獣医ドリトル(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
夏緑原作、ちくやまきよし作画による、小学館刊行のビッグコミックおよびビッグコミック増刊号で連載されていた日本の漫画作品。獣医師の鳥取健一は性格は冷徹だがその腕の良さと名字の語感から動物の声を聞くことのできる獣医師、”ドリトル”と通称されている。開業獣医師として診察しているドリトルのもとには様々な病気の動物、そして様々な事情を抱えた飼い主たちが訪れる。
医は仁術
「医は、人命を救う博愛の道である」ことを意味する格言。特に江戸時代に盛んに唱えられた。”人命”とあるように、人の医療のための言葉である。起源は平安時代にまでさかのぼり、西洋医学が入ってきた後も日本の医療倫理の中心的標語として用いられてきた。
海外でも類似した格言は存在し、代表的なのものは”ヒポクラテスの誓い”と呼ばれる誓いの言葉である。これは医師の倫理、任務などについてのギリシア神への宣誓文である。
ドッグレース
ギャンブルとして行われる競馬の犬版である。犬ぞりレースもドッグレースの一種。物語中に出てくるのは、ハウンドドッグと呼ばれるスレンダーな犬を用いたドッグレースである。アメリカ、イギリス、オーストラリア、マカオなどで人気のギャンブルであるが、引退後の犬の処置を巡って動物愛護の面から徐々に衰退を見せている。
ツボカビ
物語中でかなり重要視されている、両生類の伝染病。カエルツボカビが両生類の皮膚に寄生、繁殖することで皮膚呼吸ができなくなり死に至る。国外貿易が盛んになってから爆発的に世界に広がり、世界の両生類の30%もの減少に大きく関わっていると考えられている。日本では2006年に飼育個体のカエルからツボカビが検出され両生類関係者を震撼させたが、日本では大量死が起こっていないこと、オオサンショウウオからツボカビが検出されたことから日本の両生類はツボカビに対する耐性を獲得している可能性が示唆された。
また、ウシガエルとアフリカツメガエルは感染しても発症しないことが確認されている。
『獣医ドリトル』の名シーン・名場面
「獣医はビジネスだ。金を出すスポンサーのいない動物は診るな。」「バカ言うな、「医は仁術」だ。見殺しにできるか。」
二人の動物医療に対する主義の違いがはっきり分かる一幕。ドリトルはたまに情に流されてしまうこともあるが、基本的には経営も診療もきちんとさせることが最終的には動物のためになると信じている。一方花菱獣医師は、裕福な家庭に生まれたこともあり周りからは青いといわれがちな理想を現実にしようと、彼なりに努力している。
「今回はたまたま猫を救うことができたが、お前たちにも必ず来る…ドリトルと同じ決断をする時がな。」
重大な寄生虫のエキノコックスに感染した猫を防疫のためにやむなく安楽死することを決めたドリトルに対し、運よく猫の引き取り手を見つけることができた白野たちがドリトルを批判した際に富沢教授がお説教として言った言葉。獣医という職業を選んだからには動物を助けたい気持ちはみんな持っている。しかし、感染症のパンデミックを防ぐためや他の理由でも、いずれ動物を殺すという処置をしなければならなくなるという現実を教えている。
「今の私には、元気になった動物たちや嬉しそうな飼い主さんの笑顔が、最高のクリスマスプレゼントなの。それを見せてくれるのは、ドリトル先生だけだから…」
ドリトルが風邪で倒れてしまったときクリスマスなのに一人仕事をしているあすかを手伝っていた白野が、あすかの生活スタイルが気の毒だと言ったことに対しての返答。就職活動がうまくいかず、なんの取り得もなかった自分を受け入れてくれた今の職種とドリトルに対して感謝を感じていることが表れている。AHTとして働くだけなら他の病院でも良いはずだが、言外にドリトルの病院でしか働きたくないと言っているようなものである。白野はこのあすかの言葉を聞いて、あすかのことが好きだが諦めざるをえないと感じた。
「いつかできるようになることを、今できなくたって恥じゃない。それも成長ってもんだ。」
自分の力不足に落ち込んでいた白野に対し、ドリトルがかけた言葉。いつもは厳しい言葉で叱りつけるが、先輩として後輩が悩んでいるときには助言を与えるという優しい一面をのぞかせている。大学を卒業して獣医になってもいきなり敏腕獣医になれるわけではないので、頼れる先輩や同期に相談しても良いという基本的だが忘れがちなことを教えてくれている。
「奴の病院がなくなれば、苦しむ患畜がたくさんいる。奴のためじゃない。奴の患畜のために、潰させはしない。」
普段ドリトルと口論することも多い土門獣医師だが、ドリトルが動物たちのことを本当に大事に思っていて良い獣医師だということを認めていることがわかる場面。鳥取動物病院を潰そうと画策する父親により鳥取動物病院の排水設備の不備を見つけろと言われていたが、逆にきちんとした病院であるという証拠を父親に提出した。
「僕はどんな過去でも感謝してるし、過去は未来に繋がると信じてます。」
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目次 - Contents
- 『獣医ドリトル』の概要
- 『獣医ドリトル』のあらすじ・ストーリー
- 特に印象的な回
- 第14話(2巻カルテ6)群れる性
- 第63話(8巻カルテ3)人畜共通感染症
- 第96話(12巻カルテ5)奇跡の万能薬
- 第147話(18巻カルテ8)大晦日の不思議な訪問客
- 第160話(20巻カルテ4)鳥取健一4
- 主な登場人物・キャラクター
- 鳥取 健一(とっとり けんいち)
- 多島 あすか(たじま あすか)
- 花菱 優(はなびし まさる)
- 土門 勇蔵(どもん ゆうぞう)
- 宗谷 華子(そうや はなこ)
- 富沢 旅雄(とみざわ たびお)
- 不動 ルミ(ふどう るみ)
- 井蛙 翔(せいあ かける)
- 白野 春彦(しろの はるひこ)
- 兼子 みね子(かねこ みねこ)
- 水戸 順平(みと じゅんぺい)
- 主な登場動物
- アスカミライ
- シロ
- レディ
- スピーディ
- 『獣医ドリトル』の用語
- ドリトル先生
- 鳥取動物病院
- 動物看護師
- ペット911
- 医は仁術
- ドッグレース
- ツボカビ
- 『獣医ドリトル』の名シーン・名場面
- 「獣医はビジネスだ。金を出すスポンサーのいない動物は診るな。」「バカ言うな、「医は仁術」だ。見殺しにできるか。」
- 「今回はたまたま猫を救うことができたが、お前たちにも必ず来る…ドリトルと同じ決断をする時がな。」
- 「今の私には、元気になった動物たちや嬉しそうな飼い主さんの笑顔が、最高のクリスマスプレゼントなの。それを見せてくれるのは、ドリトル先生だけだから…」
- 「いつかできるようになることを、今できなくたって恥じゃない。それも成長ってもんだ。」
- 「奴の病院がなくなれば、苦しむ患畜がたくさんいる。奴のためじゃない。奴の患畜のために、潰させはしない。」
- 「僕はどんな過去でも感謝してるし、過去は未来に繋がると信じてます。」
- 「ありがとう。」
- コミックス
- ドラマ
- 主題歌
- グッバイ:小田 和正
- 挿入歌
- オトシモノ:miwa