異世界食堂(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

「異世界食堂」とは、犬塚惇平のライトノベル作品。2013年から小説家投稿サイト「小説家になろう」で連載し、2017年にはSILVER LINK.製作でアニメ化。現代日本にある洋食店「洋食のねこや」は、土曜日になると扉が異世界と繋がり、異世界の住人達が料理を食べにやってくる「異世界食堂」となる。異世界の客達が現代日本の洋食を食べる、所謂飯テロアニメ。客達の完璧な脳内食リポが特徴的。

『異世界食堂』の概要

「異世界食堂」とは、犬塚惇平によるライトノベル作品。
小説家投稿サイト「小説家になろう」で2013年から連載開始し、2015年の春までは毎週1話ずつ更新され、以降は不定期更新になった。
2015年にはヒーロー文庫(主婦の友社)から書籍化し、2016年に「ヤングガンガン」(スクウェア・エニックス)で九月タカアキ作画でコミック化。
2017年にSILVER LINK.製作でアニメ化した。監督は神保昌登。

現代日本の洋食店「洋食のねこや」は土曜日になると、扉が異世界へと繋がり異世界の客達が料理を食べにやってくる「異世界食堂」となる。
異世界の住人にとってはねこやが異世界であり、ねこや店主や視聴者の目線ではねこやへ来る人々の住む世界が異世界で、どちらの目線でも異世界になる。
ねこやで提供される食べ物はビーフシチューやカレーライスなど、実際の世界で食べられているもので、それを異世界の人々が口にするという物語。
異世界の住人と現代日本では食べ物の文化が違い、また存在する食材なども異なるため、異世界の住人たちは各々どんな食材をどのように調理したものか考察しながら食べていく。
その際の客達の脳内で起こる、詳細且つ語彙力豊かな食リポが特徴的な作品でもある。
異世界の住人達が居る世界は同一の異世界であり、常連客には知り合い同士もいる。
ねこやは平日は現代日本で営業し、土曜日は異世界の住人だけを対象とした異世界食堂を開く。
物語は一話完結のオムニバス形式で、毎回スポットライトの当たる人物が異なり、その人物の過去やねこやに辿り着いた経由、ねこやで食べた物の感想を描く。
毎話共通して出てくるのは、ねこやの「店主」、ねこやの従業員の「アレッタ」「クロ」となる。
主人公は格話でねこやを訪れる異世界の住人たちであるが、アニメ雑誌などでは店主を主人公と紹介している場合もある。
しかしあくまで客と料理に焦点を置いた作品である。

『異世界食堂』のあらすじ・ストーリー

異世界食堂でウェイトレスとして働くことになったアレッタ

日本のオフィス街にある洋食店「洋食のねこや」は、毎週土曜日になるとねこやのドアが異世界に繋がる。
ねこやのドアは異世界の様々な箇所に出現し、そこからねこやの料理を食べに異世界の客がやってくる。
異世界の客たちは、ねこやで異世界にはない不思議な料理を食べ、銀貨を払い、満足し帰って行く。
7日に一度の楽しみとして何度も訪れる常連も多く、客たちは店の中ではお互いの事を好物の食べ物の名で呼び合っている。
客たちは店主の料理を愛するがあまり、自分の食べる料理が一番美味しいのだと主張し、言い争いになってしまうこともある。
そのたびに店主が間に入り注意し、客たちは店主に出禁にされるのを恐れ喧嘩を止めるのであった。
客の中には、異世界で神と崇められている竜の一人である「赤の女王」もおり、ねこやが異世界に繋がる土曜の夜の一番最後の客として必ずやってくる。
ねこやに入る際には竜の姿から人間(魔族)の美女の姿に変わる。
赤の女王は必ず「ビーフシチュー」を頼み、帰りには寸胴でビーフシチュー100皿分を持ち帰り、竜の姿に戻って一人で寸胴を食べるのが好きなのであった。
赤の女王は自分が贔屓にしているねこやが野蛮な者に荒らされないよう、密かにねこやと店主に「財宝を守るための呪い」をかけている。
この呪い(まじない)により、もし何者かがねこや及び店主を脅かしても赤の女王が察知し、助けに来ることができるのである。

