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ageha2005のレビュー・評価・感想

イット・フォローズ / It Follows
8

ホラーが苦手でも楽しめる映画

いわゆる「オバケ」が出てきますがユニークなオバケで、特徴としては様々な姿になることができてゆっくりとターゲットを追ってきます。
あらすじとしては、バーで知り合った男性といい雰囲気になった主人公は彼と映画やドライブのデートに行きます。しかし車の中でいい雰囲気になり主人公が油断していると、男性は主人公に薬品を嗅がせて気絶させてしまいます。次に主人公が目を覚ますとそこは廃墟で、主人公は下着姿のまま車椅子に縛り付けられていました。主人公が混乱していると先程の男性が主人公に不可解なことを言い出します。「ナニカがお前を追ってくるのでひたすら逃げろ」と。
そのナニカというのが本作品に出てくるオバケです。そのナニカは性行為をすることで人から人へうつり、うつされた人はナニカに追われ、うつした人は追われなくなります。そして、追いつかれるとそのナニカに殺され、ナニカは感染者を遡っていきます。

あまり驚かせてくるシーンは少ないですが、作品中はずっとナニカに追われている描写が続くのでしばらくは夜道を一人で歩くのが怖くなるかもしれません。
また、この作品はエイズがテーマになっているという考察もあり、そういう視点で見ると考えさせられる映画でも有ります。

また内容以外でも音楽が非常に素晴らしい映画で、全体を通してエレトリカルな電子音調のサウンドが流れます。この音楽が怖さを倍増しており、ホラーが得意な人も音楽が苦手と表現していたりします。メインテーマはとても耳に残る曲で良くも悪くも怖い曲です。

最終的にはオバケを倒すわけでもなく、共存するという終わり方なので少し後味の悪い終わり方かもしれません。

スチュアート・リトル / Stuart Little
7

猫がペットでネズミが家族

ありえないお話が映画の題材ではあるのですが、動物好きにはたまらない映画だと思います。
動物に対する愛情もですが、本当の家族として一緒に過ごしていくことが大切ということを語ってくれてるような気がしました。
最近ではペットを玩具感覚やゲーム感覚で飼い始め、いらなくなったら捨ててしまうようなことが増えたりしているので、ペットとしてではなく、動物であっても同じ生きている仲間。家族として迎え入れるというこの想いが凄く好きです。
映画の中では動物が会話をしているのですが、違和感なく観られるというのがこの映画の凄いところだと思います。もう最初からそれが当たり前のような状態で始まるので、すんなりストーリーに入り込めました。
養子としてネズミのスチュアートが迎えられたのですが、弟ができると喜んでいた息子にとっては、弟がネズミだなんて恥ずかしくて人に言えない。そんな状態を、スチュアートがどんなに悲しい目にあっても辛い目にあっても、養子として迎えてくれたご両親の愛を受けて家族の難を乗り越え、息子もやっとでスチュアートを受け入れてくれるという、素敵な物語です。ペットとして飼われている猫とも、猫がペットでネズミが家族ということが許せない。と、スチュアートに意地悪するのですが、結局は仲良し。
家族愛を感じられてほっこりしてしまいました。

四月は君の嘘 / 君嘘 / Your Lie in April
10

音楽と青春、恋と嘘

天才ピアニストの有馬 公生(山崎 賢人)が天真爛漫なバイオリニストの宮園 かをり(広瀬 すず)に恋をするラブストーリーです。
天才ピアニストの有馬(山崎 賢人)は母の死去後、自身のピアノを音が聞こえなくってしまった少年です。
そんなトラウマを克服してあげようと助けるヴァイオリニストの宮園と出会います。
しかし、コンサートに向かう途中で倒れてしまった宮園は、救急車で搬送されるほどの重い病をおかされていましたが、「軽い検査だ」と明るく振る舞っています。
長期入院した宮園 かをりは、退院したと嘘をつき有馬をデートに誘います。
帰ろうとするとかをりが学校にかばんを忘れたという嘘のハプニングを言い出します。
病院に引き返そうとする有馬に宮園が怒って走り出します。
また、倒れて病院に運ばれた宮園は、有馬に自分のわがままに苦しませてごめんねと謝れた有馬は黙って病室を後にします。
有馬は、自身のコンクールに受けると宮園に約束し、宮園も困難な手術を受けると決心します。
約束した二人は、音楽の道に再び戻ることができ、そこには、手術を受けるかをりの気持ちに届ける有馬にバイオリンを演奏する彼女の姿が見えます。
しかし、演奏が終わると彼女の姿も同時に消えます。
彼女が最後に残した手紙には、隠していた嘘と好きな人が有馬ではないことが描かれています。

大統領の料理人
9

おいしい料理と、時にはビターな人生

フランス大統領の専属料理人としてエリゼ宮に入った、史上初の女料理人オルタンスの物語です。
エリゼ宮での姿と、その後南極料理人として最後の一日を過ごす姿を交互に映すことで、彼女の境遇や心理が繊細に描かれた丁寧な一本です。

家族から教えられた地方料理を得意とするオルタンスは、「シンプルで家庭的なフランス料理が食べたい」と願う大統領のお眼鏡にかないエリゼ宮入りを果たします。雇い主の要望を叶えるべく、プロとして仕事と向き合うオルタンスは最高にクールで、観ているこちら側の背筋もなんとなくしゃんとしてしまいます。
しかし、実話をもとにしただけあって「カッコイイ女のおシゴト物語」だけでは終わらないのが本作。嫉妬を買った主厨房の男たちからの嫌がらせ、厳しい経費削減に伴い「本物の」食材を仕入れることが難しい歯痒さ、専属栄養士から突き付けられる多くの制約…オルタンスの受難は世の中の条理そのもので、軋轢に耐えかねた結果エリゼを去る結末は人生のほろ苦さを物語っています。
ひとりの女性の人生の一遍を、料理を通して覗いている気持ちになる映画です。

