シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water

シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water

『シェイプ・オブ・ウォーター』とは、2017年にアメリカで制作・公開された、声を発することのできない中年女性と半魚人が愛を育むラブ・ロマンスを描いた映画である。2018年に日本でも公開され話題になった。1962年冷戦下アメリカの機密機関で働く声を失った女性清掃員イライザと、アマゾン奥地からそこに運び込まれた正体不明の半魚人との心の交流を中心に描いている。前代未聞のラブストーリーということで、ギルレモ・デル・トロ監督作品の中でも傑作と呼ばれた。

シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Waterのレビュー・評価・感想

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シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water
4

いまいち信じられない。

ギレルモ・デル・トロさんは、映像のセンスが抜群だなと思いました。
水の中の映像が綺麗すぎます。緑と青を基調とした画面が幻想的でいつまでも見ていたくなる感じでした。
ストーリー的には乗れない部分もあったのですが、それでもあの映像を見ると見てよかったなと思いました。
乗れなかったのは、2人の心の通わせ合いがあまりわからなかったからです。
世間からはぐれたもの同士が傷を舐め合うじゃないけど、惹かれ合うというのはわかります。
でも、猫とか食うやつと恋に落ちますかね。それに見た目もぬめっとしていて魚です。
異種愛といっても、無理じゃない?と思ってしまいました。
そんなことを考えてしまうのは私の中でまだ偏見があるからでしょうか。
美女と野獣は平気だったというのに、そんなことを言うなんて、、私もただの面食いなのかもしれません。
そんな自分の嫌な部分にも気付かされてしまう、そんな映画でした。
映画自体、あえて、マイノリティーを描いている感がありました。
声が出ない役のサリー・ホーキンスさんは、繊細な感情表現をしていてすごいなと思いました。
あの世界観にハマる人にはおもしろい作品だったのではないでしょうか。わたしにはあまり合わなかったです。

シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water
10

想像を超える美的映画

冷戦時代というまだ女性よりもはるかに男性の地位が高いときに、言葉が話せないというハンディキャップを持ち、他人とあまりなじめずにいる主人公の女性が、自分が清掃員として働いている政府の研究所で人間ではない不思議な生物と巡り合う。言葉が通じない同士だからこそ、何か通じるものがある。強い絆が生まれ、お互いが必要としあい、普通の恋愛のように主人公は次第に彼の心に惹かれていき、ついに人生をともにする選択をしてしまう。ハンディキャップを持つ女性と得体のしれない生物を恋に落とさせるという常軌を逸した発想は、芸術的美であり、視聴者に衝撃を与えること間違いない。彼らの恋愛を尊いと思えるそんな映画だからこそ、恋愛にはいろんな形がありどんな形であれども許されるべきものなのだと再認識させてくれる。得体のしれない生物が管理されている研究室に度々足を運ぶようになる主人公は、初めて恋愛をして彼に会うまで待っていられないという少女のようで、相手が誰であろうとも応援したくなってしまう。そして、この生物の未知の世界に放り込まれて無知なことが多くてとも彼女を守ろうとする逞しさもまた、視聴者の心を鷲掴みにする。想像を超えた恋愛だからこそ尚、美しいと思わせる。

シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water
8

愛ってどういうかたちをしているの?

私は、日本で2018年に公開された「シェイプ・オブ・ウォーター」が大好きです。訳すと、水のかたちという意味になるそうです。私はこれを、愛には決められた形はないし、それがどんな形だとしても愛であることに変わりはない、ということを言いたいのかな、と感じました。

この映画の主人公の女性と魚人の愛のかたちは、世間の目など気にせず、ただお互いの幸せを願う素晴らしいものでした。アマゾンの奥地で神と崇められていた魚人が捕まってしまい、主人公の女性が勤めるとある研究施設に運び込まれ、そこからふたりのラブストーリーが始まります。
女性は生まれつき声が出ないという障害を抱えていて、それまで一人で生きてきました。友達はいるけれど恋人はいなくて、日々を淡々と生きている女性でしたが、魚人と出会い、愛を知っていきます。
この映画は本当に映像が美しく、背景や小道具、衣装がこだわって作られていると感じられます。建物の壁は水色、研究施設の制服や車も水色、食べているパイまで水色なのです。細かく作り込まれているお陰で、観ている私達はこのふたりのお話を、そっと覗きこんでいるような気分になれます。どうかふたりが幸せであるようにと願わずにはいられないでしょう。
魚人の見た目、リアルな生活感を匂わす女性の描写が受け付けないという方もいるかもしれませんが、私は大好きです。ラストの美しさには思わず涙してしまいました。是非観てみてほしいと思います。

シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water
10

後世に語り継がれるクリーチャー

『パンズラビリンス』『ヘルボーイ』『ヘルボーイ ザ・ゴールデンアーミー』『パシフィックリム』の鬼才、デル・トロ監督の作品です。
この作品は、アカデミー賞で監督賞、美術賞、作品賞、作曲賞の四部門を受賞しました。
作品の詳細が分からないうちから、絶対これは最高だろうなと思っていましたが、見事に私の想像も期待も軽々と飛び越えてくれました。
まず、圧巻の映像美。デル・トロ監督の作品なのですから美しいのは当然なのですが、ため息がでるほど見とれます。キャラクターも非常に素晴らしい。主演のサリー・ホーキンスは、私は今まで知らなかったのですが、この作品を見て彼女が好きになりました。独特の雰囲気とニュアンスをもった、いい女優さんだとおもいました。

そして注目すべきは、デル・トロ作品といったら、クリーチャーです!
この作品に登場する半魚人の「彼」。その造形がもう本当に秀逸。まさに神造形と言えます。「彼」のデザインには二年を費やしたとデル・トロ監督は語っています。クリーチャーへのこだわりが半端ではありません。さすがモンスター大好きオタク監督ギレルモ・デル・トロ。「彼」は間違いなく、後世に語り継がれるクリーチャーとなったでしょう。もちろん、この映画そのものもですが。

シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water
9

アカデミー賞ノミネート作品 半魚人との恋

2018年のアカデミー賞が発表され、話題となった作品をいくつか見に行ってみた結果、個人的に1番ヒットした作品。
電車の吊革広告でも一時期出されており、その幻想的なヴィジュアルに、何だろうこの映画は?と気になった方も居たかと思われます。実際に映画を見に行ってみても、その幻想的な世界観は凄まじく、夢を見ているかのような心地にさせられました。
ストーリーとしては、声帯を傷つけられ、声が出なくなってしまった独り身の女性が、ある時勤め先で半魚人と出会い、やがて恋に落ちる、というものです。
大まかに話すとラブストーリーのように思えるでしょうし、 私も初めはラブストーリーなんだろうと思いながら見た訳ですが、見終わりました感想としましては、これはラブストーリーにホラーも共存しているのではないか、という印象を受けました。
綺麗な場面や心揺さぶられ、温かい気持ちになる時もあれば、血が普通に飛び出たり、中には指を引きちぎるようなグロいシーンも沢山出てきます。
グロいシーンを普通にスルーできる方であれば面白い作品かと思います。

全体的にも、フランス映画のようなゆったりとした場面や、絵画を見ているような美しいシーン、ホラー映画のようにハラハラさせられる場面もあり、時間を忘れて楽しむことができる映画でした。

シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water
6

SFラブストーリー

2018年、アカデミー賞を受賞した本作。ある程度予告を見ていき、勝手にE.Tのような異星人と地球人の友情物語とばかり思っていました。しかし、映画を見続けてみると、地球に存在した未知の生物と人間の恋愛物語。しかもR15なだけあって、グロイ描写や刺激的なシーンが多々でてきます。予想外でした。
私が好きなのは主人公の女性の意外な行動力です。研究施設の清掃員として勤める彼女は声を失っており、少し臆病な性格に見えます。しかし未知の生物に惹かれ守るために奮闘する中で、上司(敵)に分からないように手話で捨て台詞を吐いたり、友人に必死に助けるように迫ったりと、実は肝が据わっていたり、意志が強い女性だと分かります。声が出ず手話で伝えるからこそ、未知の生物と分かりあえたりして、段々と2人が仲良くなるところも素敵です。特にバスルームを水いっぱいにして泳ぐシーンは、その大胆さに驚くとともにとても綺麗な印象を受けました。
でてくるシーンは薄暗い研究施設であったり、寂れた映画館であったり、古い部屋だったりと暗くて薄汚いイメージをもちます。しかし、それがあるからこそ、未知の生物の体や、女性の赤いコート色、水の色がとても綺麗にうつりました。どこかクラシカルな雰囲気も好きでした。

シェイプ・オブ・ウォーター / The Shape of Water
10

さすがのアカデミー賞4部門受賞作品

兼ねてから全世界で話題になっていたが、さすがにアカデミー賞で4部門を同時受賞した作品だけあるなと思いました。ストーリー性しかり、展開もまた順序立てており、無駄がなく、また、ムラがなく、全てにおいて素晴らしい映画と言えるでしょう。登場人物にも工夫があり、映画の中でしばしばドキドキすることも、ハラハラすることもでき、適度な緊張、かつ、リラックスできる場面が散りばめられていて良い意味で非常に刺激的でした。
前半は生い立ちというか、登場人物の紹介が行われながら(行われたという感覚はないが)事の展開が行われていくので、無理がなく楽しめます。
中盤から終盤にかけてもスリルなどにも欠けることなく、その映画の醍醐味が徐々に滲み出てくるので、飽きることも全くないです。あっという間に映画の最後まで時間が過ぎてしまいます。キャラクターも被ることなく、独創性に満ちており、それぞれが良い味を出していて本当に興味を持つことができます。
最初、怖いと思った神と言われし未知の生き物も、人間と同じ感情を持っているということが徐々にわかって、親しみが湧いてきました。全て終わった時に映画の最後が映画の最初に繋がっていると気付きましたが、そういう締め方にも十二分に満足しました。