j_saitou@j_saitou

j_saitou
j_saitou
@j_saitou
17 Articles
34 Reviews
0 Contributions
0 Likes
j_saitou

j_saitouのレビュー・評価・感想 (2/2)

Lily Chou-Chou
10

呼吸について

岩井俊二監督の映画の原作である小説《リリイ・シュシュのすべて》に先行する形でLily Chou-Chouは結成された。ボーカルはSalyu、作詞は岩井俊二、作曲を小林武史が担当。《呼吸》が唯一のアルバムとして発表されている。
リリイ・シュシュを語る上で必ず出てくる用語に《エーテル》がある。目に見えない物質。特に定義づけはされていないが、青のエーテルは希望、赤のエーテルは絶望を表す。リリイの曲を聴くとエーテルを感じることができるらしい。エーテルの有無については僕にはわからないが、呼吸を聴くと浮遊するような不思議な感覚に陥るのは確かだ。中でも《回復する傷》は素晴らしい。いわゆる、スキャットで歌詞はない。たぶん、映画の影響を強く受けている人間が聴いたなら、間違いなくエーテルを感じるに違いないだろう。それは岩井俊二の思うつぼだとは知らずに。ある意味に於いて僕たちは洗脳されたのだと思う。エーテルという触媒を通じて。魂のシンクロニシティを信じたのである。
少し大袈裟に聞こえるかもしれないが、この音楽にはそれなりの力があると僕は思う。騙されたと思って一度《呼吸》を聴いてみてほしい。感想を聞くのはその後でも遅くはないのだから。

マジンカイザーSKL
5

タイトルなし

2010年に発売されたOVAでゲーム・スーパーロボット大戦シリーズでデビューしたオリジナルのマジンガー「マジンカイザー」のアニメ化ですが、2001年~2003年に制作された同名シリーズとは世界観、登場人物含めて無関係になっています。
あらすじ的には重力路ぼ暴走で地球消滅の危機に瀕し、その中核となっている謎の機械島でロボット同士の戦争に巻き込まれていくという流れです。
全3話のOVAなので全体的に見た場合ダイジェストな印象は否めませんが、その分戦闘シーンのクオリティは高く、3話ほぼ全編に渡って繰り広げられるアクションシーンは観ているこちらを飽きさせません。
また、マジンカイザーを操る2人の主人公、海動剣と真上燎の2人がとにかく好戦的であり、「俺たちが、地獄だ!」という決め台詞からどっちが悪役なのか一瞬判らなくなりますが(笑)、逆にこのキャラクターが永井豪原作らしさを表している印象もあり、海動がメインで操縦する際はカイザーは剣技を、真上が操縦する際は銃撃をという具合にカイザーの戦法が変わるのも視覚的に面白く感じました。
また、敵ロボットデザインも量産機が主にマジンガーZの機械獣を模していたり、モブキャラも永井豪作品のキャラクターを意識していたりする遊び心も感じられます。

w-inds.
10

私の人生のパートナーのような存在。

このグループが好きだと周りの人に話をすると、ほぼ必ずと言っていいほど、「昔聞いてた」とか、「まだ続いてたんだ」など、ちょっと悲しいことを言われてしまうのですが、私は17年間w-inds.のファンをやってきました。
今までも音楽が好きで、様々なアーティストの音楽を聴いていたのですが、w-inds.との出会いは、たまたま通りかかったCDショップでした。それまでこのグループの事をまったく知らなかったのですが、お店でw-inds.の曲が流れていて、なぜか気になって気になってしょうがなくなり、今までレンタルしかしてこなかったのに初めてCDを購入したことでした。
そこからはファンクラブに入り、LIVEにも毎年参加したりしているうちに、人生の半分以上ファンでいるという、まさに人生のパートナーのような存在になりました。

w-inds.の音楽性は多種多様で、常に世界の音楽を追及していっているので、時代とともにまったく曲調が変わっています。また、ダンスのレベルも高く、ダンスをしている人が映像を見てファンになったという話も聞いたりします。
どの曲がいいのかと問われると、時代とともに変化するグループなのでこれとは言いにくいのですが、ぜひ自分に合った曲を見つけてみてほしいグループだと思っています。

魔王 JUVENILE REMIX
9

周りに流されやすい人は是非読んでみてください!

