色づく世界の明日から(第4話『おばあちゃんはヤメテ!』)のあらすじと感想・考察まとめ

琥珀が留学先から帰国し、写真美術部に入部した瞳美と同じクラスになった。琥珀も写真美術部に興味を持ち、部活のミーティングに着いてきた。魔法を見事に使いこなし、部員のみんなとも、たちまち仲良くなる琥珀。瞳美は自分と正反対な琥珀の姿に圧倒されるばかりだった。そんな中行われた夜景の撮影会では、瞳美と部活メンバーとの距離が一気に縮まる出来事が起きる。
今回は「色づく世界の明日から」第4話『おばあちゃんはヤメテ!』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「色づく世界の明日から」第4話『おばあちゃんはヤメテ!』のあらすじ・ストーリー

琥珀の魔法と瞳美の魔法

2018年の琥珀が瞳美を抱きしめる姿。

2078年の琥珀が瞳美を抱きしめる姿。

琥珀は無事に港の到着し、迎えに来ていた瑠璃に抱き着いて再会を喜んだ。
琥珀「ただいまーお母さんー!うっひゃー!ひっさしぶりーお母さんの匂い!」
瑠璃「びっくりしたわよ、急に連絡してくるんだから。」
2人が一通り再会を喜んだ後、琥珀は瑠璃の後ろにいる瞳美に気づき、歩み寄った。
琥珀「あなたが私のお孫ちゃん?」
琥珀は瞳美を抱きしめ、「よろしくね、瞳美。」と言った。瞳美は琥珀の抱擁で、2078年で最後に琥珀に抱きしめられた時のことを思い出し、懐かしい気持ちでいっぱいになって「おばあちゃん…。」と呟いた。

琥珀が魔法で作り出した光景。

突如、黒煙と共に機関車が現れた。

次の日、瞳美と琥珀が一緒に登校していると、道行く生徒たちが琥珀が帰って来たことに驚き、珍獣を見るような目で騒いでいた。「狂乱の魔女」「悪の魔導師」というRPG感満載の異名も聞こえてくるが、中には「ちょっと楽しくなりそう。」という好意的な声もあった。
琥珀は瞳美と同じクラスで、クラスのみんなに本場のリーフティーをお土産に持って来て配った。
瞳美の転校初日に教科書を見せてくれて、瞳美を避けていた男子生徒にも「はい!君にもお土産!」と言って琥珀はリーフティーの箱を差し出し、男子生徒は思わず身を引いてしまった。
琥珀「同じクラスでまたよろしく!」
男子生徒「よ…よろしく…。」
休み時間になると、クラスの生徒たちは琥珀の席の周りに集まり、「ねぇねぇ、どんな魔法を覚えてきたの?」「見せてよ、琥珀!」と琥珀に魔法を見せてほしいとお願いした。しかし琥珀は取り澄ました顔をして返事をした。
琥珀「悪いけど、今までの私とは違うの。留学先で教わったのよ。大きな力をむやみに使ってはいけないって。」
クラスメイトたちは諦めたように、「何たって、未来の大魔法使い様だもんね。」と琥珀を持ち上げ、琥珀は思わず「いやいや…。」と頭を掻いて照れた。クラスメイトたちは「でも寂しいなー、琥珀の魔法が見られなくなっちゃうなんて。」「見ると元気貰えるんだよね。」と言葉を続け、それを聞いた琥珀は「そんな風に言われたら、断れなくなっちゃうじゃない…。」と言って立ち上がった。
琥珀「オホン!魔法は、人の幸福のためにだけ行使を許される物である。瞳美ー!ちょっと手伝ってー!」
琥珀は瞳美に留学先でのアルバムを開かせたまま持たせた。アルバムのページには、琥珀がイギリスで通っていた学校の建物の写真が載っている。琥珀は杖を振りながら、「絵に込められし情景よ、現れいでよ、わが前に!」と呪文を唱えた。すると、クラスメイトたちの周囲に学校の風景が現れ、「すごい!」「素敵!」「ここどこ?」とみんなは歓声を上げた。
琥珀「イギリス!あたしの留学先の学校!」
それを聞いて、クラスメイトたちは映画の中みたいだとはしゃぐ。
瞳美も周りの風景を見回して、「すごい…。私と全然違う!」と呟いて景色に見とれていた。その時、何か大きな音がして、琥珀を含めたみんなが不思議そうな顔をしていると、突然機関車が黒煙を上げながら走ってきた。
そのまま黒煙は教室内に溢れ、授業をするために教室のドアを開けた先生も、黒煙を思いっきり浴びてしまった。
琥珀は学校に復学したその日に、さっそく反省文を書かされる羽目になった。

