うたわれるもの 二人の白皇(ハクオロ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『うたわれるもの 二人の白皇』とは、アクアプラスより2016年9月に発売されたゲームソフトである。うたわれるもの3部作の第3部かつ全シリーズの最終章にあたる。ストーリーは前作の「偽りの仮面」の続きが描かれる。舞台はヤマトという大国。主人公ハクは、前作「偽りの仮面」でオシュトルから皇女と妹の未来を仮面と共に託される。ハクはオシュトルとして生きることを選び、戦いに身を投じていくうちに「うたわれるもの」の真実にたどり着くのだった。

その後もオシュトルたちの部隊は進軍を続け、ヤマトの都を包囲する。ライコウはここに万全の防備を固めており、しょせん寄せ集めでしかないエンナカムイ軍の瓦解を狙う戦法を取る。容易にはこの守りを突破できないと察したオシュトルは、都に住まう人々に被害を出すことを避けるために、「エンナカムイ軍はトゥスクルと通じている」とライコウに思わせて誘い出し、短期決戦を図ろうと考える。ライコウはオシュトルの思惑を見抜くも、「何年でも戦い続けることはできるが、民は戦争の緊張に耐えられない」と判断し、敢えてそれに乗る。エンナカムイ軍を引きつけ、密かに都の城壁の内部に築いた大砲で殲滅しようというのが彼の作戦だった。
しかしこの大砲が暴発したことでライコウの策は失敗に終わり、何が起きたのか調べようとしたミカヅチは孤立したところを副官に刺される。エンナカムイ側でもヤマト側でもない何者かが戦場で暗躍する中、敵軍の混乱を好機と見たアンジュが前線に向かう。ヤマトの王位の正当な継承者を前に敵兵は戦意を失い、次々と降伏。長い戦いはひとまずの決着を迎える。

ヤマト側で参戦していたマロロは、自軍の敗北が受け入れられずに動揺するも、そのショックがきっかけで洗脳から解放される。自分が間違っていたことを悟り、様子を見に来たオシュトルに詫びるマロロだったが、混乱に乗じて彼を暗殺しようとする者がいることに気付いて咄嗟に身を割り込ませる。暗殺者の刃を受けたマロロは、オシュトルの正体が親友のハクであることに気付き、彼を守れたことに安堵しながら息を引き取る。
その後ライコウと対面したオシュトルたちは、彼が反乱を起こした理由が「ヤマトのさらなる成長」にあったことを知る。先帝は確かに素晴らしい為政者だったが、あまりにそれが行き過ぎてヤマトの民は完全に彼の施政に依存してしまっていた。その先帝の崩御という事態を前に、ヤマトの民に自立を促すには、彼の威光を一度否定する必要があった。それゆえにアンジュに反旗を翻し、勝てれば自分がヤマトを治めるつもりでいたが、負けたとしても目的は果たせたとしてライコウは満足していた。

ライコウとの最後の戦いにも勝利し、アンジュは正当な帝としてヤマトに凱旋。ここに長きに渡った内乱は決着を見る。オシュトルは“本物のオシュトル”との約束を果たせたことに安堵するも、もはやその顔に食い込んだ仮面は外すことができず、偽りの立場のまま生き続けることもできないと考えた彼は姿を消すことを決意する。
一方、内乱の中で暗躍し、数々の工作を行っていた八柱将のウォシスは、首尾よくライコウを謀殺できたことに満足しつつヤマトから去る。新たな戦いの始まりは間近に迫っていた。

旧人類救済のための旅路

内乱を制したオシュトルは、ウルゥルとサラァラに呼び出され、クオンと共にヤマトの都の中心にある遺跡の中へと案内される。そこには先帝の妻であるホノカが待ち構えており、彼女に連れていかれた先には死んだはずの先帝が待っていた。
先帝が語るところによれば、彼の正体は現行の人類とは異なる旧人類の生き残りで、大神ウィツァルネミテアの逆鱗に触れて“タタリ”と呼ばれる怪物と化したかつての仲間を救う研究を続けるためにこそヤマトを建国したのだという。旧人類の優れた科学力による延命処置も限界を迎えつつあった頃、彼は弟の“ハク”が今になって救難ポッドの中から覚醒したことを知り、娘のアンジュにヤマトを、旧人類の救済を弟に託そうと決意する。そんな矢先に何者かに毒を盛られて瀕死の状態に陥り、ダミーの遺体を使って死を偽装しつつここで体を癒し、ようやく目覚めた時にはすでにヤマトの内乱は終わっていたのだという。

