Spiritpact(スピリットパクト)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Spiritpact』とは、瓶子(Pingzi)による中国のウェブ漫画作品、アニメ。
原作は『灵契』、ウェブ漫画サイト騰訊動漫(テンセント動漫)に掲載中。
霊が存在するファンタジー世界で、今を懸命に生きる二人の青年のロマンチックな強い絆を見事に描いた作品。
貧しい占い師の楊敬華は、交通事故で霊になってしまい、自らの命を削り天地のバランスを保つ陽冥司の端木煕から守護霊である影霊にならないかと誘われ契約を交わす。
影霊となった楊敬華と端木煕は、力を合わせて悪霊や端木内部の反乱に立ち向かう。

『Spiritpact』の概要

『Spiritpact(スピリットパクト)』とは、涙あり笑いありのBLテイストの中国ファンタジーアニメである。
日本では、第一期(全10話)が2017年1月から、第二期(全12話)『SPIRITPACT-黄泉の契り-』が2018年2月からアニメ放送された。
瓶子が描くウェブ漫画『灵契』(りんき)が原作で、中国のウェブ漫画サイト「テンセントアニメ」で連載している。
日本でも人気のテンセント社が手がけるアニメには、「霊剣山」や「一人之下 the outcast」などがある。
占いとパソコン修理を生業(なりわい)としていた楊敬華(よう けいか)は、ある日交通事故に遭い霊になってしまう。
その場に居合わせた、陽冥司(ようめいし)の家元である端木煕(たんもく き)から、守護霊として影霊(えいれい)になるように誘われ、契約を交わす。
影霊となった楊敬華とイケメン陽冥司の端木煕は、悪霊などとの戦いや多くの困難を乗り越え強い絆で結ばれていく。

『Spiritpact』のあらすじ・ストーリー

第一期

亡くなった人の霊は七日後にこの世から消滅してしまうか、七日を過ぎても消滅しないと悪霊化して人間界で災いをもたらす。
身寄りのない貧乏な占い師の青年・楊敬華(よう けいか)は、悪霊と戦うイケメン陽冥司(ようめいし)の端木煕(たんもく き)を目撃する。
その後、楊敬華はトラック事故に巻き込まれ、一番輝いていた14歳の頃の姿の霊になってしまう。
そこに再び端木煕が現れ、自分の守護霊である影霊(えいれい)にならないかと楊敬華に誘いをかける。
初めは端木煕の影霊になることを拒んでいた楊敬華であったが、自らも悪霊との戦いに巻き込まれ、陽冥司と影霊の魂をリンクする鎖霊リングを端木煕から渡され指にはめて影霊の契約を交わす。
影霊となった楊敬華の初仕事は、端木煕と一緒に空港に向かい、端木煕の婚約者である秦詩瑤(しん しよう)をホテルの部屋へ送り届けることであった。
端木煕がどこかへ行っている間に、楊敬華は秦詩瑤のホテルの部屋を訪ね、容姿端麗の見た目とは異なる秦詩瑤の本来のやんちゃで自由奔放な姿を垣間見る。
秦詩瑤は端木煕に愛してもらおうと必死に女を磨く努力をしているが、その想いは報われず切ない片想いのままだ。
それに比べ楊敬華が影霊として端木煕に望まれているという妬みから、秦詩瑤は心の闇を作り悪霊に取り憑かれてしまう。
悪霊に取り憑かれた秦詩瑤は楊敬華に襲い掛かるが、ホテルに戻ってきた端木煕と楊敬華によって救われる。
楊敬華を連れて端木家へ戻った端木煕であったが、陽冥司の座を狙っている親戚の端木寺芸(たんもく じうん)や見習い使用人の司徒律(しと りつ)は楊敬華を歓迎せず、祖母のみが涙して歓迎した。
端木家の人間関係は複雑で、従業員のみならず親族までも陽冥司の能力のみを必要としており端木煕の人間性を評価せず、表面上の冷たい態度で端木煕に接している。
楊敬華が端木家に来て間もなく、楊敬華は妖怪の寅哲(いんてつ)と花羽(かう)の攻撃を受けるが端木煕によって助けられる。
ある日、楊敬華は、宝剣である落月剣(らくげつけん)を司徒律と一緒に納めに行くことになった。
司徒律は、幼い頃から端木煕と比べ容姿や能力が劣っていることを逆恨みして端木煕に強い敵対心を持っていた。
端木煕の生年月日を悪用して呪いをかけることができるため、司徒律は楊敬華を脅して端木煕の生年月日を聞きだそうとする。
反抗する楊敬華は司徒律に魂を消されそうになるが落月剣を手に取り応戦し、駆けつけた端木煕とともに司徒律を退ける。
しばらくして、年の決まった日時にしか行われない最も大事な祭祀式の日がやってきた。
祭祀式は、端木煕が自らの命を削って祈りを捧げて天地を供養する儀式で、それにより天地のバランスが保たれすべての霊が安らぎを感じることができるのである。
陽冥司として祭祀に取り組む端木煕の前に司徒家が現れ、楊敬華が司徒律に襲われたときに当主しか使用が許されていない落月剣を使ったが処罰されていないことに対して「当主は本当にやましいことは一つもないか」と疑念を投げかける。
端木煕は楊敬華に落月剣を向けるも、正式に落月剣を楊敬華の武器とすることを宣言し祭儀は無事成功する。

