何者

何者

『何者』(なにもの)とは、2012年11月に発表された朝井リョウによる小説、およびそれを原作としたメディアミックス作品。小説は第148回直木三十五賞受賞作である。
主要登場人物は、二宮拓人、神谷光太郎、田名部瑞月、小早川理香、宮本隆良の5人。大学生の彼らは、それぞれの悩みを抱えながら就職活動に励む。
実写映画ではこの5人の大学生を、佐藤健、菅田将暉、有村架純、二階堂ふみ、岡田将生という錚々たるメンバーが演じた。

何者のレビュー・評価・感想

何者
9

Viva! 人生

本作は就職活動いわゆる就活のお手本のような内容を期待していましたが、期待通りでした。
ちょうど脂が乗ってきて、人間関係・社内政治・世の中に溢れているものに接してきて、人生って面白いなとか、残酷だなとか思っている頃なので、本作もひとつの参考にしてみようと意気込んだ訳です。
筆者自身は就活に積極的に参加していないので、うんまぁな、という程度にしか思っていませんが、「結局〜」のような持論はあります。
それは「就活なんて、失点の少ない人から売れていく」システムなんだろうな、ということです。
失点の少ない人が何度も何度も繰り返しエントリーし続ければいつかは当たる(=採用される)ものなのでしょう。学歴は、どこを受けれるかという違いしかないように思いますが、深く突っ込むのは今回はやめておきます。
結局、失点の少ない、つまり実直な人から採用されていって、傍観者として斜に構えている人には、回ってこないというのは、まぁそうなのでしょう。しかし、最後には登場人物全員がそのことに気づくことになるので、救いがあります。
就活生なんて、その後が3倍くらいの人生が残っているのでしょうから、諦めずに、その本質と向き合って、どうトライしていくのかを考えて進んでいったらよいのでは、と思います。

何者
8

「わかってしまう」もどかしさ

佐藤健が主演を務める、直木賞作家・朝井リョウの小説が原作の映画『何者』。
この物語は、就活生である主人公・二宮拓人の視点から、彼を含めた6人の若者の姿を描く作品です。
拓人は、周囲の人間を、そこから一歩引いた状態で常に観察し、自身のSNS(いわゆる裏アカウント)にそれを投稿しているのですが、その内容は、どこか他人を見下したような、冷たいものでした。
自身の努力を頻繁にSNSにアップしないと気が済まない友人、就職活動をする人たちを小馬鹿にしながらも自身も広告会社に応募している男、掲示板で酷評されながら毎月質の低い舞台を発表している元演劇仲間…。
この作品の秀逸なところは、そんな拓人の辛辣な分析が、つい「わかってしまう」点です。
彼のように他人を馬鹿にしたような態度は、就職活動に限らず、さまざまな場面で自身を不利な状況に追い込んでしまいます。それを理解していても、拓人の毒舌に共感してしまう瞬間があるのです。
その瞬間は、ナイフで胸の内をえぐられたような、また、どこか自分を恥ずかしく思うような、なんとも複雑な気持ちになります。
『何者』は、就職活動を通して、人のあさましい心や、弱さをリアルに表現しつつ、それでも必死にもがいていく若者たちの心の複雑さを描いた物語なのです。

何者
7

辛くなるけど。

就活をまともにしてなかった私にとって、就活の話ってだけでひりひりするのに、本作は人の浅ましさなどに溢れていて、見ていてひりひりしました。でも、そういうとこって誰にでもあるし、うあー信じられないとはならなかったです。ほんとにありうることだから、余計に怖いっていうか、今はSNSとかあるからほんと怖いですね。昔もたぶん、分析好きな人っていただろうし、あいつはこんな奴だとかノートに書いたりしてる人もいたでしょうが、Twitterでそれをやっちゃあダメですよね。公開されてるってことを意識していないのでしょう。
拓人が面接に落ちる理由は明らかにはなってないですが、面接官にSNSがバレてる可能性もありますよね。いや、自分の闇の部分は公開するもんじゃないですね。自分のネットとの向き合い方を考えさせられました。就活の話ですので、出てくる役者さんは基本若い人たちです。でも、みんなすごくうまくて、若手俳優侮れないなと思いました。佐藤健さんは髪型とかイメージと違っていて、ああ、こういう感じの彼も素敵だなと思いました。就活に振り回される、あの独特のイライラ感をうまく演じていたと思います。見ていると辛くなるとこが多い作品でしたが、面白かったです。

何者
10

就活をフォーカスしたリアルな映画

「何者」は就活生をフォーカスしたストーリーで、それぞれの心情が深く描かれていて、実際の就活のようでもあった。
普段からよく使うSNSなどもよく出てきていて、就活生視点で見たらあるあるだなと思える形であった。
選考が進まないと同時に、他の人たちの選考が気になるという就活をした人なら分かるようなシーンもよく使われていた。
就活を成功させるためにみんなで必死に頑張るというのはちょっと就活だとよくないかもしれないという感想である。
しかも大学生であるという点では、大学生らしさなどのあるあるも感じる。
個人個人が探りを入れ、どんな感じかが気になるというところは1つの心理でもあった。
特に他人がどうみているかという点では、SNSがよく分かりやすくこれがキーワードでもあったので楽しめる。
SNSは企業でもよく使われていたり、学生の中では必須だろうとも言われ、これが選考に影響してくるという感じでもある。
同時に、一人の主人公である男子学生がメンバーのなかでもなかなか内定がもらえずに他のメンバーたちもどうしてかというのがわからなかった。
彼らは内定は取れたが、その彼だけが取れていなかった。
これはそれぞれいろんな意見があるので、映画をみたなかの意見があると面白い。

