ARMS(アームズ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ARMS(アームズ)』とは、七月鏡一原案をもとに1997年から2002年にかけて少年サンデーで連載された、皆川亮二の大ヒットSF漫画である。
主人公は、右腕にナノテクノロジーで生み出された金属生命体「ARMS」を移植された少年「高槻涼」。彼が同じARMS移植者である3人の仲間と供に、ARMSを狙う謎の組織「エグリゴリ」の刺客と果てない戦いに身を投じていくという物語である。
本作は「人間とは一体何か?」をテーマとしたSF漫画作品でもあり、登場する名言は人間の心や成長にまつわるものが多い。

第6巻出典。 ウインドが恵に、リーダーとは何なのかを語ったときの言葉。

ギャローズ・ベルでしばらく行動を共にする恵とウインド。ウインドはその間恵に、ギャローズ・ベルとそこを管理しているチャペルの子供についての情報を伝授した。しかし、ハウンドとの戦いで失態を犯した恵は、リーダーとしての自信を無くしてしまっていた。そんな彼女は、ウインドに自分はリーダーとしての資質に足るかどうかを聞いた。するとウインドは、資質だけなら君はリーダーに向いているが、リーダーとしての認識が欠けていると言った。

ウインドが言うリーダーというものは、離れた場所にいながら人を使い、失敗してもくよくよせず、勝ったら全員の前に出てきて勝ちどきをあげる、そんな風に振舞えばいいのだと言うのだ。ただし、それができるのは、ある重要なもの(作中では言われなかったが、おそらくは「信頼」)を持っていないと駄目なんだ、とも言った。リーダーは時に冷徹な判断を下さなければならないが、それが行使できるのは、仲間達との信頼関係があってこそなのである。

この言葉で、吹っ切れた恵はウインドと別れ、仲間の元に向かい、戦いの準備を開始した。恵はまず失敗を挽回して、涼達との信頼関係を図ることから始めた。恵の吹っ切れた様子を見て、ウインドは彼女に全てを託すかのように立ち去った。

無闇に手助けをするのではなく、困ったときに助言を与え、そして実行させる。ウインドはそうやって若者を導いていった。一見楽な作業に見えるが、そうではない、ウインドが若者の失敗や過ち、未熟さを受け入れるだけの度量を持っているからこそできることなのである。

キース・ブルーの名言・名セリフ

キース・ブルー
ARMSとの適正がなかったために廃棄処分されたキースシリーズで、反エグリゴリ組織ブルーメンの司令官。
ARMSは「魔弾タスラム」という、爆破性の針を飛ばすことが出来る「ドーマウス(眠りネズミ)」。名前の由来は「不思議の国のアリス」で登場する「眠りネズミ(ヤマネ)」からである。

我が名はキース・ブルー。 誇り高き地獄の住人、キースシリーズの一人…貴様ら量産型が驕るなよ!!最初で最後の私の力を思い知らせてやる!

第14巻出典。 ブルーが涼達を助けるために、モデュレイテッドARMS達を挑発し、彼らに戦いを挑んだときの言葉。

第五部のエピソードで、カツミの身に異変が起き、ブルーメンの施設で調べたとき、彼女の体内にいかなる理由か不明であったが、ARMSが宿っているのを検知した。しばらくブルーメンの施設にいることになったカツミだが、再びエグリゴリに拉致されてしまう。
涼は、カツミを拉致した現場に残っていたメッセージから、鐙沢に連れて行かれたと知り、涼・隼人・武士・恵はカツミを助けに来たが、彼女は自分の体に宿ったARMS「バンダースナッチ」に侵食され、意識を乗っ取られていた。第四部の最後の戦いで、カツミは涼と一緒にアリスに吸収され、仲間達とともに解放される前に、黒アリスからバンダースナッチを移植されてしまっていたのだ。
それに対し、涼達はアリスから解放されたときに、なぜかARMSの力を失くしてしまっていた。そのため、バンダースナッチを覚醒させたカツミの前に一同は撤退するしかなかったが、だが涼達の前に、エグリゴリの量産型ARMS「モデュレイテッドARMS」の部隊が立ち塞がった。絶体絶命の涼達を助けに来たのは、ブルーメンの部隊を率いたキース・ブルーだった。

