何者

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何者
8

「就活」を題材にした心に刺さる映画

就活を題材にした、心に刺さる青春映画。朝井リョウ著のジワジワと胸がえぐられるような描写の作品を映像化した、現代の若者をあまりにもリアルに描いた作品に、映画館で見た時は思わず心がボロボロになりました。というのも「就活に向いてない負け組」的なポジションにいた公開当時の就活生だった私には、あまりにも気持ちが揺さぶられるものだったから。
この映画の何が胸が苦しくなるぐらいリアルなのかというと、就活をめぐって「あの子はもう就活終わったらしい」「まだ私は内定もらってない」「大手行くんだって」「ブラックらしいよ?」なんて言葉が行き交いするようなリアルさが映画でも表現されているところ。TwitterやFacebook、今や当たり前になったSNSを駆使した交流が話の根幹に関わってくる様は、現実の物語の1部を見ているかのように錯覚させられます。誰かが成功したら焦ったり、自分の周りでどんどん前に進んでるのに自分だけが踏みとどまって何も成長していないような気持ちになったり、そういう心理描写がとにかく上手くて、そういう「何者」にもなれない人間には、とにかく刺さるのです。
そして終盤にかけてのどんでん返し。面白いです。
「自分は何者なんだろう?」という、答えのない問いがしばらく余韻として残ります。