将とあさぎの間にいる男性があさぎの父親。

琥珀が反省文を書いて校長室でお説教を受けている間、クラスメイトたちは屋上に行き、制服についた煙の煤を払い落としていた。
あさぎ「楽しい人ですよね、琥珀ちゃんって。あんな、お店にも売ってない魔法、初めて見ました。」
瞳美「うん、私も…。」
あさぎ「私は可愛い魔法、大好きですよ。魔法が使えるなんて、ちょっぴり羨ましいです。」
あさぎは瞳美を元気づけるように言った。
放課後、琥珀は瞳美に一緒に帰ろうと誘うが、瞳美に「私、この後部活があって…。」と断られる。そこに居合わせたあさぎから、瞳美が写真美術部に入ったことを知った琥珀は、自分も部活見学に行きたいと言い出した。瞳美とあさぎは琥珀を連れて、ミーティングが行われる千草の父親が経営するカフェに行った。
瞳美とあさぎが琥珀を紹介し、一通りの挨拶が終わると、琥珀は「いつもここで部活やってるですか?」と質問した。
胡桃「まさか!ここ、千草んちの店でさ。葵と千草がバイトしてるから、あたしらたまにミーティングで使わせてもらってるの、社員価格で。」
そこへ葵が注文を聞きに来て、胡桃は「あたし、ベイクドチーズのセット、みかんジュースで!」と注文し、あさぎと瞳美も同じ物を注文した。一方で琥珀は「カステラとハーブティーをお願いします。」と1人だけ違う物を注文した。
注文した物が届くと、ミーティングが始まった。
将「今日の議題は、文化祭の出し物決めだな。この間唯翔と話してて、毎年展示ばかりでつまらないから、今年はテーマを決めて、写真と絵で一緒に作品集でも作ってみようかと思ってるんだけど。」
千草「1人ずつ自分の好きな場所選んで、順番に遠征撮影会やろうよ。」
胡桃「徒歩圏内でね。」
あさぎ「将くんは、どんなテーマで撮影するつもりなんですか?」
将「そうだな…。例えば、夜景とか。」
千草「いつも見てるじゃん、そんなの。」
将「見慣れた物でも写真にすることで、新しい発見があるかもしれないだろ?」
あさぎ「新しい発見…ですか?」
胡桃「夜景に?」
将「モノクロフィルムで撮ると、照明の色も全部白になるから、華やかさが消えて違う世界が見えてくるんだ。」
胡桃「えぇ~、夜景だと誰が撮っても同じにならない?」
あさぎ「オートでも綺麗に撮れますもんね。」
そこへ葵が会話に入り、「まぁまぁ、写真部なんだから、シャッター押すことから始めても良いんじゃない?」と言ってその場を収めた。
将「よし、決まった!1回目は学校の許可をもらって、夜景の撮影会ってことで。」
琥珀「私も見に行って良いですか?」
将「始末書書かされるような真似さえしないって、約束してくれるなら。」
琥珀「えっ!どうして知ってるんですか!?」
あさぎ「もう学校中に知れ渡ってますよ。」
胡桃「知らぬは琥珀ばかりなり。」
瞳美は一言も言葉を挟むことが出来ず、あっという間にみんなの輪に加わる琥珀の姿を見ながら、「おばあちゃん、すごい…。もう馴染んでる。」と思って感心していた。
ミーティングの後、あさぎは自分の父親が経営する写真館に使ってないカメラを借りに来ないかと瞳美を誘った。その時に瞳美のことを月白さんと呼んで、瞳美と琥珀が同時に返事をしたことで、2人とも月白という名字だったと他の部員は気づいた。
その後、あさぎの父親が経営する「風野写真館」に瞳美と琥珀、将、あさぎは行って、あさぎは瞳美に1台のカメラを渡した。
あさぎ「学校のカメラは、許可がないと外に持ち出せないから、不便でしょ?」
将「俺も昔、写真始めた頃はここのカメラ借りてたんだ。」
あさぎ「将くん、良く壊して怒られてたよね、お父さんに。」
瞳美「ありがとう…。大事に使います。」
将「今度も撮影会までに、少しカメラに慣れといた方が良いと思って。使い方分かる?」
一方、琥珀は店に飾られている看板ペットのうさぎ・チョコちゃんの写真を見て、あさぎとチョコちゃんの可愛らしさについて話していた。瞳美は将から大体のカメラの使い方を説明され、「細かい機能は、後で覚えれば良いから。まずはたくさん撮ってみることが大事。」というアドバイスを受けていた。

