あまんちゅ!(Amanchu!)のネタバレ解説・考察まとめ

『あまんちゅ!』とは、天野こずえによる漫画作品、及びアニメシリーズ。
2016年と2018年の2度アニメ化した際には、舞台である静岡県伊東市を中心に大きな盛り上がりを見せた。
登場人物が所属する静岡県立夢ヶ丘高校ダイビング部の日常を描いた作品であるが「日常ときどきダイビング。」というキャッチコピーのようにメインは日常であり、ダイビングに対する知識がなくても日常作品として楽しめる。
勿論、ダイビングに関する知識や楽しさ、そして恐さも作中で描かれておりダイビング漫画としても評価が高い。

ダイビングに於いて必要不可欠な、バディ(友人、相棒)という言葉の通りお互いの命を預け合う存在。

作中でも双葉が慣れないドライスーツの操作を誤って急浮上しところを光によって助けられるエピソードがあるが、一歩間違えたら死が待っているダイビングは決して一人で行ってはならず、必ずバディの存在が必要となる。(明確に描かれていないが、ダイビングで急浮上してしまうと、最悪の場合減圧症で死亡事故に発展する可能性がある。アニメオリジナルで、光が助けてくれなかったら自分はどうなっていたかと双葉が問う場面があるが、それに対し誰も答えず話題を逸らしたところがより「リアルな死の恐怖」を感じさせる)

ダイビングに限らずバディとして連携を深めともに成長する双葉と光の関係も『あまんちゅ!』の見どころであり、第2期OPのカットで黒板に書かれた"We are BUDDY!"は彼女達の関係を表現するのに最も相応しい言葉である。

ぽこてん3号くん

真斗の愛車の『CUBE』で、部員達の足代わりとして活躍する。

両親不在で弟と二人暮らしという特殊な家庭環境で育った事によって真斗が面倒見のいい性格になった事もあるが、新車を乗り回したいという気持ちも強いようで、双葉へのプレゼント選びの際、寄り道を提案して光達から即座に却下された事もある。

また、ダイビングが体力を使うスポーツである事もあって帰り道に部員が車内で爆睡する中、真斗が一人だけ起きて黙々と運転するというオチのある回もあった。

デジタルフォトフレーム

携帯電話で写真を撮影していたメモリの容量が一杯になり、どうしても写真を消すのが嫌だった双葉のためにダイビング部員が贈ったプレゼント。

双葉にとって写真は単なるデータなどではなく自身の思い出を残した大切な宝箱であり、それを消す事は死刑宣告に等しい行為だった。

写真を消す事の出来ない双葉の様子を見たダイビング部員によってプレゼントされたのがデジタルフォトフレームであり、双葉がこだわっていたランダム表示で双葉がいつでも大切な思い出に出会えるようになっている。

また、アニメのオリジナルシーンで双葉の家に泊まったちずるがデジタルフォトフレームに入っていた自分達の写真を見て嬉しそうな顔をするが、次に出て来たダイビング部のメンバーと一緒に撮った写真を見て悲しそうな表情を浮かべるのも見逃せないポイントである。

海女人屋(あまんちゅや)

きのが経営している海の家。

ダイビングの機材貸し出しなどダイビングサービスも行っており、ダイビングから戻って来たダイバー達をきのお手製のトン汁が出迎えてくれる。

気になるトン汁の味だが、ばーちゃんのトン汁を大好物として公言する光が子供のはトン汁になりたいと語っていたほど絶品のようで、当然ながら客からの人気も高い。

あまんちゅ!

この作品のタイトルではなく「大勢の人にダイビングに興味を持って欲しい」という双葉の発案で作成された夢ヶ丘高校ダイビング部公式ホームページ。
サイト名の由来だが、言い出しっぺである双葉が海の世界に興味を持ち、自分の人生を変えるきっかけになったきのの店(海女人屋)にちなんで名付けられた。

アプリの連携は誠、ページのデザインはことり、こだまの後輩コンビ、アイコンなどサイトで使われているイラストは光と愛、写真は双葉とダイビング部員それぞれの得意分野を活かして運営されており、茜とちずるもサイトの常連訪問者。

ちずるの感想によると「お洒落な作り(デザイン)で見やすい」と好評で、アクセス数も増えており双葉が期待していた以上の結果を得ている模様。

また、光の話によると双葉が撮っている海の写真が最も評判がいいとの事である。

永遠の国(ネバーランド)

ピーター編の舞台となる、赤ん坊の永遠野守が作った夢の世界。

真斗がピーター本人から聞いた話によると、母親の育児ノイローゼによって一時的に神社に置き去りにされた守が見ていた夢を、傍にやって来た不思議な黒猫、ケット・シーの力によって作られた。