ヤマトがトゥスクルに侵攻したのも、そこで旧人類を救うためのマスターキーの反応があったことが最大の理由だった。もはや余命いくばくも無い中で「旧人類救済の方法についてある程度形にしておきたい」との先帝の焦りが、両国の戦のきっかけだったのだ。先帝はこのことについてクオンに詫びると、改めて今はオシュトルと名乗る弟に向けて旧人類の救済を依頼。混乱の元にしかならないと先帝と自分の関係について周囲には秘密にしていたオシュトルだったが、他ならぬ兄の頼みであればとこれを了承する。
かくして仲間たちと離れ、1人トゥスクルへと向かうオシュトルだったが、クオンは「トゥスクルに行くならなぜ自分を頼らないのか」と勝手についてくる。ウルゥルとサラァラもこれに続き、旧人類救済のための彼らの最後の冒険が幕を開ける。

クオンの口利きもあって、トゥスクルの人々はかつて侵略したヤマトの人間であるオシュトルを意外にも快く受け入れる。早速クオンと共にマスターキーの捜索に取り掛かるオシュトルだったが、そんな彼の前にクオンを育てた母親役の1人であるウルトリィという女性が現れる。ウルトリィはオシュトルの目的がマスターキーにあることも承知しており、自らの出身地であるオンカミヤムカイに来てほしいと頭を下げる。
果たしてその地でオシュトルたちを待っていたのは、かつて旧人類を滅ぼした大神ウィツァルネミテアその人だった。ウィツァルネミテアはオシュトルがどれほど本気で旧人類を復活させようとしているかを見て取ると、彼にマスターキーを託す。しかしこの場に八柱将のウォシスが現れ、自分もまた旧人類復活を託された立場であり、マスターキーを欲する旨を宣言する。

オシュトルとウォシスが互いに譲る気が無いのを察したウィツァルネミテアは、2人にどちらがマスターキーを持ち帰るか戦って決めるよう命じる。両者はこれに応じるが、ウォシスはその場にいたクオンの縁者を人質に取って手っ取り早く勝負を決しようと画策。動きを封じられたオシュトルたちだったが、その場にミカズチが現れ、クオンの縁者を救出する。ミカズチは都の攻防戦の中でウォシスの手の者によって深手を負わされたが、先帝によって命を救われ、彼に頼まれてオシュトルの救援にやってきたのだった。
さらにアンジュやネコネなど、勝手にいなくなったオシュトルを探していた仲間たちもその場に駆け付ける。不利を悟ったウォシスは、混乱に乗じてマスターキーを奪い、これさえあればもはや用は無いと旧人類が遺した転移装置“ゲート”を通ってヤマトに帰還する。

長い旅と戦いの結末

力を使い過ぎた代償で、塩の塊となって崩れ行くオシュトル。

オシュトルたちは、ウォシスを追うためにゲートを利用してヤマトに向かう。折しもその地では、ウォシスが先帝にマスターキーを手に入れたことを報告し、「これで自分こそが後継者であることを認めてほしい」と要求していた。ウォシスは先帝が“自分の夢と研究を受け継がせる人物”としてクローニング技術を用いて作り出した存在だったが、クローンでは旧人類の文明を使いこなせないことが判明し、この時代の普通の人間として生きるよう命じて切り捨てたのだった。
やがて先帝は、冷凍睡眠から目覚めた実弟のハクに期待し、ウォシスに与えるはずだった役目を彼に委ねようと考え始める。見捨てられた後、実力で八柱将まで、先帝のすぐ近くにまで戻ってきたウォシスはこれを受け入れられず、自分こそが先帝の唯一の後継者であることを証明するため、彼に毒を盛って内乱を裏から操っていたのだ。