普段の日常に戻った端木煕はマイペースに過ごすも楊敬華の事を気にかけ、楊敬華が亡くなって七日の日、楊敬華が生前暮らしていた街に楊敬華を連れて行く。
そこで、楊敬華はかつて親しくしていた者たちが自分を供養している現場に遭遇し、自分が慕われていたことを知り改めて自分の死を自覚する。
その帰り道、車の中で端木煕は元気のない楊敬華に「これからは俺がオマエの家族になる」と語りかけ、その言葉を聞いた楊敬華は感動して涙する。
その直後、楊敬華は先祖である楊寧(よう ねい)が初代の端木落月(たんもく らくげつ)の狂気を止めるため落月剣で端木落月を刺す夢を落月剣によって見せられてしまった。
そして、楊敬華は無意識のうちに端木熙を落月剣で刺して端木熙の霊力を封じてしまう。
端木熙が意識不明で目を覚まさない中、楊敬華は影霊の契約を解除させようと企む寅哲に再び襲われ結界に閉じ込められる。
結界で寅哲の手下である花羽と瓏玉(ろうぎょく)に襲われ、寅哲に打ちのめされる中、楊敬華は落月剣を手に取りその秘められた力により覚醒する。
覚醒して変化した楊敬華の姿を見た寅哲は、楊敬華が妖怪を取り除くエキスパートである最強の除妖師(じょようし)であった楊寧の子孫であることを確信し、楊敬華に端木煕を救うべく霊薬を渡し手下とともにその場を後にする。
霊薬が効き目覚めた端木煕は、落月剣によって奪われた霊力を戻す方法を教えてもらうため傷が癒えないまま師匠の元へ向かう。
一つの問いに対して代価を求める師匠に、端木煕は剣術で勝ったら質問に答えてもらおうと師匠に勝負を挑むが傷がひらいて倒れてしまう。
弟子思いの師匠は端木煕の代わりに影霊である楊敬華に勝負を挑むが負け、落月剣の鞘が霊力を取り戻す鍵だと教える。
師匠宅からの帰りに、端木煕と楊敬華は司徒律に襲われまたもピンチを迎える。
端木煕が不在の中、司徒の叔母は端木家に押しかけ、霊力を封じられた端木煕を陽冥司の座から降ろして端木寺芸を陽冥司にするよう迫っていた。
そこに端木煕と楊敬華が現れるが、端木寺芸によって鎮められた悪霊が復活してしまう。
端木煕の霊力を取り戻して悪霊の浄化を行うために楊敬華は必死に落月剣の鞘を探し、端木煕と共に無事ピンチを乗り越える。

