Ori and the Will of the Wisps(オリとウィスプの意志)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Ori and the Will of the Wisps(オリとウィスプの意志)』とは、Moon Studioが2019年に開発したXbox one、NIntendo Switch、Windows向けのアクションゲーム。「ニウェンの森」で行方不明となってしまったフクロウの子供「クゥ」を探すため、心優しい精霊の男の子「オリ」が壮大な大冒険を繰り広げる。『Ori and the Blind Forest』の続編にあたり、前作よりもパワーアップしたアクションやグラフィックが高い評価を受けている。

『Ori and the Will of the Wisps』の概要

『Ori and the Will of the Wisps(オリとウィスプの意志)』は、オーストラリアのインディーゲームスタジオ、Moon studioが2019年に開発したXbox one、Nintendo Switch、Windows向けのアクションゲーム。本作は、同スタジオが2015年に発売した『Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)』の続編となるゲームであり、物語も前作のラスト直後から始まるため、前作をクリアすることが推奨されている。しかし、本作も完成されたゲームであるため、本作だけでも楽しむことはできる。
「ニブルの森」にて繰り広げられた冒険により、森は命を取り戻し、「オリ」は、「ナル」や「グモ」と一緒に平穏な日々を過ごしていた。そんな3人のもとに、新たな命が誕生する。森を苦しめ、同時に森を救った「クロ」の巣から保護された最後の卵。それが孵ったのだった。生まれた小さな黒いフクロウの子供は「クゥ」と名付けられ、オリたちの優しさに包まれながらすくすくと育っていった。そして月日が経ち、次第にクゥは空への憧れを抱き始める。そしてクゥは、オリを背中に乗せ、空高くへと飛び立った。しかしその直後、クゥとオリは嵐に見舞われてしまう。クゥとオリはニブルの森から遠く離れた森、「ニウェンの森」で離れ離れになってしまう。オリはクゥを見つけ、ともにニブルの森へ帰るために新たな冒険を始める。しかしこの森には、すでに精霊の力が失われていた。

本作のジャンルは公式にはアクションとされているが、正式には「メトロイドヴァニア」と呼ばれるジャンルのゲームである。「メトロイドヴァニア」とは、任天堂開発のゲームシリーズ「メトロイド」とコナミ開発のゲームシリーズ「悪魔城ドラキュラ(英語名:キャッスルヴァニア)」の要素を持つゲームにつけられる副次的な造語である。主な特徴としては、サイドビュー型の2Dアクションゲームである、一本道ではなく複数のルートが用意されている、アイテムや強化などの手段によってプレイヤーキャラクターの能力が上がったり、新たなアクションを手に入れる、それらのアクションによってマップ上の障害物を取り除くことができ、新たなルートを切り開くことができる、などがある。

前作からの変化として、前作ではオリの戦闘を全面的にサポートしていた「セイン」が今作には登場せず、代わりにオリが剣やハンマー、弓などを生み出し、直接敵と戦闘するという形になっている。また今作からは所謂「ボス戦」が用意されており、前作のギミックを駆使したパズルアクションから純粋なアクションに近い形になった。とはいえ、前作由来のパズルアクションも随所に登場しており、あくまで純アクションへの変更ではなくパワーアップである。またグラフィックの強化もされており、前作は2Dだったものの、今作は3Dで世界が彩られており、キャラクターは滑らかで立体感のある動きをすることができる。

『Ori and the Will of the Wisps』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

精霊の男の子「オリ」と森の住人「ナル」、グモ族の最後の生き残り「グモ」に見守られながら眠るフクロウの子供「クゥ」

精霊樹によって命が与えられている地、「ニブルの森」が、突如として現れた巨大な黒いフクロウ「クロ」の手によって死に瀕していた。しかし、森を救う使命を受けた精霊の男の子「オリ」と精霊樹の化身「セイン」の活躍によって森に光が取り戻された。オリは、森の住人である「ナル」と、旅の途中で出会ったグモ族の最後の生き残り「グモ」とともに、穏やかな日々を過ごしていた。そんなオリたちの間に、新たな命が産まれる。クロの巣から保護した、クロの最後の卵が孵ったのだった。生まれた小さな黒いフクロウに、オリたちは「クゥ」と名付けた。クゥは3人の優しさに包まれながら、元気に育っていく。

クゥは空への憧れを抱き始める。

そんなクゥは、ある日、空を自由に飛ぶ鳥の群れを見つける。その姿に、クゥは次第に空への憧れを抱き始めていた。しかし、クゥは生まれつき右の翼がボロボロで、飛ぶことができないのだった。オリたちはクゥが飛べるようにと一緒に飛ぶ練習をするが、それでも飛ぶことができないクゥは、ひどく落ち込んでしまう。そこでオリはあることを思いつく。今は亡きクゥの母親が残した、最後の形見である「クロの羽」を、クゥの翼に結び付けようというのだ。

オリとともに、空へと飛び出すクゥ

手先の器用なグモに協力してもらい、クロの羽をクゥの翼に結び付ける。そしてクゥは、大空へと飛び出すことに成功するのだった。オリを乗せ、空を自由に飛び回るクゥ。「ギンソウ樹」や「忘れられた廃墟」、「ホルー山」を飛び越え、ついにはニブルの森とは別の森にまで来てしまう。そんな時、突然オリとクゥを、嵐が襲った。激しい雨と風にもまれながらも、何とか飛行を維持していたクゥだったが、風の影響で結び付けられていたクロの羽がどこかへと飛ばされてしまう。途端にバランスを崩し、オリとクゥは、空の上で離れ離れになってしまうのだった。オリは、クゥの名を呼びながら森の中へと落下していく。

