風と木の詩(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『風と木の詩』とは、1976年から82年まで『週刊少女コミック』『プチフラワー』にて連載された竹宮惠子による日本の漫画作品。
BL界のバイブル的存在として、知識人たちからも高い評価を得ている。
舞台は19世紀末のフランス。 自由奔放なジルベールと誠実で純粋なセルジュ、二人の少年を中心として繰り広げられるはかなくも激しい青春物語である。

右がクルト・スタックラー

カール、パスカルらと同じ頃にできたセルジュの友達の一人。 良くも悪くも直情型で感情がすぐ顔や行動に出るタイプ。
セルジュがジルベールになびかないことに感動し、崇拝に近い信愛を向けている。 そのセルジュが徐々にジルベールに興味を持ち始めるとあからさまに嫉妬し、ジルベールを罵ってはセルジュと喧嘩することもしばしばだった。
時がたつにつれ嫉妬はしなくなり、少しはジルベールのことを認めるようになった。 ジルベールとセルジュの脱走計画に最後まで協力するが、二人の脱走以降は物語に出てこないし、その後の進路も不明である。

レオンハルト・マネス

ジルベールの遊び相手の一人で、クールで素行が悪いが札付きというほどでもない。 美少年愛好クラブのリーダー。 クラブの名前は扇情的だが、月に一回集会場で会員が、デートの真似事や飲酒ギャンブルなど乱痴気騒ぎをする程度のクラブである。
会合にたまたまジルベールとセルジュが参加した際、セルジュが言うことを聞かなかったため集団リンチを加えたこともあるが、自分の非を認めすぐ後に謝罪する。 そのあとくされのない男気で、のちにジルベールとセルジュの脱走に協力をしている。
一時期はジルベールの狂気についていけなくなったが、ジルベールとセルジュがオーギュによって引き離されると陰ながら二人の応援をする。 協力する気になった理由をセルジュに聞かれた際、セルジュと付き合うようになってからのジルベールはかわいくて好きだからと言っている。

オーギュスト・ボウ(オーギュ)

ジルベールの実の父親で、新進気鋭の詩人。
コクトー家の跡取りペールの小姓として孤児院から引き取られ、性奴隷としてもてあそばれる少年期を送る。 そのため人とのコミュニケーションに対し性的手段を最優先で実行する思考を持つようになる。 ジルベールやロスマリネを性行為によって支配下に置くのもその一環である。
金木犀の香りの香水シオン・ノーレを愛用している。 ジルベールとロスマリネからも同じ香りがしていることが、彼の支配下にある証明となっている。

孤児であり、なおかつ頼りになる大人に出会ったことがないため、親というものを知らない。 そのため「叔父」と名乗り、ジルベールをペットや実験動物同様の扱いで教育するが、愛していないわけではない。 むしろ愛しすぎて独占欲が強すぎるのだ。 肉親の情も知らないため、実の息子であるジルベールとの性行為にも先入観がなかった。 ジルベールをラコンブラード学院に入れたのも普通の子供としての教育を受けさせるためだが、自分が監視していないと不安だからでもある。
自分からジルベールを奪おうとするものが現れない限り渡さないとロスマリネに言っていたが、実際セルジュが現れジルベールを奪おうとすると全力で阻止しようとする。 その感情が父性本能なのか、ペットやおもちゃをとられる子供の心理なのかは不明である。
ジルベールの死後はラコンブラード学院から手を引き、その消息は不明である。 外伝「幸福の鳩」によれば生きてはいるらしい。

アスラン・バトゥール

左がアスラン

セルジュの父親で、バトゥール子爵家の跡取り。 品行方正で家族からも使用人からも愛され、友達も大勢いる。 のちにラコンブラード学院教諭になるワッツ、ルイ・レネと特に親しかった。
本当ならピアノで生活したかったが、持病の結核もあって父親から猛反対されていた。
地位も名誉も才能もあるのに何もかも自分の思い通りにならないもどかしさの中、パイヴァと運命的な出会いをする。
彼女と駆け落ちし、自分の力で幸せをつかみ取ったのもつかの間結核が再発し、妻子を残し帰らぬ人となる。 しかし彼の残したピアノと日記は、ジルベールを失ったセルジュを復帰させる重要アイテムとなった。
ちなみにオーギュとはラコンブラード学院在学中に1、2度顔を合わせたことはあるが、双方とものちに思い返すことはなかった。