ブルーはエグリゴリのARMSの実験体「キースシリーズ」の一人だが、自分達を実験のために生み出したキース・ホワイトを憎悪し、彼を倒す力を欲してARMSの被験者として志願した。しかし、ARMSが移植されたときに不具合が生じた。エグリゴリの研究班達は、彼のARMSをリミッターで制御して侵食させないようにし、彼を廃棄しようとした。しかし彼は、エグリゴリを襲撃した謎の傭兵部隊の手引きで脱走を図り、その際オリジナルARMSのコアを持ち出した。そして彼らと供にエグリゴリに恨みを持つもの達を集め、反エグリゴリ組織「ブルーメン」を設立した。

ブルーは単身でモデュレイテッドARMS達と戦うためにリミッターを解除し、「我が名はキース・ブルー。 誇り高き地獄の住人、キースシリーズの一人…貴様ら量産型が驕るなよ!!最初で最後の私の力を思い知らせてやる!」と言って、己の命をかけて自身のARMS「眠りネズミ(ドーマウス)」を発動させた。
ブルーにとって自分のARMSも、自分の中にある「キース」の遺伝子もすべて忌まわしいものでしかなかった。「誇り高き」の件は皮肉と自嘲をこめて言ったようにも見える。しかし、ブルーは自分の部下と涼達オリジナルARMSを守るために、その忌まわしい力を解放したのだ。

ママ・マリアの名言・名セリフ

ママ・マリア
ハーレム街にすむテレパシストの老婆。悩んでいた隼人の心を見抜き、彼に助言を与えた。キース・バイオレットと知り合いでもある。

人の足を止めるのは絶望ではなく諦観…人の足を進めるのは希望ではなく意志

第8巻出典。 ママ・マリアがバイオレットにかけた言葉。

第四部の冒頭で、隼人は強力な身体能力を持つカルナギ・コウに強襲され、なす術も無くやられてしまう。そんな隼人を助けるために、武士がカルナギに奇襲をかけようとしていたが、返り討ちにされて、植物状態にされてしまう。責任を感じた隼人はニューヨークの街を彷徨っている所をウインドに助けられ、隼人は、ウインドと行動を供にすることになった。

ウインドは、ハーレム街に暮らすテレパシスト「ママ・マリア」から仕事の事で呼ばれていたので、会いにいくと、ママ・マリアはウインドに隼人に会いたいと言った。ウインドは彼女と隼人を引き合わせると、ママ・マリアはテレパシーの力で、隼人の悩みを見抜き、隼人にARMSの力が宿っていることも分かった。そして、悩み苦しんでいる隼人に対し、「その力から逃れずに、もっとあがくように」と助言した。
ウインドは、その後ママ・マリアの依頼で、ニューヨークに巣くうシシリアン・マフィアを一掃する仕事に隼人を同行させた。そして、戦いの最中で隼人は新宮流古流武術の心構えである「水の心」を身につけ、新たなる力を手にいれて成長した。

ママ・マリアは、ハーレム街で人々の悩みや苦しみを聞きく聴聞僧のような存在であり、彼女によって隼人は迷いを吹っ切ることができたが、隼人と出会った時にすでに102歳の高齢であったために、老衰で亡くなってしまう。彼女の葬式に出た隼人はそこでキース・ヴァイオレットと出会った。

バイオレットもかつて、ママ・マリアの助言によって救われた者の一人であった。バイオレットはママ・マリアが生前、自分に対して「人の足を止めるのは絶望ではなく諦観…人の足を進めるのは希望ではなくて意志。」と言っていた。その意味は、「人は絶望するから足を止めるのではなく、絶望から這い出ることをあきらめてしまうから足を止める、人は希望があるから前に進むんじゃない、希望を探そうとする意志で、前に進む」ということである。

