男はつらいよ

男はつらいよ

『男はつらいよ』とは、山田洋次監督(一部作品除く)の映画シリーズおよびテレビドラマである。主演は渥美清。原作・脚本も山田洋二監督が手掛けている。
舞台は東京の葛飾柴又。帝釈天のそばにある「とらや」という団子屋の主人の甥で、テキ屋で旅回りをしている車寅次郎が主人公。主人公の妹のさくらは将来がさだまらない寅次郎を心配している。しかし少々非常識ではあるがロマンチストな寅次郎は旅先で好き放題しており、美しいヒロインに恋をして失恋をしては葛飾柴又に帰ってくる、というのがシリーズを通した基本的なストーリーである。
世界にも類を見ない全50作品の長寿シリーズであり、パロディやオマージュ作品を数多く生み出している。
原作者による主人公の幼少期を描いたスピンオフ小説『悪童 小説 寅次郎の告白』もまたテレビドラマ化された。渥美清の没後2年である1998年にはテレビアニメ『アニメ 男はつらいよ〜寅次郎忘れな草〜』が放送された。

男はつらいよのレビュー・評価・感想

男はつらいよ
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古き良き日本の姿がここにある

渥美清演じる、フーテンの寅とその家族の風景が心を和ませてくれる、ストーリーは毎度定番で同じ様な感じなのだけど、何処かまた彼等に会いたくなり観てしまう魅力的な映画です。
この映画を観ると、何処か自分の実家に帰った様な、懐かしい気持ちを感じられます。
自由に生きる寅が、毎度恋に落ち、そして失恋する。
女好きなんだけど、惚れた女にはめっぽう気を遣ってしまい、いつも恋人には見られない、男の人なら一度は経験するだろうそんな姿になんとも親近感が沸き、気持ちが良く理解出来る、そんな彼の姿もまた魅力的です。
そんな状況を全て、周りで見ている家族は理解して、気を遣い、振り回されてる。
そんな風景もまたおもしろおかしくなります。
この映画を見ていて感じるのは、寅さんと、家族の心の暖かさ、困ってる人を見ると、ほっとけず、人情味溢れた姿に何処か心がホッとする。
現代人が忘れてしまってるような、大切な心を思い出させてくれる様なそんな気持ちにもなります。
また、映画の中に出てくる昔の日本の風景にも心打たれます。
寅さんが全国放浪の旅に出てるので、色々な名所なども見られるのもこの映画の魅力かもしれません。
映画を観終わった後の、なんとも言葉に表現し難い、ホッとするような、和むような、ああ終わっちゃった、また会いたい、そんな気持ちにさせてくれるおすすめの名作の一本です。
是非あなたも寅さん達に会いに行ってみてはいかがでしょうか。

男はつらいよ
9

さくらちゃんと博さんの馴れ初め

寅さんが初めて、柴又に戻ってきた時の話です。
私は先に、もっと後の男はつらいよシリーズを見ていたので、寅さんが誰だかわからない様子のさくらちゃんとか新鮮でした。
さくらちゃんと博の馴れ初めが主な話です。
寅さんがさくらを職工の嫁になんかできるかっていって、博らと決闘したり、勝手にさくらの気持ちを推測して、二人を振り回したけど、おかげで結婚できてよかったです。
昔は、告白、即結婚というのも多かったのですかね。
今の時代からいうと急だなって気もしますが、まあ、話が早くていいですね。
結婚式でも虎さんは仕切っていて、こういうとき、寅さんって頼りになるなと思いました。
博の両親が急に結婚式に来た時も、博のためにがんばってて、結婚したらもう身内っていう考え方が、寅さんってほんと単純だなと思うけど、そこが好きと思います。
寅さんの恋はもちろんうまくいかず、寅さんが旅にでてしまうところはほんとに寂しかったです。
まさか、こんなに続くシリーズとは思わなかったからか、なかなか切なく描いていました。
寅さんもさくらさんも、おいちゃん、おばちゃん、博さん、社長、そして、満男も、家族はもう勢揃いしていて、ほんと長く続いたなと思いました。

男はつらいよ
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第1作目

男はつらいよシリーズの記念すべき第1作目です。みなさん、若くてびっくりします。特に寅さんは性格も若くて、冬子さんに失恋して泣いたり、後の方の作品より失恋に対してナイーブだなと思いました。仲良し夫婦であるさくらちゃんと博さんの馴れ初めの話でした。博さんが、3年間、さくらちゃんを見続けていたのはわかりましたが、一体、さくらちゃんはいつから博さんを意識していたのでしょうか。お見合いにはもともと乗り気ではなさそうでしたが、結局受けていたし、結構最近なのかもしれませんね。付き合いはなく、告白すぐ結婚っていうのもすごいなと思いますが、見合い結婚が多かった時代は案外、そういうのも多かったのかもしれません。結婚式での寅さんの奮闘ぶりも素敵でした。両親が突然きてびっくりの博さんにあの野郎どもがなんか言ったら俺がどうにかしてやるみたいなことをいう寅さんは頼もしいなと思います。そして、それだけ博さんの両親に文句を言ってたのに、いざ、彼らが博さんへの愛情深い挨拶をすると、泣いて、よかったなあといい、両親を認める寅さんはなんて素直でいい人なんだろうと思いました。この後、寅さんは何度も何度も映画化されますが、それにふさわしいステキな人だと思いました。

男はつらいよ
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国民的映画の第1作目!

