ARMS(アームズ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ARMS(アームズ)』とは、七月鏡一原案をもとに1997年から2002年にかけて少年サンデーで連載された、皆川亮二の大ヒットSF漫画である。
主人公は、右腕にナノテクノロジーで生み出された金属生命体「ARMS」を移植された少年「高槻涼」。彼が同じARMS移植者である3人の仲間と供に、ARMSを狙う謎の組織「エグリゴリ」の刺客と果てない戦いに身を投じていくという物語である。
本作は「人間とは一体何か?」をテーマとしたSF漫画作品でもあり、登場する名言は人間の心や成長にまつわるものが多い。

主人公達の仲間の名言・名セリフ

アル・ボーエンの名言・名セリフ

アル・ボーエン
エグリゴリの実験で生み出された、高度な知性を持つ天才児「チャペルの子供」の一人。生意気で傲慢な性格だが、意外に気配り屋な一面もある。

今世紀最高の超天才から、研究所内の凡人共に連絡!このアル・ボーエンが敵のハッキングを破る事に成功した!!

第6巻出典。第三部のギャローズ・ベルでの戦いの時、涼達が立てこもっていた施設のコンピューターがエグリゴリにハッキングされてしまったので、アルが尽力を尽くしてコンピューターシステムを取り返すことに成功しことを、アルが仲間達全員に放送で伝えた時の言葉。

藍空市でレッドキャップスと死闘を演じた後、涼達はキース・バイオレットからグランドキャニオンに佇むカツミの写真を渡された。この写真を手がかりに、涼達は、ブルーメンの援助を受けてアメリカ合衆国アリゾナ州までやってきた。
涼達は、グランドキャニオンに向かう途中で、寂れた街で停泊することになった。その街の名はギャローズ・ベルと呼ばれていた。アメリカの田舎町に偽装されているが、ギャローズ・ベルの正体はエグリゴリの実験施設であった。それも、ARMSの原型である宇宙から飛来した金属生命体「アザゼル」が保管されている施設であった。そこを管理しているのは、アルと同じエグリゴリの実験で生まれた天才児である「チャペルの子供」達と、彼らに従う強化人間(ブーステッドマン)の部隊「猟犬(ハウンド)部隊」であった。彼らはエグリゴリに反逆を企ていて、オリジナルARMSの力を手に入れようとしていた。
涼達とチャペルの子供達、そしてハウンドは二回の対戦の後、アルの仲介もあって和解したが、ギャローズ・ベルにエグリゴリの部隊「イプシロンフォース」が迫ってきた。彼らによって基地のコンピューターはハッキングされ、毒ガス攻撃を仕掛けてきた。
アルは力を尽くして基地のコンピューターシステムを取り返すことに成功したが、その旨をアルは「今世紀最高の超天才から、研究所内の凡人共に連絡!このアル・ボーエンが敵のハッキングを破る事に成功した!!」など言う生意気な言葉を使って放送で伝えてしまう。「ゴーマンきわまる放送」と隼人は怒ったが、アルが仲間達と、自分の兄弟とも言うべき、チャペルの子供やハウンド達全員を助けるために、必死で努力したのも事実である。

エグリゴリにいたときのアルは確かに傲慢な性格であったが、双子の兄弟であるジェフを亡くし、涼達と接するうちに、いつの間にか他者を思いやる気持ちが芽生えていた。そんな彼の心が表れているのか、上記の名言は、生意気な言葉を使って言っているにも関わらず、妙なおかしみがあって聞こえる。

考えるだけの天才より、行動する馬鹿が勝つって事だ!!もちろん僕は別格だぞ!!僕は行動する天才だからな。

第9巻出典。第四部のニューヨークで、アルがティリングハースト博士に「あいつらと一緒にいて判ったことが二つある」と言い、「ひとつは彼らが大馬鹿であること」と言い、そしてもう一つが、「考えるだけの天才より、行動する馬鹿が勝つって事だ!!もちろん僕は別格だぞ!!僕は行動する天才だからな。」と言ったのだ。

