神様はじめました(神はじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『神様はじめました』とは2008年から鈴木ジュリエッタが『花とゆめ』(白泉社)で連載している人間と妖の恋愛模様を描いたファンタジー少女漫画およびそれを原作としたアニメ作品。主人公の桃園奈々生を中心とした、廃れた神社の神使の巴衛に助けられながら、様々な神と出会うことで奈々生の成長を描いている。父親が蒸発しホームレスになったり、神様になったりあり得ないシチュエーションに遭遇するヒロイン・奈々生が何があっても前向きにトラブルを乗り越える。人と妖の禁断の恋を明るく丁寧に描く、笑いあり涙ありの不朽の名作。

鞍馬山編

そんなある日、奈々生は鞍馬山から下山した天狗の子供・牡丹丸と出会う。鞍馬山の現頭領・僧正坊が体調を崩していると話す牡丹丸は、後継者問題で揉めている鞍馬山に、僧正坊の長男である鞍馬に戻って来てほしいと考えていた。牡丹丸と鞍馬を引き合わせた奈々生は、巴衛と共に鞍馬山に乗り込む。鞍馬山では、翠郎が出迎えてくれた。翠郎が事情を説明するには、僧正坊のあとを継ぐ予定の二郎は、非常に粗暴で鞍馬山頭領の器ではないようだった。ひとまず目下の目標は僧正坊の回復してもらうために、奈々生が神議りでもらった万能薬を二郎の目を盗んで僧正坊に届けようとする。
奈々生の妙案で、白札を使って鞍馬を土地神代理とした。鞍馬は神使の巴衛を連れて、ミカゲ神社の土地神として二郎に謁見を求めることにした。鞍馬と巴衛が二郎の注意をひきつけるうちに、奈々生と牡丹丸は、僧正坊の居場所を探す。ようやく見つけ出した僧正坊は、病気で体調を崩しているわけではなく、魂が抜かれている状態だった。奈々生が動揺していると、夜鳥という妖怪が現れる。夜鳥は、悪羅王に取り入るために鞍馬山で天狗達を支配する野望を持っており、そのために僧正坊を動けないようにしたと言う。夜鳥の思惑を知った奈々生は、護の退魔結界で夜鳥を追い払い、白札を使って僧正坊の魂が隠された場所を探し回る。やっと見つけた僧正坊の魂は、17年前に翠郎が鞍馬をかばい、翼を駄目にした雷獣の穴の中だった。夜鳥が雷獣に僧正坊の魂を飲み込ませていたが、取り出すことに成功する。僧正坊は回復し、鞍馬山は平和を取り戻した。奈々生、巴衛、鞍馬は胸をなでおろして鞍馬山をあとにするのだった。

犬鳴沼編

犬鳴沼の主・竜鯉錦が奈々生のもとを訪れる。錦は奈々生に政略結婚する予定の沼皇女との結婚式で仲人をしてほしいと依頼する。沼皇女と小太郎の仲を応援する奈々生は、錦を追い返そうとするが、社ごと犬鳴沼に連れていかれてしまう。犬鳴沼に軟禁された奈々生は、錦が家臣の不知火を通してしか沼の者達と話したことがないことに呆れる。生まれた時から小さな領土の犬鳴沼を守る使命を負う錦を不憫に思った奈々生は、沼の底で箱入り息子として育った錦を人間世界へ連れ出し、そこで誰かを思いやる温かい心を学ばせる。性格が少し丸くなった錦に満足する奈々生だが、その頃、犬鳴沼には奈々生救出のため巴衛、瑞希、沼皇女が乗り込んで来ていた。

不知火は瓦魔子と共謀し、沼皇女と錦の政略結婚を進めようとする。瓦魔子は奈々生の体を乗っ取って沼皇女と竜鯉錦の仲人役を強行し、土地神役をおこなう。

錦は、人間に恋する沼皇女にとても興味を持つ。錦は、初対面の沼皇女の芯の強さに触れ恋愛感情を抱き、どんどん思いを募らせていく。それと同時に、沼皇女が人間と妖怪の恋に悩んでいる事実を知り、焦る。小太郎が、沼皇女が妖怪だとしても一生添い遂げる覚悟を決めて、犬鳴沼に沼皇女を奪還しに来る。沼皇女が妖力を使ったため、人間の姿から妖怪の姿に戻ってしまう。しかしそれでも変わらず愛すると言う小太郎を前に折れた錦は、初めての失恋と共に、他者への慈しみを持った立派な領主へと成長する。瓦魔子は若い奈々生の体を乗っ取ってから、久しぶりの恋をしたいと暴れ、巴衛に熱烈な求愛行動を繰り返す。しかし巴衛に正体を見抜かれてしまい、半ば逃げるように蛙の姿に戻り、奈々生は自分の体を取り戻す。沼皇女と小太郎を温かく見守る奈々生は、巴衛が以前ほど種族違いの恋に否定的ではなくなっている事を知り、密かに喜ぶ。

過去編(奈々生が巴衛の呪いをとく)

