Portal(ポータル)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Portal』とは、Valve Corporationによって開発されたPC、Xbox 360専用ソフトである。ゲームジャンルは、一人称視点のアクションパズルゲームである。無機質な白い部屋で突然目覚めた主人公Chellに、謎のアナウンスがこれからテストを行うと告げる。Chellは壁や床、天井に穴(ポータル)を設置することのできる銃「ポータルガン」を使い、部屋ごとに設定されたさまざまなテストをこなしながら、自分が目覚めた施設の謎に迫る。

『Portal』の概要

「Portal」とは、Valve Corporation開発、エレクトロニック・アーツ販売によるシングルプレイ専用アクションパズルゲーム。直接的な続編である「Portal 2」も発売されている。2007年にダウンロード専用ゲーム配信プラットホームであるSteamからPC版が配信されたほか、2008年にはXbox 360専用ソフトおよびXbox 360 XBLAにてダウンロード版が配信されている。また、本作および同じくValve Corporationが開発したゲーム「Half Life2」「Half Life2 Episode 1」「Half Life2 Episode 2」「Team Fortress 2」をまとめたセット「The Orange Box」が、PC・Xbox 360専用ソフトとして発売されている。

本作の特徴は、「一人称視点のアクションパズルゲーム」というゲームスタイルである。アメリカのパソコン用ソフトメーカー「Cyan」制作のパズルアドベンチャーゲーム「MYST」などの例外はあるにせよ、一人称視点のゲームの代表格だったFPSから「敵を倒す」という部分を極力排除し、代わりにほかのゲームでしばしば邪魔だとされることもあるパズルゲーム部分をゲームのメインパートとしたスタイルは斬新なものである。この部分が評価され、本作はGame Of The Yearにて多数の賞を獲得している。そして、本作のメインパートであるパズルゲームのシステムは、「ポータルガン」と呼ばれる装備を用い、ふたつのつながった穴を作り、それを利用することで解いていくという非常に特徴的なものとなっている。

本作の主人公であるChellが装備している銃器のようなデバイスが「ポータルガン」だ。これは「ブルーポータル」「オレンジポータル」という穴を、壁や床、天井に作ることができるというもので、ブルーポータルとオレンジポータルは空間的につながっている。天井と床にポータルを作って飛び込めば無限に落下することができるし、遠く離れた場所にポータルをひとつ設置し、もうひとつのポータルを自分の近くに設置してそれをくぐれば、足場がなくても遠くに移動することができる。
ポータルに入ったときの勢いはそのままポータルから出てくるときの勢いとなるので、高い場所から落下して床に設置したポータルに飛び込み、もうひとつのポータルから大ジャンプするといったようなアクションを行うことができる。このポータルを用いたさまざまなアクションにより、本作では今までになかったパズルを楽しむことができる。

また、単純にステージをクリアしていくだけのパズルゲームにとどまらず、明確なストーリーとキャラクターを盛り込んでいるのも本作の大きな魅力のひとつだ。本作の前半部分はステージをひとつひとつクリアしていくオーソドックスな形式となっているが、後半部分からはステージの区切りがなくなり、プレイヤーは前半で学んだテクニックを総動員してゲームクリアを目指すことになる。そして、ステージを進めていくごとに、そこかしこに不穏なメッセージやゲーム内の世界観を匂わせる描写が見られるようになっていく。キャラクターについては、主人公である女性・Chellとゲームのガイド役となるコンピューター・GLaDOSがメインとなるが、特にGLaDOSのブラックジョーク的な言動は人気を集めている。また、両者の関係は続編である「Portal 2」にてさらに深く描写されている。

主人公・Chellは、白い壁、白い天井、白い床に囲まれた無機質な施設の中で突然目を覚ます。どこからか聞こえてくる機械音声のアナウンスが、ここは「Aperture Science Enrichment Center」という施設であり、これからChellにテストを受けてもらうと告げる。ふたつの空間的につながった穴を開けることができるデバイス「ポータルガン」を与えられたChellは、テストをクリアしつつ、自分が閉じ込められていた施設「Aperture Science Enrichment Center」の謎を解いていく。

『Portal』のあらすじ・ストーリー

Chellが最初に目覚める部屋。彼女以外の人間の気配はない。

主人公・Chellが目を覚ますと、そこは四方が白い壁で囲まれた無機質な部屋だった。そこへ、「Aperture Scienceコンピューター制御トレーニングセンターにようこそ」という機械音声のアナウンスが入る。アナウンスの主は、Chellが目を覚ました施設「Aperture Science Enrichment Center」を管理するAI「GLaDOS」だった。同時に、壁の一部に穴(ポータル)が空く。その穴は、ガラス越しに見える部屋の向こうの壁にあるポータルにつながっていた。部屋を出たChellに、GLaDOSはテストの開始を告げる。GLaDOSが言うには、Aperture Science Enrichment Centerは、空間移動技術を研究している研究機関「Aperture Science」の実験施設らしい。

GLaDOSのガイドに従い、テストを進めていくChell。施設内には監視室らしき部屋や監視カメラなども見えるものの、Chell以外に人間のいる気配はない。そして、レベル2のテストの部屋に足を踏み入れると、そこにはポータルを自由に開けられる装置である「Aperture Science Handheld Portal Device」、通称「ポータルガン」があった。Chellはポータルガンを用いて施設内のテストをクリアしていくが、GLaDOSの言動は徐々に不穏なものになっていく。また、無機質だが清潔感のある施設内とは裏腹に、その裏側は錆びついてボロボロになったバックヤードが広がっており、そこには錯乱した人間が描いたような落書きや生存者が生活していた痕跡、「the cake is a lie!(ケーキは嘘!)」というメッセージがあった。これらは、どうやら彼女よりも先にここからの脱出を試みた被験者たちが残していったものらしい。

