黒執事(Black Butler)の伏線・考察まとめ

『黒執事』とは枢やなによるダークファンタジー漫画作品。『月刊Gファンタジー』にて2006年から連載されている。2008年、2010年、2014年にアニメ化、2009年に舞台化、2014年に剛力彩芽、水嶋ヒロ主演で実写映画化もされた人気作品である。ここでは主人公の1人、ファントムハイヴ伯爵家現当主の少年、シエル・ファントムハイヴに関する伏線・考察を解説していく。

『黒執事』の概要

『黒執事』とは枢やなによるダークファンタジー漫画作品。『月刊Gファンタジー』にて2006年から連載されている。作者の枢やなにとっては、初となる長期連載作品で、2022年7月の時点で32巻まで刊行されている。また、2008年、2010年、2014年にアニメ化、2009年に舞台化、2014年には剛力彩芽、水嶋ヒロ主演で実写映画化されている。

舞台は19世紀末期のイギリス。ファントムハイヴ家当主のシエル・ファントムハイヴ伯爵は、執事のセバスチャン・ミカエリスとともに「女王の番犬」として、表の世界では処理できない案件をヴィクトリア女王の命により処理している。執事セバスチャンは、何においても完璧なスキルを持っている。その実態はなんと悪魔である。ある日、何者かにより一家惨殺の目に遭ったシエルによって、復讐のために契約された悪魔だった。

シエル・ファントムハイヴに関する伏線

シエル双子説が26巻で確定

今までファントムハイヴ家の当主として活躍していたシエル・ファントムハイヴ。彼には双子の兄がおり、また、その双子の兄こそが本物のシエル・ファントムハイヴだということが、2017年12月に発売された26巻で明かされた。連載から約10年間張り巡らされた伏線が一気に回収されたことにより話題になった。単行本の帯部分にも「その読者、卒倒」とあるように、非常に衝撃的な事実が描かれており、その内容は連載当初から単行本を集めている読者がもう一度1巻から読み返したくなるほどである。
この事実により、物語は急展開を迎えることになる。

双子説を匂わせる巧妙な言い回し

作者は非常にうまくシエルが双子であることを気づかないような台詞の言い回しやコマのアングルを使用しており、そのため今回の事実により驚いた読者も多いことであろう。
しかししっかり読み返してみると確かに不自然な部分があり、実際に今回の事実が判明するまでに双子説を唱えている読者も少なくはなかった。
例えば3巻10話のマダム・レッドの回想シーン。この時、シエルの母親は「今度ウチの子の誕生日なの」と言っているが、これは子供が双子であるため「シエルの」ではなく「ウチの子」と言っていると思われる。
また、その後ファントムハイヴ家が何者かに惨殺された際、「子供の死体は見つからなかった」と言っているが、これも子供が2人であるためこの表現が使われていると推測される。

ケルヴィン伯爵との出会いのシーン

アニメ3期でも放送されたサーカス編(原作6巻〜8巻)で登場したケルヴィン伯爵。彼は児童施設を経営しており、またその子供たちが役者として活躍しているサーカス団のオーナーでもある。
彼は過去にシエルとその父親である先代のファントムハイヴ伯爵と出会っているが、そのときの描写が非常に巧妙な視覚トリックを使用している。
まずケルヴィン伯爵がファントムハイヴ伯爵を見つけるシーン。この時シエルは先代の左側にいるが、先代の目線は右下を向いている。この目線の先は手前にいるパーティー客のドレスで隠れているが、実はその視線の先にもう1人の子供がいると予想される。
そしてケルヴィン伯爵との挨拶のシーン。先代は「まずはお前から挨拶しなさい」と言っているがこれはシエル、先代の順番で挨拶という意味ではなく、まずは兄であるお前から挨拶しなさいという意味で捉えることができる。
その後もシエルが先代の右側にいたり左側にいたりするが、これはシエルが移動しているのではなく、先代の両側にいる双子をそれぞれ描いていると思われる。
またその後、先代の友人であるクラウスが登場し親子で談笑している様子を見ているケルヴィン伯爵が「私はその3人から目を離すことができなかった」と言っているが、この3人とは一見シエル、先代、クラウスの3人の姿のように見えるが、実際はクラウスの姿はファントムハイヴ親子よりも暗く描かれており、また先代の視線はシエルではなく左下を見つめていることから、双子と先代の3人を指しているものと思われる。

セバスチャンとの契約

何者かによって惨殺されたファントムハイヴ家。その時残っていた双子はある団体の元へと連れ去られた。その団体は悪魔の存在を信じており、悪魔を召喚するための生贄としてこの双子が利用され、この時召喚された悪魔がセバスチャンである。
この描写はシエルの回想により描かれているが、事実を知ったあと読み返してみると、双子であることを匂わせている描写が多々ある。今回の事実が判明する前に双子説を唱えていた読者は、この時の描写でより双子説を濃厚にしたのではないだろうか。
そもそも悪魔を召喚する際、生贄が必要とされており、実際にシエルはナイフで腹を刺されている。にも関わらずセバスチャンと契約するときは刺された跡もなく、しっかりとその場に立っている。これは実際に刺されたのは今回登場した本物のシエルで、契約したのは主人公のシエルではないだろうか。また、セバスチャンが召喚される直前、シエルは「お願い お願い誰か 誰でもいい なんでもいい 僕達を助けて」と言っている。
この「僕達」とは他に連れ去られていた子供たちではなく双子の2人のことではないかと思われる。

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