イエスタデイ / Yesterday

イエスタデイ / Yesterday

『イエスタデイ』はイギリスで制作されたスタイリッシュでハートフルなラブコメディ映画である。売れないシンガーソングライター、主人公のジャックはある日バスに跳ねられる。意識不明の状態から回復したものの、目覚めた世界には伝説のバンド「ビートルズ」が存在していなかった。なぜかジャックだけがビートルズを憶えている。記憶を頼りに披露した曲「イエスタデイ」をきっかけに、ジャックの平凡な人生が徐々に変化していく。ファンタジーな要素とリアルを織り交ぜながら友情、恋愛、苦悩をビートルズの名曲と共に楽しめる映画だ。

イエスタデイ / Yesterdayのレビュー・評価・感想

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イエスタデイ / Yesterday
10

もしも世界からビートルズがいなくなったら?『Yesterday』

売れないミュージシャンのジャックはマネージャー兼幼馴染のエリーに支えながらも夢に限界を感じはじめていた。
そんな時、謎の世界規模の停電が起きる。交通事故に遭い昏睡状態になるジャック。
目を覚ますとなぜが人々の一部の記憶が消えビートルズを知っているのがジャックしかいないという状況になる。
そこでジャックはビートルズの曲を自分の曲として売り出し有名になる。
だが有名になる程自分の嘘がバレるのではと怯えるジャック。こちらまでハラハラドキドキさせられる。
本作の監督は『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞8部門受賞したダニー・ボイル。
ボイル監督はライブシーンは本人が歌うことにこだわったよう。
主人公ジャック演じるヒメーシュ・パテルはインド系イギリス人のコメディ俳優。
映画はこれがデビュー作のようですがかなりの歌唱力!ビートルズの”真似”ではなくオリジナル感が出ていてこれはこれで素晴らしい。
楽曲がほぼビートルズなのは当然ですが、ビートルズゆかりの地が出てきたり、驚いたのが78歳になったジョン・レノンが登場!
もちろん本人ではありませんが本人ではと一瞬思ってしまうほどのそっくりさん。
ビートルズファンはもちろんですが迫力のあるライブ映像などビートルズをあまり知らない方にもおすすめの映画です。

イエスタデイ / Yesterday
9

人生にとって大切なことはビートルズから学んだ

もしもこうだったら、という発想はさほど新しいものではないのだけど、想像したことはあったものの、これまで作られることなかったifの映画、それがダニー・ボイルが監督するイエスタデイだ。

ビートルズが世の中から消えてしまった世界で、1人のシンガーソングライターのみがビートルズの曲を知っている、さてこの先どうなるか、という風にストーリーは進んでいくのだけど、まずこの映画を面白いものにしているのは、シンガーソングライターのジャック・マリックを演じるヒメーシュ・パテルだろう。

自分はこれだけビートルズが凄いというのが分かっているのに、誰もそのことを知らないというギャップの場面がなかなかおかしい。友人達にイエスタデイを聴かせても、反応が、まあ、いいんじやない、というものや、家族にレットイットビーを聞かせようとするたびに、何か邪魔が入って演奏が中断される。そんな場面を見るたびに、おかしいのだけど、マリックの分かってもらえない苛立ちやペーソスがこちらにも伝わるのである。(何しろ観客はビートルズのことを知っているのだから)

やがて、マリックがビートルズの伝道師となり、人々の目にも止まって有名になろうとするにつれ、彼の心はどこか満たされないものが出てくる。ビートルズの曲を自分が作ったものではないというやましさもあるのだけど、もう一つは幼なじみで長年自分のマネージャーとして支えてくれた、リリー・ジェームズ演じるエリー・アップルトンとの距離が次第に遠くなっていくというものだった。

自分がこのまま成功や名声という毒を手に入れるか、それとも…という葛藤の中でマリックは意外な人物に出会うことになる。ここが映画の中でいちばん語りたかった場面のように思えるのだけど、こここは映画を見てのお楽しみとした方がいいかもしれない。その人物と出会うことによって、マリックは自分にとって大切なものが何かということに気がつくのだから。

マリックにとってビートルズの音楽は、有名や名声ではなく、人生にとって大切なものは何かということを教えてくれたのである。そう、愛こそはすべて、All you need is love ということを教えてくれたのである。

