ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒(平成ガメラ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』とは、大映制作の平成ガメラシリーズ第3弾。前2作を受けての完結編として作られた。1999年3月東宝系公開。監督は前2作に引き続き金子修介。前作『ガメラ2 レギオン襲来』から3年後の世界を舞台に、ガメラによって両親を殺された少女の憎しみが生んだ謎の生命体イリスとガメラとの壮絶な戦いを描く。京都駅での最終決戦は怪獣映画史上初の屋内決戦となった。キャッチコピーは「わたしはガメラを許さない。」

大迫と南明日香村へ調査に行った翌朝、綾奈が入院している病院に付き添っていた綾奈の弟・悟から電話が入った。
病院に行ってみると、綾奈が別の病院へ移送されたというのだが、その病院に確認したのかという真弓の問いに、医師はその病院からは指示が出ていないという。怒った真弓が医師に大声で叫んだセリフ。

真弓の声があまりに大きかったため、周りを気にした医師が、いかにも我関せずといった態度を見せるのが何とも滑稽なシーンである。

「あいつも京都へ向かうかもしれん…」

綾奈がいなくなり洞窟の前で淋しそうにふさぎ込んでいる龍成を見兼ねた大迫は彼に、「お前、どうしたいとや?」と尋ねる。「比良坂(綾奈)を助けたい!」と強い希望を持つ龍成に大迫は一緒に京都へ行こうと誘う。その言葉で綾奈が京都にいる事を知った龍成がイリスの事を「あいつ」と呼んで呟いたセリフ。

綾奈のために何も出来ないと歯痒く思っていた龍成。綾奈への恋心と守部家を守る責任感からイリスを倒すべく京都行きを決心する。イリスへの闘争心が燃え上がるクライマックスへ向けての大事なシーンである。

「朝倉さん、それが死か…」

ギャオスを創造した超古代文明人の末裔であり、イリスと交わる役割だった朝倉は、京都駅でイリスと交信しようとする綾奈の首に掛かった勾玉を奪い取り、自らがイリスとの融合を図って進撃を阻止しようとイリスに向かって飛び出していく。それを見ながら倉田は「無理だぜ、朝倉さん」と否定的に呟く。その直後に、朝倉はイリスとガメラの激突により破壊された京都駅の崩落に巻き込まれて死亡するのだが、その状況を見て倉田が呟いたセリフ。

倉田は直後に自分も死を迎えてしまうのだが、彼の「死」に対する恐怖が、笑いに変わったように見えた。不思議なキャラクターが一気に爆発する一連のシーンと言えるだろう。

『ガメラ3 邪神覚醒』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

本作には第1作へのオマージュが詰まっている

・ガメラがギャオスの放った光線から子供を守るシーン。
・第1作でギャオスに襲われた村を調査した登場した真弓と大迫が、今回もイリスに襲撃され半ば壊滅した村を調査する。
・自衛隊(人間)が倒すべきギャオスやイリスよりもガメラを危険視して攻撃を加える。
・ガメラが浅黄と勾玉を通じて交信するのと同じく、イリスが勾玉を通して人間の少女と交信する。
等、本作の作品全体に、第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』へのオマージュと言える演出やシーンが多数登場する。

今回も各局のアナウンサーが出演している

前2作と同様に日本テレビが制作に関わっているため、公開当時に完成したばかりのCSニュース専門チャンネル「NNN24(現・日テレNEWS24)」の麹町スタジオが、報道スタジオとして登場している。番組としては『THEワイド』『NNNきょうの出来事』『NNNニュースダッシュ』が劇中に登場し、『THEワイド』のシーンでは司会の草野仁、評論家の小沢遼子らと共に、前作に登場した野尻(札幌市青少年科学館館長、演:川津祐介)がゲストコメンテーターとして登場。また、日本テレビからは『NNNきょうの出来事』の鷹西美佳をはじめ、松本志のぶ、増田隆生、舟津宜史、角田久美子、松永二三男が出演している。
過去2作品では関わった町の地元系列局が登場していたが、本作の舞台だった奈良や京都の地元局・よみうりテレビは登場していない。

渋谷での大規模なロケーションを予定していた

渋谷の破壊シーンは実際の渋谷駅前や渋谷センター街での大規模なロケを予定していた。元々、渋谷は映像作品のロケに対して厳しく、案の定許可が下りなかった。そのため、主に吉祥寺などの極力雰囲気の似た別の場所でセットやロケーションを敢行した。
また、ギャオスから発せられた超音波メスによって建物が切断された丸井(マルイシティ渋谷)からは建物破壊の描写への承諾を得られたが、名称使用については難色を示された。だが既に丸井「0101」ビルとしてミニチュアが完成していたため、ビル壁面の「0101」ロゴを「9191」という架空の名称に変更したとされている。
因みに渋谷の戦闘シーンでは、NHK放送センターの局舎が何度か映っているが、これは金子監督が、破壊する中心エリアを渋谷駅から渋谷センター街周辺、シブヤ西武やNHK局舎などの宇田川町周辺に候補を絞っていたからとされる。

本編の舞台となった「南明日香村」は架空の村

本編の舞台としてに登場する、奈良県高市郡「南明日香村」は実在しない。
ロケーションの大半は山梨県の大月市周辺で行っており、ミニチュア特撮シーンのいくつかは、「さがみ湖ピクニックランド(神奈川県相模原市)」および大映撮影所で撮影された。
因みに、山梨県で撮影した国鉄115系電車をそのまま奈良の電車として登場させている。

前作のヒロイン・穂波碧が登場予定だった

本作では前2作に登場した俳優が同じ役や異なる役で多数登場しているが、前作『ガメラ2 レギオン襲来』のヒロイン、穂波碧を演じた水野美紀も同じ役で再登場させる予定だった。だが本作とほぼ同時期に撮影されていた『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年10月公開)にメインキャストの一人として出演していたためスケジュールが合わず、実現しなかった。

ガメラの必殺技に悩んだ

特技監督の樋口真嗣は、前作で「ウルティメイト・プラズマ」と言うガメラの新しい必殺技を生み出したが、本作の必殺技には悩んでいた。
そこへ怪獣造型担当の原口智生が、香港映画の『片腕ドラゴン』を思い出し「腕の一本でもちぎれちゃえば」と助言したところ、ガメラの新しい必殺技「ファイヤーハンド(バニシング・フィスト)」が生まれた。ガメラが自分の片腕を吹っ飛ばすという思い切ったアイデアには「ガメラも人間同様痛みを伴わないとヒロイズム的にどうか」と言う意味が込められているという。

映画本編後の展開

本作は「胴を貫かれ、右手をも失ったガメラが、数え切れないほどのギャオスの大群に立ち向かう」というシーンで幕を閉じる。誰もがガメラの死と、その先に待つ人類の敗北を予感するしかない絶望的な展開だが、公開後に行われた監督のインタビューによると、「あの後ガメラは勝つ」というのが想定されていたシナリオだという。
あれほどの深手を負った状況からどのようにして勝つのかは疑問もあるが、監督が明言する以上はガメラが勝利することは間違いない。安心するような拍子抜けするような、それでも「よかった」と思えるエピソードである。

『ガメラ3 邪神覚醒』の主題歌

ED(エンディング):ユリアーナ・シャノー「もういちど教えてほしい」

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