男はつらいよ

男はつらいよ

『男はつらいよ』とは、山田洋次監督(一部作品除く)の映画シリーズおよびテレビドラマである。主演は渥美清。原作・脚本も山田洋二監督が手掛けている。
舞台は東京の葛飾柴又。帝釈天のそばにある「とらや」という団子屋の主人の甥で、テキ屋で旅回りをしている車寅次郎が主人公。主人公の妹のさくらは将来がさだまらない寅次郎を心配している。しかし少々非常識ではあるがロマンチストな寅次郎は旅先で好き放題しており、美しいヒロインに恋をして失恋をしては葛飾柴又に帰ってくる、というのがシリーズを通した基本的なストーリーである。
世界にも類を見ない全50作品の長寿シリーズであり、パロディやオマージュ作品を数多く生み出している。
原作者による主人公の幼少期を描いたスピンオフ小説『悪童 小説 寅次郎の告白』もまたテレビドラマ化された。渥美清の没後2年である1998年にはテレビアニメ『アニメ 男はつらいよ〜寅次郎忘れな草〜』が放送された。

go-1013212949277061719464のレビュー・評価・感想

男はつらいよ
9

不器用に生きる男の切なさ

主役の車寅次郎(以下寅さん)という男性は定職に着かずに旅をしながら的屋で生計を立てているという、一見すると世間からのハミ出し者です。地方の祭りに行って啖呵売をやっているシーンが有り、見た事が有るわけでも無いのに何故か懐かしい気持ちが湧いてきます。
この寅さん、人懐こく機嫌が良いときは冗談を飛ばし親しみやすい人なのですが、気に入らない事あるとすぐ怒り出して周りと喧嘩してしまうような厄介な人でもあります。
自分がまだ子供の頃は、寅さんは破天荒な荒くれ者のイメージでした。しかし、大人になって自分も寅さんと変わらない年齢になってくると違った印象を受けるようになります。
寅さんを見ていると、社会にうまく馴染めない、みんなと同じように生きられないという切なさや寂しさのようなものが伝わってくるのです。
男はつらいよシリーズでは毎回魅力的なヒロインが登場して、寅さんはヒロインに恋に落ちます。しかし、ヒロインとの恋が実ることはありません。ヒロインが寅さんに好意を寄せている事に気が付くと寅さんの方から身を引いてしまうのです。
自分と一緒になれば不幸にしてしまう事を知っているのでしょう。その出会いと別れの切なさに毎回涙が出てしまうのです。