ギャンブルとバトルが両方熱い
たとえギャンブルに勝ったとしても、相手が暴力を用いて賭け金はおろか命までも奪われかねない。
大金と血の飛び交う非合法ギャンブルの世界で、主人公自身に戦闘力皆無である、というのがまた面白いところです。
仲間として自分に足りない暴(作中では暴力を暴と表現されます)を手に入れ、しかし自身も体を張らなければならない、命の危険は相変わらずつきまとうギャンブルにはハラハラさせられます。
ババ抜き勝負でさえ命がけでヒリヒリする、という感覚は初めて味わいました。
大金と命がかかっているということで、相手も予想を超えたイカサマを用い、それをひっそりと確信し利用する主人公はまさに「嘘喰い」。
ギャンブルとバトルがそれぞれ独立したパートとして描かれる際にも、それらがどちらもハイクオリティ。
超人どころか化け物じみた強者たちの命のやりとりは、いつどちらが命を落とすかわかりません。
壁走りや体格のいい相手を宙高く吹き飛ばすという、非現実なそれらの行動も圧倒的な画力と演出力で違和感を覚えず、素直に彼らの身体能力と暴にただただ感嘆するばかりです。
ギャンブルと暴力、そのどちらをもここまで魅力的に、迫力あるものに演出された嘘喰いは読んでいるだけなのにスリルを感じるほど引き込まれるものがありました。