お互いの部屋から会話を交わす瞳美と琥珀。

琥珀の部屋は瞳美に与えられた部屋の隣で、2人は壁越しに会話をすることが出来た。
瞳美はその日の夜、瞳美の色覚異常のことや未来から来た経緯について琥珀に話した。瞳美の話を聞いた琥珀は「それじゃあ、この先どうすれば良いか、全く分からないんだ。」と確認した。
琥珀「色のこと、みんなには?」
瞳美は黙って首を横に振った。
琥珀「でもさ、先のことなんて分からない方がワクワクすると思わない?これから一緒に考えようよ!魔法使い同士、協力し合えば何とかなるはず!」
瞳美「私、そんなに魔法使えないし…。」
琥珀「そんなことないって!今朝の機関車、あれは瞳美の魔法よ。」
驚く瞳美に、琥珀はアルバムの中から機関車の写真を出して見せた。琥珀が瞳美にアルバムを開いた状態で持たせた時に、1枚だけ別のページから写真の端っこがずれて、下に落ちかけていたのだ。そのため、魔法学校の建物を再現して見せる琥珀の魔法に連動して瞳美が無意識に機関車を再現する魔法を機関車の写真にかけてしまい、教室の中に機関車が出現してしまったのだ。
琥珀「写真集に挟んであったの。あの機関車、この絵でしょ?あなたは秘めた力を持ってると思う。でも今は、瞳美の魔法は少し迷子になってるみたいね。」
その後、琥珀は恥ずかしそうにぬいぐるみを両手で抱きしめながら、「ところで、さ…私、ど、どんな人と結婚してた…?」と恐る恐る尋ねた。「あぁ、おじいちゃんのこと…。」と瞳美が教えようとすると、「あーやっぱ良い!」と琥珀は両手を振り、瞳美の言葉を遮った。
琥珀「先のことは分からない方がワクワクするって、自分で言ったんだから!自分の未来のことは自分で決めるわ!」
瞳美「フフ…。おばあちゃんらしいね。」
琥珀「瞳美…、そろそろそのおばあちゃんっての止めてくれない?琥珀って呼んでー!」
2人の会話は楽しげな雰囲気へと変わっていた。

夜景の撮影会

琥珀が魔法で出現させた火の玉。

夜景の撮影会当日、瞳美と琥珀は一緒に学校に向かい、写真美術部の面々と正門前で合流した。琥珀は何故か大きな荷物を背負っており、荷物の大きさをからかわれた後、将から「琥珀さん、学校を壊さないで下さいね。」と注意を受けた。
将が懐中電灯を持って先頭を歩き、校舎の屋上へと続く階段の方へと廊下を進んでいく。
胡桃「おお…、良いね、夜の学校!」
葵「そういえばうちの学校、建て替え前は幽霊騒ぎがあったって。」
胡桃「えぇっ!?何何何!?」
将「旧校舎の屋上でしょ?結構見た奴いるって。」
胡桃「えー、屋上ー?」
あさぎ「部長、今日の撮影って…。」
将「屋上からの夜景…とか。」
胡桃とあさぎの顔は真っ青になった。
葵「けど、建て替え前の話だろ?」
将「昔、行方不明になった女子高生が霊になって、自分の居場所を伝えようとしてるんだとか。」
その時、行く手にある消火器に突然火の玉が出現し、胡桃は度肝を抜かされてしまった。しかし、他の部員は冷静に琥珀の方を振り返り、「ちょっ、琥珀ちゃん!」と魔法をかけて火の玉を出していた琥珀を諌めた。
琥珀「バレたか…。」
胡桃はすっかり怪談話に怖気づいてしまい、「私…屋上やめとく…。」と言い出した。撮影はどうするのかという話になり、胡桃は「みんなに任せても良いかな…?」とお願いするが、「でも、1人で残るなんて、余計に怖くないですか?」という言葉には納得して、どうしようかと考えた。将は千草に胡桃と一緒にいてやるようにと指示を出し、他の部員たちは屋上への階段を上がった。

