バウンサー(漫画・テレビ)のネタバレ解説・考察まとめ

『バウンサー』とは2014年に創刊された『別冊ヤングチャンピオン』で連載されている日本のアウトロー漫画。作者はみずたまこと。単行本は発刊から3巻で50万部を突破した。単なる不良とヤクザを題材にしたアウトロー漫画ではなく、用心棒という職業を取り入れた。主人公は曲がったことが許せない獅子戸丈一郎。夜の街を守る民間警備会社「東京フィスト」と出会い人生の転機を迎える。裏社会の洗礼と命の危機にさらされる丈一郎。苦境に立ち向かい、自身を磨くため葛藤しながらも成長していく姿を描く。

『バウンサー』の概要

『バウンサー』は2014年に創刊された『別冊ヤングチャンピオン』で連載されている日本のアウトロー漫画。作者はみずたまこと。単行本は発刊から3巻で50万部を突破した。単なる不良とヤクザを題材にしたアウトロー漫画ではなく、用心棒という職業を取り入れた。作品の中では、みずたが『ヤングチャンピオン』で並行して連載している少年院を出た17歳の井口達也が暴走族のメンバーと出会い、トラブルに巻き込まれながらも更生する姿を描いた不良漫画『OUT』のストーリーがところどころに散りばめられている。また、2017年4月から「BSスカパー!」で平埜生成と超新星のユナクをW主演に迎え、実写化されたオリジナルドラマが放映された。作中では、家庭内暴力やいじめ、ネグレクトなど現代社会が抱える闇についてのテーマが盛り込まれている。主人公は曲がったことは許せない獅子戸丈一郎、19歳。その性格が影響して、これまでに派遣社員を26回クビにされる。落ち込んでいたある日、夜の街を守る民間警備会社「東京フィスト」の社長・鰐渕剛志と出会い、人生の転機を迎えることとなる。クラブや依頼人を警護するボディーガードいわゆる”バウンサー”として新しい道を歩み始める。しかし、丈一郎が身を置く東京フィストは警察関係組織と裏でつながる「雌鹿(めじか)」と噂されている。物語は東京フィストの鰐渕社長が保有する極秘情報「Bデータ」を巡って進んでいく。それを狙う暴力団組織の影。新たな一歩を踏み出した獅子戸丈一郎に次々と裏社会の恐怖が襲い掛かる。命の危機にさらされる丈一郎は新たな仲間と支え合いながら、苦境に立ち向かっていく。育ての親である叔父の教えを胸に、自分を磨くために葛藤しながら成長していく姿を描く。

『バウンサー』のあらすじ・ストーリー

「東京フィスト」との出会い

主人公の獅子戸丈一郎。父親は不明、母親は生まれて半年で丈一郎を施設に捨てた。唯一の親戚の叔父が彼を育ててきたが、15歳の時に事故死する。「男を磨いて強い男に」。苦労した生い立ちを持つ丈一郎にとって叔父の教えが礎となり、まっすぐな男として成長していく。しかし、筋が通らないことにキレてしまう性格が災いし、高校では教師を殴ったことで退学となり最終学歴は中卒に。その後も真っすぐすぎる性格が影響して勤めていた会社で、理不尽な上司や先輩に暴力をふるうなどしてしまい、解雇された経験は26回に上る。

派遣社員として勤めていた会社で、上司を殴り解雇されてしまった丈一郎。途方に暮れる中、ふと入ったクラブで民間警備会社「東京フィスト」の社長・鰐渕剛志と運命の出会いをする。一人で酒を飲んでいた丈一郎は女性にしつこく言い寄る男性を殴ってしまう。その様子を見ていたクラブの警備にあたっていた鰐渕につまみ出されてしまう。対応に納得いかない丈一郎は鰐淵に向かっていくが、圧倒的な実力差から打ちのめされる。満身創痍になりながらも何度も立ち上がる丈一郎だったが、脱臼や打撲など徹底的にやられてしまい、最後は意識を失う。約1か月後、完治した丈一郎は、鰐渕からの示談に承諾するため「東京フィスト」を訪れる。鰐渕に恐怖心を抱きながらも”自分を磨く”ために目標にすべき人物であると感じた丈一郎。”まっすぐな思い”に心を打たれた鰐渕は「東京フィスト」で働くことを勧め、丈一郎は見習い用心棒として新たな道を進むことになる。

