者である冬空コガラシ(ふゆぞらこがらし)が、いたずら好きの妖怪から老人を助けたお礼に、家賃がめちゃくちゃ安い部屋を希望し、代わりに紹介してもらったのがゆらぎ荘だった。後に判明するがこの時助けた老人はゆらぎ荘のオーナーである。
ただしゆらぎ荘には幽霊が出るといい、もし除霊できたらずっとタダで住んでもらって構わないという言葉に、コガラシは飛びつく。
しかしゆらぎ荘で遭遇したのは女の子の地縛霊である湯ノ花幽奈(ゆのはなゆうな)だった。
そんなコガラシに割り当てられた部屋は、幽奈と同じ204号室。
強制成仏や小難しい術を使えず、殴る事でしか除霊できないコガラシだが女性は殴れない。改めて話したところ女性なうえに悪い幽霊ではない幽奈を除霊させる方法を思いつかずにおり、たまたま通りかかった修行僧、救沌衆降魔僧(ぐどんしゅうごうまそう)の辻昇天(つじしょうてん)の洩寛(せっかん)は幽奈を強制成仏させようとするが、幽奈はまだこの世にいたい、やりたいことも見たいものもあり、友達になれたコガラシの事も知りたいと言い、それを聞いたコガラシは幽奈にかけられた強制成仏の結界を破壊して修行僧を撃退する。
幽奈はいずれ成仏しなければ地獄に落ちるとわかっているが、何が未練なのかわからない。そのためコガラシは幽奈の未練を晴らし、幸せにして成仏させると決める。
コガラシがゆらぎ荘に来た時点で幽奈の他に、仲居ちとせ(なかいちとせ)、荒覇吐呑子(あらはばきのんこ)、雨野狭霧(あめのさぎり)、伏黒夜々(ふしぐろやや)の4名が住んでいた。幽奈が地縛霊として在中している204号室に割り当てられたため、当初は短いつきあいになると思っていた面々だが、真面目で真っ直ぐで男気のあるコガラシを次第に受け入れていく。

ゆらぎ荘の住人

幽奈以外のゆらぎ荘の住人も普通の人間ではなかった。
昨日幽奈を強制成仏させようとした洩寛は救沌衆を集めてゆらぎ荘の面々を一掃しようとする。
しかし狭霧は雨野流誅魔忍術の使い手、呑子は酒呑童子の末裔、夜々は猫神憑き、ちとせは運勢を操る座敷童子であり、人間離れした力で救沌衆を圧倒し撃退。
コガラシはヘタをすれば幽奈より先に自分があの世へ逝くと思うほどだった。

湯煙高校へ入学

コガラシは湯煙高校へ入学する事になったが、そこへ幽奈がついてきてしまう。一般的な常識に欠けている幽奈は女子生徒のスカートをめくってしまったり、ポルターガイストを起こしたりなどして、それらの罪がコガラシのものとされ、多大な迷惑をかける。
青春の第一歩からつまづいて落ち込むコガラシだが、自己紹介で自分が霊能力者である事、ポルターガイストは幽奈が起こしてしまった事を謝罪する。当然信じてはもらえなかったが、スカートをめくられた女子生徒、宮崎千紗希(みやざきちさき)から心霊現象に関する相談を受ける。

千紗希からの依頼

相談内容は家のぬいぐるみが勝手に動く、宙を舞うといった内容だが、殴る事でしか除霊できないコガラシは千紗希が大切にしているぬいぐるみを躊躇なく殴って不審がられる。そこで幽奈に協力してもらい、ぬいぐるみの中身を見ようとしたところ、ぬいぐるみが幽奈をにらみつけ、驚いた幽奈はポルターガイストでコガラシを飛ばしてしまい、コガラシが千紗希に覆いかぶさるような態勢になってしまう。
これによって千紗希からの信用を失ってしまうがコガラシは調査を続け、その夜再び暴れ出したぬいぐるみから出ている霊子線を幽奈に追ってもらい、千紗希を連れて犯人を追いつめる。コガラシは犯人が葉っぱを使った葉札術で生み出した怪物を拳一撃で倒すと犯人は観念し、元の姿に戻る。
犯人は化け狸の信楽こゆず(しがらきこゆず)だった。化け狸は10歳になったら里を離れ、大人の人間に変化して人間社会に溶け込まなければならないが、こゆずは変化の術が苦手だった。このままではダメだと思った時に千紗希を見かけ、変化するなら千紗希のような可愛い子になりたいと思い、ぬいぐるみに葉札を仕込んで研究していた。自分に最も足りないと思っているおっぱいが理想だったらしい。その後に一騒動あるものの、こゆずが千紗希に謝った事でこの事件は終わった。
こゆずはゆらぎ荘で面倒を見る事になり、千紗希は事件の解決でコガラシを信用するようになり、クッキーのお礼をもらった。幽奈は学校について行くとコガラシの迷惑になると気にしていたが、結果として幽奈が騒ぎを起こしたおかげで千紗希とこゆずは友達になり、コガラシはオヤツを食べられるからそれでいいと言う。お供えしてもらう事で幽奈も千紗希のクッキーを味わう事ができた。

