青葉市子(Ichiko Aoba)の徹底解説まとめ

青葉市子とは、日本の女性シンガーソングライター。
クラシックギターの弾き語りによる演奏スタイルで澄み切った歌声、美しいメロディライン、シュールな詞が特徴的。
ギターの演奏はすべて自己流。誰から学んだわけでもなく一人で身につけたその技術によって、彼女が秘めている深く大きな世界観を表現している。
既存の音楽にとらわれずに自分の世界観を表現し、数々のミュージシャンからも多大な評価を受けている。
また、音楽家だけでなく、ナレーター・物書き・舞台役者・絵描きとしても活動。

【『うたびこ』の収録曲】
1. IMPERIAL SMOKE TOWN
2. かなしいゆめをみたら
3. 私の盗人
4. 裸足の庭
5. あなたのかざり
6. 3びきのくま
7. 奇跡はいつでも
8. ひかりのふるさと

『うたびこ』は青葉市子の3rdアルバム。2012年1月25日に発売された。
複雑な構成の曲もあるためか、1stと2ndアルバムよりもポップ性は薄い。
にもかかわらず、聴き馴染みのあるようなスッと入ってくるメロディと、生きているように流れるギターの旋律により、ポップな作品よりも聴きやすさがあるようにも思える。

1曲目の「IMPERIAL SMOKE TOWN」は、ライブでたびたび披露されるうえに、『ラヂオ』にて細野晴臣や坂本龍一などのミュージシャンによる別バージョンも収録されている。
なお、6曲目の「3びきのくま」は、坂本龍一と大貫妙子の楽曲のカバー。

坂本龍一と大貫妙子の「3びきのくま」。

『0』

【『0』の収録曲】
1. いきのこり●ぼくら
2. i am POD(0%)
3. Mars 2027
4. いりぐち でぐち
5. うたのけはい
6. 機械仕掛乃宇宙
7. 四月の支度
8. はるなつあきふゆ

『0』は青葉市子の4thアルバム。2013年10月23日に発売された。
青葉市子は以前インタビューにて、このように語っていた。

そして今回の「0」は、音というシンプルなものに意識を向けると同時にすごく複雑な感情、光を濃くしたら、闇も濃くなるような、心の部分も意識したし、春に作った曲が入っているのでアートワークは“ハート”の色にしました。

出典: natalie.mu

青葉市子が語っているように、今作『0』はこだわりぬかれた一つ一つの音によって、複雑な世界観が表現されている。
彼女の持つやさしさや美しさと、どこか不穏で危うげな不安定さの共存。それらが前作よりも感じられる作品だ。

なお、6曲目の「機械仕掛乃宇宙」と8曲目の「はるなつあきふゆ」は、青葉市子の師である「山田庵巳」の楽曲。

山田庵巳とは、男性のシンガーソングライター。青葉市子と同様に、クラシックギターの弾き語りによるスタイルで活動している。
ライブでは自身のことを「吟遊詩人」と公言。
「はるなつあきふゆ」や「機械仕掛乃宇宙」以外にも、青葉市子は山田庵巳の楽曲をカバーしている。

2012年5月30日、「新高円寺 STAX FRED」 で行なわれた山田庵巳のライブにて「春夏秋冬」。

『マホロボシヤ』

【『マホロボシヤ』の収録曲】
1. the end
2. ゆさぎ
3. マホロボシヤ
4. 氷の鳥
5. おめでとうの唄
6. ゆめしぐれ
7. うみてんぐ
8. 太陽さん
9. コウノトリ
10. 神様のたくらみ

『マホロボシヤ』は青葉市子の5thアルバム。2016年10月19日に発売された。

マホロボシヤとは、「まほろばのある星」を意味する。
青葉市子は以前インタビューで、「まほろばとは、すごく小さなコミュニティーだけど大事なものがぎゅっと集まった守られた世界のこと」と語っていた。
そのため、「人々の大切なものが集まり、誰も踏み入ることのできない小さな星」が彼女にとってのマホロボシヤであると言えるだろう。

日々のキラキラしたものを瓶に入れていくような作業でした。色々な人と関わり、一回要素を汲んで、アウトプットをしてみる。その思考回路は、演出や周囲の環境を体に組み込みアウトプットする演劇を経験したからこそ、できるようになったのかもしれません。

出典: www.cinra.net

インタビュー記事で語っていたように、『マホロボシヤ』は青葉市子にとって大切なものを一つ一つ丁寧に詰め込んだアルバム。
このアルバムから感じられる優しさや切なさといったものは、青葉市子が大切にして詰め込んだものに対する感情なのだろう。

『qp』

【『qp』の収録曲】
CD
1. 夜明けのジュリアの谷の噴水
2. テリフリアメ
3. 月の丘
4. みなしごの雨
5. 誰かの世界
6. 卯月の朧唄
7. 水辺の妖精
8. 妖精の手招き
9. 羊のアンソニー
10. 海辺の葬列

初回限定版DVD
1. いきのこり●ぼくら
2. 青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている
3. ゆさぎ
4. マホロボシヤ
5. もうみどり
6. あまつぶ
7. 太陽さん
8. 神様のたくらみ

『qp』は青葉市子の6thアルバム。2018年10月24日に発売された。
「儚くもしなやかなオオミズアオをモチーフに、水月鏡花をその声色とガットギターで表現した、神秘的な詩曲集」と様々なメディアで紹介されている。
紹介文のとおり、 「夜明けのジュリアの谷の噴水」から始まる今作は青葉市子の神秘さが際立つ作品。

また、「水辺の妖精」「羊のアンソニー」といった師である山田庵巳の楽曲も収録されている。

『qp』に収録されている「水辺の妖精」は、山田庵巳の楽曲のカバー。 動画は2011年11月8日の山田庵巳のライブで披露された 「水辺の妖精」。

『アダンの風』

【『アダンの風』の収録曲】
1. Prologue
2. Pilgrimage
3. Porcelain
4. 帆衣
5. Easter Lily
6. Parfum d’étoiles
7. 霧鳴島
8. Sagu Palmʼs Song
9. chinuhaji
10. 血の風
11. Hagupit
12. Dawn in the Adan
13. ohayashi
14. アダンの島の誕生祭

『アダンの風』は青葉市子の7thアルバム。2020年12月2日に発売された。
今作は「架空の映画のためのサウンドトラック」をテーマに据えて制作された。

曲中で使用されている波の音など、自然を想起させられる場面があり、以前の作品とは含まれている感情がどこか異なる。
人や虫といった具体的な命ではなく、もっと大きな「生命」としての命にささげられた感情が今作から強く感じられる。
そのため、『アダンの風』からは、やさしさや切なさだけでなく、得体のしれないような恐怖すら感じることができる。

活動10周年を迎えた青葉市子が新境地の表現に達したアルバムともいえるだろう。

ライブアルバム

『かいぞくばん 2010年12月7日』

【『かいぞくばん 2010年12月7日』の収録曲】
1. 不和リン
2. 光蜥蜴
3. 灰色の日
4. 繙く風
5. ポシェットのおうた
6. ココロノセカイ
7. イソフラ区ボンソワール物語
8. 日時計

『かいぞくばん 2010年12月7日』は、青葉市子のライブアルバム。2011年2月2日に発売された。
2010年12月7日に青山の「EATS and MEETS Cay」で行なわれたワンマンライブの模様が収録。
1stアルバム『剃刀乙女』、2ndアルバム『檻髪』の収録曲が今作には収録されている。

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