やがて「永遠の国」に、自らの時間を止めたいと願う様々な時代の者が夢を通じ「迷い人」として現れるようになり、彼らから聞いた情報や記憶、経験などを自身の成長の糧とし、赤ん坊だった彼はいつしか高校生の姿になっていた。
そして、神社の周りだけだった「永遠の国」は、赤ん坊の意志によって広がっていったが、夢から覚めた人間が増え続けた事によって「永遠の国」は縮小を続けており、この世界を存続させるためにピーターが関係ない人間を巻き込んで「永遠の国」に連れ込んでいた事を真斗と愛は知る。

しかし、世界の縮小は止められず「夢の国」は水没寸前となり、愛と真斗は戻れなくなる前にそれぞれ元の世界に送り返される。
愛は目が覚める寸前に自称「夢のプロフェッショナル」である双葉の「完全に目が覚める前なら大丈夫」という言葉を思い出し、根性で「永遠の国」に戻り、ピーターに対して一緒に目を覚まそうと説得する。

そして、愛の説得に応じたピーターは「永遠の国」から目を覚ます事を決意し、この世界を作ったケット・シーとも別れを告げ、夢の世界は消滅した。

『あまんちゅ!』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

大木双葉「心の わくわく上昇気流が私の身体を宙へ放り上げた」

光に巻き込まれる形でダイビング部の部室に入った双葉だが、備品であるスーツを無断で使用し、しかもスーツを着てプールに飛び込むなどやりたい放題な光の行動に終始振り回されていた。

そして、双葉も心の底から今を楽しむ光のペースに乗せられるようにプールに飛び込み、めでたく共犯者となるのであった。

この一件によって双葉も水の世界に興味を持ち、ダイビング部に入部するきっかけの一つなるが、この時の二人の行動が部長である二宮愛を激怒させ、後の大木双葉ジャージ半脱ぎ土下座事件へと発展するとは知る由もなかった。

二宮愛「だから誠もがんばっていい男になりなさいよ!」

ある日の放課後、部活に向かう愛が下駄箱を開けると中に手紙が入っている事に気付き、それを誠も目撃する。

部活の基礎メニューであるランニングを抜け出して早速差出人のところに向かう二人は差出人が野球部員である事を確認すると、ラブレターではないかと盛り上がる。
しかし、手紙を読むと確かにラブレターではあったが、差出人の野球部員が手紙を出した相手は愛ではなく、二宮愛の一つ下の下駄箱の女子という初歩的すぎるミスだった。

無駄に盛り上がってから人違いが発覚というありがちなオチだが、誠は人違いに腹を立てた愛の怒りが自分に向けられる事を恐れる。

だが、愛は宛名しか読んでおらず中身は読んでいないと話し、頑張っている奴を見るとつい嬉しくなってしまう、そして自分に頑張らなきゃと思わせてくれるパワーをくれる人に感謝していると告げる。

基本的に弟以外の人間には優しく、部長として面倒見もいい「姉ちゃん先輩」らしいエピソードと名言だが、誠に向けた「がんばっていい男になりなさいよ!」という言葉を受けて「…姉さんもな」と返した誠を即座に蹴るという、これまた「らしい」オチで締めてくれた。

理由もなく何かがあれば弟を蹴る双子の姉と、理由もなく姉から蹴られる弟の二宮姉弟だが、決して仲が悪い訳ではなくお互いに大事に思い合っている事を示すエピソードである。

小日向光「私は頭のメモリー容量が限られているんですっ だから幸せになることしか使えませんしそのためならどんな労力も惜しみません!」

梅雨は雨が続いて憂鬱な季節だが、日常を楽しむ天才の光は自分なりの梅雨を楽しみ方を見付けていた。

ある雨の日、いつも帰る方向とは違う方向に向かう光が気になった真斗は、光の後を追って一緒に電車に乗り込む。
そして、真斗と光の目に飛び込んだのは車窓から見える美しい紫陽花だった。

時間にしてほんの数秒、この一瞬のためだけにわざわざ電車に乗ってここまでやって来た光に呆れる一方で、真斗はちょっとした事でも楽しめる光の性格を羨ましいとも思っていた。

光の行動と考え方は「楽しい」を最優先にしており、言葉に出すのとは違って簡単ではない、どんな時でも笑顔で物事を楽しむという事が出来る人間である。

実際に光のように楽しいと幸せを優先した考え方が出来る人間は一握りだが、どんな時でも楽しく、幸せを目指す光の魅力が最も分かる名言である。

姫野ちずる「言われなくても来てやるわよ それまで「てこ」をよろしくね!」

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