ommsn_jthsk9@ommsn_jthsk9

ommsn_jthsk9
ommsn_jthsk9
@ommsn_jthsk9
6 Articles
4 Reviews
0 Contributions
0 Likes
ommsn_jthsk9

ommsn_jthsk9のレビュー・評価・感想

ナンバーガール / NUMBER GIRL / ナンバガ
10

ミュージシャンが嫉妬するバンド

椎名林檎やアジカン、星野源は、音楽業界で欠かせない個性的なメンツであり、絶大な人気を誇るミュージシャンたちだ。
そんな彼らが「影響を受けた音楽は?」という質問を受けた際に必ず名前が挙がるのが、この「NUMBER GIRL」である。
激しく、荒々しく、コードやリズムのルールを破壊するような演奏に、最初は戸惑うかもしれない。
しかし、狂っていくように聞こえたドラムのリズムも、ギターのメロディーも、きちんと綺麗にまとまって形になっているのだから、最早才能と呼ぶ他ない。
凄さは歌詞にもある。
「発狂した飼い猫を 川へ捨てに行って 念仏唱えてさようなら 中古の戦車を拾って帰る」から始まる「鉄風 鋭くなって」。

「ガキのエデュケーションプログラムTVを 不条理な目線で見てつぶやいて」と綴る「delayed brain」。
どれも我々凡人には到底思いつきもしない歌詞がこれでもかと詰まっている。

曲に関しても、青春の焦燥感、大人になって知る喪失感や虚無感、諸行無常の世に憂う寂しさに満ちている。
こんなバンドは他にいない。冒頭で挙げたミュージシャンが影響を受けたというのも頷ける。

彼らは人気絶頂の頃、突然解散を発表し、椎名林檎やアジカンはまだデビュー前の素人時代にラストライブへ行ったと語っている。
リアルタイムでそれを観たと自慢している彼らに、今度は我々が嫉妬する事になる。
このバンドは、色んな人間をセンスで魅了し、個性で黙らせ、多くの嫉妬を集める唯一無二のバンドである。

King Gnu / キングヌー
10

美しすぎる東京スタイルロック

私が初めてKing Gnuを知ったのは、テレビ番組。手を止めて聴き入ってしまったその理由は、優しく繊細な、美しすぎるハイトーンボイスでした。
そんなボーカルと、ジャンルレスで個性的な楽器陣によるKing Gnuは、とても緻密で繊細なロックバンドです。
音楽に詳しい人がきいたら「すごく難しい!」と思うようなことをサラッとしている一方で、特にこだわりがない人がきいても口ずさんでしまうようなポップさで音楽を発信しているのです。
自分たちの音楽を、「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」と表現しているのですが、彼らの曲をきくと、本当にしっくりくる言葉です。
東京の都会的でありながら多くの情報や感情がざわざわと入り混じった感じ、そこにあるキラキラとした希望の光のようなものがあります。
壮大でオーケストラを感じさせるような曲があるかと思えば(実際にギターetcの常田さんはオーケストラでチェロを弾いたりもします)、少年が走っている青春のようなロックがあったり、ジャズやR&Bのグルーブで踊りたくなるものもあります。
いずれにせよ、うたいたくなるのです。
どんなに難しい要素も上質なPOPで包んでくれるので、とても聴きやすく、美しい音楽だなぁ、と聴く人がどんどん引き込まれていきます。

食堂かたつむり
1

ひどい映画で原作もひどい

同名小説が原作の映画です。男にひどい裏切られ方をして口がきけなくなった女性が1日1組の食堂を開くという話でした。私は食べ物とか大好きなので見てみましたが、ひどいものでした。最初、何やら、ファンシーな映像が流れて、あ、なんかあんまりかもと思いました。そしてお話が始まっても挽回はなく、どんどんテンションが落ちてきました。まず、主人公が口を聞けないことに意味はなく、別に話さなくてもみんな彼女の言っていることはわかるようで、そこになんの話のふくらみはありません。なんで、そんな設定にしたのか謎です。彼女がつくる料理が人の心を打つほど美味しい理由も語られることもなく、なんで料理ができるのかという理由はいろんな店でバイトしたからだというナメたもので到底納得できません。それに出てくる料理が美味しそうではありませんでした。これは料理で人を救う系映画にあるまじきことではないでしょうか。最初のカップルに出したスープなんて、ヘドロみたいです。私は食べたくありません。一番腹ただしいのは主人公の出生の秘密です。意味がわかりません。それは原作通りらしいので、結局、原作に問題ありだと思います。それに豚を食べるくだりも意味不明だし、結局は意味不明な話で、見ていて辛かったです。

2分の1の魔法 / Onward
9

ピクサー映画の真骨頂、『2分の1の魔法』

ピクサー映画『2分の1の魔法』は、どんな人にもおすすめできる良作。舞台はかつて魔法がすべてを動かしていたが、現在は私たちと同じようにテクノロジーが支配している世界。みんな魔法のことも忘れ、半人半馬のケンタウロスも走り方を忘れて、車に乗って移動している。ユニークな世界観で様々なキャラクターが登場し、別世界に連れて行ってくれるような感覚にワクワクする。しかし、物語の核となるのは主人公であるイアン&バーリーの関係性で、それ以外の設定はすべてカモフラージュにすぎない。この兄弟は幼い頃に父親を失っており、イアンに関しては幼すぎて、父親の記憶はほとんどない。そんな2人が魔法によって父親を蘇らせるために旅に出るのだが、さまざまな困難を乗り越えていき、この兄弟の絆が試されていくことになる。ここまでの物語は予告編などで見る通りだし、ありきたりでもある。だがこの映画が大変身するのはクライマックス。ついに父親と再会できるのか、という瞬間に訪れる。それは友情や愛を経験したことのある人、誰もが共感せずにはいられない感動。ピクサー映画はこれまで、制作者たちの人生における実体験から着想を得て物語を作り上げてきた。本作もそれに違わず、監督自身の経験を反映させている。鑑賞後、人の心の持つ温かさにいつまでも浸っていたくなった。ぜひ多くの人に観てほしい。