家政夫のナギサさん(わたナギ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『家政夫のナギサさん』とは、ソルマーレ編集部少女漫画レーベル『恋するソワレ』で連載の四ツ原フリコによるハートフルラブコメディ。製薬会社の医薬情報担当者(MR)として熱心に働く28才独身キャリアウーマンが、突然現れたおじさん家政夫との関係に振り回されるさまを描く。家政夫として働く男性を登場させることで「家事は女性がやるべき」という固定観念を外し、家事は雑用ではなく、整理能力や、料理は創造性や技術力など、様々な能力を要する仕事であり「女性だけでなく誰がやっても良い仕事」だと家事の認識を変えさせた。

箸尾さん(はしお/演:松本若菜)

ナギサのMR時代の元後輩。成績優秀なナギサに憧れ猛勉強を重ねた努力が実を結び、新薬を取り扱う部署に異動。仕事量も激増し、さらに忙しい毎日を送るようになっていく。そんな時、ナギサの母が亡くなり葬儀でしばらく会社を休むことになったため、箸尾が彼の分まで仕事をこなすようになる。激務が続きストレスを抱え、心が折れた彼女は自ら交差点に突っ込んでしまう。幸い軽症で済んだのだが、その後うつ病と診断され会社を退職。SOSに気づけなかった事でナギサが罪悪感を感じ続ける人物。

ナギサの母(演:岩本多代)

中央のコマがナギサの母。

家事が得意で強く優しいナギサの憧れの母。心疾患を患い、心配するナギサに「家にいても邪魔だ」と気丈にふるまう明るい母親。母親のために何か役に立ちたいと、ナギサは薬を扱うMRの仕事に転職することを決意する。しかし、のちに病で亡くなる。

『家政夫のナギサさん』の用語

履歴書

メイはナギサに信頼を寄せるようになったが、自分は恥ずかしい事も知られているのにナギサについては何も知らないと気がつき質問攻めをする。ナギサが「1日待ってほしい」と言い、翌日渡してきた物が履歴書だった。メイはナギサの真面目な対応に失笑したが、履歴書に目を通しているとメイが落ちた製薬業界最大手の会社でMRをしていたことが判明する。驚きさらに質問するが、ナギサは「昔の話ですから」と多くを語ろうとしない。ナギサの帰宅後、メイがさらに謎めくナギサの素の姿を知りたいと思いを募らせていくきっかけとなった。

手帳

ナギサのバッグから転がり落ちた2年前の女性物の手帳。それはMR時代の後輩箸尾の私物で、彼女が成績優秀なナギサに憧れ、ナギサから教わった仕事スキルをビッシリとメモしていた手帳だった。激務の末、うつ病になった箸尾が会社を去る直前ナギサがこの手帳を拾う。たくさんのシグナルを出していた箸尾を救えなかった自分への戒めのために、肌身離さず持ち続けていた。

『家政夫のナギサさん』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ナギサの長年の心の荷物が降りた瞬間

8巻。ナギサが長年引きずっていた自責の念が解けたシーン。、箸尾が交通事故ののちにうつ病で退職したのは、ナギサが彼女のSOSに気付か付かなかったせいだと自らを責め続けてきた。メイのはからいで箸尾から「私、今しあわせですから」と聞き、ナギサにずっと感謝を伝えたかった思いや、結婚して幸せな家庭を築いていた事を知る。ようやく自分を許せる時が訪れ堅物ナギサの頬に涙がつたう姿は、初めてメイに真の姿を見せた瞬間だった。ナギサは憧れていた亡き母のように強く逞しく生き、箸尾のような女性を支えたいという思いで家政夫の道を選んだ。しかし自分の方がメイや箸尾に支えてもらっていると感じ、周りの女性は強く逞しくとても敵わないと感じた。このシーンがきっかけで、ナギサが長年の心の荷物を簡単に降ろしてくれたメイの事を結婚相手として強く意識するようになり、ナギサにとって人生のターニングポイントになったシーンである。

