ナイツ&マジック(Knight's & Magic)のネタバレ解説・考察まとめ

『ナイツ&マジック』とは天酒之瓢によるライトノベル、オンライン小説で、異世界転生や魔法、巨大ロボットを軸としたファンタジー作品である。2010年に小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載され、2016年に漫画化。2017年にはアニメ化された。交通事故で命を落としたロボットオタクの倉田翼は、「幻晶騎士(シルエットナイト)」と呼ばれる巨大ロボットが存在する異世界で、エルネスティ・エチェバルリアに転生する。幻晶騎士のパイロットを志して努力し続けた彼は、やがて「銀鳳騎士団」の団長となる。

ジャロウデク王国第2王子。カルリトスとカタリーナの弟。略称は「クリス」。
ロカール諸国連合侵攻戦時と、クシェペルカ王国侵攻の前半の現地総指揮者。騎操士としての実力は高く、王都デルヴァンクール攻略時にクシェペルガ国王と一騎打ちの末に、討ち取っている。
政治には向かない直情的で苛烈な性格をしており、エレオノーラを「辛気臭い女」と評し、クシェペルカ王国を「ふ抜け共」と評する等、本人の粗雑な性格を表わす乱暴な言動がそこここに見られる。
旧クシェペルカ王国東方領最東方の町ミリシエ攻略戦時、旗艦上でアルケローリクスに搭乗してイカルガと一騎打ちを行うがまったく刃が立たず、エルを勧誘するも彼の返答の前に絶望して幻晶騎士ごと地上に飛び降りて墜死する。アニメ版ではエルの思い通りにはさせんと、旗艦を破壊して墜死した。

カタリーナ・カミラ・ジャロウデク

ジャロウデク王国第1王女。クリストバルの姉。
クシェペルカ王国王都デルヴァンクール攻略後のクシェペルカ王国侵攻の占領地統治最高指揮者。クリス戦死後は、クシェペルカ王国侵攻現地総指揮者も兼任する。
最終戦敗北の際、デルヴァンクール王城からの脱出を図らなかったためにクシェペルカ王国の虜囚となる。エレオノーラの口から身柄を交渉に使われることは語られているが、その後の消息は不明。アニメ版では自軍の敗北を受け放心状態に陥り、クシェペルカ軍に王城へ攻め込まれて終わっている。

ケルヒルト・ヒエタカンナス

銅牙騎士団の団長を務める隻眼の女性。
フレメヴィーラの王都に潜伏してのスパイ活動中にテレスターレの情報を得て、本国の命令によりカザトシュ事変を引き起こし、テレスターレ(トランドオーケス)を強奪して逃走する主犯格。
その後、ロカール諸国連合征服戦、クシェペルカ王国侵攻を含む大西域戦争に動員されている。銀鳳商会の活動を発見するなど功績を立てるが、クシェペルガ王国占領地防衛戦で銅牙騎士団の大半を喪失してしまう。原作では四方楯要塞(シルダ・ネリャック)防衛戦、アニメ版では宿場町ミシリエにおけるエレオノーラ暗殺任務中にエドガーに討たれて死亡する。

ドロテオ・マルドネス

クリストバルへの高い忠誠心を持つ参謀。昔は騎士として身を立て、高齢による引退後にクリストバルの指南役として任命され、彼が長ずるに伴い腹心の部下となった。
旧騎士時代の部下や息子(養子)グスターボを配下に抱えている。なお、引退したものの未だに全ジャロウデク王国で五指に入る実力者とされて部下や息子からは慕われている。
クシェペルカ王国征服後は、ジャロウデク王国属クシェペルカ領東方護府指揮官に就任する。城内の尖塔に幽閉していたマルティナ、イサドラ、エレオノーラを奪還された後、責任を取って謹慎させられる。謹慎中、オラシオに魔導噴流推進器を独自開発させるヒントとなった、イカルガ飛行の様子を伝えている。
クリストバル墜死後、現地総指揮者となったカタリーナにより謹慎が解かれ、武装飛空船運用戦闘教義を敗残の鋼翼騎士団と共に研究することを命ぜられる。クリストバル戦死への報復を命を懸けて誓い、飛竜戦艦(ヴィーヴィル)の操縦者兼船長として、イカルガとの死闘を繰り広げる。
四方楯要塞(シルダ・ネリャック)防衛戦で、イカルガに勝利すべく飛竜戦艦の竜血炉(ブラッドグレイル)稼動や、通常魔力転換炉への高濃度エーテル供給などの改造を、飛行戦闘可能時間の激減と引き換えに決行するものの、対空衝角艦(ジルバヴェール)やイカルガとの戦闘で苦戦させられる。最期を悟り、エレオノーラの乗機へ特攻するが、キッド操縦のツェンドリンブルの手で搭乗する竜騎士像ごと貫かれ戦死した。
操船能力を失った飛竜戦艦は四方楯要塞に墜落し、要塞内部にいた翠玉竜騎士団を全滅させた。なお、アニメ版では森林に墜落している。