ニウェンの森へ

オリが落ちたのは、すでに精霊の光が失われて久しい「ニウェンの森」だった。

森へ落下し、気を失いつつも目を覚ましたオリは、クゥの名を呼ぶ。しかしどこからもクゥからの返事はなく、オリは一人になってしまった。そんなオリのもとに現れたのは、ニウェンの森に住む猿に似た種族「モキ」の群れだった。モキたちはオリの姿を見て、「精霊だ」「精霊が帰ってきた」と口々に言う。モキたちの話によれば、ここニウェンの森では遠い昔に精霊樹が枯れ、精霊の光が失われているのだという。森に新たな命が芽生えることはなく、あとは森そのものが枯れるのを待つだけなのだそうだ。
すると、モキたちは何かに気が付いたのか一目散にどこかへと逃げ始める。その直後、オリの目の前に巨大なオオカミ「ハウル」が現れる。オリは、追いかけるハウルから逃げ出し、森の奥へと入っていく。そこでオリは松明を見つける。そして、オリは松明を振り回し、ハウルを撤退させることに成功するのだった。

ハシビロコウの旅人「トッコ」

森の奥でオリは、ハシビロコウの旅人「トッコ」と出会う。気難しい性格のトッコは、最初こそオリと関わろうとしなかったが、徐々に心を開いていく。そしてトッコは、この森のさらに奥に、「古代樹」と呼ばれる、かつて「長老樹」と呼ばれていた精霊が宿る木があるとオリに教える。

かつて長老樹と呼ばれていた精霊の宿る木「古代樹」

古代樹のところまでやってきたオリは、そこでモキの群れと再会する。モキたちはオリの中に輝く精霊の光を「古代の光」と呼び、その光が古代樹の中に宿る精霊の輝きと呼応していると告げた。モキたちに促されるまま、オリは古代樹に触れる。すると、その古代樹に眠っていた精霊の力がオリの中へと流れ込んできた。その様子を見たモキたちは、オリにあることを頼む。この森は、精霊樹が枯れてしまったことにより、「滅び」と呼ばれる災厄が降りかかっている。「滅び」は森に灰を降らせ、大地を雪に閉ざし、生き物を石に変え、そしてついには森を殺す。その前に、この森に精霊の光を取り戻してほしいというのだ。オリにはクゥを探し、ニブルの森に帰るという大事な役目がある。それでも、この森の惨状を垣間見たオリは、モキたちの願いに応え、森を救うことを約束する。

オリが出発しようとしたその矢先、またもやモキたちが一斉に騒ぎ出した。「シュリークだ!」、「シュリークが来る!」と言いながら、一目散にどこかへと逃げて行ってしまう。オリも慌てて近くの木の影に身を隠す。そんなオリの頭上を飛び去って行ったのは、奇妙な姿をした怪鳥「シュリーク」だった。モキたちの話によれば、シュリークは「滅び」の後にこの森で生まれたフクロウであり、理由は分からないがすべての生き物に強い憎悪を抱いており、見つかってしまえば無残に殺されてしまうのだという。シュリークの脅威に備えながら、オリは今度こそクゥを見つけるため、そして森を救うために出発する。

何かを守るような姿のまま石になってしまった2匹のフクロウの死体

クゥはシュリークと出会ってしまう

一方そのころ、クゥは大地のほとんどが灰に覆われた薄暗い場所で目を覚ました。木々はすべて枯れ、地面には草の一本も生えていない。クゥもオリの名を呼びながらあてもなくその不気味な土地を歩く。しばらく歩くと、翼を広げた鳥のような影を見つける。クゥは思わず駆け寄るが、その影は、何かを守るような姿のまま、石になり死んでしまったフクロウの死体だった。衝撃的な光景に、クゥは怯えきってしまう。その時、突如としてクゥの目の前に何者かが降り立った。異形の姿をした怪鳥、シュリークだった。シュリークはクゥを見つけるや否や襲い掛かる。クゥは逃げ出し間一髪のところでシュリークの追跡を振り切ることに成功するのだった。クゥは姿を隠し、息を殺してじっとシュリークがどこかへ行くのを待った。

クゥとの再会

巨大なカエル「クォルク」

古代樹のある森を抜けていくと、大きな湖に面した場所へとオリはたどり着く。しかし湖は「滅び」の影響により黒く変色し、長く潜り続けることはできない。やがてオリは、もともと湖に住んでいた巨大なカエル「クォルク」と出会う。クォルクはこの湖の守り主であり、モキの一族の先導者でもある存在だった。しかし「滅び」によって湖には住めなくなり、まだ「滅び」の影響が少ない小さな池の中に避難しているのだそうだ。さらに先に進もうとするオリに、クォルクは忠告する。これより先は「滅び」の影響が最も強い場所。大地は灰に覆われ、生命が生きることは許されない不毛の地である。そんな場所に長居すれば、たちまち「滅び」の影響を受け、体が石になってしまう。それでもオリは止まることはできなかった。クゥを見つけることが最も大きな目標である以上、たとえ危険な場所だろうと、進まなければならないからだ。

オリとクゥはついに再会する。

7anancyrose
7anancyrose
@7anancyrose

目次 - Contents