嘘喰い / Usogui

嘘喰い / Usogui

『嘘喰い』とは、2006年から2018年までに迫稔雄が『週刊ヤングジャンプ』にて連載していた漫画及びそれを題材としたアニメ、映画作品である。相手のイカサマ(嘘)を利用し勝利する様から「噓喰い」の2つ名を冠する天才ギャンブラー・斑目貘が、智力と暴力の入り乱れる命懸けのギャンブルに挑む姿を描く。ギャンブルシーンの高度な駆け引きと読み合いの最中に行われるキャラクター同士の激しい格闘も人気を博しており、ギャンブル漫画としてもアクション漫画としても読み応えのある非常に重厚な内容の漫画である。

嘘喰い / Usoguiのレビュー・評価・感想

嘘喰い / Usogui
8

あんた嘘つきだね

嘘を嘘と見破るの難しいかもしれないが、それはとても重要な能力になるだろう。この作品は、嘘と暴力がうずまく世界を描いた漫画である。人を傷つける悪い嘘と、人を傷つけないためにつく良い嘘があるというが、それはどちらも嘘には違いない。
嘘をつく時に人は誰しも罪悪感を少なからず感じると思うが、この漫画の登場人物たちはそういう感情が一切なく、逆に騙された方が悪いというスタンスである。嘘はイコール、賭け事でのイカサマである。しかしそれがバレなければ、イカサマではなくなり、豪運となるのだ。
賭け事には揉め事がつきもので、取り立てなどでも揉めるが、そういった時に代わりに取り立ててくれたりする組織があればありがたくないだろうか。この漫画にはその組織が存在しその組織を中心に回っていく。
その組織の人物は一人ひとりに魅力があり、個性が強い。きっとお気に入りの人物を見つけることができるだろう。
そしてなんと言ってもこの漫画の1番の魅力は賭け事に使われるゲーム内容だ。一見ありそうでも、聞いたことがないようなゲーム内容であり、実によく作られている。中には難しいと感じるルールもあるかもしれないが、それを理解して読むとさらに面白くなる。

嘘喰い / Usogui
8

究極のギャンブル漫画!金と命のやり取り、不謹慎だがこうまで人を引き付ける。

「嘘喰い」とはそのタイトルにもなっている伝説の天才ギャンブラー班目獏、通称”?喰い”が主人公のギャンブル漫画だ。天才的な頭脳と洞察力により、そのギャンブルを何手先までも読み通し、ほぼすべてのギャンブルで勝利を収めてきた。そんな彼が仲間たちとともに超巨大賭博管理組織の「賭郎」のトップであるお屋形様の座をかけた戦い、「屋形越え」を達成させようとするという内容の物語である。この漫画の大きな特徴としてはギャンブル中のお互いの壮絶な読みあいである。冒頭でも述べた通り、主人公の獏はギャンブルの天才であるのだが、その対戦相手も生半可な相手ではない。さらに賭けの対象も莫大な金や命といったものであるためお互い全力で勝ちに行き、想像を絶するほどの読み合いが行われる。その内容はあまりにも天才すぎるが故、勝負の進行中はいったい何が起こっているのか全く分からないうような描写もあるが、その後の解説を聞けばなるほどと納得し、そして改めてこれをどこから見通して仕掛けたのかと再びおどろいてしまう、一瞬も飽きさせないような内容になっている。また、この物語の見どころはそれだけではなく、獏の仲間の成長物語も目を見張るものがある。特に、最初は命のやり取りという現場にただ恐怖し、獏さんにおんぶに抱っこだった梶という普通の青年が、自身の過去と決別し、極限のギャンブルを乗り越えていく中で、最後には獏にも劣らない実力を持って共に戦うようになっていく過程は、どこか胸を熱くするものがある。いろいろと語ってみたが、言葉ではこの作品の魅力の一割も伝えることができていないだろう。やや過激ではあるが、人間の本能的な部分を様々な面から掻き立ててくる本作品、ぜひ一度手に取って読んでみてほしい。

嘘喰い / Usogui
9

嘘喰いについて

嘘喰いとはヤングジャンプにて連載されていた漫画で、作者は漫画の求道者、迫稔雄です。この漫画の主人公は班目貘、またの名を「嘘喰い」と言います。その傍らで普通の青年から闇の世界の住人として成長を遂げていく梶隆臣、この2人が織りなす数々の勝負こそ嘘喰いの醍醐味と言えます。その取り立て能力を買われ、政府にまで権力を伸ばす組織、「賭郎」。貘はかつて、その中でも頂点に立つお屋形様と戦い敗北し、すべてを失ったかのように見えました。しかし、貘はあきらめてはいませんでした。並外れた推理力や観察力、洞察力を駆使し再び力を蓄えようと、数々の強敵と戦います。あるときは過激派組織のリーダー、またあるときは悪徳企業の息のかかった人物らに勝負を仕掛けます。貘は激しい戦いの末、彼らを下し、再びお屋形様と戦う力をつけます。お屋形様は今まですべての勝負に勝ち続ける「天命」をもって生まれたとまで豪語する強敵です。一度はお屋形様に敗北した貘ですが、再び力をつけた今どちらが勝つかは誰にもわかりません。
物語を通して様々なキャラクターが成長していき、終盤では見違えるほどになります。成長譚やギャンブルものが好きであれば、ハマるはずです。

嘘喰い / Usogui
9

ギャンブルとバトルが両方熱い

たとえギャンブルに勝ったとしても、相手が暴力を用いて賭け金はおろか命までも奪われかねない。
大金と血の飛び交う非合法ギャンブルの世界で、主人公自身に戦闘力皆無である、というのがまた面白いところです。

