トクサツガガガ(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『トクサツガガガ』とは、丹羽庭により描かれた日本の漫画である。特撮オタクな会社員・仲村叶が特撮嫌いな母親に自分の趣味をどう隠すか、カミングアウトするのか、を軸に他の仲間とのオタクライフを描いている。仲村たちが関わっていく作中作も魅力的なのが見どころのひとつ。今まで着目されがちな漫画・アニメ系ではなく、特撮という新しいジャンルに注目している。
『トクサツガガガ』の概要
『トクサツガガガ』とは、2014年から小学館刊行のビッグコミックスピリッツにて連載されている漫画作品。日本の漫画家・丹羽庭によって描かれている。今までは漫画・アニメ・ゲーム系のオタクが漫画のテーマとして注目されがちだったが、作者自信が特撮好きということで、隠れ特撮オタクの心理を細かく描いている作品となった。
作品の題名はそのまま「特撮」の「トクサツ」と、英語の「GAGA(夢中の、熱狂的な)」に、なんだか効果音のようだという理由で、もうひとつ「ガ」をつけて「ガガガ」になった。
小さいころ誰もが見ていたような戦隊ものから、最近リブートされ始めた怪獣映画まで、「特撮」というジャンルに入るものがオマージュされた作中作が色々出てくる。主人公の仲村叶は「○○レンジャー」のような戦隊ものが最も好きなので、作中にも頻繁に戦隊ヒーローの名前が登場する。作中作としては戦隊ヒーローの「ジュウショウワン」、ロボット戦士の「エマージェイソン」、怪獣「ダゴン」などが頻出。
特撮女子というニッチな題材ではあるが、「このマンガがすごい!2016」ではオトコ編で第17位を獲得した。本作は主人公・仲村が特撮を楽しんでいる特撮ファンあるあると、特撮によって学んだ教訓などを生かして物事に対処していく様子が描かれている。
『トクサツガガガ』のあらすじ・ストーリー
27歳のOLである仲村叶は、実は隠れ特撮オタク。特撮番組のDVDやBlu-rayを買うために自炊して節約したり、ガチャガチャを当てるために自転車で走り回っている行動が、何故か職場では高い女子力(料理、サイクリング)として認識されている。小さなころから特撮好きだった仲村だが、仲村の母親は正反対に女の子らしいものが好き。特撮好きな仲村に対し可愛いものを強要しており、その影響から仲村は特撮を封印し、高校の頃には特撮から離れていた。しかし高校卒業間近のある日、仲村はレンタルビデオ屋の閉店セールで、小さいころ見ていた特撮番組「エマージェイソン」の最終話収録のビデオを店主からプレゼントされる。これをきっかけに特撮の世界へ引き戻された仲村は、一人暮らしなのを良いことにどんどん特撮好きが加速していったのだった。
社会人になっても隠れ特撮オタクを続けていた仲村だったが、ある日ヒーローイベントで吉田さんという特撮女子と出会う。仲村は同じ趣味の女性と友達になったことで行動の範囲が増え、今まで敬遠していたヒーローショーにも2人でちょくちょく出かけるようになった。吉田さんは仲村と出会ったヒーローショーで特撮を卒業しようとしていたため、彼女にとっても仲村は自分を特撮に引き留めてくれる存在だった。
同時期にダミアン(戦隊ヒーロー・ジュウショウワンが好きな小学生)と同じガチャガチャを回していたことが縁で友達になっており、彼は大人なのに特撮の話に真剣に乗ってくれる仲村と度々遊ぶようになる。その後、食玩をよく買いに行く駄菓子屋の息子である任侠さんが、女児向けアニメ・ラブキュートが好きなことが判明して彼も仲村と友達になったのだった。
会社では中途採用でディープなアイドルファンの北代さんが入社。最初北代さんは自信がアイドルファンであることを隠すために他人を遠ざけていたが、仲村が怯えながらも北代さんに歩み寄ったことで彼女の心を溶かすことに成功した。自分の発言により北代さんが会社に居づらくなってしまったことから北代さんと少し距離を置いていた友人のみやびさんは、仲村や吉田さんが仲直りの場をセッティングしたことでまた北代さんとアイドルの追っかけをすることができるようになった。このカラオケ会の開催は仲村たちにとってはカラオケで特撮ソング(セリフや歌詞被りが多いので歌うのに人数が必要)を歌いたいという下心があってのことであり、結果的に任侠さんもカラオケ屋の店員・窪田くんというラブキュート仲間を手に入れた。