ある日の早朝、店主が起床し、いつも通りねこやで提供する料理の下ごしらえをしようと厨房へ行くと、見知らぬ少女が厨房の床で眠っていた。
お腹が空いていた少女は、店主が事前に準備し寸胴に入っていたコーンポタージュを全て食べてしまい、その後寝てしまったのだと店主に謝った。
店主が詳しく事情を聞くと、少女は身の上を語り始めた。
少女の名前はアレッタと言い、異世界に住む魔族の少女であった。
しかし魔族としての魔力はとても弱く、普通の人間と同じ程度の力しか持って居なかった。
アレッタは人間の住む都へやってきて、角を帽子で隠して魔族であることを隠し飲食店の店員として働いていたが、魔族である事がバレてしまいクビになってしまっていた。
人間の住む街では魔族は厄介者とされ歓迎されず、なかなか職を見つけられないのだという。
お金が無くなり住む所もないアレッタは、廃墟に住み着くようになり、満足に食事を取る事もできずにひもじい思いをしていた。
すると廃墟の中に突如扉が現れ、扉からする良い匂いに誘われ、アレッタはその扉の中に入る。
この扉はねこやの扉だったのである。
しかしねこやはまだ開店前で誰もおらず、アレッタは飲食店であると分からずに何処かのお屋敷に入ってしまったのだと勘違いする。
お腹が空いたアレッタは、良くないと思いながらも厨房に置いてあったコーンポタージュに手をつけてしまったのであった。
店主に謝るアレッタであるが、店主は気にする様子は無く、アレッタにこのまま一緒に朝食はどうかと誘う。
アレッタが戸惑いつつも頷くと、店主はパン・サラダ・スクランブルエッグなどを作り、モーニングセットを用意した。
アレッタにとっては食べた事のない物ばかりであったが、どの料理も美味しく平らげ、店主はアレッタの食べっぷりに喜んだ。
そして、店主は職がないというアレッタに従業員にならないかと提案する。
労働条件は、七日に一度だけ出勤し、朝から夜までの約十時間働き、銀貨10枚(現代日本では一万円ほど)、三食付き、というものであった。
異世界ではなかなか良い労働条件であった。
また、ねこやに来る客は人間だけではなくエルフや魔族など色々な種類の客が来るため、アレッタが魔族であっても差別するものものいないのである。
アレッタは喜んで申し出を受け、ねこやのウェイトレスとなった。
小汚い出で立ちであったアレッタは店主からシャワーを借りて体を洗い、ウェイトレスの制服を着て、早速店主の研修を受ける。
ねこやから帰ったアレッタは、職が見つかったとは言え7日に一度であることから、職探しを続けなければと思いつつ疲れて眠ってしまう。
一部始終を魔法の力で見守っていた赤の女王は、新しい従業員であるアレッタにも密かに「財宝を守るための呪い」をかけるのであった。

アレッタを従業員に迎えた後も、常連や新しい客達がねこやに訪れる。
常連は殆どの客がストイックに自分の好物を注文し、黙々と食べる。
新しく来た客は見た事がない料理や整った店構えなどに驚きながらも、店主の料理に満足し、一人また一人と常連の仲間入りをするのであった。

『異世界食堂』の世界観

洋食のねこや

ねこやの先代の店主「山方大樹」が始めた料理屋。
洋食店としているが洋食以外のものも置いてある。
約10年前に現在の店主(CV:諏訪部順一)に代替わりした。
山方の時代でも現在の店主の時代でも、平日は現代の日本で通常営業し、土曜に異世界の住人向けに異世界食堂を開いている。
異世界の住人達には「一週間」という概念がないため、ねこやが異世界食堂を開く日を、7日に一度ある「ドヨウの日」と覚えている。
パン・ライス・スープは無料でおかわりできる。

異世界食堂とは

ねこやは土曜日になると異世界へ繋がり、ねこやへの扉が異世界の各所に出現し、異世界の住人を対象とした特別営業をする。
そしていつしか異世界の住人たちからねこやは「異世界食堂」と呼ばれるようになった。
人間以外にも魔族・魔獣・エルフ・ハーフエルフなどの異世界人も訪れ、店は異世界の常連でいっぱいになる。
各所に存在する扉は土曜の0時になると出現し、誰かが扉を使うとその場所の扉は消えてしまい、同じ場所には7日後まで出現しない。
そのため常連は自分用の扉を確保している人も多い。
異世界の客たちは、ねこやではお互いを好物の料理名で呼び合っている。

料金

ねこやの料理は高くとも一品銀貨一枚まで。
店主は凡そで、銅貨を100円・銀貨を1000円・金貨を10万円とし、一ヶ月間(内の4日間の営業)で11万程度の売り上げになる。
しかし店主は異世界の通貨で生活しているわけではないため、ねこやが食堂だと知らずに訪れた人や、お腹が空いて困ってるがお金の無い人などには初回だけタダだったりと、あまり異世界のお金に頓着はしていない。
ねこやの売り上げになった異世界の通貨は、異世界の商会「アルフェイド商会」の「トマス・アルフェイド」に渡し、異世界の食材や薬を買うのに使う。
買った食材はねこやで振舞うためのものではなく、店主が異世界の味付けを研究するために使っている。
異世界と現代日本では多少なりとも好まれる味付けなどに差があるようである。

従業員

昔は元店主・山方大樹が居たが、現在は現・店主が店長をしている。
ねこやに迷い込んだ魔族の少女「アレッタ」と、7話からは異世界では神の1柱であるが偶然ねこやに入った「クロ」の二人がウェイトレスとして働いている。

肉の日

ねこやでは毎月29日は「肉の日」とされ、お代わり自由の味噌汁が豚汁にグレードアップするサービスデー。
しかし1年の内で土曜が29日であることは少なく、異世界食堂では一年に1~2度しかないレアイベント。

異世界

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