ハッピーシュガーライフ(ハピシュガ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハッピーシュガーライフ』とは、鍵空とみやきによる漫画。『月刊ガンガンJOKER』で連載され、2018年にはTVアニメも放送始された。高校1年生の松阪さとうは、家族に関する記憶を失っている少女・神戸しおと共に暮らしている。しかし実はしおはさらってきた子で、さらに2人が暮らす部屋の元の住人を殺害しているなど、さとうは他人に言えない秘密を幾つも抱えていた。猟奇的な一面を持つさとうを中心に、それぞれ歪んだ愛を持つキャラクター達が織りなす純愛サイコホラーである。

日夜しおを探し回っていたあさひは、ある日しょうこに出会うが、彼女の目の前で突如卒倒してしまう。それ以来、しょうこは夜な夜なあさひに食べ物を渡すようになり、あさひもそんな彼女に少しずつ心を開いていった。

「しおは、俺達の月だ。この世界で唯一の、かけがえのない……」は、しおに関するチラシを手に取ったしょうこが「この子何なの?」と尋ねた際、あさひが月を見上げながら発した言葉。「俺達」とはあさひ及び母親のゆうなのことであり、悲惨な人生を送っていた両者にとって、しおが唯一の希望であることを示している。

さとうの叔母「どんな欲望でも、全部飲み込んであげるから。だってそれが、愛だから」

さとうの幼い頃から、叔母は見知らぬ男性をたびたび部屋に上げていた。「どんな欲望でも、全部飲み込んであげるから。だってそれが、愛だから」は愛に関する自らの信念であり、暴力でも性行為でも何でも受け入れていた。さとうは叔母のもとを離れて以降も、時々この言葉を思い出しては、不快な表情を浮かべている。

「皆を愛する」「何をされても良い」という叔母の考え方を全く理解出来なかったさとうは、のちに「1人(しお)だけを愛する」「何をしても良い」という、叔母とは真逆の愛に目覚めることとなった。

松坂さとう「私初めてなの、誰かのためにここまでしたの。満たされることなんかない、って思ってた。でもやっと見つけた……私分かったの、この感情の名前をなんて言うか。ありがとう、お兄さん」

男性画家のもとで絵のモデルをしていたさとうはある日、意識を失ったしおを抱えて画家の部屋を訪れる。すると、さとうの居ない間に画家がしおの首を絞めようとしたため、それに気づいたさとうが彼を背後からイーゼルで撲殺した。

「私初めてなの、誰かのためにここまでしたの。満たされることなんかない、って思ってた。でもやっと見つけた……私分かったの、この感情の名前をなんて言うか。ありがとう、お兄さん」は画家の遺体を解体したさとうが、その遺体に向かって語った感謝の言葉。長い間「愛」を知らなかったさとうは、愛する人のために行動することの喜びを、殺人という最悪の方法によって知ってしまった。これが「愛のためなら、何をしても許される」という、さとうのポリシーの原点である。

飛騨しょうこ「例え悪魔でも、私はアンタのことが大好きだから。私がアンタを、光のもとに連れ戻すから! さとう!」

さとうを「大好きな親友」と位置づけるしょうこは、さとうによるしおの誘拐疑惑を太陽に聞かされて以降、ずっと真相を追い求めてきた。さとうの家「305号室」で叔母を紹介された時、しょうこは部屋の異様な雰囲気や叔母の異常な言動に恐怖し、1度はさとうに目を背けてしまう。それでもあさひに勇気づけられたしょうこは後日、さとうが今住んでいる本当の部屋番号を叔母から聞き出し、ついにさとうとしおが一緒に居る場面を捉えるのだった。

「例え悪魔でも、私はアンタのことが大好きだから。私がアンタを、光のもとに連れ戻すから! さとう!」はしょうこがさとうに、しおを解放するよう説得する中で発した言葉。さとうの誘拐行為が事実だと判明した上、しょうこはさとうに「その他大勢と変わりない」などと言い捨てられてしまう。それでもしょうこはさとうの親友として、最期まで彼女に寄り添おうとしていた。

神戸しお「死ぬ時は、共犯者で居させて?」

しょうこを殺害後、寝込んでしまったさとうに代わり、しおは家の掃除に取り掛かる。そしてさとうが目覚めるまでの間に、家族に関する記憶を次々に思い出していった。それでもさとうと協力して今の生活を守りたいと願うしおだったが、当のさとうは「何もしなくていいんだよ」などと言い、一切しおを頼るつもりがない様子。そのためしおは1度さとうを突き放した後、「守られるだけじゃ嫌だ」ということを彼女に伝えた。

「死ぬ時は、共犯者で居させて?」は、さとうと共に戦うことを決めたしおが、その決意表明の最後に語った言葉。無知で純粋な子供だったしおが、誰かを愛する1人の女性になった瞬間だった。

松坂さとう「叔母さんは皆を愛する、皆同じで1番がない……私はそれを愛とは呼べない。今ならはっきりとそう言える……叔母さん、あなたの愛は間違ってる」

殺人の証拠を消してしおと2人で逃亡するため、さとうは叔母に協力を要請。過去に305号室を訪れた男性の中には殺人者もおり、叔母はその時と同じようにさとうのことも愛すると言うが、さとうはそんな叔母の愛を真っ向から否定した。

さとうは愛を貫くために何でもしてきたものの、事あるごとに叔母の語る「愛」を思い出し、苛まれていた。しかししおが「2人で戦おう」と言ってくれたことで、さとうは自身の愛に確固たる自信を持つ。「叔母さんは皆を愛する、皆同じで1番がない……私はそれを愛とは呼べない。今ならはっきりとそう言える……叔母さん、あなたの愛は間違ってる」はそんな自信の表れである。

神戸しお「お母さんに伝えて。私を不幸から解き放ってくれて、ありがとうって。だから……私は私のために生きる!」

ゆうなに捨てられたことを根に持つしおに対し、あさひはその時のゆうなの心情を伝えると共に、家族を苦しめた父親がゆうなの手によって殺されたことを告白。彼女の一連の行動は家族を守るためだったとし、あさひは自分と一緒に帰るようしおを説得した。

「お母さんに伝えて。私を不幸から解き放ってくれて、ありがとうって。だから……私は私のために生きる!」はゆうなの真意を知ってもなお、さとうと居る決意を曲げなかったしおが発した言葉。この後しおはさとうと共にマンションの屋上から飛び降り、さとうに庇われる形で自分だけ一命を取り留める。そして家族のもとへ戻ってきたものの、しおの心は完全にさとうへの愛で埋まっているのだった。

『ハッピーシュガーライフ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作より先にアニメが完結

1話の冒頭シーン

12話のラストシーン

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