仲間として自分に足りない暴(作中では暴力を暴と表現されます)を手に入れ、しかし自身も体を張らなければならない、命の危険は相変わらずつきまとうギャンブルにはハラハラさせられます。

ババ抜き勝負でさえ命がけでヒリヒリする、という感覚は初めて味わいました。
大金と命がかかっているということで、相手も予想を超えたイカサマを用い、それをひっそりと確信し利用する主人公はまさに「嘘喰い」。

ギャンブルとバトルがそれぞれ独立したパートとして描かれる際にも、それらがどちらもハイクオリティ。
超人どころか化け物じみた強者たちの命のやりとりは、いつどちらが命を落とすかわかりません。

壁走りや体格のいい相手を宙高く吹き飛ばすという、非現実なそれらの行動も圧倒的な画力と演出力で違和感を覚えず、素直に彼らの身体能力と暴にただただ感嘆するばかりです。

ギャンブルと暴力、そのどちらをもここまで魅力的に、迫力あるものに演出された嘘喰いは読んでいるだけなのにスリルを感じるほど引き込まれるものがありました。

嘘喰い / Usogui
10

暴力×頭脳の予測不能ギャンブル漫画!

ギャンブル漫画は世に様々あるが、これほどまでにギャンブルのクオリティが高く、かつ「暴力」というニューテーマを絡めたオリジナリティ溢れる作品があるだろうか。
主人公の「斑目貘(まだらめ ばく」が挑戦するギャンブルは、他のどんな漫画でも見た事がないようなオリジナリティに溢れ、かつとんでもない残虐性を秘めた恐ろしいものばかりである(例を挙げれば、負けたものが首を括らなければならないババ抜きなど)。
負けたら死ぬ、もしくはとんでもない犠牲を払わなければならない極限の状態で、相手の意図を読みながら勝ちに持っていくさまは、とんでもない爽快感を生み出してくれる。
また、「どうやってこんな逆境から勝つんだ!?」とハラハラさせる展開に天才的な斑目貘のゲーム攻略は“感嘆”の二文字しか出てこない。
さらにこの漫画の大きな特徴は、「ギャンブル」だけでなく「暴力」もテーマとして取り扱っているという点だろう。
「賭けに勝っても、圧倒的な暴力がなければその勝ちは握りつぶされる」。そんな世の中の真理を的確に反映し、ギャンブルと同時に暴力をテーマにしたバトルが展開されていく。
そのバトルシーンも決してギャンブル漫画のおまけ要素としてではなく、バトル漫画として十分に誇れるほどの面白さを発揮している。
暴力×頭脳の最高のギャンブル漫画「嘘喰い」。
バトル漫画が好きなあなたにも、頭を使う漫画が好きなあなたにも、オススメの最高の一冊です。

嘘喰い / Usogui
9

画力・ストーリー共に最高

この作品は自分の中でお気に入りの漫画の一つです。実際に買い揃えたほどです。
週刊ヤングジャンプ掲載の漫画で、ジャンルは「ギャンブル+バトル」になるでしょうか。特筆すべき点は2つあります。
まず一つ目は作中に出てくるギャンブルがよく練られていて、飽きさせないことです。様々な種類のギャンブルが作中に登場しますが、よくあるものから作者が創造したものまで、かなり深い戦略、展開が考えられていて非常に面白いです。
もう一つはバトル要素。ギャンブルを取り仕切る組織である倶楽部賭郎(かげろう)に所属する「立会人」や、警察組織「暗謀」、その他の勢力に超人的な身体能力を持つキャラクター達がいて、互いに戦い合います。このキャラクターたちの魅力、戦闘シーンが見事。芸術といってもいいかもしれません。
この作品の作者、迫 稔雄さんは30歳くらいで漫画家になられた遅咲きの方ですが、ここまで画力、ストーリーを完成させているのは驚きです。ただ惜しいのは、ストーリーや一部ギャンブルのルールが作りこまれすぎていて、一度読んだだけでは完全に理解できなかったり、何話にもわたって同じギャンブル対決のシーンが続いたり、文字数が多いなどやや難易度が高いことです。格闘シーンで暴力的な描写もあるので、読者を選ぶ作品だと思います。

嘘喰い / Usogui
10

嘘喰い、おもしろいです。

ギャンブルをテーマにした漫画です。主人公の「嘘喰い」こと班目獏は、ギャンブル漫画にありがちな運が良いから勝つタイプのギャンブラーではなく、知力を振り絞って人が考え付かないような方法で相手を出し抜いて勝つタイプのギャンブラーです。
彼らのギャンブルには、大抵自分の命や、それ相当のものが掛け金として積まれているため、負けた方からきちんと掛け金を取り立てるためには、立会人が必要になってきます。その立会人として倶楽部「賭郎」という組織が出てきますが、これがすごくかっこいいです。
この組織は昔から賭けの立ち合いとして取り仕切ってきた組織であり、組織に属している立会人は、例え相手がどんな極悪人であろうとも負け金の取り立てができるように、対人格闘のプロで構成されています。漫画内では、ギャンブルの描写だけでなく、この立会人の格闘シーンも度々描かれており、その強さは尋常ではなく、見ていてとても心が躍ります。また、立会人同士にも優劣があり、立会人はそれぞれ「號」を持っています。この號は数字が小さいほど価値があり、最強の0號になるために立会人同士が自分の命をかけて戦う「號奪戦」は本当におもしろいです。
ギャンブルにも格闘にも興味のある人には是非お勧めしたい漫画です。