メイ「ナギサさんみたいなエキスパートに助けてもらいましょう。そのためにも私 たくさん稼いでおくんで!」

11巻。結婚を意識したが、メイとナギサは20歳以上も年の差があり、ナギサは将来自分の介護や世話でメイの未来を潰してしまう可能性を危惧し、メイの為に結婚を辞めたいと申し出る。しかし、一生抱えるつもりだった心の傷をあっという間に癒したメイを、ナギサは「この女性を手放してはならない」とも思ったと正直に語る。ナギサの結婚を辞めたい理由がメイを嫌ったた訳ではなくメイの為だと知り、改めてメイはナギサとの結婚を決意。もしも将来ナギサが倒れた時には、ナギサの様なプロのエキスパートに助けてもらうためにたくさん稼いでおく、と言い結婚をためらうナギサの背中を押したセリフ。仕事も家事も、男女関係なく分担すればいい、出来ないことはプロに頼む事も恥じる事ではない。「女性は家事が一通りできるべき」という従来の固定観念を外し、仕事をしつつパートナーとこれからの時代を生きるための新たな心得として、働く現代女性の共感を呼んだ一言。

『家政夫のナギサさん』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ドラマのタイトルロゴが取れる

原作は『家政夫のナギサさん』だが、ドラマは『私の家政夫ナギサさん』とタイトルを改変して放送された。ドラマ最終回で『家政』の文字がとれて『私の夫ナギサさん』となるという仕掛けが施され、タイトルにわざわざ"私の"を付けていた意味が明らかになった。

ドラマ高視聴率は万人ウケされた事が理由

新型コロナの自粛の影響で撮影休止期間ができ、それに合わせて放送延期と放送期間の短縮という状況の中、ドラマ『私の家政夫ナギサさん』の視聴率は、第1話が14.2%で好発進しその後も2桁をキープし続けた。15分拡大で放送された最終回(第9話)の世帯平均視聴率が19.6%、個人視聴率は10.4%(共に関東地区)を記録し有終の美を飾る。『私の家政夫ナギサさん』最終回の平均視聴率は19.6%で、2016年10月放送の『逃げるは恥だが役に立つ』が記録した20.8%には及ばなかったものの、全話の期間平均視聴率は『逃げるは恥だが役に立つ』の14.6%を超えた15.1%を取り、TBS火曜ドラマの中では歴代1位の記録となった。その高視聴率の背景にはいくつかの要因があった。主人公メイはMRとしてバリバリ働くキャリアウーマンだが、家事が大の苦手で部屋は物であふれ散らかり放題。そんなメイに、視聴者からは「メイちゃんが私にそっくりすぎる」といった声が続々と上がり20~30代前半の現代女性からの共感を得た。また、メイを演じた多部未華子の自然体かつチャーミングな演技が大きな話題となった。ドラマでは、メイの恋愛模様だけではなく、家族との関係性、仕事への向き合い方なども丁寧に描かれている。特に、メイの妹で3年前に実家を飛び出したままのユイ(趣里)と、2人の母親(草刈民代)が和解する様子が描かれた第5話が話題になった。母親が、「どんなに成長して大人になっても、憎たらしいこと言ったり、言うこと聞かなくなっても、小さくて可愛いこの頃のイメージが重なるのよね。どこにいてもこの頃のままなのよ、親にとっては。だからかなぁ、あなたたちがいくつになっても、同じことばっかり言い続けて、ついつい厳しくなっちゃうのかしらね」と娘たちへの思いを話す場面も描かれ支持層に変化が現れた。それまでは、頑張る女性の“あるある”が描かれ、第5話で家族の話が展開されると一気に50歳以上の男女からの支持されるようになり、家族で視聴されている背景がうかがえた。ストーリーが平和なラブコメディーのため安心して子供と一緒に見れ、感動できる部分もあり大人も満足感のあるドラマであることが第5話で感じられて視聴者の幅が広がった。脚本の徳尾浩司や、監督の坪井敏雄ら男性陣が、「おじさんでもわかるようなネタを入れないと女性しか見ない」との懸念から、ドラマ中ではたびたびマンガ『北斗の拳』ネタが登場する。ネタがわからない人にも何となく聞いていて面白く、わかる人には大いに喜ばせ、さらに支持層を増やした。コロナ渦で混沌としている世の中に、幅広い年齢層がリラックスし素直に楽しめるドラマだったことで、最後まで高視聴率をキープし続けたと見られている。

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