屋上から見た夜景。

瞳美と琥珀は夜の夜景を眺めてポポッキー(ポッキーのようなお菓子のこと)を食べながら、みんなには聞こえないように話していた。
琥珀「この夜景、やっぱり良いよねぇ。戻ってきた時、そう思った。瞳美の時代はどんな?」
瞳美「同じだけど、ちょっと違う。違うけど、ちょっと同じ。」
琥珀「何それっ、フフ!」
撮影会が始まり、瞳美は手にカメラを持ったが、「出来るかな…?」と不安だった。そんな瞳美の様子を見て、将は瞳美にアドバイスをするために近寄った。
将「どう?やれそう?そのカメラ、旧モデルだし、夜景は手持ちだとブレやすいから、三脚使いな。」
そんな瞳美と将のやり取りを見て、あさぎは何故か複雑そうな表情を浮かべる。琥珀は突然あさぎの横からポポッキーを差し出し、「食べる?」と聞いた。あさぎはお礼を言って受け取り、琥珀が荷物から出した中身に目を落として驚いた。そこには大量のお菓子があったのだ。
琥珀が瞳美の大好物がポポッキーだとあさぎに教えると、それを聞いていた将は「そうなんだ、月白さん。」と瞳美に話しかけた。すると、「は、はい…。」「いえ、私ではなくて瞳美が…。」と瞳美と琥珀が同時に将の言葉に返事をしてしまって、将は「そっか、2人とも月白さんか。ちょっとややこしいな…。」と気づいて言った。
あさぎ「じゃあ、下の名前で呼んだらどうですか?」
将「え、いや…だけど…。」
琥珀「遠慮しなくて良いですよ!」
将は「じゃあ…ひ、瞳美と、琥珀で…。」と恥ずかしそうな顔をして、おずおずと口に出した。
葵「将、顔真っ赤になってる。」
将「だったらお前も呼んでみろよ!絶対照れるから!」
あさぎ「慣れれば平気ですよ。」
琥珀「どうぞ。」
葵は食べかけのポテトチップスを飲み込むと、「琥珀と…月白さん。」と言った。
将「何だよ、それ。」
琥珀「何で私だけ?」
葵「区別がつけば良いんだろう?」
あさぎ「それは…そうですけど…。」
瞳美は葵が下の名前で呼んでくれないことに、暗い表情を浮かべた。

神様から授かった力

階下に残った千草と胡桃。

一方、下の階に残った胡桃と千草は、玄関口から夜景を撮影しようとしていた。
胡桃「ああ、結構良いね、ここ。」
千草「えぇー?どこがだよー。夜景なんて全然見えないじゃん。屋上行こうよ。」
胡桃「やだ、絶対。」
千草「もしかして胡桃っち、怖いのを口実にして、2人きりになろうとしてる?」
胡桃「バカでしょ!?何であんたと!」
千草は「耳、撮っても良い?」と言いながら、胡桃が止める暇もなく胡桃の耳の写真を撮った。
胡桃「フェチが過ぎるのよ、あんたの写真。」
千草「えぇー!可愛いのにな。」
胡桃「褒めてんの?それともバカなの?」
千草「怖い話の続き、聞かせたくなった。」
胡桃「いやーっ!もう止めて!」
胡桃と千草のやり取りは相変わらず賑やかだ。