こうして様々なジャンルのファンと友達になった仲村は、徐々に趣味に対する引け目も薄れてきた。そしてひた隠しにしていた趣味を堂々と楽しむために、母親に自分の趣味を認めてもらおうと頑張ってみようかと考え始める。三十路で自分の趣味に生きる吉田さんや北代さんと色々話すことで、特撮オタクだって恥ずかしくないと思えるようになったのだ。今までは母親の意見に真っ向から対立してイライラすることが多かったのだが、吉田さんなどの周りのアドバイスも受けて母親の主張を受け流したりすることもできるようになってきた。徐々に心の余裕が出てきた仲村はついにカミングアウトを決断する。
しかし過去にも自分の意見を主張しようとして失敗していたため、仲村はカミングアウトをしそびれていたが、年末に合わせていきなり部屋に来た母親に隠し忘れたヒーローグッズを発見されてしまう。母親に一方的に趣味をけなされて切れた仲村は、母親と喧嘩してしまった。
同時期に、吉田さんに片思いをしているダミアンに、仲村は吉田さんに彼氏がいることをばらしてしまった。友達と中学校が離れてしまうことと、吉田さんのこととで落ち込んでしまった彼に、仲村は遊園地の券と一緒に励ましのメッセージを送ったのだった。
その後、周りに後押しされ、一度は絶縁も考えた母親と再びしっかりと話をしようと思った仲村は連休を利用して関西に帰省することを決める。その帰省に、吉田さんと北代さんがついて来てくれると提案してくれたことで小旅行が決定した。
『トクサツガガガ』の登場人物・キャラクター
主要人物(主人公とオタク仲間)
仲村叶(なかむら かの)
主人公。連載開始時は26歳だったが、作中で27歳の誕生日を迎えた隠れ特撮オタクのOL。小さいころに見ていた「エマージェイソン」が特撮好きの原点。現在は「ジュウショウワン」という獣モチーフの戦隊ヒーローにドはまり中である。推しヒーローはシシレオー。特撮グッズを買うために節約しているのだが、そのための自炊や自転車移動などは職場では女子力の高い行動と評されている。仲村的には「女死力」がたぎっているとのこと。集めている特撮グッズはDVDやフィギュア、ガチャガチャが主で、厳選してたまに児童向けのおもちゃ(合体ロボなど)も買う。
母親に小さいころから女の子らしさを強要されてきており、幼いころに隠し持っていた児童向け雑誌の「てれびくん」を燃やされたことがトラウマになっている。
吉田久美(よしだ ひさみ)
仲村が通勤電車内で見かけたSF映画、特撮オタク。偶然同じヒーローショーを観劇していたときに友達になった。「ジュウショウワン」の推しヒーローはトライガー。特撮にはまり始めたのは子供のころに怪獣映画のスピンオフである「ダゴンくん」を見たから。カメラが趣味で、ゴツい一眼レフカメラを駆使してショーの写真を撮りまくっている。最近は真剣に写真を仕事にしようと頑張っていて、会社に務めつつ写真の学校にも通っている。映画にしろ、ヒーローにしろ、やや残念なものを愛でる傾向があり、仲村に「ダメ男にひっかかりそう」と心配されていた。撮影のバイトで知り合った彼氏がいる。実は子供が苦手で、田宮くんにもどう接してよいか分からない。
実家に住んでいて、母親と祖母と3人暮らし。父親や祖父が早逝しているため、母親は特に結婚などに対してはとやかく言わないとのこと。家族は彼女の特撮オタクぶりを理解していて、家のいたるところにフィギュアがおいてある様子。
北代さん
仲村のいる会社に中途採用された女性で、クールな性格。実は「ビーボーイズ」という地方アイドルのファン(ファンの通称はハニーさん)で、イベントなどに足しげく通っている。前の会社でオタばれをしたことが原因で居づらくなり退職したため、今の職場では最初人と関わらないようにしていた。名古屋に住んでいる大学生のみやびさんと仲良しで、二人でコンサートやイベントによく出かける。年齢は吉田さんと同じくらいではあるが、二人ともはっきりとは年齢を教えてくれない。