自分の未練がわからない幽奈のために、やりたい事をなんでもやってみるとコガラシが提案。ちとせから温泉レジャーランド「ユノワール」のチケットをもらい、デートを楽しむよう言われ、コガラシも幽奈も意識してしまい緊張する。コガラシはデートの経験がなくてもエスコートすると決めるが、幽奈が普通の人からは見えないため様々な誤解を受け、考えが甘かったと気を落とす。幽奈がいつものようにポカをやらかし、ポルターガイストでコガラシを気絶させてしまった。コガラシが目を覚ますと時間がかなり経っていたが幽奈の希望で残り時間は2人で温泉に入る事になり、いつものコガラシとまた遊びに来たいと言われて、コガラシは幽奈が成仏した後を思うと少し寂しいと気付く。

ゆらぎ荘の住人と交流・雨野狭霧

コガラシは狭霧から誅魔忍としての依頼を受け、妖怪退治に赴く。カップルが黒い霧に衣服を融かされ全裸にされるという事件が公園で頻発していた。犯人はフェロモンの染みついた各種繊維を好んで喰らう新種の妖怪と思われ、妖怪をおびき出すためにコガラシと狭霧は不慣れながら、カップルらしく腕を組むと妖怪が出現。発生した霧をコガラシが拳圧で吹き飛ばし、狭霧が妖怪を退治。
任務のために用意した服がボロボロになったが、狭霧は自分に不相応だと思っているので構わなかった。しかしコガラシから「似合っててかわいい」と言われ、狭霧は数日にわたって姿見の前で悶々とする。
これ以降、コガラシは誅魔忍の任務を時折手伝う事になる。

ゆらぎ荘の住人と交流・伏黒夜々

夜々には猫神が憑いており、猫神は宿主を守り様々な力を与えるが基本的には無害。普段は夜々の中で眠っているが、外で遊ぶ姿も見かける。
ちとせが温泉組合の慰安旅行で留守にするので、その間はゆらぎ荘の住人が交代で食事を作る。自信を持ってちとせを送り出したものの、夜々が用意したのはネコ用の缶詰。呑子は酒のおつまみ。幽奈はあさりの炊き込みご飯を作ったが味見ができないため醤油とコーラ、お酢と料理酒を間違える。狭霧は裏山で採集した山菜のカレーに雨野流秘伝の生薬をスパイスとして配合し、コガラシと夜々を臭いだけで気絶させる。このように散々な中、コガラシが伝説の料理人に取り憑かれて修業した腕でヤマメの塩焼きを作り、住人全員から高評価を得た。
この後コガラシは夜々に付けまわされるようになり、その原因がコガラシの焼き魚だと判明。知り合って日が浅いので頼みづらかったようだが、コガラシは要望通り塩を振らずに大量の焼き魚を作る。夜々は猫神に食べさせてあげたかったようで、猫神もコガラシが作った焼き魚に感動。また作ってほしいと言う夜々のお願いをコガラシは承諾。その後たまにコガラシに付き纏う夜々は餌付けされているようにも見えた。

幽奈と千紗希

千紗希は霊能力がないため幽奈を見る事はできないが、どんな子なのか気になるので写真に撮りたいと言う。しかし幽奈は写真に撮られるのが苦手なため、代案として筆談を行う。筆談で盛り上がり授業がおろそかになったため千紗希は資料整理を押し付けられ、千紗希は自分の自業自得と言うが、幽奈は自分が見えないのに接してくれる千紗希との筆談に浮かれてしまったと謝る。資料整理を手伝ってもらったお礼として千紗希は幽奈に制服を調べさせるが、幽奈が制服姿になっても見えないのが残念。幽奈は自分を触れるようにして、千紗希は幽奈の顔や髪を触って綺麗な女の子だと想像。
幽奈は制服姿を再現できるようになったが、コガラシには見えても千紗希には見えない。やはり記念写真を撮りたい千紗希は、幽奈に写真が苦手な理由を聞く。幽奈は写真に姿がハッキリ写らず怖がらせてしまうからと言うが、千紗希は今更怖がらないと一緒に写真を撮るものの、隣に写ったのは真っ白で幽霊っぽい何か。しかし千紗希はめげずに写真を可愛く加工して見せる。幽奈は涙ぐみながら、千紗希の手の平に「あ・り・が・と」と書いて感謝を伝えた。
千紗希はコガラシと幽奈に写真を送ろうとしたが、2人がスマホを持っている訳がなかった。

