ドラゴン危機一発(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドラゴン危機一発』とは、1971年制作の香港映画。アメリカから香港に凱旋したブルース・リーがゴールデン・ハーベスト社と契約して主演した一連のカンフー映画の第1作目。香港では当時の映画興行記録を更新する大ヒットとなった。日本では大ヒット映画『燃えよドラゴン』の人気を受けて1974年に劇場公開された。 町の製氷工場で働く事になった田舎の青年が、その工場に麻薬犯罪がからんでいる事を知り、工場一味に戦いを挑む。

チェンが働くことになる製氷工場の工場長で、マイ社長の忠僕な部下。
工場内の出来事を常にマイ社長に報告している。表面的には人の良さそうな態度を取るが、氷の中の麻薬を目撃した従業員2人を殺させた張本人であり、裏の顔は非情で残虐な男である。

クオン(演:リー・クン)

シュウの家に暮らすチェンの従兄弟たちの兄貴分的存在の青年。
気さくな性格でムードメーカー。工場で働くようになったチェンの面倒を見たり、シュウが行方不明になった後は、仲間たちをまとめリーダー的な役割をしていた。

ウー・マン(演:マラリン)

タイの街の売春宿で商売する売春婦。
チェンが工場長に酒の席へ連れて行かれた際、彼に慣れない酒を飲ませ、酔いつぶれた彼と一夜を共にした。マイ社長の女中をしていた過去があり、再度チェンが訪ねてきた際には製氷工場の悪事を彼にバラしたことで、チェンの後を尾行して来たマイ社長の息子に殺される。

チェンの従兄弟の一人(演:ラム・チェンイン)

シュウやチャオ・メイと一緒に暮らすチェンの従兄弟たちの一人。
製氷工場で働き、兄貴格のクオンと一緒に行動していることが多い。

町の氷菓子屋の娘(演:ノラ・ミャオ)

映画の冒頭、タイにやって来たチェンが、一緒に来た叔父と2人で立ち寄った氷菓子屋の娘。
中盤で、行方不明のシュウを探しに街へ行ったチェンがこの店に立ち寄った際、再び登場した。

『ドラゴン危機一発』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「やりたければ俺が相手だ!」

行方不明になったシュウたちが帰ってくるまで、製氷工場の仕事をストライキすることに決めたクオンら下働きの者たち。そこで彼らは工場の現場監督たちとトラブルになり、社長の手下のヤクザたちも入り乱れての殴り合いが始まった。チェンは母との誓いでケンカに加わらず黙って見ていたが、たまたま向かってきた相手にペンダントを引き千切られた。チェンは怒りが爆発。母との誓いを破ってヤクザたちを蹴り倒すと、喧嘩を辞めさせようと双方の間に入り、相手に向かって放ったセリフ。

冒頭から誰に対しても穏やかで低姿勢だったチェンが、ペンダントを引き千切られたことで人が変わったように激しい怒りの表情を見せる。カンフーの達人、ブルース・リーならではの力強い名セリフとカンフー・アクションが最初に登場する名シーンとなっている。

割れたペンダント

故郷を旅立つ前に母から「絶対に喧嘩をしないように」と誓いを立てさせられ贈られた翡翠のペンダントを首に掛けていたチェンは、工場内でのいざこざでケンカに巻き込まれ、向かってきた相手にペンダントを引き千切られた。チェンは怒りが爆発し、母との誓いを破って相手のヤクザたちを蹴散らした。喧嘩が終わり、落ちたペンダントを見つけるとそれは翡翠が真っ二つに割れていた。

母との誓いを破ったことで、母の怒りが翡翠を割ったのだろうか。だが、そこからチェンの周りで恐ろしい出来事が起こり始めた。割れた翡翠はその警告であるかのような予感をさせる名シーンである。

「死んでもこの借りは返す!」

マイ社長の屋敷に連れ去られたチャオ・メイ以外、すべての仲間がマイ社長一味に殺されてしまった。チェンは流れる川を眺めながら考えた。「自分の身に何かあれば年老いた母は独りぼっちになる。だが殺された仲間たちのためにもこのまま帰るわけには行かない。」そう決断し、マイ社長への復讐心を込めて放ったセリフ。

年老いた母を独りぼっちにするわけにはいかないが、大切な仲間たちを見殺しにした連中を生かしておくわけにいかない。チェンの心の葛藤を彼のオフナレーションで見せる名シーンであり、彼の最大の怒りを表した名セリフでもある。

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@lamiaroonishij8

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