弟がいる。北代さんによれば、この弟が彼女がアイドルオタクということを家族にばらしてしまった様子。
みやびさん
名古屋の女子大生で、地方アイドルのビーボーイズファン。北代さんの前の職場の同僚にアイドルオタクということを悪意なくばらしてしまった経緯から、北代さんと疎遠になっていたが、仲村が北代さんに歩み寄ったことで仲直りの機会を得た。
大学ではダンス部に所属しており、天真爛漫な性格。仲村、吉田、北代との四人で遊ぶのをとても楽しんでいるが、就職すると今みたいに遊べなくなってしまうことを少し寂しく思っている。毎年アイドル風のネタ写真を撮影し、身内の暑中見舞いに送っている。
実はみやびはアカウント名であり、名字は宮根。
松本まさあき/任侠さん
駄菓子屋の息子。母親と二人で店を切り盛りしている。顔が怖いので仲村から「任侠さん」と呼ばれているが実はまだ20歳の若者。「ラブキュート」という女児向けアニメのシリーズが好きで、小学生のころからずっと見ている。ラブキュートは二人組のヒーローなのだが、最も好きなのはティアールという泣き虫の方。性格は真面目で怖がり。子供向けの怖い話でも聞きたくない位怪談話が嫌いである。最近同じくラブキュートファンであることが判明したカラオケ屋の店員・窪田くんと友達になった。
窪田くん
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目次 - Contents
- 『トクサツガガガ』の概要
- 『トクサツガガガ』のあらすじ・ストーリー
- 『トクサツガガガ』の登場人物・キャラクター
- 主要人物(主人公とオタク仲間)
- 仲村叶(なかむら かの)
- 吉田久美(よしだ ひさみ)
- 北代さん
- みやびさん
- 松本まさあき/任侠さん
- 窪田くん
- 吉田さんの彼氏
- 田宮拓(たみや たく)/ダミアン
- 仲村の同僚
- 小野田くん
- 白石さん
- 藤井さん
- 川島くん
- ユキちゃん
- ミカちゃん
- 主要人物の家族
- 仲村母
- 仲村望(なかむら のぞむ)
- ちさと
- タカさん
- まさあきの母
- その他の登場人物
- 老夫婦
- インド人(実はネパール人)
- 高橋
- 「おもちゃのゆめの」店主
- 野村さん
- カナちゃん
- じいばあ
- 『トクサツガガガ』の用語
- 救急機エマージェイソン
- 獅風怒闘 ジュウショウワン(獣将王)
- シシレオー/ショウ
- トライガー/ゴウ
- チェルダ/リン
- セロトル
- 狼将軍ゲンカ
- ゲンカ将軍の部下
- ダゴン
- 絡繰忍者 雷伝
- 異星探査ストレンジャーV(ファイブ)
- マジカライザー
- 南十字軍サザンクラウザー
- 現代妖怪血風録白狐丸
- ウラノガッコウ
- 惑星O(オー)
- ファイブレイバー
- ビーボーイズ(Bee Boys)
- Chig-Hug LOVECUTE(ラブキュート)
- 探求探索シラベルーパー、4フォース、ディフェンダー、ソールマン
- 『トクサツガガガ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 自分が苦しいことは、弱い者を見捨てていい理由にはならない!
- 大人になって大切なことは、全部小さなうちに(特撮から)習う
- やめようって思ってやめられる人間だったら、とっくの昔にこんなことやめてるから…
- でも、忘れても、みんなを好きな気持ちは、なくなるわけじゃないんだよ
- 隠してようが黙ってようが恥てようが詳しくなかろうが、好きと思ったら好きになる権利があるんや
- 過酷な状況も悩みも、好きの気持ちだけが支えている。一声もらすことも、ワガママならば、そんな苦しい世界を、どうやって好きでい続けられるんだろう
- 大事とあれだけうそぶきながら、大事にしてあげられなかった苦い教訓を、どうして思い出せないのか
- 『トクサツガガガ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者の丹羽庭は、自身も特撮ファン。
- カブトウンとアガタの名前