年上の作家に嫁いだ若妻亜希子の不思議な体験とその人生
現実的にはあり得ないフィクションとその運命なのだが、なぜか面白く最後まで飽きないで楽しめた。この作家、一色正和と亜希子は理想の夫婦だと思う。決して仲良い時ばかりでなく喧嘩もするし焼きもちも焼くのだが、根底に愛し合っている2人なので、色々なトラブルも乗り越えていけるのだ。互いに相手がかけがえのない存在、しかも前世でも繰り返し夫婦だったという輪廻があれば本当に唯一無二のパートナーなのだろう。毎日夫婦生活を重ねていい思い出をたくさん作っているから、自分が予期せぬ運命で若くして黄泉の国へ行くことになっても旦那さんとの楽しい思い出が次から次へと出てくる。案内役の死神がさぞかし幸せだったのだろうと感心する。なんという素敵な夫婦であり奥さんだろう。相手を支えるということ、相手が仕事に打ち込めて安らげる過程を作るということがどんなに大変でまた素晴らしい事かつくづく考えさせられる。正和は作家なので家で仕事をする。家が職場でありまた安らげる空間なのだ。毎日作ってくれる朝ご飯、昼ご飯、夕ご飯がどれだけ正和の心を癒してくれているか、亜希子が黄泉の国へ行ってから正和は思い知る羽目になるのだ。人の幸せってきっとこういう思いの積み重ねなのだと思う。運命の人って本当にいるかもしれないな、ふと思った。2人の間に子供ができればその絆はより一層深まっていくことだろう。この夫婦は飽きたり倦怠期などはなく素敵な二人の生活を送り続けるような気がした。