第二期

端木煕の影霊として平穏な日々を過ごす楊敬華であったが、影霊としての腕を磨くため端木煕の薦めで裏山に住む千年妖狐の寅哲の指導を受けることになる。
修行中に、楊敬華は子供の姿をした石ころの妖怪と知り合い、親しみの情を持つ。
そんな中、楊敬華は端木煕の通う学校で実習生の女性と出会い、彼女が生徒たちと仲良くなれないという問題を抱えていることを知って端木煕と引き合わせる。
しかし、端木煕はその実習生の正体が妖怪であることを見破り、楊敬華にわからせようとするのだった。
しばらくして、石ころの妖怪が再び楊敬華の前に現れ、楊敬華が昔大事にしていた少年の居場所がわかると告げるも、楊敬華が持つ石ころに術が掛けられていることを見抜いた端木煕によってその石ころは斬られてしまう。
端木家の行いを正し護衛する家柄である神龍家の当主・神龍昔仁(しんりゅう せきじん)は、かつて端木煕の護衛をしていた弟の神龍章軒(しんりゅう しょうけん)が端木家に捕らわれていると推測し捕らわれている場所を探していた。
神龍章軒の血液は輸血を受け付けない体質の端木煕の血液に適合する珍しい血液であるため、神龍昔仁は端木煕が負傷し大量の血液を失うことで端木家は神龍章軒の血液を使用すると想定し、端木煕を独りにして襲う計画を立てた。
その計画を成功に導くため楊敬華と端木煕を仲違いさせ端木煕を独りにして襲う目的で、神龍昔仁は毒虫を使って石ころが悪霊化する術をかけたのであった。
神龍昔仁の思惑とおり、端木煕が楊敬華の石ころを斬ったことが原因で楊敬華と端木煕の関係に亀裂が生じ始める。
ある日、端木熙は依頼された除霊を行うため、楊敬華に内緒でアイスランドへ向かい神龍昔仁の放った刺客に命を狙われる。
テレパシーで端木熙のピンチを知った楊敬華は、アイスランドへ駆けつけ命を掛けて端木熙を救い出す。
ホテルで目覚めた楊敬華が目にしたのは、婚約者の秦詩瑶の延命の力で治療を受ける端木熙の姿だった。
帰国した端木熙は、楊敬華を連れて訪れた神龍章軒の墓前で、神龍昔仁から神龍章軒は死んでいないと聞かされる。
この世への未練がなくとも霊をこの世に繋ぎとめ生きる屍を作ることのできる禁忌の術である魂縛(こんばく)の術により神龍章軒が意識もないまま生かされていることを知る。
端木熙は、深い悲しみのあまり、人を悪夢に陥れ辛い過去を見せて苦しめる夢魔に捕らわれていく。
楊敬華は、夢魔から端木煕を救うため彼の記憶をたどり、端木煕が端木家の者たちから虐げられていた気弱で純真な少年であったことや、その護衛として端木家へやってきた神龍章軒が愛しい端木煕を守るため自らの命を絶った悲しい過去を知る。

楊敬華は、夢魔にうなされる端木熙を救い出したが、端木熙の心は晴れないまま。
その状態で祭祀式のため祭壇に立った端木熙であったが、体力が続かず立っていられなくなってしまう。
すぐさま端木熙のそばに駆け寄った楊敬華によって支えられ、端木熙は無事に祭事を終える。
祭祀式の後、祭祀の成功を祝うパーティーが開かれ、神龍昔仁に神龍章軒が亡くなったことを責められた端木熙はパーティー会場を出て神龍章軒の元へ向かう。
端木熙を追いかける楊敬華は、途中で神龍昔仁に遭遇し魂縛の陣を破るよう術をかけられてしまう。
楊敬華は端木熙に追いつき、魂の過去の記憶を遡って見ることができる黄泉の鏡を使って神龍章軒が亡くなった日の真実を確かめようと端木熙に提案する。
端木熙と楊敬華は黄泉の鏡の力によって神龍章軒の過去の記憶を遡り、神龍章軒の生い立ちから神龍章軒が引き金を引いた日までの真実を目の当たりにする。
神龍章軒は、年の離れた神龍家の当主である兄の神龍昔仁によって、端木熙を見張りいつでも暗殺できる監察史となるよう厳しく育てられたが、端木家の者たちに冷たく当たられながらも自らの命を削って健気に人々の幸せを願って祭祀を行う端木熙の純真さに惹かれていった。
当主代理を傷つけた罪と端木家の情報を外部に漏らした罪で牢に捕らわれた神龍章軒は、端木熙によって救い出され、端木熙と一緒に逃げる途中で端木家に見つかってしまい、その直後、神龍家から端木熙を殺すよう電話で命じられたが、永遠に一緒にいたいと願う唯一守りたい存在の端木熙を殺すよりも自ら命を絶つことを選び銃口を自らの頭に向け引き金を引いたのだった。
黄泉の鏡の力で魂縛の術が解かれたことにより、神龍章軒が隠されている場所を知った神龍昔仁は部下と共に神龍章軒を神龍家に連れ帰ろうとするが、神龍昔仁の神龍章軒を生き返らせようという企みを阻止したい端木熙と楊敬華に阻まれ激戦となる。
戦いの中、魂縛の術が解かれたため神龍章軒の魂は散ってしまうが、神龍章軒からのメッセージは端木寺雲に託される。
一方、神龍昔仁は、陽冥司の霊力を奪い取る鏡である乾月鏡(かんげつきょう)を使って端木熙の霊力を封じ込め、催眠状態にして操る催眠の術を寅哲らにかけて楊敬華を襲わせる。
寅哲と戦いながらも必死に端木熙を守ろうとする楊敬華の前に端木寺雲が現れ、「死んだ人間を生き返らせようとしないでほしい。 すべて自分が決めたことで、他の人は関係ない。 目の前の人を大事にするように。」という神龍章軒のメッセージが明かされる。
そのメッセージを聞いても改心しない神龍昔仁は楊敬華を挑発するが裏目に出て、楊敬華は端木熙と互いの運命を共にする契りである本物のパクトコネクトを結ぶ。
本物のパクトコネクトを結んだ端木熙と楊敬華の膨大な霊力によって、奪い取る霊力の限界を超えてしまった乾月鏡も砕け散り、戦いは終焉を迎える。
神龍家は観察史の任から解かれ一族全員を追放することを告げられた神龍昔仁は端木熙を殺そうとするが未遂に終わり、端木熙から「アンタが許せないのはアンタ自身だ」と言われ最も大切な存在であった弟の神龍章軒を道具として扱ったことを後悔する。
その後、神龍家がつぶれてしまい万物を操る毒虫を扱えるものが端木家にいなくなったことを機に、端木寺芸は端木家を出て毒虫を扱える者のところへ修行をしにいく決心をする。
師匠から本物の魂縛の術の本を受け取った端木熙は、楊敬華だけが自分に対して何も望まず弱っているときに力を分けて与えてくれ大事にしてくれる存在であることを師匠に語る。
端木熙が魂縛の術を学びたい理由は、未練のない霊は消滅し陽冥司が亡くなっても消滅するが、自分がこの世を去った後も楊敬華には生き続けてほしいと願うからである。
そんな端木熙の本心を知らずも、楊敬華はバースデーケーキを作って端木熙の18才の誕生日を祝う。
端木家の裏山に住む寅哲は、神龍昔仁に操られてしまったことを恥じて「その日が来るまで端木熙には会わん」と誓う。
それぞれが前に進もうとしている中、神龍昔仁は神龍章軒の遺体に毒虫を入れ目覚めさせようとする。