巴衛があるとき雪路の記憶がよみがえったとき、封じられていた呪いが再びあらわれ危篤状態となる。そこで奈々生は時廻りの香炉を使い過去に遡り、巴衛の呪いを無効化しようと奮闘する。

そこで500年以上前の巴衛は、悪羅王と共に乱暴な振る舞いをしていたが、人間の女性・雪路(過去に行った奈々生)に恋愛感情を抱く。巴衛は、雪路と一生を添い遂げようと人間になろうとする。そのために巴衛は神落ちと契約するが、人間になれなかったうえに雪路が死んだため、契約違反の代償として死に至る呪いを身に刻まれてしまう。巴衛が死に場所を求めて彷徨っているころにミカゲと初めて出会い、ミカゲの忘却の術で雪路の記憶と死に至る呪いを封じる。その後、ミカゲに狛犬代用として起用された当初は、触れられることさえ嫌うほどの極度の人間嫌いだったが、神使として過ごすうちに和らいでいった。

修学旅行編

巴衛の呪いを無効化し平和な日常を取り戻した奈々生は、修学旅行先が沖縄に決まり、水着を用意してはしゃぐ。しかし沖縄に着いた途端に天候が悪化してしまい、ホテルから一歩も出られなくなってしまう。そんな中、入浴中の猫田あみが何者かに連れ去られる事件が発生してしまった。風呂場にかすかに残っていた妖気をたどり、奈々生は人魚の長ウナリと対面する。

そこで奈々生は霧仁の姿を借りた悪羅王が、ウナリの羽衣を盗んだことを知る。そこで奈々生はウナリと悪羅王から龍神の羽衣を取り戻したらあみを解放するよう要求する。対面した悪羅王は、龍神の羽衣を着て黄泉比良坂の火の山を越え、自身の不死身の体を取り戻す事ができると豪語するが、仮の器である霧仁の肉体が死にかけているせいで、衰弱している。そこに巴衛が姿を現し、悪羅王から龍神の羽衣を取り返す事に成功する。

巴衛は、精気を抜かれてぐったりしている奈々生を連れてウナリのもとへと向かう。一方、奈々生とあみの身を案じる瑞希は、ウナリの暮らす場所を見つけ出すと、鞍馬と共に乗り込む事にした。鞍馬は山育ちのため、水中が異様に苦手なこともあり、激流に呑まれると瑞希と離れ離れになっているところ、暗い海底でジュゴンに出会う。そのジュゴンとは、ウナリによってジュゴンに姿を変えられたあみだったのだ。進化の水により、あみを人間へと戻す事に成功した頃、鞍馬とはぐれた瑞希はウナリのもとにたどり着く。

ウナリは、人魚と龍のハーフとして生まれたために、居場所がなく、深い孤独感を抱えていたのに共感した瑞希は、ウナリに求められるまま結婚する。ウナリの怒りが解け、沖縄での修学旅行は、その後すっかり晴天に恵まれた楽しいものとなった。一方で巴衛はミカゲからの頼まれ事を引き受けたところ、1世紀前に出会った少女だった巫女が老婆の姿になることに衝撃を受けた巴衛は、いつか奈々生を看取る日が来るのだと悟る。
奈々生亡きあと、独り残される事を恐れた巴衛は、人間になる方法を探す。そこで、鞍馬がウナリから譲り受けた進化の水を飲み、人間になろうとした巴衛だが、元妖怪の巴衛は狐になる。霧仁を危険視する奈々生は、旧知の仲だった悪羅王が霧仁の姿を借りて現世に蘇っている事を、ついに巴衛に打ち明ける。

黄泉国編(奈々生たちが霧仁を追いかける)

巴衛が悪羅王が蘇っている事を知り、奈々生に過保護になる。しかし、妖怪の姿に戻る方法を見つけたミカゲは、巴衛を大国主神のもとへ連れていく。瑞希と奈々生の二人でミカゲ神社にいると、何やら嫌な予感がして、巴衛とミカゲのもとへ向かうことを決意する。

奈々生が神にしか通れない近道を通っていたところ、夜鳥と遭遇する。夜鳥が黒麿と協力して、より強い力を身につけていたために奈々生が圧倒されていたところ、二郎が助けに入る。鞍馬山近くまで来ていた事を知った奈々生は、鞍馬山で翠郎や牡丹丸に看病してもらう。そこで、沖縄の修学旅行で霧仁に精気を奪われたために、奈々生の余命があと半年ほどである事が判明する。困惑する奈々生に、二郎は、清浄な鞍馬山にいれば生きながらえると教える。しかし奈々生は、巴衛と共に生きたいので、鞍馬山を去り、再び巴衛を追いかける。

奈々生が出雲に到着すると、大国主神の魂が夜鳥に奪われてしまっていた。霧仁は、大国主神の魂を利用して、悪羅王の体を取り戻すため黄泉国を訪れる。奈々生は、霧仁の後を追いかけて、巴衛や建速と一緒に黄泉国に入る。ところが、先走った建速がイザナミの怒りをかったことで、黄泉国の入り口が閉じてしまう。結果、黄泉国内は凍り始める。奈々生達はイザナミのご機嫌を取るため、お茶会やかくれんぼをするのだった。