グスターボ・マルドネス

ドロテオの養子。略称は「グスト」。
大西域戦争期のジャロウデク王国騎操士。剣は強いから剣を沢山付けた方が強くなる、との狂信じみた考えの元、幻晶騎士(シルエットナイト)や服装も沢山の剣を装備するという、他者には理解しがたい奇行を見せる。しかし、戦闘力と実績でその考えを周囲に認めさせている超一流の騎操士。
劇中では最強クラスの剣の天才であり、劇中でも屈指の騎操士たるエドガーやディートリヒすら寄せ付けない。ただし、あまりに癖が強すぎて他騎士団では受け入れられず、登場時は義父の隊に配属されている。
銀鳳騎士団討伐に参加し、ディートリヒたち銀鳳騎士団第二中隊を襲撃するも、討伐は叶わず飛空船に回収される。クリストバルの敗死後、カタリーナにより謹慎が解かれ、ティラントー地上部隊を率いて、ドロテオが乗る飛竜戦艦(ヴィーヴィル)と共に各地を転戦し、一連の戦闘を経て再び銀鳳騎士団との再戦の機会を得る。乗機はグゥエラリンデと刺し違えるも、機体を捨てて生還した。
四方楯要塞(シルダ・ネリャック)及びデルヴァンクール防衛戦に備え、カタリーナより下賜されたアルケローリクスを改装し、機体名をデッドマンズソードと改名する。最終戦で周囲の部隊と共にエレオノーラを強襲するも、最終防衛の金獅子(ゴルドリーオ)を突破に掛かるが、ゴルドリーオとアルディラッドカンバーの前に敗北した。アニメ版ではバラバラになった乗機ごと堀に落ちるが、負傷するも生存している。
大西域戦争の全期間に渡って前線で戦い、生存した名前の知られた唯一の人物となり、大西域戦争の後半戦に於いては、国土の相当量を失いながらも遂にジャロウデク王国を護りきった、救国の英雄となる。
アニメ版では語られていない大西域戦争(ウェスタン・グランドストーム)終了後のエピソードにおいても彼は登場し、フレメヴィーラ王国の面々と再会している。

オラシオ・コジャーソ

ジャロウデク王国の開発工房長となった若き天才技術者。気力が抜けたふざけた独特の喋り口調をし、周囲からは奇人の類として扱われている。原作版とアニメ版では容姿の違いがあるものの、性格に差異はない。
一族の研究成果である純エーテル作用論を元に、ジャロウデク王国の支援を得て源素浮揚器(エーテリックレビテータ)を開発し、世界初の飛空船(レビテートシップ)を実用化させた。
魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)を独自再現した上、その技術を用いて飛竜戦艦も完成させている。また、高濃度エーテル専用の高出力魔力転換炉「竜血炉(ブラッドグレイル)」を開発試作を果たす等、劇中に登場するほぼ唯一のエルに匹敵する天才技術者として描かれている。
彼の空に掛ける情熱はエルネスティに引けをとるものではなく、エルが人型ロボットならオラシオは飛空船と、情熱を向ける先こそ異なるがその開発に執念を燃やす姿には共通点がある。
四方楯要塞防衛戦で飛竜戦艦が堕ち、ジャロウデク王国の敗北が決まると、味方を見捨ててクシェペルカ王国から脱出し、さらに飛竜戦艦に関する基幹技術を持って本国からも姿を消した。その後の行方は不明。
アニメ版ではエルとの戦闘を直接観察するためにドロテオと共に飛竜戦艦に乗り、戦場に赴いている。戦闘の最中にエルと熱い論戦をするものの飛竜戦艦の敗北を悟ると、一人脱出している。終戦後にフレメヴィーラへの帰途に就いたエルを覗き見送った後、次の行き先を悩みながら、小型の飛空艇で飛び去っている。

『ナイツ&マジック』の用語

幻晶騎士(シルエットナイト)

異世界で各国が主力戦力として使用している巨大ロボット。心臓部である魔力転換炉(エーテルリアクタ)から生み出される魔力(マナ)が動力で、操縦に必要な各種魔法を騎操士に代わって実行する魔導演算機(マギウスエンジン)、そして骨格にあたる金属内格(インナースケルトン)、実際に機体を動かす結晶筋肉(クリスタルティシュー)などで構成されている。細かいパーツを複数組み合わせた上で強化魔法により骨格を支える構造となっているため、魔力転換炉からの魔力供給が途絶えると途端に自壊する。ロボットの優劣が戦闘に大きな影響を及ぼすため、各国は改良に躍起になっている。二足歩行型で腕が2本のタイプがメインだが、エルのアイディアにより、多腕型や四足歩行型や人魚型などの新しい幻晶騎士が次々と開発されている。当初は盗難防止機構はなかったが、新型機のプロトタイプを他国に盗まれるトラブルの発生により、エルが認証機構を考案し、その後導入されている。

騎操士(ナイトランナー)

幻晶騎士を操縦する騎士の呼称。

エーテルリアクタ

幻晶騎士及びそれを流用した機器、飛空船の推進他用の魔力源。吸気中に含まれるエーテルから魔力への転換機能をもつ。周囲にエーテルが存在する限り半永久的に魔力を生み出すが、そのままでは大気中に拡散して再びエーテルへと還元されてしまうため、後述する結晶筋肉で一時的に保持される。吸気中のエーテルが濃くなれば炉からの魔力出力は上がるが、炉の寿命は短くなる。一般に超硬度金属の精霊銀(ミスリル)に魔法で塑性加工して超大規模魔法術式「生命の詩(ライフソング)」を高密度に刻印した物と、触媒結晶と血液晶(エリキシル・人工血液)を組み合わせて生産される。幻晶騎士(シルエットナイト)生産数を規定する程、希少で国家統制された戦略物資である。

銀鳳騎士団

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