心がヒリつく青春映画まとめ!『ウォールフラワー』など

ここでは爽やかさとはほど遠い痛さを前面に打ち出した青春映画をまとめた。それぞれに秘密や苦悩を抱えた3人の若者を描いた『ウォールフラワー』、男同士の友情ものと思いきや現実と妄想の区別がなくなっていく衝撃作『ベルフラワー』などを紹介している。

▼『バスケットボール・ダイアリーズ』

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”薬物に恐ろしいまでに傾倒する純粋でワルな少年の危険すぎる青春の実録”

スコット・カルヴァート監督、レオナルド・デュカプリオ主演による1995年の作品。1960年代の天才詩人であり、ミュージシャンでもあった故ジム・キャロルの自伝的小説「マンハッタン少年日記」の映画化。ニューヨークのカトリック系高校に通うジムは、学校の問題児ではあるが、バスケットボールでは名選手であり、また自作の詩にも才能を発揮していた。しかし、真実の自分を理解してくれていた唯一の親友を病気で亡くした彼は、その辛さを紛らわすためにヘロインに手を出しはじめると、一気に転落するように、あらゆる麻薬にハマってしまうのだった...。

主人公のジムを演じたのは、若き日のレオナルド・デュカプリオ。カトリック系の高校に通う悪ガキではあるが、バスケットボールの腕前は一人前、同時に詩を書きためるという面もあった。その繊細な心ゆえに、唯一の親友を病気で失ったとき、彼の中で何かがはじけ、ドラッグの誘惑に堕ちて行く...。主人公のジムが苦しみ、もがき、転落していく壮絶な様を演じたレオ様の演技は凄まじくて見事。やはり彼は演技派なのだという事が確認出来る!

今作は公開された当時、麻薬への依存や性的な描写が問題視され、アメリカではR指定、韓国では公開禁止となった。また、主人公が夢の中で、黒いトレンチコートを着て学校で生徒や教師を撃つシーンがあり、1999年にコロラド州で起きたコロンバイン高校銃乱射事件時には、事件との関連を指摘された。

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原作者のジム・キャロル。今作の原作である自伝的小説「マンハッタン少年日記」などの著作で作家として尊敬を集め、ニューヨークのパンク・シーンとリンクした彼は、パンク詩人と言われ、自身のバンドを結成した。その洗練された詩作は、多数のミュージシャンやアーティストの尊敬と共感を集めた。バンド結成の手助けをしたというパティ・スミスは、彼に最高の賛辞を与えている。2009年に60歳で他界している。

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ジム・キャロルがミュージシャンの尊敬を集めているのは、このサウンドトラック・アルバムにも表れている。ジムは自身のバンド「ジム・キャロル・バンド」、パール・ジャムとの共演曲、スコアを手掛けるグレアム・レベル(元S.P.K.!映画音楽作家となった彼とジムの共演は、偶然だろうけど凄い事件なのだ!)との共演曲で参加している。その他、PJ・ハーヴェイ、ポウジーズ、ザ・カルト、サウンドガーデンといった面々が参加している。

『バスケットボール・ダイアリーズ』予告編

ドラッグが欲しくて母親に金を無心し、「いい子になるから中に入れて」と泣く姿が哀れで。まだ子供なんだよね。でも許したら、また繰り返すのは目に見えてる。「助けられない」とわが子を拒みながら、お札を握り締めて泣く母親の姿。

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―純粋になりたい―そう願っていた16才の繊細な少年ジムがジャンキーへと変貌する。一時の快楽の誘惑を断ち切れず、ドラッグ地獄にドップリと嵌り、家族も友も目指していた夢さえも失っていく。

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主人公は隣人に救われ、ヘロイン中毒を克服しかけるのだが、美談を期待する観客を裏切る展開に、この問題の奥深さを痛感する。

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▼『ウェルカム・ドールハウス』

”やるせない青春の日々...イタ過ぎるキャラ代表の女の子ドーンの運命は?”

鬼才トッド・ソロンズの長編映画デビュー作となる1996年の作品。ダサくて、ブスで、性格も悪いという悲しい現状を抱えた女子中学生ドーンの、フツーじゃない普通の日常を描いた作品。学校のクラスメートには意地悪され、先生達にも辛く当たられ、家に帰ると両親はカワイイ妹ばかりを可愛がる。愛と優しさに飢え、益々卑屈で屈折していく少女ドーンを主人公にしたコメディ・タッチの痛すぎる青春ストーリー。同年のインディペンデント・スピリット賞で作品賞、監督賞、新人俳優賞、助演男優賞などを受賞した。

出典: d.hatena.ne.jp

そのカワイクない女子代表のドーン・ウィーナ。ヘザー・マタラッツォが演じた。今作でインディペンデント・スピリット賞の新人俳優賞を受賞したが、その後あまり女優としては伸び悩み中...。中々悲惨な日々を過ごすが、学校の男の子に告白されたり、モテ期の予兆が現れたりと、人生の転機が訪れるにも関わらず、その屈折した性格と妄想とカン違いでチャンスを棒に振り続ける彼女。一体幸福な日々はやってくるのだろうか?

トッド・ソロンズは、ニューヨーク出身の映画監督。ごくごく一般的なフツーに見える人々の裏に潜む狂気や暗部を、強烈なブラックユーモアで描く。家庭内差別、ストーカー、屍姦、小児偏愛、宗教といったタブーとされる事柄を積極的に盛り込む悪意の人だが、彼の作品群は類い稀に見る傑作の宝庫。だからこそメジャーな存在にはほど遠いが、一部の熱狂的な支持を受ける。

『ウェルカム・ドールハウス』予告編

やっぱり駄目な物は駄目というどうしようもなさを、中途半端なヒューマニズムや青春物のセンチメンタリズムに流される事なく残酷に描き出した所にこの映画の素晴らしさがあると思う。しかもちゃんと笑えるというのがポイント。

出典: largoandante.web.fc2.com

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