駆け付けたオシュトルたちの前で、ウォシスはマスターキーを使って旧人類の遺跡を起動。しかしいよいよその力を縦横に振るおうとした時、「クローンにその権限は無い」とシステムから切り離されてしまう。自分の努力も存在意義も踏みにじられたウォシスは、屈辱と絶望に絶叫する。
この時解放されたタタリが暴走し、都を、そしていずれは世界をも滅ぼすだろうことを知ったオシュトルは、ウォシスから取り返したマスターキーで旧文明の衛星兵器アマテラスを起動。その空前絶後の力でタタリを消滅させようと考える。全てはあくまで同胞を救わんとした自分の判断の甘さが招いたことだとして先帝が引き金を引く役を引き受け、オシュトルは仲間たちと共にゲートを通って都から脱出。多くの民も慌てて逃げ出す中、先帝はアマテラスの大出力レーザーにより、自身ごとタタリを焼き尽くす。

仲間たちがそれぞれに先帝の死を悼む中、オシュトルはクオンにとある遺跡へと案内される。そこはかつてクオンがハクと名乗っていた頃のオシュトルを発見し、コールドスリープ状態にあった彼を蘇生させた場所だった。自分が起こしたせいであなたを苦しませることになった、自分のことを恨んでいるのではないかとクオンに尋ねられたオシュトルは、多くの仲間に恵まれ、兄と再会することもできたと彼女に感謝している旨を告げる。感極まって抱き着くクオンを、オシュトルもまた抱き締め、2人は静かに唇を交わす。
クジュウリにある遺跡を利用してオシュトルたちがアマテラスの再起動に成功する一方、ウォシスは自分が先帝に“クローン”としてではなく“息子”として愛されていたことを知って「もはや全ては手遅れだ」と自らの行いを嘆く。思い余った彼は、遺跡の奥で手に入れたプロトタイプのアクルカの力を開放する。

これによって超常の力を得たウォシスは、死んだはずの部下を蘇らせ、都の人々を不死の怪物にして使役するなど、今まで以上の脅威となってオシュトルたちを苦しめる。ここにトゥスクルの軍勢が駆け付けて劣勢を覆すも、オシュトルは仲間を助けるためにアクルカの力を使ってしまい、さらにその寿命を縮める。ついにはウォシスとの最後の戦いで力を使い果たし、オシュトルは仲間たち1人1人に別れの言葉をかけた後、かつて“本物のオシュトル”がそうなったように塩の塊となって崩れ落ちる。

新たなる“うたわれるもの”

ウォシスとの戦いに勝利するも、代償としてオシュトルを失った一行。彼の死を誰もが嘆き、それぞれに悼む中、クオンは再び想い人を失った事実に耐えられず、半ば無意識に己の内に宿る力を開放。オシュトルを蘇らせようとするが、自身が受け継ぐ大神ウィツァルネミテアの力を制御できずに暴走させてしまう。
そのウィツァルネミテアと、どことも知れぬ空間で対面したオシュトルは、彼によってクオンと仲間たちの窮地を知らされて動揺。なんとかこれを助けるため現世に戻ることを、そのためにウィツァルネミテアの業と力を受け継ぐことを決意する。神にも等しい力を得て一時的に蘇ったオシュトルは、仲間たちと共に奮戦し、クオンの暴走を止めることに成功した。

その後ヤマトとトゥスクルの間には正式な和平が結ばれ、長き戦乱と混乱からの復興が始まっていく。ノスリやアトゥイが「オシュトルはまだどこかで生きている」と信じてこれを探すために旅立てば、アンジュもまた見聞を広めるためにライコウやムネチカをお供にお忍びで諸国漫遊を満喫する。
クオンもまた、トゥスクルの新たな王としての立場を放り出して、オシュトルを探す旅を続けていた。そんな折、彼女は「マシロ」という不可思議な神様の存在について話を聞くこととなる。
荒れ果てたヤマトでは、村や山などの狭い範囲で「一夜の内に草木が芽生えて環境が回復する」という事態が相次いでいた。人々はそれを神の奇跡だと受け取り、誰が言い出したのかマシロという存在の力だとして崇めていた。