イエスタデイ / Yesterday
9

いい曲

ビートルズの曲って、やっばりいいなと思いました。なんか鼻歌とかちょっとギターで弾いてみるみたいな軽い感じで歌ってても、様になります。私はビートルズ世代ではありませんが、私の母も好きだし、私の好きなアーティストもだいたいビートルズの影響を受けています。そのビートルズがいない世界ってのがおもしろい設定だなと思いました。ビートルズのいない世界だと、いないアーティストもいて、なるほどと思いました。でも、本当のこと言えば、今いるアーティスト全員いないじゃないかなと思います。それだけ、影響力のあったアーティストだったと思います。彼だけが知ってて、それを逆手に歌手として売れてしまうなんて、同じようにビートルズを知ってる人からしたらとんでもないことのようだけど、そうではなく、同じようにビートルズを知ってる人が彼を応援しているのが、すごくグッときました。やっぱり、あの曲らは無くしてしまうのは惜しすぎる、とてもいい曲です。そんなふうにみんなに愛される曲っていいなと思うし、ビートルズのすごさを改めて感じた映画でした。そして、ビートルズファンには、たまらない設定が一つありました。あの場面を見ると、涙が止まらなくなる人たちもたくさんいたと思います。そこだけでも見る価値がある映画だと思いました。

イエスタデイ / Yesterday
8

ビートルズのいない世界

世界にビートルズがいなかったらという映画です。
発想が面白いし、ビートルズが存在しないといない歌手とかもいて面白かったです。それだけ影響の大きなバンドだったのだと思います。それに、やっぱりビートルズはすごく良い曲を作るなと思いました。ただ、ギターをラフに弾いて鼻歌のように、歌っても、初めて聞いたならハッとさせられるほどの曲だと思いました。そんなに、ビートルズ世代でもない人が主役だし、なんとか歌詞を思い出してビートルズの曲を伝えたいなかきゃいけないのは大変だったろうなと思いました。でも、この人はシンガーソングライターなんですよね。
ビートルズは、やっぱりバンドとして良かったと思うので、1人で歌ってもなあと思ったりしました。それに、ジョン・レノンが世に残したのは記憶だけじゃない気もするし、世界は音楽業界だけでなく、変わっていると思います。そこのとこには触れていない映画でした。
でも、最後の方の展開がとても素敵でした。ビートルズファンなら泣いてしまうのではないでしょうか。映画評論家の町山さんも泣いたと言っていました。
私はビートルズは親の影響で聞いたことがある程度でしたが、これからもっと聞いていきたいなと思いました。

イエスタデイ / Yesterday
10

ビートルズがもっと好きになる大傑作

ビートルズがいなくなった世界を描く映画「イエスタデイ」は、観るともっとビートルズが好きになる映画です。全てのビートルズファンは観るべき映画です。
物語は、主人公ジャックはイギリスの小さな田舎町の売れないシンガーソングライター。幼なじみでありマネージャーのエリーと一緒に音楽活動をしていたが、そんなある日、世界的な停電が起きて世界からビートルズの存在が消えてしまう。ビートルズの存在を知ってるのはジャックだけ。ジャックはビートルズの楽曲を歌い世界中で人気者になっていく、という展開です。
この映画がすごいのはとにかくビートルズ愛に溢れていること。ビートルズの小ネタ(「64歳になってもそばにいてくれる?」など)が、たくさんちりばめられててファンならクスッとするでしょう。
楽曲も「イエスタデイ」や「レットイットビー」など有名どころがたくさんあって、2時間全然飽きさせません。
どの曲もフルでは歌わないため映画はテンポ良く進んでいきます。
エドシーランが、ビートルズの引き立て役として出てるのもとても好印象です。
ネタバレになるのですが、後半、主人公ジャックが悩んでいるところでジョンレノンが登場します。「幸せになるにはウソをつかないこと」というジョンの言葉が印象に残ります。
名盤「アビイロード」から50年、今でもこんなに楽しませてくれる。
ビートルズの偉大さを改めて再確認できる、そんな映画です。

イエスタデイ / Yesterday
8

ビートルズはみんなのもの

現代のイギリスだからこそ描ける、青春ドラマの傑作です。主人公がインド系の青年だけれど、ことさらエスニシティを強調するわけでもなく、イギリスの田舎町に住む一人の悩める青年として描いています。音楽が主体のミュージカル的な作品だと思っていましたが、実際には物語に焦点があてられた映画でした。もし、ビートルズがいなかったら、数々の名曲は人々に知られることはなく、それとともにある人々のつながりや思い出もなかったことになります。いくつか印象的なシーンがありましたが、特に二つ。一つは主人公以外にもビートルズを知る人物がいて、彼らが主人公を糾弾するかと思いきや、ありがとうとお礼を言うシーンです。音楽を模倣するのは決して正しいこととは言えないかもしれないけれど、彼らはそれを追求せずむしろビートルズへの音楽に対する愛と喜びを表現して立ち去ります。そこに感動しました。そしてもう一つのシーンは、この映画のクライマックスと言ってもいい78歳のジョン・レノンが登場するシーン。顔がそっくりで特殊メイクがよくできていて、もしビートルズが有名にならなければジョンは生きていたかもしれない…しかも幸せに、と思い胸が熱くなりました。全体的にとても見やすく、ダニー・ボイルらしいテンポの良さで観るものを飽きさせない青春映画です。