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想像を超える美的映画
冷戦時代というまだ女性よりもはるかに男性の地位が高いときに、言葉が話せないというハンディキャップを持ち、他人とあまりなじめずにいる主人公の女性が、自分が清掃員として働いている政府の研究所で人間ではない不思議な生物と巡り合う。言葉が通じない同士だからこそ、何か通じるものがある。強い絆が生まれ、お互いが必要としあい、普通の恋愛のように主人公は次第に彼の心に惹かれていき、ついに人生をともにする選択をしてしまう。ハンディキャップを持つ女性と得体のしれない生物を恋に落とさせるという常軌を逸した発想は、芸術的美であり、視聴者に衝撃を与えること間違いない。彼らの恋愛を尊いと思えるそんな映画だからこそ、恋愛にはいろんな形がありどんな形であれども許されるべきものなのだと再認識させてくれる。得体のしれない生物が管理されている研究室に度々足を運ぶようになる主人公は、初めて恋愛をして彼に会うまで待っていられないという少女のようで、相手が誰であろうとも応援したくなってしまう。そして、この生物の未知の世界に放り込まれて無知なことが多くてとも彼女を守ろうとする逞しさもまた、視聴者の心を鷲掴みにする。想像を超えた恋愛だからこそ尚、美しいと思わせる。