第四部のニューヨークでのエピソードで、涼達はブルーメンヨーロッパ所属の特殊作戦チーム「ドラッケン」の襲撃を受ける。彼らはARMSを嫌っていた。彼らは元々エグリゴリに所属していたサイボーグ兵士だが、自分達を実験材料としたエグリゴリに嫌悪を抱き、組織から足抜けしたのだ。そしてその実験が、ARMSを生むためのものであったと知り、ARMSを嫌悪し、彼らとの共闘を拒んだ。
涼は、ARMSを使わずに、ドラッケンを説得しようとしたが、ドラッケンから怒りの攻撃を食らってしまう。だがどれほど攻撃を食らっても、涼はARMSを使わず、人間として彼らと対話しようとした。やがて命がけの説得の甲斐あって、ドラッケンは協力することになった。
アルと、涼達が拉致したエグリゴリの科学部門最高責任者であるティリングハースト博士は、その一部始終を見届けていた。涼の行為は、端で見ると愚かしい行為かもしれない。いくらドラッケン達がARMSを嫌っているとはいえ、ARMSを使わずに説得するなど、ただの自己満足かもしれない。なぜなら、涼達はARMSを移植されても、人間らしい生き方を送ることができる。しかし、ドラッケン達は異形の姿にされたあげく、もう人間に戻ることはできないのだ。
実際、自分達を愚弄しているのかと、ドラッケンのリーダーであるホルストは激昂した。涼の行為は持つ者の余裕から来る、持たざる者の気持ちを無視した、無神経な行為なのである。涼のようなことをされても、持たざる者は見下されたようで不快なだけだ。だが、他に彼らを説得する手段がない以上、涼はそれをやるしかなかった。どれほど手段が拙くても、何もしないでいるよりはましだからだ。

アルの言う「行動する馬鹿」は、涼達に対する彼なりの賛辞である一方、「考える天才」は優秀な頭脳を持ちながら、自分達に何も話さず、ただARMSのデータだけを眺めているティリングハースト博士に対する軽蔑の言葉でもあった。

この言葉により、ティリングハースト博士も固く閉ざしていた口を開け、涼達にARMSとエグリゴリと「アリス」について己の知っていることを話しだした。

読めよ…うまく言葉にならないから………

第13巻出典。第四部終盤で、巨大なジャバウォックになってしまった涼に、テレパシーの力で戦いを挑もうとするユーゴーに、アルが抱きついていった言葉である。

第四部後半。涼達は、カリヨンタワーの地下深くにある部屋に向かった。そこには、エグリゴリを統括する巨大コンピュータとなったアリスがいるのだ。そこにはカツミと、力を吸収し、コピーすることができるARMS「ハンプティ・ダンプティ」の移植者にして、キースシリーズの長、「キース・ブラック」がいた。彼はキースシリーズ全員の能力を持った、強大な力を秘めていた。

カツミを取り返すために、死闘を繰り広げる涼とブラックであったが、ブラックは涼に敗北しそうになったとき、突如別の人間に変わった。それは過去に、ブラックが殺したはずのキースシリーズの生みの親、キース・ホワイトであった。彼は殺される直前、ハンプティ・ダンプティに精神を吸収されたのだ。そして徐々にブラックの精神を蝕みながら、彼の肉体を奪う機会を狙っていた。
今度はホワイトと戦う涼だが、ホワイトはキース・グリーンの空間転移の力を使って、カツミを自分の目の前に転移させてしまう。その時、涼はカツミを誤ってジャバウォックの爪で刺してしまい、その時の絶望から、ジャバウォックを覚醒させてしまう。そしてジャバウォックはアリスに取り込まれ、巨大なジャバウォックになってしまう。

隼人と恵は、ナイトとクイーン・オブ・ハートを覚醒させて、ジャバウォックに戦いを挑んだが、彼らも吸収されてしまう。絶望的な状況の中、涼の仲間で、テレパシストのユーゴーがジャバウォックと戦おうとした。涼に思いを寄せていた彼女は、涼と約束をしていたのだ。彼のジャバウォックが暴走したら、自分がジャバウォックを殺してあげるのだと。しかし彼女が戦いに赴く前に、アルはユーゴーを引き止めようとした。それでも行こうとする彼女にアルは抱きついて「読めよ…うまく言葉にならないから………」と言って、自分の気持ちをテレパシーで読ませようとした。

並みの大人を凌駕する天才少年であるアルは、いつも論理的な言葉ばかり言っていた。しかし、心の奥で慕っていたユーゴーが戦いに向かおうとした時、アルは論理ではなく、自分の感情で動いた。

アルは過去に自分をいじめた同級生を殺し、そのことでショックを受けた父親に殺されかけるところを、逆に自分が両親を撃ち殺してしまった過去がある。そのときのトラウマから、人と触れ合うのを拒んでいる一面があった。そんな彼がはじめて自分の方から人に触れた場面である。ユーゴーに抱きつき、自分の気持ちをうまく表現できていないアルの姿は、年相応の子供そのままであった。

ユーゴー・ギルバートの名言・名セリフ

ユーゴー・ギルバート
元はエグリゴリの超人部隊「X-ARMY」の一員。涼達と和解したが、仲間をレッドキャップスに殺されてしまい、妹分のキャロルと供に涼達の元に身をよせる。優れたテレパシストで、やさしく献身的な女性。

