期待したものの…
本作は「呪怨」シリーズを初めとするジャパニーズホラーの大御所・清水崇監督による犬鳴村の都市伝説再現のホラーとなっており、話題性もあって期待していたのですが、正直余りの完成度の低さにガッカリでした。
前半はそこそこ良いです。まずYouTuberの男女コンビが犬鳴村の撮影に行ったところ、そこで祟りに遭い女性が完全に発狂し自殺してしまう所から始まり、犬鳴村に少しでも関わった者は、この村の血筋となる森田家を除いて全員理不尽に死亡してしまうなど、後半まではロケーションや雰囲気も凝っていて演技も凄く上手でリアリティがありました。ここまではとても引き込まれました。
でも後半が雑なんです。特に主人公の森田奏の目の前で祖母の父親(ひい爺ちゃん)の霊と普通に会話していたり、何故か囚われてから何日も経つはずの主人公の兄と弟が無傷で済んでいたり、尚且つ犬鳴村の謎解きのシーンに至っては余りにも全部を説明しすぎで、悪い意味での東映特撮っぽい安っぽさになってしまったのが何とも言えません。
何より一番嫌だったのは、主人公・森田奏が自身の運命を知った上で和解したはずなのに、何故かラストでイヌビトと化してしまったり、最後に出てきた摩耶のイヌビト化に関してもとりあえずショッキングな奴出せば観客も驚くだろうと安易なモンスターパニックに堕してしまっている印象は否めません。
プロット自体は悪くないし、前半は凄く良かっただけに後半の失速が勿体ないと感じました。また、被差別部落、人種差別など凄く根深いテーマまで踏み込んだのに、最終的に主人公・森田奏をよくある「可哀想な展開」へと持って行ったのは何とも日本人の悪い癖が出ているなぁと感じました。
名前で釣られて、観て損しました。キャスティングは凄く良かっただけにもう一度きちんとリメイクして欲しい作品です。