心がヒリつく青春映画まとめ!『ウォールフラワー』など

ここでは爽やかさとはほど遠い痛さを前面に打ち出した青春映画をまとめた。それぞれに秘密や苦悩を抱えた3人の若者を描いた『ウォールフラワー』、男同士の友情ものと思いきや現実と妄想の区別がなくなっていく衝撃作『ベルフラワー』などを紹介している。

▼『ウォールフラワー』

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”内気な少年の成長物語は青春そのものだが、秘めた暗い部分は結構イタイ!”

スティーヴン・チョボスキー著のベストセラー小説を、自らが脚本・監督、ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー主演で映画化した作品。高校生になったものの内気でオクテの少年チャーリーが、上級生であるパトリックとサムの風変わりな義理の兄妹と出会って友情を育み、成長していく青春ストーリー...ではあるが、それぞれに秘密や苦悩を抱えた3人の友情は、思いも寄らなかった方向に進み、そして衝撃の事実が明らかに...。

色々あるが、瑞々しく爽やかな後味の青春映画の傑作である事は間違いない!ラストシーンはじめ、随所に素晴らしい感動が!

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高校に入学したばかりのチャーリー。文学に関しては非常に秀でたものもあり、国語教師からも一目置かれているが、内気な性格から誰からも相手にされず孤独な日々を送っており、正に”ウォールフラワー”(周囲に溶け込めずに、壁にもたれて見ている内気な子)だった。原題を直訳すると「壁の花でいることの役得」。『パーシー・ジャクソン』シリーズや『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』のローガン・ラーマンが演じた。

チャーリーの文学に対する才能を見抜き、一目置いている国語教師のビル。彼の良き話し相手であり、理解者である。課題として彼に名著を推薦する。ここまでは『危険なプロット』みたいだが...思い切りサブキャラな先生だが、この二人の関係は何だか非常にイイ。ラヴ・コメディ作品の出演が多いポール・ラッドが演じた。

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チャーリーが思い切って声をかけた上級生のパトリック。目立つ存在だがちょっとエキセントリックで変わった行動を起こす彼だったが、チャーリーに友情と悪事を教え、良き友となる。大っぴらに出来ない秘密を持っているが、チャーリー達とはそれを共存している。『少年は残酷な弓を射る』などの新鋭エズラ・ミラーが演じた。

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パトリックとは両親の離婚と再婚により義理の兄妹となったサム。エキセントリックな兄と共に、自由奔放に毎日を送っている様だが、繊細で傷つきやすい面も持っていて、特に進学の事で悩んでいる。『ハリー・ポッター』シリーズで知られるエマ・ワトソンが瑞々しく演じた。

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この作品が秀でている点のひとつに音楽の選曲の妙がある。↑を含む2回のシーンで使用されたデヴィッド・ボウイ「ヒーローズ」が非常に印象的かつ感動的。他にも、1980年代後半~1990年代前半にカレッジ系を聴いていた人なら、どストライクな知る人ぞ知る名曲が使用されている。ザ・スミス、ニューオーダー、ギャラクシー500、クラッカー、L7、ペイヴメント、スローイング・ミューゼズ、劇中で曲名がセリフに出てくるコクトー・ツインズ等!そしてスコアは4ADと密接な関係のあるマイケル・ブルックが手掛けているのが、何ともツボ!

映画『ウォールフラワー』予告編 - YouTube

一見、ストレートでピュアな物語になるところが、様々な出来事や過去が、ストーリーに次第に不可思議な深さを生み出してくるあたりが実にうまい。さらに、レコードやカセットテープという、一昔前の時代設定故に、どこか素朴にさえ見える彼らの毎日がみずみずしいのである。

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青春綺麗事ではなく、ドラッグだったり、精神病だったり、同性愛だったりも絡ませてきている本作。しかし最後感じるのは爽快感。映画的爽快感と自らの記憶を呼び起こし少しほろ苦くなるこの絶妙な感覚。

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憧れや希望などは世代や場所を簡単に超えてしまう。本作で語られる、トラウマ、葛藤、愛、喪失、仲間という要素は、いつだって青春物語が必要としていたもの。

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▼『ベルフラワー』

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”男同士の熱い友情を描いた作品だが、歪んだ妄想の暴走が止まらない!”

エヴァン・グローデルが製作・脚本・監督・主演を担当した2011年の作品。『マッドマックス2』の世界を愛し、来るべき世界滅亡に備えて、爆破実験や火炎放射器を自作するという日々を過ごす親友のウッドローとエイデン。ある日、ウッドローが本気の恋をした。彼女との日々のデートに没頭するウッドローは、幸せの絶頂だった。しかし、ある日彼女が浮気している現場を見てヤケになった彼は、バイクで爆走して事故に遭い、心身共にボロボロになってしまう。現実を信じられなくなった彼は、親友のエイデンの必死の励ましも届かず、彼と妄想の世界へと迷い込み、現実との区別が付かなくなっていき...。

ハリウッド近くのベルフラワー通りで暮らす主人公のウッドローと親友のエイデン。「マッドマックス2」の世界を愛し、悪の首領ヒューマンガスに憧れる親友同士。いつか世界滅亡の日が来た時に、ヒューマンガスの様に世界を征服するため、仕事もせずに日々兵器や機械を自作していた。

カノジョの浮気を目の当たりにしてドツボに落ち込むウッドローを励まそうと、エイデンが買って来た車を改造した”メデューサ号”。全身艶消しのブラックに塗装され、スーパーチャージャーに火炎放射器搭載、ドリフトボタンを装備したモンスターカー。とびきりクレイジーなマシンだが、コレは友情の証でもある、熱いギアなのだ!

出典: eiga.com

今作を手がけたのは、アメリカの映像オタクのクリエイター、エヴァン・グローデル。監督・脚本・編集はもちろん、機材の改造や自作まで行う。キャストは友人達を集めてノーギャラで演じさせ、ストーリーは自身の失恋体験を基にしているという。完全無欠の自主製作映像作家!

『ベルフラワー』予告編

女に裏切られた悔しさを原動力に、監督、脚本、制作、編集、主演をすべてこなし、撮影用の改造カメラまで作り、人生のすべてを賭けて完成させた執念の映画が本作であるそうで、確かに映像には異様な迫力を感じました。

出典: tamacine.blogspot.jp

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