最終テストをクリアしたと思いきや、その先は焼却炉につながっていた。

数々のテストをクリアし、Chellは最終テストであるレベル19に到達した。GLaDOSは「最終テストが終わったらケーキをあげる」と言う。しかし、ゴール地点に向かうはずの可動プラットホームが向かっているのは、火の燃え盛る焼却炉だった。「すべてのAperture技術は、4000度ケルビンまでは、安全に動作し続けます。テストが終わる前に機器が故障する危険性は皆無であるため、ご安心ください。Aperture Scienceのコンピューター制御トレーニングにご参加いただき、ありがとうございます。さようなら」というGLaDOSのアナウンスが響く中、Chellはとっさにポータルを設置し、焼却炉へと向かう可動プラットホームから脱出する。

施設からの脱出を図ろうとするChellに、GLaDOSは「あなたの大成功を祝って、パーティーを開いてあげましょう」「これ以上テストエリア外に出ようとしないでください」などといったメッセージを投げかけるが、Chellはそれに耳を貸さず、彼女より先にここから脱出しようとした被験者が残していったらしい矢印やメッセージを頼りに、施設からの脱出を試みる。

施設は自爆。Chellは一度は地上に出たが、再び施設へと引き戻されてしまう。

さまざまな妨害をくぐり抜け、Chellがたどり着いたのはGLaDOSの設置されたコントロールルームだった。「Aperture Science Enrichment Center」から脱出するためにGLaDOSを無力化しようとするChellに対し、GLaDOSはそれを阻止し、テストを継続し続けるために、彼女を強化タレットと神経毒ガスで殺害しようと試みる。毒ガスが充満する中、ChellはかろうじてGLaDOSの無力化に成功。しかし、Aperture Science Enrichment Centerは崩壊し、Chellは地上に放り出される。脱出できたかに見えたChellだが、地上で倒れていたところを生き残っていたGLaDOSによって再び施設へと引きずられていく。

エンディング。生き残っていたGLaDOSは、ケーキを作っている。

エンディングにて、GLaDOSの生存が明らかとなる。エンディングテーマ「Still Alive」では、生き残ったGLaDOSは、今後も自身の存在意義である「科学の発展」のために実験を続けることを歌い上げている。

『Portal』の登場人物・キャラクター

人間

Chell(チェル)

本作の主人公。本作は一人称視点のゲームなので基本的に直接姿を見ることはないが、ポータルを作る位置によっては、後ろ姿などを確認することができる。本作の舞台となる施設「Aperture Science Enrichment Center」にて、彼女が突然目覚めるところからゲームが開始される。ゲーム中では一切セリフを話すことはない。この点は、同じくValve Corporation開発の名作FPSであり、本作とも世界観を共有している「Half-Life」の主人公、ゴードン・フリーマンと共通している。

「Aperture Science Enrichment Center」で目覚めたあとは、GLaDOSによって半ば強制的にテストを受けさせられる。足に装備しているのは一種の衝撃吸収装置で、これによってChellはゲーム中でどんなに高所から落下してもダメージを負ったり死亡したりすることはない。

彼女のその正体については本作の時点では一切明かされない。そのため、本作のファンたちの間では、クローン説、「Hal-Life」の登場キャラの一人Alyxの母親説など、さまざまな考察がなされている。続編である「Portal 2」にて「異常なまでに我慢強く、決して諦めない性格」であることが示されている。

ロボット

GLaDOS(グラドス)

本作におけるガイド役にしてラスボス的存在。Chellが閉じ込められていた施設「Aperture Science Enrichment Center」を管理しているAIで、正式名称は「Genetic Lifeform and Disk Operating System」。機械的な女性音声で話すのが特徴。施設内で目覚めたChellにテストを受けるよう促し、施設の説明やテストにおける注意事項などを解説する。被験者にテストを受けさせることに執着するが、これはAperture Scienceの施設に接続している状態だとテストを行うことに対して陶酔感を感じるように設定されているため。

最初の方こそ「とても順調ですね」「今回も、すばらしい出来です」といったような言葉でChellを誘導するが、テストが進行するに連れて「のどが渇いてめまいを感じるようなら、気絶してもかまいませんよ」「テストが終了すれば、あなたは行方不明となってしまいます」などと、その言動は不穏なものになっていく。また、「テスト終了後には、ケーキをお出しします」といったような不自然に子供じみた言葉でChellにテストを継続させようとする。そして、最終テストであるレベル19にて、Chellを可動プラットフォームごと焼却炉に放り込み殺害しようとする。

最終的には人格コアをすべて焼却され、Aperture Science Enrichment Centerとともに自爆する。しかし、エンディングおよびエンディングソング「Still Alive」の歌詞で生存が明らかになっている。また、実はゲーム開始時点ですでに正常に動作しておらず、起動直後にかつて施設内にいた科学者全員を神経ガスで殺害していたことが続編「Portal 2」で示唆されている。

セントリータレット

Aperture Science Enrichment Center各所に設置された固定砲台。前方を赤いレーザーで索敵し、プレイヤーを見つけると銃撃してくる。無力化する方法は、後ろから近づいて持ち上げる、キューブなどをぶつける、ポータルに落とすなど。銃撃はキューブを盾にして防ぐことができる。

ロケットタレット

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