何者
8

「就活」を題材にした心に刺さる映画

就活を題材にした、心に刺さる青春映画。朝井リョウ著のジワジワと胸がえぐられるような描写の作品を映像化した、現代の若者をあまりにもリアルに描いた作品に、映画館で見た時は思わず心がボロボロになりました。というのも「就活に向いてない負け組」的なポジションにいた公開当時の就活生だった私には、あまりにも気持ちが揺さぶられるものだったから。
この映画の何が胸が苦しくなるぐらいリアルなのかというと、就活をめぐって「あの子はもう就活終わったらしい」「まだ私は内定もらってない」「大手行くんだって」「ブラックらしいよ?」なんて言葉が行き交いするようなリアルさが映画でも表現されているところ。TwitterやFacebook、今や当たり前になったSNSを駆使した交流が話の根幹に関わってくる様は、現実の物語の1部を見ているかのように錯覚させられます。誰かが成功したら焦ったり、自分の周りでどんどん前に進んでるのに自分だけが踏みとどまって何も成長していないような気持ちになったり、そういう心理描写がとにかく上手くて、そういう「何者」にもなれない人間には、とにかく刺さるのです。
そして終盤にかけてのどんでん返し。面白いです。
「自分は何者なんだろう?」という、答えのない問いがしばらく余韻として残ります。

何者
9

人間の心の闇を晒すリアルホラー

まるで自分のことかと思うくらい、面白かったです。

人間の心の闇を晒すリアルホラーでした。これを映画で表現するのは難しいと思います。
アクション系の気分爽快で分かりやすい映画も好きですが、この映画のようにややこしくて深い闇のある映画も味があります。

この映画は現代の病気を表しています。バーチャルな世界に自分のペルソナを作り、誇張していく。頑張っている人を認めずに蹴散らして、裏で鼻で笑う。
表では言えない黒くてもやもやしたものをバーチャル世界に放ち、自分を保つ。
携帯電話がなかった時代は自分の心の中に留める人が多かったと思います。
しかし、現在ではツイッターなどの匿名の媒体を使い、心の声を出すことが自由に容易に出来るようになりました。
そして、自分の心の声だけではなく”他人の心の声”も簡単に覗けるようになってしまったのです。
携帯電話やスマートフォンは使い方次第では良くも悪くもなりますね。

なぜ、私たちは心の声を匿名の媒体に吐き出したくなるのでしょうか?
それは心の弱さからくるものなのかもしれません。リアルな自分を知らない人達だから言える、ただの虚像でもあるのです。

むしろ今のほうが心の強さは必要なのかもしれない、と考えさせられた映画でした。

何者
8

就活生や自分について深く考えたことない人におすすめ

まず役者さんの演技力がみんな高くて、特に主人公の佐藤健には驚きました。最後のどんでんがえしがたまらないです。それが見たくて何回も見ています。
大学生の就活シーズンが舞台です。お互いが自分にもウソをつき続けて苦しいながらも、その先の道を作ろうとする努力をする一方、才能で周りを軽々と超えてしまう者、自分は不遇だと他者を妬む者など、まさに人間の思惑が交差しあっている描写がとても良いです。主人公が少し斜に構えるような性格で、その視点で描かれています。その点がすごくリアルだなと感じます。自分もそういう性格だから余計に共感しました。特にそこそこの大学を出ている方には共感できると思います。大学生の付き合いって義務教育や高校の時とは違い、利害関係で成り立つことが多いので、どうしてもだれかが欠けるとそれでバラバラになりがちで修復が不可能になることもやはりあります。その危うさがよく表現されていたと思います。
若いながらの葛藤や、恋愛、価値観がそれぞれが何者なのか語っているようでありながら、まだ何者にもなれていないようにも見えます。ただ演技力が高い俳優さんが多いため、そうでない方の演技はちょっと引っ掛かりました。でもこれほどまでにタイトルと中身が合致する映画は久しぶりに見ました。この映画は人間味がすごく出ていて良い作品だと思います。

何者
5

普通です。

全ての登場人物が(無自覚ながら)闇を抱えていて、そのどれかにはきっと共感してまうはずです。だけど、あまり大きな声で「これ分かる!私も!」とは言いたくない…(笑)
自宅でみましたが、演劇シーンは音が大きいのにその他のセリフの声は小さくて、音量の上げ下げに追われました。宣伝見た時、ちょっとスリル要素(登場人物の感情面で)があるのかなって感じたのですが、そういうのでは全然なかったです。笑
就活ドキュメント風?
小説原作読まないので、わかりませんが原作はもっと面白いんでしょうか。
「桐島部活…」も原作は面白いのかなぁ?って思ったから、どうなんだろ。
なんで、皆で就職対策するの?ってこの映画の基本設定をもう疑問に思っちゃったからダメなんだろうなぁ。笑う~リアルな就活活動を見せられると高校時代の自分の就活と被せて見えるから拓人たちの心境はよく分かる。会社に入社するか自分で立ち上げるか……どちらの選択も厳しいけど、他の仲間が内定貰うと自分も早くしないと焦るよな…終盤での拓人の裏アカウント暴露のシーンは驚いた。あのシーンのスマホいじってた時は裏のほうに書き込みしてたのね~就活失敗するごとに掃き溜め口に裏アカを使い自分の腹黒さが増していったのか。SNSは基本的に仕事友達関係の人には知らせないのは鉄則だぞ!拓人の場合は人間関係修復するのは厳しいかも……山も谷もなく単調に進んでいくストーリーで、確かに今の時代有りがちな出来事かもしれないけど、そこから何を伝えたかったのかわからない。
主人公も大して最後変わったように思えなかったし。
キャストや曲だけ豪華にしちゃった分、脚本のショボさが顕著になった気がする。
プライムで見たけど、借りて見なくてよかった。