ファンの中にもこの言葉に元気付けられたという人も多く、作中屈指の名言である。

キースシリーズの名言・名セリフ

キース・レッドの名言・名セリフ

キース・レッド
エグリゴリのシークレット・エージェントで、エグリゴリ最高幹部である、キースシリーズには加えられなかったはみだし者だが、その戦闘力は高く、情報操作に長けた優秀なエージェントである。
ARMSは超音波を駆使して、物体を分子レベルで破壊することが出来る「グリフォン」 。不思議の国のアリスに出てくるキャラクターである一方、伝説の幻獣の名前でもある。

オレはもっと高みへ…奴らの待っているあそこまで行かねばならないのだ!!

第5巻出典。ナイトのARMS殺しを手にいれようとした時に言ったレッドの言葉。

第二部、藍空市でキース・レッドはレッドキャップスの司令官・ガウス・ゴールと同席していた。レッドは、ジャバウォックの爪に備わっている「ARMS殺し」を手にいれるため、ARMSの共振(ARMS同士が近づいたり、覚醒したりする時に出す特殊な振動波)を頼りに高槻涼を探していた。しかし、彼と出会ったのは新宮隼人のほうであった。新宮隼人は彼に攻撃を仕掛けるが、レッドは彼を返り討ちにしてしまう。そして残ったアル、キャロル、十三にレッドは刃を振り下ろそうとしたが、彼らを守りたいと一心に思った隼人は、ナイトのARMSを完全に覚醒させる。

その姿を見たレッドもまた、自身のARMS「グリフォン」を完全に覚醒させて、内臓されている超音波兵器の能力で隼人に戦いを挑んだ。初めはレッドが押していたが、グリフォンがナイトの右腕の槍を掴んだ瞬間、ナイトはARMS殺しの力を発動させた。ナイトの右腕は、強力な振動波を出して、ARMSを含む全ての物体を破壊するミストルテインの槍で、その槍をつかんだレッドの腕を破壊した。
しかしレッドは、ナイトのミストルテインの槍がARMS殺しの力を持っているとわかると、それを手にいれるべく、全身を超音波兵器に変えて、強力な振動波を繰り出してナイトを攻撃した。レッドは、「オレはもっと高みへ…やつらの待っているあそこまで行かねばならないのだ!!」と、普段の冷静さとは裏腹に、何かに突き動かされるかのように野心をむき出しにして叫んでいた。

ARMSは移植者の傷を治療する再生能力があり、体内のコアチップを破壊されないかぎりは、どれほどの致命傷であってもすぐに修復してしまう。しかし、例外的にARMSの再生能力を無効化してしまう力があった、それがジャバウォックの爪、ARMS殺しであった。レッドは当初ARMS殺しを持っているのは、ジャバウォックのみと思っていたが、ナイトにも備わっていた。

レッドはARMSの移植者でありながら、エグリゴリの最高幹部、キースシリーズに加えられなかったはみ出し者であった。そんな彼は、ARMS殺しを手にいれることで、キースシリーズを出し抜くことを画策していたようである。やり方や考え方は違えども、レッドも涼達同様、運命と戦っていたのだ。名言には押し付けられた運命に抗おうとするレッドの思いが秘められている。

彼のARMS「グリフォン」は「不思議の国のアリス」に登場する上半身が鷲、下半身がライオンで、民間伝承にも伝わっている幻獣である。名前のグリフォンはラテン語で、「掴むもの」という意味であり、「ARMS殺し」の力が宿ったジャバウォックの爪を手にいれて高みに上ろうとしたレッドにふさわしいARMSといえる。

キース・シルバーの名言・名セリフ

キース・シルバー
エグリゴリを統括する「キースシリーズ」の一人で、好戦的な性格。ARMSは荷電粒子砲「ブリューナクの槍」を内蔵した「帽子屋(マッドハッター)」。名前の由来は「不思議の国のアリス」に登場する「帽子屋」から。

貴様は… 前進しろ… 貴様の心が… 今求めていることをなしに行け… オレに…できなかったことを…

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