『Spiritpact』の登場人物・キャラクター

楊敬華(よう けいか)

霊になった変身前の楊敬華。

落月剣の力で変身した楊敬華。

CV:井口祐一
このアニメの主人公。濃紺色の長い髪を持ち男性にしては可愛らしい顔つきだが、見た目に反して性格は荒っぽいが素直で優しい。
早くに両親を亡くし貧しくも占い業の傍らパソコン修理業で生計を立てていたが、ある日、交通事故に遭い亡くなってしまう。
事故現場に居合わせた陽冥司(ようめいし)の端木煕(たんもく き)と契約を交わし、嫌々ながらも端木煕の影霊となる。
端木煕と共に幾度かの困難に立ち向かううちに、端木煕を守ることに意味を見出していく。

端木煕(たんもく き)

CV:武内駿輔
このアニメの主人公。白銀の髪に切れ長の瞳を持つ美形男子で、見た目どおり口数が少なく無愛想だが純真。
生まれ持った強い霊力で悪霊退治を行い、自らの命を削りこの世界のバランスを保つ陽冥司(ようめいし)の家元。
お金持ちの祖母に引き取られ何不自由ない暮らしをしてきたが、嫉妬や裏切りに合い孤独で悲しい過去を持つ。
見返りなく真っ直ぐに自分を守ろうとする楊敬華(よう けいか)に深い友情を抱き、心を許していく。

秦詩瑤(しん しよう)

CV:大久保瑠美
燃陽体質(ねんようたいしつ)のため一族から端木煕(たんもく き)の婚約者として選ばれた。
真剣に端木煕を愛しているため、日々ふさわしい女性になろうと努力している。
端木煕と距離の近い楊敬華(よう けいか)にヤキモチを焼きながらも、親しみを感じ端木煕の影霊(えいれい)として認めていく。

司徒律(しと りつ)

CV:豊永利行
端木家の見習い使用人。父は、端木家で執事をしている。
端木煕(たんもく き)に対して強い敵意を抱き、執拗に端木煕とその影霊(えいれい)である楊敬華(よう けいか)を襲う。

端木煕の祖母

CV:松岡洋子
端木煕(たんもく き)の祖母。端木家の最長老として気丈(きじょう)に端木家を取り仕切る。
楊敬華(よう けいか)に優しく端木煕の影霊(えいれい)として認めている。

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