一方、狐の姿のままの巴衛は奈々生達からはぐれていたところ、偶然霧仁と遭遇する。巴衛は、悪羅王が人間の弱さを嘆きながらも、愛着を持っていることを知る。やがて機嫌を直したイザナミが黄泉国の入り口を開けてくれたおかげで、奈々生達は地上に戻れることができた。イザナミは、奈々生の残された半年の余命に気づき、死んで還る場所が同じであるようにと、巴衛が人間になる事に賛成し、花の球根を奈々生に手渡す。奈々生と同じ人間になりたいと願う巴衛が、奈々生以外の人間を思いやれるようになれば、球根は花開き、その花を食べれば巴衛は元の姿に戻れるという。

黄泉国編(悪羅王の復活を阻止する)

奈々生達の残る使命は、霧仁が悪羅王の体を取り戻すのを阻むのみだ。奈々生らは悪羅王の体が置いてある火の山を目指していると、付近をさ迷う生霊の少女・亜子を見つける。実は亜子は、現実世界で危篤状態にある霧仁の母親だったのだ。亜子は、記憶が朧げな状態だったが、霧仁の姿を見て記憶を取り戻す。

霧仁として過ごすうちに亜子を大切に思うようになっていたので、夜鳥の亜子への攻撃をかばうように命を落とす。巴衛は、悪事ばかりはたらいていた悪羅王が人間をかばった事に驚くが、人間の儚さと温かさを受け入れる。するとイザナミにもらった花の球根が花開き、奈々生と巴衛は歓喜する。一方、夜鳥は、悪羅王の不死身の体と融合しようとする。

花を食べ妖怪の姿に戻った巴衛は、夜鳥と同等の力を得るため、奈々生に神使から解放するように頼む。巴衛は、夜鳥と激しい戦いを繰り広げると、夜鳥は追い詰められるものの悪羅王の肉体と融合してしまう。ところが、夜鳥の魂と悪羅王の体は適応することができず、黄泉国の業火に焼かれて肉体も共に消滅する。

夜鳥との闘いを終えてイザナミのもとに集った奈々生達は、死んだ霧仁の肉体に残った悪羅王の魂をどうしようかと話し合う。そこへ毛利亜子が自身の子として生まれ変わらせてもらえないかと願い出る。イザナミの許可が正式に下り次第、悪羅王は人間の子供としてやり直せる事になり、巴衛は喜ぶのだった。

奈々生と巴衛が人間になる

奈々生と巴衛が神使の契約を再び交わしたところに、大国主神がやって来る。大国主神は、巴衛を人間にする提案を持ちかけるが、ミカゲが止めに入る。巴衛が人間になるということは、奈々生も土地神でなくなり、人間に戻るということである。

奈々生は、ミカゲ神社を出た後の生活のために、いくつものバイトを掛け持ちをして体調を崩してしまう。奈々生の体を心配した巴衛は、ミカゲに相談して500年分の神使として働いた報酬をもらう。奈々生は、保育士になるために短大受験し、合格する。

高校卒業式の日に、奈々生と巴衛は、共に人間になる。つまり、2人が人間になると、ミカゲや瑞希、他の妖怪達とは会えなくなる。卒業式の日に結婚式を行う奈々生と巴衛は、式の当日、これまでの出会いに感謝をする。奈々生は巴衛と二人は、しっかりした大人になったら、再びミカゲ神社に戻ってこようと決意する。

そして10年後、保育士として順調にキャリアを積んでいた奈々生は、巴衛との子を授かる。元気な男の子を出産後、奈々生と巴衛はミカゲや瑞希、虎徹、鬼切に歓迎されながらミカゲ神社へと戻ってくるのだった。

『神様はじめました』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

桃園奈々生(ももぞの ななみ)

CV:三森すずこ
宇治上高校2年生に通う、活発で陽気な主人公。巴衛と会ったばかりの頃は、巴衛の自分勝手な行動に言い争うことも多かったが、時折見せる優しさに触れ、次第に惹かれていく。その後、告白するもあっさり失恋してしまうが、それでも一途に巴衛を思い続けている。

巴衛(ともえ)

CV:立花慎之介
元は先代の土地神であるミカゲに仕える神使だったが、土地神になった奈々生にも仕える。人間の雪路に惚れ人間になるために神落ちと契約するが、人間になれなかったうえに雪路が死んだため契約違反の代償として死に至る呪紋を付けられた。死にかけの巴衛に出会ったミカゲが忘却の術で呪いと記憶を封じ込め、ミカゲに仕える神使となる。毒舌で攻撃的な部分もあるが、奈々生の荒れていた寝所を彼女が寝ている間に綺麗にするなど、優しい性格も持ち合わせる。笹餅が好物だったりする。

鞍馬 / KURAMA(くらま)

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