何者

何者

『何者』(なにもの)とは、2012年11月に発表された朝井リョウによる小説、およびそれを原作としたメディアミックス作品。小説は第148回直木三十五賞受賞作である。
主要登場人物は、二宮拓人、神谷光太郎、田名部瑞月、小早川理香、宮本隆良の5人。大学生の彼らは、それぞれの悩みを抱えながら就職活動に励む。
実写映画ではこの5人の大学生を、佐藤健、菅田将暉、有村架純、二階堂ふみ、岡田将生という錚々たるメンバーが演じた。

0kkangaroo_0302のレビュー・評価・感想

何者
8

「就活」を題材にした心に刺さる映画

就活を題材にした、心に刺さる青春映画。朝井リョウ著のジワジワと胸がえぐられるような描写の作品を映像化した、現代の若者をあまりにもリアルに描いた作品に、映画館で見た時は思わず心がボロボロになりました。というのも「就活に向いてない負け組」的なポジションにいた公開当時の就活生だった私には、あまりにも気持ちが揺さぶられるものだったから。
この映画の何が胸が苦しくなるぐらいリアルなのかというと、就活をめぐって「あの子はもう就活終わったらしい」「まだ私は内定もらってない」「大手行くんだって」「ブラックらしいよ?」なんて言葉が行き交いするようなリアルさが映画でも表現されているところ。TwitterやFacebook、今や当たり前になったSNSを駆使した交流が話の根幹に関わってくる様は、現実の物語の1部を見ているかのように錯覚させられます。誰かが成功したら焦ったり、自分の周りでどんどん前に進んでるのに自分だけが踏みとどまって何も成長していないような気持ちになったり、そういう心理描写がとにかく上手くて、そういう「何者」にもなれない人間には、とにかく刺さるのです。
そして終盤にかけてのどんでん返し。面白いです。
「自分は何者なんだろう?」という、答えのない問いがしばらく余韻として残ります。