東京フィストの見習いとして歩み始めた丈一郎だったが、警備に当たっていたクラブで暴力沙汰に巻き込まれ警察に連れていかれることに。丈一郎は、警察署内で同級生で新人警察官、鴨川に声をかけられたが気づかないほど落ち込んでいた。
見習いの獅子戸丈一郎は正社員になることを目指し、同い年の先輩社員・蜂野信也と「東京フィスト」の幹部社員・虎井清十郎から指導を受けることになる。日中は2人から護身術や格闘技を学び、夜は現場に出てクラブの警護に当たる日々を送っていた。厳しい指導の背景には、東京フィストで命を落とす社員がいた過去があった。自分自身の命を守るためにはどうすればいいのか。虎井は丈一郎に対して、警護の際、危害を加えられそうになったら「どんな方法を使っても相手を弾き返す」ことの大切さを説く。それが、”バウンサー(弾き返す者)”としての心得だった。やりがいを感じる丈一郎は、勉強が苦手だったが課せられた正社員になるための筆記試験も乗り越え合格するのであった。

正社員になるための最終試験は、指定された場所に小包を届けること。しかし、虎井は試験の一環として「関東暴狂連合(関暴連)」のメンバーを雇い、丈一郎を邪魔するように指示。10人以上に囲まれるも何とか切り抜けられそうな丈一郎だったが、突如、謎の2人組の男佐藤と鈴木が現れる。犬のマスクをかぶった鈴木は、関暴連のメンバーをあっという間に片づけてしまう。首はへし折られ、頭が陥没するなど広がる凄惨な現場。命の危機を感じた丈一郎は逃げることを選択したが、関暴連のメンバーの一人から助けを求められ2人と戦うことを決意する。

2人を足止めするも目を潰されてしまった獅子戸丈一郎

圧倒的な力を持つ佐藤と鈴木。実は、東京フィストとは因縁の過去があり、多くの社員を再起不能にするだけなく3人の命を奪っていた。丈一郎は2人の存在を知らなかったが、関暴連のメンバー・有賀からの「依頼」を達成するために死に物狂いで佐藤と鈴木と応戦する。何とか2人を足止めすることができ、関暴連のメンバーを逃がすことができた丈一郎だったが佐藤に両目を潰されてしまうのであった。
鳴り響くサイレンの音を頼りにして蜂野が現場に駆けつける。そこに佐藤と鈴木の姿はなく、意識を失った丈一郎の姿があった。蜂野の呼びかけに意識を取り戻した丈一郎だったが、両目を潰されたうえ、あばら骨が肺に刺さる重傷を負っていた。最終試験の制限時間の午前2時まであとわずか。丈一郎は蜂野が呼んだ救急車に乗り込んで指定された場所にたどり着くことができ、小包を鰐渕に手渡すのであった。

一命をとりとめた丈一郎。潰された両目の手術をしたところ、幸い眼球破裂はしていなかった。しかし、治療を担当した東京海王病院の女医、川内からは左目については100パーセント失明すると告げられてしまう。右目に関しても視力を失う可能性が高いという。
丈一郎が入院生活を送る中、騒がしい日々は変わらない東京・六本木。虎井の友人でナイジェリア組織のボス、ヴィンセントがある人物を痛めつけてほしいと依頼する。その人物とは元軍人のマヌク。マヌクはヴィンセントから管理を任されていた女性の身体を子どもが産めないほどまで傷づけるなど暴力を繰り返していた。ヴィンセントは暴挙を止めるために虎井に頼んだのであった。
高い格闘センスを持っているマヌクだったが、虎井の前では何もできなかった。あっという間に倒されたマヌクが病室で目覚めたとき、右腕と両足は切断されていた。

一方、病院生活を送る丈一郎。見舞いに来た東京フィストの仲間に囲まれ、虎井には「盲目のバウンサーになればいい」と励まされる。気丈にふるまうも、病室で一人になった丈一郎は視力を失うこれらかの未来をどう生きればいいのか恐怖に襲われる。そして、あの2人が再び丈一郎の前に姿を現れる。
絶体絶命の丈一郎だったが、佐藤と鈴木が来ることを予想していた虎井が病室にいた。佐藤らは病室の警備システムに侵入した上で、東京フィストのセキュリティ14人を倒して侵入したという。「なぜ、2人は丈一郎の最終試験の日について知っていたのか」「なぜ、あの時に丈一郎を殺さず生かしたのか」。虎井は2人に問いかける。佐藤らが素直に答えるはずもなく、虎井と2人による激闘が始まる。