原作は伊坂幸太郎で、小説「魔王」と「グラスホッパー」を混ぜた内容となっており完結済の漫画です。
主人公が社会人から学生へと変更されたり、2つの作品を混ぜているため原作を読んだことがある人でも十分楽しめます。むしろ原作を読んだことがあるほうが楽しめると思います。
内容は、簡単に言えば、ちょととした超能力を持った周りに流されやすい兄と、周りに流されない弟、という対照的でありながら仲のいい兄弟が、大衆を惹きつける政治家と対決するといった内容です。能力バトル的な場面はありますが、この漫画のメインはやはり主人公や敵が何を考えて行動しているのかにあると思います。
特に兄の葛藤や、敵と対決を決意するまでの流れは素晴らしく、この漫画を好きになった一番の要因です。
物語は第一章と二章に分かれており、第一章は兄、二章は弟がメインとなります。一章は先に述べた兄の葛藤、二章は弟のぶっ飛び具合が見所です。その他サブキャラ達もキャラが立っており、スピンオフも出ています。
周りに合わせて波風立てないで生きているのが嫌、もしくは疑問に思っている人や選挙なんか行かなくていいと思っている人は是非読んでみてください。

残穢-住んではいけない部屋-
10

気にしなければどうということはない的ホラー

呪怨は家に訪れたら終了で、リングは呪いのビデオを見たらアウトだったけど、本作の明確なアウトラインはまったく持ってあいまいである。そのあいまいさがまた恐ろしい。
現代社会において、人口は水のように流動的で、地域の忌まわしい記憶など忘れ去られてしまうのはとても早いだろう。そこを逆手にとったのが本作ともいえる。
この穢れは何が原因なのか、どこから来たのか探し始めると、どこまでも過去を遡る事になり、そんなこと言ったら日本中、いや世界中穢れまみれじゃいという気分に陥ることだろう。しかし、ラストに観客に提示されるアンサーは「気にしなければどうということはない。けど、気にしたほうの負け」というエンド。顔がちょっと強張っちゃう呪いの絵だって好きな人には名画だし、子供が虚空を見つめても気にしなければ何もないのと同じ。穢れはいつも貴方のそばに。本作を観覧後、現実と幻想の区別があいまいになりかける仕掛けがある。実在の人物の登場である。名前こそ多少なりとも変更してあるが、彼を知っているものや、ラジオやテレビで見聞きしているものはすぐに気づくだろう。彼の存在自体がリアルでは胡散臭い人物なのだが、彼が登場することによって私は多少なりとも混乱した。

ハピネス
9

悲しくも可笑しい、人々の性活。

普通の人々の性癖や性活を、毒っ気と哀愁を織り交ぜながら淡々と進む、ブラックコメディ的群像劇です。監督は異彩の人、トッド・ソロンズ。本作はカンヌ国際映画祭で批評家賞を受賞しています。

群像劇ですが、メインとなる人々は5人。それぞれが日々の生活の中、性にまつわる悩みを抱えています。物語である以上、極端な設定に感じるところもありますが、脇役俳優で全キャストを固めているので無理なく、私達が想像するような普通にいる一般の人々に重ね合わせて見ることができると思います。
メインの5人のなかでも強烈なインパクトを残すのが、精神科医として普通に家族と暮らしているビル。彼には誰にも言えない言ってはならない性癖がありました…。好きでこんな性癖もったんじゃない!知らないうちにこうなってたんだ!みんなそうですよね?たまたまこうなっただけ。ビルにとってはそれが、法的にもモラル的にもアウトなため、悩み、苦しんでいる…。そんな深刻な悩み、人が持つ闇をシュールな演出で、切なくも可笑しく見せるのがこの監督は実に上手いのです。
先に脇役俳優と書きましたが、それぞれ個性派として名の知れた俳優達ですので、演技面で違和感など感じることはありません。安心です。(笑)批評家賞を取っていることから分かるように玄人受けの作品ですね。

