奇想天外な箱根駅伝ランナーたち
伝統ある箱根駅伝を目指しているランナーに対して失礼ではないか。
こんなことを思っていてもグイグイと引き込まれしまう展開が待っています。
箱根駅伝は、東京箱根間の往復約200㎞を関東圏の大学で争う1920年より開催されている伝統的な駅伝競争です。
家族が揃った正月のテレビで、箱根を走る大学生の力走を見ている人は多いでしょう。
この小説を読んだ駅伝好きな人ならば、「あり得ない、でも面白い」、そう思うのではないでしょうか?
この競技に息を吹き込み、素晴らしいエンターテインメントとなった小説が『風が強く吹いている』です。
何の経験もない癖のある10人(正確には9人)が、1人の情熱的な学生によって、本当のランナーになっていく過程は、たまらないほど感心します。
箱根駅伝の10区の区間のそれぞれの特徴あるコース、相手を牽制しながら競り合いになるコース、プレッシャーがかかる長いコース、
上り下りの続くコースに、実績もない選手たちを各々の区間に当てはめていく理由も納得できます。
予選会を勝ち抜き、本大会に挑む奇想天外な箱根ランナーたちの走りを応援したくなります。
そして正月の箱根駅伝を今までと違った気持ちで観戦することが出来ることになるでしょう。