丈一郎が殺されかけた犬のマスクの鈴木を、虎井はいとも簡単に倒してしまう。虎井の強さは「ある種の病理」。丈一郎とともに2人の戦いを見ていた佐藤がそう語る。虎井は戦闘の天才だった。一方、抜き手によって肝臓が潰された鈴木だったが、吐血しながら立ち上がる。「アンタだけは絶対に許さないワン」。鈴木は幼少期に虎井によって母親を殺されたことを告げる。それに対して「覚えていない」と言う虎井は、鈴木の首を締めあげて、非情にもとどめを刺すのであった。
鈴木が倒れ、膠着状態が続く病室。目に包帯をまいた丈一郎は、この状況を変えようと、突如、佐藤の腕につかみかかる。しかし、佐藤の腕には神経毒が塗り込まれた刃物が仕込まれていた。殺されそうになった丈一郎を虎井が助けに入り胸を刺されてしまう。一方、虎井の抜き手で佐藤も負傷する。致命傷を負った2人。佐藤は鈴木を担いで病室をあとにする。まもなく、虎井は刺し傷と毒により意識を失ってしまう。
昏睡が続く虎井。失ったものは大きかった。

東京フィストの「獅子戸丈一郎」

正社員に採用された獅子戸丈一郎

右目は眼鏡をかけると視力0・3まで回復した丈一郎。退院に合わせて、鰐渕から東京フィストの正社員に迎え入れることを告げられる。しかし、丈一郎は入社を断る。2度にわたって命を狙われたことや佐藤が病室を去る時に言い残した「Bデータ」という言葉が頭に残っていた。さらに、佐藤は「(丈一郎が)東京フィストにいる限り何度も現れる」と告げていた。自分を助けた虎井が死にかけたことにも責任を感じていた。しかし、虎井や鰐渕、叔父・優一郎の言葉を思い出す丈一郎。「修羅場をくぐれ 傷つくことを恐れるな」「そして本当に優しい男になれる!」。自分にできることは「東京フィスト」のセキュリティとしてだれかを守ることだと、丈一郎は正社員になることを決意する。
佐藤は、指定暴力団・剛浄会直参、柿根陽介と会っていた。柿根は若干33歳にして若頭補佐にまで上り詰めたヤクザ会のエリートで、人の心が読める能力があるとのうわさもある。柿根が狙うのは「東京フィスト」のBデータ。それは、東京フィストの極秘情報をまとめたものだった。柿根は、それを奪うため佐藤を暗躍させていた。
これまで謎に包まれていた佐藤の正体は、丈一郎が15歳の時に事故死したとされていた叔父「獅子戸勇一郎」だった。

正社員となった丈一郎は腕利きのセキュリティに成長していた。戦闘の技術だけでなく、英会話までも身に付け外国人とのトラブルも難なく解決する丈一郎は東京フィストに欠かせない存在に。
ある日、東京フィストの丈一郎の同僚で鶴見拓哉が突如、襲撃される。鶴見は丈一郎や虎井と違い格闘技ができない。相手は動画アクションを専門とするユーチューバー「チームアニサキス」。空き地に連れていかれた鶴見は、アニサキスのメンバーで地下格闘技のチャンプの兼平健斗に徹底的に痛めつけられる。別のメンバーで風間麗民がその様子を動画で撮影していた。
間一髪のところで襲撃現場に駆け付けた丈一郎。兼平を一撃で倒す。風間らほかのメンバーは逃げるのであった。

後日、鶴見は警護の現場に復帰することができた。丈一郎は、先輩社員の馬場千聡と鶴見とともに食事をした。この時、なぜ鶴見が襲われたかという話になったが、倒した兼平は東京フィストの失態を見せる面白い動画を撮るためだったという一点張り。襲撃の真意は分からなかった。

新たな脅威

正社員としての日々を送る獅子戸丈一郎の前に、突如、現れた関暴連の有賀勇気。丈一郎が初めて佐藤と鈴木と対峙した最終試験の夜、「逃がしてくれ」と頼んできた張本人だ。両目の負傷のきっかけとなった元凶でもある。有賀は、関暴連の資金1億2000万円を持ち逃げしたという疑惑をかけられていた。「助けてください!」。丈一郎は、有賀を関暴連から守る「仕事」として依頼を引き受け、有賀と生活を共にすることになる。しかし、このことで丈一郎は新たな脅威にさらされることとなる。
有賀を探す関暴連。丈一郎の前に、関暴連の精鋭部隊「死華裏終(シカリオ)」の一員、朝風道也と雷門大治が立ちはだかる。あらゆる戦闘において最も重要なことは相手より有利な状況に立つ。丈一郎は冷静だった。有賀をその場から逃がしたうえで、朝風と雷門のほかのメンバーをあっという間に倒す。
丈一郎に襲いかかる朝風と雷門の2人。その際、丈一郎の視界がブラックアウトする。「何秒だ」。目に衝撃を受けると失明するおそれもある。何も見えない中、攻撃を耐え続ける丈一郎だったが、これまでとは違った。虎井からの厳しい訓練を受けた丈一郎は、肘を使う独特の戦法で2人を瞬時に倒してしまう。

