倒錯的な愛憎を描く衝撃的な映画まとめ!『コレクター』など

ここでは倒錯的な愛情や病的な偏執が生み出す悲喜劇を描いた映画をまとめた。セレブや芸能人から採取したウイルスに感染することに喜びを感じる人々を描いた『アンチヴァイラル』、蝶を集める男がある女性をコレクションする『コレクター』などを紹介している。

▼『アンチヴァイラル』

"息子クローネンバーグもやはり、異常で偏執的な愛情を描くのであった!"

ブランドン・クローネンバーグ監督・脚本、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、サラ・ガドン、マルコム・マクダウェルなど出演による2012年の作品。著名な人物から採取されたウィルスが商品になり、それをマニアが購入しては体内に注射するという異様なビジネスが流行っている近未来。ウィルスを売買する会社の技師である青年シドは、会社から無断で持ち出したウイルスを闇市場で売り捌いていた。そして彼自身も究極の美女であるハンナのウイルスを自身に投与するマニアだった。しかし、ハンナが未知のウィルスにより急死、彼も同じウィルスに感染していた。徐々に肉体的に精神的に疲弊していく彼の元に、謎の組織が接近してくる...。

www.antiviral.jp

シドが注射技師として勤める、ウィルスを売買する会社『ルーカス・クリニック』のイメージキャラクターに起用され、実際に彼女のウィルスが大人気となっている究極の美女、ハンナ・ガイストを演じるのは、サラ・ガドン。父クローネンバーグの最近の作品『危険なメソッド』『コズモポリス』にも出演、人間離れした究極の美貌の持ち主!

右がデヴィッド・クローネンバーグの長男、ブランドン・クローネンバーグ。この『アンチヴァイラル』は、彼にとっての長編デビュー作となる。左は主人公のシドを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。彼は『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のバンシー役で有名。

映画『アンチヴァイラル』予告編

「愛する人と繋がりたい」という思いは簡単に狂気になってしまうんだなあと思いました。だってあんなぶよぶよの肉さ、気持ち悪くて食べられないよ!

出典: cinesta.blog.fc2.com

この映画はラブストーリーだったんですね。おー、なかなかやるではないか。デビュー作でこれはすごい。

出典: curse.jp

お父さんの良いところを受け継ぎつつも、オリジナルなディストピアSFに仕上げていて、非常に好感が持てる映画でした

出典: ameblo.jp

▼『マニアック』

出典: blog.livedoor.jp

"マネキンを偏愛するマザコン猟奇殺人鬼をイライジャ・ウッドが演じる!"

あの1981年のオリジナル『マニアック』のリメイク作品。ジョー・スピネルが演じた変態中年男を、何とイライジャ・ウッドが演じる!時は現代のロサンゼルス。若い女性が惨殺され、頭皮を剥がされるという連続猟奇殺人が発生。マネキンの修復師フランクは、自堕落な母親から受けたトラウマにより、生身の女性では無く、自分が修復したマネキンに囲まれているときにだけ心の平安を感じていた。彼は女性を惨殺しては頭髪を剥ぎ取り、マネキンにかぶせては悦に入っているのだった...。

その主題はイイのですが、日本公開時には肝心な(?)残酷描写部分にモザイクを入れたため、モメにモメたのだった!果たして真意は?

出典: news.ameba.jp

あのフロド...もとい、イライジャ・ウッドが変態殺人鬼を演じるなんて!などと言うなかれ。そもそも、彼ってかなりのホラー映画マニアで、あの『シン・シティ』ではシリアルキラーを演じていたりするのだ!オリジナルは変態マザコン男の奇行が中心だったが、リメイク版では殺人者の報われない愛も描いているのだ!

出典: thefilmstage.com

←このイケメンは...?こんな所にも顔を出す素晴らしきホラー・オタク、『ハイテンション』『ヒルズ・ハヴ・アイズ』『ピラニア3D』など...フレンチ・ホラーの先鋭監督でリメイク大好きなアレクサンドル・アジャ氏。オリジナル版の監督ウィリアム・ラスティグと彼が製作で絡み、こちらもアジャ製作の『P2』でデビューしたフランク・カルフンが監督を務めている。さて、あの語り草になっているオリジナルの異常なラストはどうなっているのか?

『マニアック』予告編

残虐な一面だけでなく、自分を理解してくれると感じた女性との出会いに思いを募らせ、一方的な妄想にとらわれる男の悲しみと切なさに満ちた感情を表現するイラジャの演技には、海外メディアから絶賛の声が相次いだという。

出典: www.cinematoday.jp

オリジナルの狂気のエッセンスは残しつつ一人称視点だったりノワール調の雰囲気だったり新たなものを取り入れて上手く昇華させることができていて素晴らしい作品だと思います。

出典: ikandesho.blog.fc2.com

なによりも痛いのは、血祭りの果てにそれでも望むものを得ることのできないフランクの切なさ。スプラッターを見にきたつもりだったのに、不覚にも泣けてくるほどだった。

出典: kataha-survival.blogspot.jp

▽『マニアック』のオリジナル版はこちら

出典: blog.livedoor.jp

”妄想マザコン変態中年男が行った、驚愕の偏執的愛情は悲劇しか生まない!”

ウィリアム・ラスティグ監督、ジョー・スピネル主演による1981年の作品。特殊メイクと頭フっ飛ばされ役を担当したのはトム・サヴィーニ。母親への激しいコンプレックスを持ったマザコン変質者の中年男が主人公。夜な夜な娼婦を買い、女たちの頭から髪を剥ぎ取り、タイツとレオタードをマネキンに着せ、頭に剥ぎとった髪をクギで打ち付けるという変態ぶり。彼の満たされない欲望は次第に膨らんでいき、狂気の妄想と脅迫観念により暴走するが、アッと驚く出来事により自滅していくのだった...。

ラストのアッと驚く悪夢の様な出来事にはホラー・マニアも流石にビックリだが、更に最後の最後のシーンの意味不明さも素敵だったぞ!

とにかく、スピネルが怪演した変態中年男の行動、感情全てが恐るべき存在感を持ち、気持ち悪い。何と言っても暑苦しさは特筆モノだ!彼は「ゴッドファーザー」「タクシードライバー」や「ロッキー」の脇役で知られる人。今作は彼が企画して脚本を書いた渾身の作品、凄まじい演技も頷ける!しかし、今作の続編を企画していた矢先の1989年に急死している...合掌。

okazoodd
okazoodd
@okazoodd

目次 - Contents