フランソワ・ワッツ

アスランより3つ年上の親友で、自他ともに認める遊び人。 アスランにパイヴァを紹介したのは彼である。
アスランとパイヴァの交際に猛反対するがアスランを止めることもできず、駆け落ちの件も知らなかった。 その後普仏戦争に徴兵され負傷して左足が不自由になる。 以降母校であるラコンブラード学院の舎監となり、アスランの息子であるセルジュと出会うと彼を溺愛する。
生徒からは信頼されているが、問題が起きてもその場を収めるだけで根本的な解決ができない。 ジルベールとセルジュの関係に関してもどうすることもできず放置し、脱走に関しても全校生徒ぐるみで加担していたことすら気付かなかった。

ルイ・レネ

左がルイ・レネ

ワッツ同様アスランの親友。 典型的な堅物で、遊び人のワッツと天然キャラのアスランと一緒にいても一人無愛想だった。
アスランの交際や駆け落ちに関しては全く関与せず独自で音楽の道を進み、のちにラコンブラード学院の音楽講師になる。 ワッツ同様アスランの遺児セルジュに大いに目をかける。 音楽以外のことは全く門外漢で、特にジルベールのような問題児の扱いは不得手である。
セルジュがジルベールに恋してから音楽センスが一気に上がったことにも気づくが、セルジュの恋する相手がジルベールだとは気づかなかった。 自分には恋する経験が少なかったから、音楽家として大成できなかったのだと達観している。

ジャン・ピエール・ボナール

ソドミアン(男色家)の彫刻家で未成年の男の子を好む。 男の子の弟子が自宅にたくさんいるが、彼らには手を出さない。
ジルベールの噂を聞きつけ麻薬を使うなど非合法の方法で拉致し、強引に自分のものにするもジルベールは屈しなかった。 その心の強さに感銘を受け、それ以来盟友として彼が苦難にあうと面倒を見るようになる。
オーギュが男色家を嫌う理由(性奴隷だった過去)について知らないため、男色なんてただの嗜好なのに理解のない奴だと思っていた。 10歳の子供に麻薬を使ったり、レイプをしても平気でいられる神経の持ち主だが、基本的には繊細な芸術家肌である。

ジルベールとセルジュが脱走して以来貧困生活をしているのに気づいて面倒を見る。 その後出て行ったセルジュを追ったジルベールを引き留めなかったのは、ジルベールがたとえこの先長く生きられなかったとしても、自分のもとで甘やかすよりは過酷な環境の中で浮世離れした美しさを残したままでいてほしいと思ったからだ。 ジルベールの死をボナールが知ったかどうかは不明である。

ルノー

左がルノー

ボナールの弟子のひとりで一番弟子を自負し、実力も備わっている。 ボナールの彫刻家としての実力は尊敬しているが男色家の趣味を毛嫌いしている。 ジルベールがボナールの家に転がり込んできたときは、ボナールが仕事を放棄してまでもジルベールの世話を焼くことを許せず、ジルベールを殺そうとまでした。 だが、ジルベールがルノーの心の乱れを読み取ってボナールに教えたことで、ジルベールと和解できた。
3年後ジルベールがセルジュとともにボナールの世話になってから出て行った際、ジルベールの中には生活という概念なんてないのにセルジュが生活の仕方を教えようとする悪循環を「絵にかいたような不幸」だと言い切る。 ルノーにこう言われてもボナールはジルベールから「アデュウ(永遠にさようなら)」といわれてしまったため、探しにはいかなかった。 南イタリアの農家出身で、花の栽培が得意な優しい少年である。

『風と木の詩』の名言・名セリフ

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