うふふ…何でもわかってしまう能力も困ったものですよ…

第4巻出典。レッドキャップスとの戦いの際、恵が心の読めるテレパシストの前では強がれないと軽口を言った後、ユーゴーが言った言葉である。

第三部でのエピソード。レッドキャップスとの戦いの際、高槻美沙の提案で3つのグループに分かれた。ユーゴーは涼と恵でグループを組み、行動することになった。しかし、ブルーメンの本拠地が襲われたために、仲間が心配で苛立つ恵は、その怒りの矛先を涼にぶつけてしまう。その時、ユーゴーが一喝してして彼女を宥めた。恵はその後、ふて腐れた態度をとり、自分の心を読んで慰めようとしたユーゴーにきつい言葉を吐いた。しかし、ユーゴーは恵の心を読んだのではなく、表層面から浮き出ている心の声を聞いたのだ。
ユーゴーは、自分の力は制御できているわけではなく、ラジオのように人の心が聞こえてしまうのだと言った。それは、ユーゴーがいつも人の醜い内面を目の当たりにして生きていたことを意味していた。そんな彼女を支えていたのは己の兄クリフであったが、彼はレッドキャップスに殺されてしまう。だからユーゴーは1人でも生きていける強さを持とうとしているのだ。
恵はユーゴーのテレパシストとしての悩みを聞き、同時に彼女の内に秘めた芯の強さを感じ取り、ヒステリックになっていたことを詫びた。そしてその後、テレパシストの前では強がれないと軽口を言ったが、それに対しユーゴーは、「何でもわかってしまう能力も困ったものですよ…」と言った。テレパシストの本当の悩みは、恋心を抱いたときにあった。

エグリゴリの最高のテレパシストで、「エンジェル」の異名を持っていたユーゴーは、元々超人部隊「X-ARMY」に所属していた。当初は最強のサイコキネシストである兄・クリフに従い、涼達の敵として登場したが、テレパシーで涼の境遇を見抜き、徐々に彼に惹かれていくようになった。

やがて、X-ARMYの仲間とクリフが、レッド・キャップスとキース・レッドに殺された後、彼女は涼達の協力者となったが、涼の心はカツミ一筋であることをテレパシーで知ってしまい、彼女は自分の思いを伝えようとはしなかった。

名言を言った時、彼女はにこやかだったが、実はテレパシストならではの悲しい思いの篭った言葉である。

もし…あなたがジャバウォックに吞み込まれてどうしようもなくなった時……私が…ジャバウォックを殺してあげます。 私はテレパシスト…ジャバウォックがどんな力を持っていようと関係ありません…私には…私にしかできない戦いがある……

第9巻出典。ユーゴーが、繭になった武士の傍で、物思いに耽っている涼に話しかけ、彼の心の内に秘める苦悩を聞いたときに返した言葉。

第四部のエピソードで、植物状態になった武士のARMSが暴走し、巨大な繭になってしまった。その後、涼は武士の声を聞こうとして繭になった彼の元にいると、ユーゴーがお茶を持って現れた。ユーゴーもまたテレパシーで武士の声を聞こうとして時折来ていた。

ユーゴと談話する涼だが、実はその時、自分に宿ったジャバウォックの力が日に日に増していくのに不安と恐怖に呑まれそうになっていた。ジャバウォックには「反物質(通常の物質を構成する素粒子の電荷が、まったく逆の反粒子で構成された物質。)」を生み出す力を持っていた。それは、生成された瞬間に核を凌駕するほどの莫大なエネルギーを放出するという、とてつもない力で、人工的に生み出すには莫大な労力と施設が必要になるというものである。(2017年には雷が生成していることが判明されている。)
涼はその力で、カツミや自分の仲間を巻き込んで殺してしまうことに、恐れを抱いていたのだ。そしてその気持ちを誰より察していたのはユーゴーであった。ユーゴーは涼の苦しみを少しでも和らげようとして、「もし…あなたがジャバウォックに吞み込まれてどうしようもなくなった時……私が…ジャバウォックを殺してあげます。 私はテレパシスト…ジャバウォックがどんな力を持っていようと関係ありません…私には…私にしかできない戦いがある……」と言ったのだ。

テレパシストである彼女は、精神力を使った戦いのエキスパートでもあり、その実力は同じテレパシストの敵を軽くいなしてしまうほど強いものである。ARMSの世界では、「力」とはジャバウォックのような強大な破壊の力のみを意味しているわけではなく、様々な種類の力を意味している。彼女のテレパシーの力も、使い方次第でジャバウォックを凌駕することができるのだ。ユーゴーはその力を、自分が密やかに思いを寄せている者に惜しみなく使おうとしている。
名言には彼女の涼に対する深い愛情が込められた言葉であり、彼女のテレパシーが、使い方によってはARMSを凌駕できる力を持っていることがわかるセリフである。

兜光一の名言・名セリフ

兜光一
元は藍空署の刑事で、エグリゴリが隠蔽した涼達が関わった事件に興味を抱き、鐙沢村で涼達と知り合いになる。後に刑事を辞職し、ブルーメンの一員となる。おっさんと呼ばれているが実年齢は28歳。

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