スクランブルエッグとセップ茸、サーモンとキャベツのファルシ、フォアグラの白ワインジュレ、エスカルゴのカスレット、おばあちゃん直伝のクリームたっぷりのサントノレ…素朴で温かみのあるフランス料理たちの美しさは一見の価値ありです。

犬鳴村
3

期待したものの…

本作は「呪怨」シリーズを初めとするジャパニーズホラーの大御所・清水崇監督による犬鳴村の都市伝説再現のホラーとなっており、話題性もあって期待していたのですが、正直余りの完成度の低さにガッカリでした。
前半はそこそこ良いです。まずYouTuberの男女コンビが犬鳴村の撮影に行ったところ、そこで祟りに遭い女性が完全に発狂し自殺してしまう所から始まり、犬鳴村に少しでも関わった者は、この村の血筋となる森田家を除いて全員理不尽に死亡してしまうなど、後半まではロケーションや雰囲気も凝っていて演技も凄く上手でリアリティがありました。ここまではとても引き込まれました。
でも後半が雑なんです。特に主人公の森田奏の目の前で祖母の父親(ひい爺ちゃん)の霊と普通に会話していたり、何故か囚われてから何日も経つはずの主人公の兄と弟が無傷で済んでいたり、尚且つ犬鳴村の謎解きのシーンに至っては余りにも全部を説明しすぎで、悪い意味での東映特撮っぽい安っぽさになってしまったのが何とも言えません。
何より一番嫌だったのは、主人公・森田奏が自身の運命を知った上で和解したはずなのに、何故かラストでイヌビトと化してしまったり、最後に出てきた摩耶のイヌビト化に関してもとりあえずショッキングな奴出せば観客も驚くだろうと安易なモンスターパニックに堕してしまっている印象は否めません。
プロット自体は悪くないし、前半は凄く良かっただけに後半の失速が勿体ないと感じました。また、被差別部落、人種差別など凄く根深いテーマまで踏み込んだのに、最終的に主人公・森田奏をよくある「可哀想な展開」へと持って行ったのは何とも日本人の悪い癖が出ているなぁと感じました。
名前で釣られて、観て損しました。キャスティングは凄く良かっただけにもう一度きちんとリメイクして欲しい作品です。

VERSUS
8

北村龍平監督初期の名作映画

上戸彩主演で知られる作品『あずみ』が出世作となる北村龍平監督による、2001年の作品です。森の中に逃げ込んだ囚人がヤクザや警察と闘う話ですが、その戦闘シーンが秀逸。ゾンビ VS カンフー VS 銃 VS 刀の様相で繰り広げられるアクションの連続です。みんな大好きB級アクション満載となっています。またインディーズ映画とは思えないほどの映像の素晴しさも特筆ものです。
ストーリーは以下の通り。
護送中の囚人が仲間と共に逃げ出し、迎えに来たヤクザと合流するが、ヤクザと揉めた囚人が、ヤクザから銃を奪いそのヤクザの一人を撃ち殺す。しかし、銃で撃たれ即死したはずのそのヤクザが蘇り、囚人や仲間のヤクザたちに襲いかかってきた。
囚人は謎の女と共に森の奥に逃げ込むが、追ってきたヤクザや森の中から沸いてくるゾンビ達、また脱獄囚を追ってきた刑事達との激しい戦闘が、そこには待っていた。
そして倒し殺した相手もまた、すぐにゾンビとして蘇り襲ってくる恐怖。
なぜならそこは蘇りの力を持った森で、死者がゾンビとして復活する場所だった。
なんとか生き延びた脱獄囚と謎の女が、その先出会った組織のリーダーである男。この男と脱獄囚、そして謎の女には遠い過去からの因縁があった。そして2人の男は刀を取り決着をつける。。。

サザエさん
10

サザエさんの魅力

伝統あるアニメ『サザエさん』は、誰もが知ってる名作だ。サザエさんというタイトルだが、サザエさんという一人の専業主婦が主役でもない。おそらく昭和50年代の設定である。
サザエさんの家にある「黒電話」がそれを証明しており、時代を感じるファミリーアニメである。サザエさんというタイトルであるが、サザエさんの弟にあたる小学生のカツオが主人公のようなアニメである。そのカツオを中心にアニメは展開していく。時には、カツオの学校の同級生とのコミュニケーション。時にはカツオと姉のサザエさんとの喧嘩。どこにでもあるファミリーなのだが、何故か面白く、日曜の夕方ほのぼのとするアニメである。
特にサザエさんとそのパートナーマスオが共にサザエさんの実家で暮らしていることから、サザエさんの息子タラオとサザエさんの弟カツオの年齢が近く、見ている人にとって、それがおじと甥っ子ということはなかなかわからないだろう。そういった複雑な要素を難しいと思わせないだけのアニメの作者の腕もあり、誰が見ても楽しめる作風になっている。
日本の古き良き伝統、正月やひな祭りなどの文化もサザエさんやカツオを中心に分かりやすく、面白く描かれており、改めて、日本文化の良さもわかる。一昔前の普遍的な家族でありながら、重い不幸もなく、爽やかに見れる普遍的アニメである。