イナズマイレブン アレスの天秤
9

タイトルなし

主人公の明日人を最初に見た時に、仲間思いの優しい好青年だなと思いました。
また、初期GKが女の子という設定は今までの『イナズマ』シリーズにはなかったものの、サッカー部メンバーの中には歴代の雷門イレブンを思わせる特徴を持ったキャラクターもいて、スタート時のチームに新鮮さがありながら親近感もありました。
1話の伊那国中サッカー部が廃部の危機に瀕し、その直後で明日人の母が息を引き取ってしまったシーンでは、思わず泣きそうになりました。
2話では今までゲームにサブキャラクターとして登場していたつくしがマネージャーになったシーンを見て、つくしの登場だけでも懐かしいのに、サッカー部に関わるようになった嬉しさも同時に感じました。
監督からの特訓メニューが全て意味がなさそうなものばかりでしたが、その特訓をこなす明日人達が町の人々から応援されるシーンへと繋がって、そこから監督からのメッセージが特訓を通じて分かるなぞかけみたいになっていた事が分かり、意味が深かったです。
同時に、監督が組んだ特訓メニューが全部無茶なものばかりだったので、『イナズマ』シリーズ恒例の「無茶な特訓メニュー」もそのまま引き継がれていて面白かったです。

四畳半神話大系 / The Tatami Galaxy
10

森見登美彦作品はどこをとっても最高

四畳半神話大系は森見登美彦先生の作品です。アニメ映画化された「夜は短し歩けよ乙女」の作者の作品であり、「夜は短し歩けよ乙女」と「四畳半神話大系」、それと同作者の「有頂天家族」は同じ京都の世界観を生きています。各作品とリンクする場所場面があり、通して見てみると、とても楽しいです。
四畳半神話大系は、主人公である「私」が、人生を無駄に消費しているダメ大学生のダメ大学生っぷりはすべて、不気味な宇宙人のような友人「小津」のせいだと主張し、このダメっぷりをどうにかして抜け出そうとする話です。しかしその望みはすべて砕かれ、小津に人生を全力でダメにされてしまいます。ジャンルとしては青春友情物語ではありますが…どのへんが友情にむかうのか、というところはぜひご視聴ください。
森見登美彦ならではの難しくも情緒のある熟語の織り成す小説本文を、声優の浅沼晋太郎が小気味よくリズミカルにそしてダメっぷりをペラペラと喋ります。とても聞き心地がよいです。
宇宙人のような小津は声優の吉野裕行が気味悪く、そして謎のキュート感を醸し出します。
原作:森見登美彦、キャラクターデザイン:中村祐介、監督:湯浅政明という豪華最強布陣で制作された最強アニメです。なんとなく違った魅力、刺激が欲しい方には大変お勧めです!中二心を持った人は好きだと思いますよ!

こちら葛飾区亀有公園前派出所 / こち亀 / KochiKame: Tokyo Beat Cops
10

タイトルなし

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は両津勘吉巡査長を主人公としたギャグアニメである。破天荒な性格の両津勘吉を中心に大騒動が繰り広げられる。
主な登場人物は、主人公の両津勘吉、同僚の中川圭一、秋元麗子、寺井洋一、上司の大原大次郎などがいる。
中川は中川財閥の社長という立場でありながら、なぜか警察官の仕事をしている。容姿端麗であり射撃の腕は超一流である。また、両津勘吉にたびたび金を貸してくれと頼まれるが、簡単には貸さない。しかし戦車や戦闘機は簡単に貸してくれる。愛車は主に赤のフェラーリF40である。
秋元麗子も中川と同じく、秋元グループという巨大企業の令嬢でありながらなぜか、警察官をしている。両津とはたびたび口喧嘩をするが仲は良い。ピンクのポルシェ911を愛車としている。
寺井洋一も公園前派出所に勤務している警察官である。絵に描いたような普通の人生を送っていることから、「人生送りバント」と両津から呼ばれることもある。マイホームを持っているが、通勤に片道3時間かかるところから通勤している。
大原大次郎は両津とたびたび喧嘩をしているが、心の中では両津を慕っている部下思いの上司である。