あの寅さんの第1作目の映画です。役者の皆さんも、まだ若くて前田吟なんて誰だかわかりません。寅さんが久しぶりに柴又に帰ってきて、さくらの見合いについていって、騒動が起こるというものです。すごく面白かったです。寅さんはデリカシーもないし、なんでも言っちゃうけど、気持ちは優しいし、女の人とはすぐに照れちゃうし、面白い人です。こんなお兄ちゃん、欲しいなあと思いました。1作目は、さくらと博の馴れ初めでした。博はさくらが好きな感じがバレバレで素敵でした。お兄ちゃんも工員となんかとか言いながら、博のことをさくらに伝えようとしたり(うまく伝えられず、帰って邪魔してましたが)、なんだかんだ、博を応援していて結局いいやつなんだなあと思いました。寅さん自体の恋は、うまく行きませんでした。何作も見てると、それはあるあるなのですが、なんか最初の作品だし、幼馴染の冬子さんだったし、寅さんは落ち込んでいるし、なんか見ていて辛かったです。寅さんが渡世人を捨てられるわけないんだから、うまくいってもよくないんだけど、なんかうまくいってほしいなと思ってしまいます。さくらも若いし、すごく寅さんのことを思っていて、かわいいです。こりゃ、人気が出て、シリーズ化するわと思いました。

男はつらいよ
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不器用に生きる男の切なさ

主役の車寅次郎(以下寅さん)という男性は定職に着かずに旅をしながら的屋で生計を立てているという、一見すると世間からのハミ出し者です。地方の祭りに行って啖呵売をやっているシーンが有り、見た事が有るわけでも無いのに何故か懐かしい気持ちが湧いてきます。
この寅さん、人懐こく機嫌が良いときは冗談を飛ばし親しみやすい人なのですが、気に入らない事あるとすぐ怒り出して周りと喧嘩してしまうような厄介な人でもあります。
自分がまだ子供の頃は、寅さんは破天荒な荒くれ者のイメージでした。しかし、大人になって自分も寅さんと変わらない年齢になってくると違った印象を受けるようになります。
寅さんを見ていると、社会にうまく馴染めない、みんなと同じように生きられないという切なさや寂しさのようなものが伝わってくるのです。
男はつらいよシリーズでは毎回魅力的なヒロインが登場して、寅さんはヒロインに恋に落ちます。しかし、ヒロインとの恋が実ることはありません。ヒロインが寅さんに好意を寄せている事に気が付くと寅さんの方から身を引いてしまうのです。
自分と一緒になれば不幸にしてしまう事を知っているのでしょう。その出会いと別れの切なさに毎回涙が出てしまうのです。

男はつらいよ
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寅さんから学べること

現在20代の自分ですが、1960年代に作られた本作品は十分に楽しむことができました。『男はつらいよ』について多くの人は何となく構成はご存知なのではないでしょうか。

シリーズもので、寅さんという明るそうなおじさんが出てきて、恋をして、失恋をして、旅に出る、この繰り返し。
内容はまさにその通りで、寅さんが旅から東京、柴又の親戚の居候先へ帰ってくるところから始まり、そこから出て行き、また旅に出るシーンがお決まりのパターンです。

寅さんは生粋の渡世人で、旅する各地で周りをしっちゃかめっちゃかにします。他人のお金で宴会をひらいたり、すぐ喧嘩を始めたり。
しかし、彼は自分なりにしっかりそれらの埋め合わせをします。ある時には物事を頼まれれば一生懸命にこなそうとし、また別の時には困っている人の将来のため奮闘して手助けすることもあります。
1番の見所はまさにこのあたりで、寅さんの周りの人たちは彼に助けられつつ進路を進めたり幸せになっていくのですが、当の主人公寅さんだけは彼が望むようなかたちで幸せになれないのです。
それに気付くと、ああ、だから題名につらいって言葉が入ってるんだな、そりゃつらいよな...としみじみなるところに深く共感と感動できるものがあります。
それと、寅さんは一見破天荒な人間なのですが、映画を観る人からも、作中の人物からも、みんなに慕われています。
なんでそうなのかと考えつつみてみるとまた面白いと思います。
第一作目は、特にそういった部分がわかりやすくみえると思うので、是非ご覧になってみてください。