ゆらぎ荘の住人と交流・荒覇吐呑子

呑子はいつもゆらぎ荘にいるのでニートかと思ったら、月刊少女マーマレードで連載を持つマンガ家だと判明。羽良嶋累(はらしまるい)という女性の担当編集が、締め切りが明日、在宅アシが事故で入院、白紙ページも多いという修羅場のため手伝いに来た。マンガ家志望の霊に取り憑かれた経験があるコガラシもヘルプとして参加。
執筆中は累にお酒を取り上げられ、締め切り前は特に荒むが、こうなれば間に合わせてくれるとのこと。しかし自分で描いているマンガの登場人物である、モデルもやってるような女子に迫られても主人公以外の女子を異性としてほとんど意識せずブレず絶対に裏切らない男子に対し、こんな一途な男がいるかよ!と怒る。累によると呑子はろくな男性に出会わず、そのフラストレーションを原稿にぶつけているらしい。苦手なデッサンのため自ら衣装を着てコガラシにも制服を着てもらい、累に写真を撮影させる。コガラシは的確な指示に感心するが、女装させられると心に深い傷を負う。
原稿がなんとかなりそうで、累も寝て一息ついている時に、呑子は過去の話をコガラシに聞かせる。鬼の末裔の宿命っぽいものがあり、狭霧のように妖怪退治をやっていた。しかしヘマをして大ケガを負った時「あぁアタシの人生なんにもしないまま終わるのかぁ」と思い、その反動からやりたい事を片っ端からやらなければ気が済まなくなり、色々やっている内に今の仕事に落ち着いた。呑子は戦いから逃げただけなのかもしれないと言うと、コガラシはそんな事はない、妖怪退治のためにでもお酒を我慢できるのかと聞く。呑子は照れながらできそうにないと答えた。
朝方にようやく原稿が完成して累は急いで帰るが、もう寝たいと言うコガラシを引き止めた呑子は乾杯して朝風呂へも連れて行こうとした。
コガラシはその後もちょくちょく修羅場に駆り出される事になる。

幽奈が黒龍神にさらわれる

こゆずがゆらぎ荘の住人として初めてお使いへ行く事になり、幽奈はそれに付き添う。その帰りに龍雅玄士郎(りゅうがげんしろう)と名乗る者に呼び止められ、迫る玄士郎をポルターガイストではじき飛ばすと、霊力を見込まれその場で求婚される。あまりに押しが強く幽奈は拒否するが、今度はポルターガイストが通じない。こゆずは幽奈を助けようとするが、玄士郎の従者である朧(おぼろ)に阻まれ、幽奈はおとなしくついていく代わりにこゆずを見逃してもらう。こゆずはコガラシが助けに行くと言うと、幽奈との関係を聞いた玄士郎はコガラシに怒りを覚える。朧は玄士郎が黒龍神であることをこゆずに教え、2人は信濃の龍雅湖へと幽奈を連れ去ってしまった。

龍雅城へ潜入

下校途中のコガラシと狭霧はこゆずから事情を聞き、幽奈を助けに向かう。
狭霧が属する誅魔忍軍では総出でも滅する事ができない、手に負えない霊的存在を神と称しており、黒龍神も神に分類される。
一方さらわれた幽奈は玄士郎の術によって様々な衣装に着替えさせられていた。幽奈は嫁ぐ気がないので帰してほしいと言うが、朧は未来永劫龍雅湖から離れる事は許されないと答える。朧から帰りたい理由に同居していたコガラシが関係あるのかを聞かれると、幽奈は迷惑ばかりかけていると慌てて否定し、コガラシのためにも嫁いで良かったのでは?と核心を突かれる。
コガラシ、狭霧、こゆずの3人は龍雅湖へ到着。日の光が届かない地底湖に佇む城が黒龍神の城、龍雅城。狭霧は戦いに備えて、あらゆるダメージを肩代わりしてくれる霊装結界を身に纏う。コガラシは作戦を考え2人に伝え、狭霧とこゆずは隠れて潜入し、コガラシは正面から怒鳴り込んで捕らわれ、玄士郎の前に引っ立てられる。

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