果たして、マシロと呼ばれる存在の正体こそはオシュトルだった。ウィツァルネミテアから力を受け継いだオシュトルは、神としての役目も継承。彼を仲間たちの待つ現世へと送り、自らはマシロとして世界の再生に勤しんでいた。
たとえ現世とは異なる世界に囚われ、人とは異なる存在に成り果てたとしても、オシュトルは生きている。それを知ったクオンは、「今度こそ逃がさない」と笑顔を浮かべて、マシロに会う方法を求めて旅を続けていく。

『うたわれるもの 二人の白皇』の登場人物・キャラクター

主要人物

オシュトル(ハク)

CV.藤原啓治

本作の主人公でヤマト右近衛大将。前作「うたわれるもの 偽りの仮面」でオシュトルから仮面と共に皇女とネコネの未来を託され、オシュトルとして生きる道を選ぶ。そのため仲間たちには「ハクは死んだ」と話している。オシュトルとしての名声とハクとしての知略を生かした策でエンナカムイ勢を率いて、アンジュの帝都奪還のために奔走していくこととなる。

最初こそ頼りない一面を見せていたが、オシュトルのカリスマとハクの知識を生かして周囲からの信頼を得ていった。ミカヅチとの決闘で仮面の力を完全に覚醒させることに成功した。これがきっかけで戦闘力も格段に上がり、ヴライやミカヅチといった八柱将とも互角に戦えるようになった。

ハクとして生きてきた頃の仲間たちと共に朝廷軍に立ち向かうため、味方となる国々をさがして大国であるヤマトを奔走している。

オシュトルと成り代わってからは刀を用いた戦闘を行うが、クオンがハクに貸した鉄扇を「友の形見」として使い続けている。

オシュトル(ウコン)

CV.利根健太朗

本来のヤマト右近衛大将。前作の「うたわれるもの 偽りの仮面」でヴライとの死闘の末、仮面の力を酷使したため身体が塩となって消滅した。死の間際、ハクに仮面とアンジュ、ネコネの未来を託して消えていった。

クオン

CV.種田梨沙

本作のヒロイン。トゥスクルの皇女でハクオロとユズハの娘。前作「うたわれるもの 偽りの仮面」でハクを失ったあと、傷心のまま故郷であるトゥスクルに帰還する。ハクを失ったショックから一時的に記憶を失うが、クロウに刺激されたことによって思い出す。混乱の中のヤマトと、アンジュの置かれている状況を知ったクオンは、トゥスクル皇オボロの命令により、ヤマトに攻め込むのであった。だがすべてはかつての仲間たちを間接的に救うためであった。

トゥスクル皇女としてヤマトに赴いたクオンは、正装と面紗で正体を隠してエンナカムイに赴いた。オシュトルにトゥスクルによるヤマト侵攻を告げるが、その時に発したオシュトルの何気ない一言で、オシュトルの正体がハクであることに気が付く。トゥスクルまでの帰り道の間にベナウィとクロウに諭され、仲間たちの元へと戻った。

アンジュ

CV.赤﨑千夏

ヤマト国皇女。前作「うたわれるもの 偽りの仮面」で帝崩御の混乱の中、何者かの陰謀により毒を盛られたことで喉が焼けただれ声を出すことができなくなっていた。ハクたちによって保護されてからは、オシュトルやネコネの故郷であるエンナカムイで療養をしていた。元々の驚異的な生命力と周囲の献身的な看護、そしてトゥスクルからもたらされた薬によって回復する。
アンジュの名を語る偽物の皇女を掲げる朝廷軍を下し、帝の地位を継ぐ道を選んだ。

エンナカムイにトゥスクル皇女として赴いていたクオンに、一方的に叩きのめされたことで心が折れかける。しかしオシュトルがハクの言葉を用いて励ましたことにより気力を取り戻す。またその時にカルラが投げ込んだ大剣を得たことでクオンに勝利する。ここからアンジュは帝都を取り戻すために、自身も戦場に身を投じていくことになった。

仲間たち

ネコネ

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