朝風と雷門の襲撃を切り抜けた丈一郎。自宅の場所が知られていることから、いざという時のために契約していたトランクルームで有賀をかくまうことにした。しかし、丈一郎は有賀の大きな嘘を知ってしまう。思いを寄せる女性との結婚のために守ってほしいと話していた有賀。そのような事実はなく、関暴連の資金1億2000万円を奪っていたのは有賀だった。「どんなクソ野郎だとしても依頼人は絶対に守り通す」。昔と変わらない”筋”を通す生き方を貫く丈一郎だった。

有賀の身を隠していたトランクルームの場所が関暴連のメンバーにばれてしまう。関暴連の幹部で「死華裏終」の一員でもある風間麗民をはじめ、大勢に囲まれピンチとなった丈一郎。有賀を引き渡すように言われるが断る。関暴連の財務部門を務めた元一員、黒須東阿と戦うことに。遠くから2人様子を監視する佐藤の姿が。横には、鈴木ではなく牛のマスクをかぶった田中と呼ばれる人物が立っていた。2人の戦いが始まる。黒須が仕掛けるも戦術にたけた丈一郎がダウンを奪う。しかし、解離性同一性障害を抱える黒須は、別人格のスイッチを入れたことで戦闘能力が高まり凶暴化する。丈一郎をナイフで切り付ける黒須。大量出血する丈一郎だったがベルトやスマートフォンなどを駆使して、何とか黒須を倒すことができた。
黒須との死闘の末、瀕死の状態に追い込まれた丈一郎。だが、有賀が闇治療を施す小児科医・徳川のもとへと連れて行ったことで一命を取り留めた。

日本にいる限りは逃げられないことを悟った有賀は、丈一郎ともに残った資金を携えて関暴連トップの1人、兼平拳一に会うことを決める。関暴連から抜けるためだった。
丈一郎は一連の騒動が落ち着くまで、朝風と雷門を治療に専念させるために自宅でかくまっていた。しかし、兼平が衝撃の事実を突きつける。
丈一郎と有賀、説得に駆けつけた黒須の前に3人の生首が転がった。朝風と雷門、それに風間麗民のものだった。絶体絶命の3人。兼平は有賀に関暴連に戻るよう話す。それを断る有賀。兼平は用心棒らに殺すように指示した。だが、丈一郎は髪の中に隠していた手りゅう弾を取り出し、状況を打開しようとする。「人殺しにはなれない」。冷たい目をした兼平が丈一郎に話す。

約束を守らなかった兼平に引き金を引いた獅子戸丈一郎

手りゅう弾を爆発させないため、兼平の用心棒の一人が丈一郎に銃を渡す。丈一郎は兼平に銃口を向けた。「降参」。兼平は有賀に手を出さないと約束する。しかし、隙を見て兼平は丈一郎から銃を奪い、左肩を撃ち抜いた。続いて、有賀に銃口を向ける兼平がトリガー引いた。弾は発射されなかった。丈一郎があらかじめマガジンを抜き取っていたのであった。そして、兼平の顔面に拳を浴びせる。床に座り込む兼平。丈一郎は「アンタは約束を破った。助かるチャンスを与えたのに」と言う。兼平が本当に有賀に手を出さないという約束を守るのか試していた。再び、兼平に向けられる銃口。丈一郎は兼平の頭を撃った。

初めて人を殺した丈一郎は、約4か月間の療養と虎井のケアもあって東京フィストに復帰することができた。有賀も東京フィストの一員として働くことに。丈一郎は、蜂野とともにセクシー女優とその息子の警備を任される。丈一郎が買い出しを頼まれて、街を歩いているとソフトクリームを持った女の子とぶつかってしまう。謝る女の子の父親。その正体は指定暴力団・剛浄会の直参、柿根陽介だった。

『バウンサー』の登場人物・キャラクター

主要人物

獅子戸丈一郎(ししど じょういちろう)

獅子戸丈一郎

演:平埜生成
主人公。19歳。スジが通らないことにはキレてしまう性格。赤ちゃんの頃から両親には育てられないなど、苦労した生い立ちを持つ。東京フィストのアルバイト経て、正社員になった。身長は185センチメートルで、金髪で毛の量の特徴からボーボボと言われることも。高校の時、教師を殴ったことで退学となる。あだ名は中卒。

蜂野信也(はちの しんや)

蜂野信也

演:ユナク(超新星)
東京フィストの元セキュリティチーム Dリーダー。獅子戸と同じ19歳で、甘いマスクを持ちながら、高いプライドを持つ自信家。頭脳明晰で、伝統派空手の使い手として格闘能力は非常に高い。東京大学の学生だが休学中。実の兄を佐藤と鈴木に殺された過去を持つ。

虎井清十郎(とらい せいじゅうろう)

虎井清十郎

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