千草が撮った心霊写真。

心霊写真に写っていた幽霊の姿。

その頃、屋上では順調に撮影会が進んでいた。
将「今回は、夜の夜景と星を両方綺麗に収めたいんだ。題して、天の星座と地の星座。でも、光の強さが全然違うから、各々露光時間を変えなきゃいけない。」
ふと琥珀が下を見ると、会話が盛り上がっている胡桃と千草の姿が見えた。琥珀は2人が付き合ってると思い、「やーだー、早く言ってよー!」と口に手を当ててにやけながら呟いた。
葵はカメラの扱いにまだ慣れていない瞳美を気にかけて、撮影している瞳美に話しかけた。
葵「良い写真、撮れた?」
瞳美「えっと、こんな感じです。」
葵は瞳美のカメラを覗き込みながら、「雰囲気あるよね、モノクロって。」と瞳美に語りかけた。
瞳美「私にとっては、いつもと変わらないので…。良く分からないんですけど…。」
葵「モノクロ写真って、水墨画と同じで、色彩がない分見ている人のイメージが広がるような気がする。色が少ない方が、大事な物が良く分かるのかもしれない。」
瞳美は葵の言葉に少し嬉しさを感じながらも、「あの…新しい絵、楽しみにしてます。」としか言えなかった。
すると突然、階下に残っていたはずの胡桃と千草が、大声を上げながら屋上へ走ってきた。どうしたのかとみんなが驚いていると、胡桃と千草は大声で叫んだ。
胡桃「出た…!出たよガチな奴!」
千草「撮れちゃった!心霊写真!」
胡桃「やだやだやだ!」
将「見せてみろよ。」
千草は心霊写真を将に見せた。その写真の中には、宙に浮く布のような物を被った幽霊の姿がはっきりと写り込んでいたのだ。
胡桃「わ、私たちの目の前に!」
千草「これ、絶対霊だよ!間違いないって!空中をフワーっと…。」
将は目を細めて後ろを見やると、「あんな風に?」と2人に聞いた。他の部員たちが将の視線の先を追って後ろを見ると、そこには写真に移っていたのと同じ幽霊が浮かんでいた。
すると突然、幽霊が膨らみを失って萎れてしまい、幽霊の後ろから隠れていた琥珀が現れた。琥珀はいたずらが成功した子どものような笑顔を浮かべ、「これ、ハロウィンのおばけ!魔法のいたずらの定番なんだ!」と種明かしをした。
胡桃は「琥珀のいたずらかぁ…。」とホッとして身体の力が抜け、千草は「何だいたずらかぁ…。」と残念そうに呟いた。将は苦笑いをしながら「始末書だけは勘弁な。」を琥珀に注意するだけに留めた。
瞳美は琥珀に近寄り、小声で「おばあちゃん、やり過ぎじゃない?魔法のいたずらなんて…。」と囁いた。
琥珀「どうして?」
瞳美「好き勝手に魔法を使っちゃいけないって…。」
琥珀「みんなが楽しくなるなら、良いんじゃない?」
琥珀の思いがけない言葉に瞳美は驚き、琥珀は言葉を続けた。
琥珀「私は、みんなの笑顔が見たいの。魔法で、たくさんの幸せな笑顔を届けたい。せっかく神様から授かった力だもの。世界にお返ししなきゃね。」
瞳美「私は、そんな風に出来ない…。魔法は好きじゃないし…。」
琥珀「きっといつか好きになれる。だって瞳美は、私の孫でしょ?」
琥珀の断言に、瞳美は何も言い返すことが出来なかった。しかし、琥珀の言葉はその場にいたみんなに聞こえてしまっていて、「今、孫って言った…?」「どういうこと?」とみんなは不思議そうな表情を浮かべていた。
琥珀「この際だから話してみれば?」
瞳美が「でも…。」と躊躇っていると、琥珀は2078年の琥珀がしてくれたように琥珀を抱きしめ、「怖がらなくて良い。大丈夫、きっと受け止めてくれる。」と瞳美に言い聞かせた。琥珀が抱擁を解くと、瞳美は思い切って写真美術部の面々に向き合い、「わ、私…、未来から来たんです…。」と切り出した。
葵「え…?」
胡桃「未来?」
千草「本当に?」
将「未来って、何年くらい?」
瞳美「ろ、60年…。」
将「かなり大きい魔法だよね。」
琥珀はニッと歯を見せて笑い、「そう!私将来、そんな大魔法使いになっちゃうらしいんだ!」と自慢げに言った。
あさぎ「魔法って、そんなことまで出来るんですね。」
胡桃「うん、普通に転校したんだと思ってた。」
葵は物思いにふけった表情で、何も言わなかった。
将「けど、学校ではこのまま言わない方が良いんじゃないか?」
胡桃「そうだよね、周りの子が知ったらすっごい注目されちゃうかも。珍しいケースだし。」
千草「そうだよ。悪い連中が寄って来たりするかもしれないよ?」
胡桃「何よ、悪い連中って。」
千草「分かんないけど、巨大企業の研究施設ーとか、謎の秘密結社ーとか。」
胡桃「映画の見過ぎでしょ。」
何故かワクワクしている千草を、胡桃は冷たい目で見る。
将「というわけで、俺らは今まで通りで良いんだろう?」
瞳美「はい…。」
瞳美が未来から来た琥珀の孫だということは、意外とあっさり受け入れられた。

魔法を使って撮った夜景の撮影会の記念写真。

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