ナンバーガール / NUMBER GIRL / ナンバガ

ナンバーガール / NUMBER GIRL / ナンバガ

単純な楽曲でありながら、他のバンドにはない騒やかな演奏で90年代後半から00年代前半を駆け抜けたロックバンド・ナンバーガール。
衝動をそのまま音に乗せたかのような激しい演奏は、多くの人に衝撃を与え90年代の伝説とまで言われた。
短い活動期間ではあったが、ASIAN KUNG-FU GENERATIONや凛として時雨といった後続のバンドに強い影響を与えた。

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ナンバーガール / NUMBER GIRL / ナンバガのレビュー・評価・感想

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ナンバーガール / NUMBER GIRL / ナンバガ
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ミュージシャンが嫉妬するバンド

椎名林檎やアジカン、星野源は、音楽業界で欠かせない個性的なメンツであり、絶大な人気を誇るミュージシャンたちだ。
そんな彼らが「影響を受けた音楽は?」という質問を受けた際に必ず名前が挙がるのが、この「NUMBER GIRL」である。
激しく、荒々しく、コードやリズムのルールを破壊するような演奏に、最初は戸惑うかもしれない。
しかし、狂っていくように聞こえたドラムのリズムも、ギターのメロディーも、きちんと綺麗にまとまって形になっているのだから、最早才能と呼ぶ他ない。
凄さは歌詞にもある。
「発狂した飼い猫を 川へ捨てに行って 念仏唱えてさようなら 中古の戦車を拾って帰る」から始まる「鉄風 鋭くなって」。

「ガキのエデュケーションプログラムTVを 不条理な目線で見てつぶやいて」と綴る「delayed brain」。
どれも我々凡人には到底思いつきもしない歌詞がこれでもかと詰まっている。

曲に関しても、青春の焦燥感、大人になって知る喪失感や虚無感、諸行無常の世に憂う寂しさに満ちている。
こんなバンドは他にいない。冒頭で挙げたミュージシャンが影響を受けたというのも頷ける。

彼らは人気絶頂の頃、突然解散を発表し、椎名林檎やアジカンはまだデビュー前の素人時代にラストライブへ行ったと語っている。
リアルタイムでそれを観たと自慢している彼らに、今度は我々が嫉妬する事になる。
このバンドは、色んな人間をセンスで魅了し、個性で黙らせ、多くの嫉妬を集める唯一無二のバンドである。