2分の1の魔法 / Onward

2分の1の魔法 / Onwardのレビュー・評価・感想

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2分の1の魔法 / Onward
5

オチがどんでん返しではない

なんか、衝撃のラストとかうたっていましたが、別にどんでん返しではありませんでした。そこが一番がっかりでどんなことが起きるのかなとワクワクして見ていたので、これ?別に普通の話なんだけどと思いました。でも、感動的ではあります。兄が弟を思う気持ちがよくわかって感動しました。特に親が亡くなってたりすると、おれは親父のこと覚えてるけどあいつは…とかなって、より弟を大切に思うのかもしれません。彼らの母親ローレルの息子を見る目もすごく愛に満ちていて、素敵なキャラクターでした。
いろいろいいところもあったのですが、前述のラストの件と、魔法世界なのに、魔法が廃れたっていう設定がよくわからなくてのれないところがおおかったです。なんか、すごいことできるし、科学が発達しても魔法はなくならないと思うんですよね。魔法がなくなるとかってどっちかっていうと、みんながそれを信じなくなったからみたいな、ピーターパンで語られているロジックのほうがすんなりきます。それに、ドラえもんの魔法の世界にする映画では魔法といえどもすぐには使えなくて勉強がいるって話になってたし、ハリー・ポッターだってそうです。なんか簡単に魔法思い出し過ぎちゃう?と思ってしまいました。おもしろいけど、いろいろと惜しい作品だなと思います。

2分の1の魔法 / Onward
9

ピクサー映画の真骨頂、『2分の1の魔法』

ピクサー映画『2分の1の魔法』は、どんな人にもおすすめできる良作。舞台はかつて魔法がすべてを動かしていたが、現在は私たちと同じようにテクノロジーが支配している世界。みんな魔法のことも忘れ、半人半馬のケンタウロスも走り方を忘れて、車に乗って移動している。ユニークな世界観で様々なキャラクターが登場し、別世界に連れて行ってくれるような感覚にワクワクする。しかし、物語の核となるのは主人公であるイアン&バーリーの関係性で、それ以外の設定はすべてカモフラージュにすぎない。この兄弟は幼い頃に父親を失っており、イアンに関しては幼すぎて、父親の記憶はほとんどない。そんな2人が魔法によって父親を蘇らせるために旅に出るのだが、さまざまな困難を乗り越えていき、この兄弟の絆が試されていくことになる。ここまでの物語は予告編などで見る通りだし、ありきたりでもある。だがこの映画が大変身するのはクライマックス。ついに父親と再会できるのか、という瞬間に訪れる。それは友情や愛を経験したことのある人、誰もが共感せずにはいられない感動。ピクサー映画はこれまで、制作者たちの人生における実体験から着想を得て物語を作り上げてきた。本作もそれに違わず、監督自身の経験を反映させている。鑑賞後、人の心の持つ温かさにいつまでも浸っていたくなった。ぜひ多くの人に観てほしい。