Hotline Miami(ホットライン・マイアミ)のネタバレ解説・考察まとめ
Hotline Miamiとは、Dennaton Gamesによって制作され、パブリッシャーのDevolver DigitalからWindows用ソフトとして発売された2D見下ろし型アクションゲーム。BGMとして使用される80年代風テクノや、レトロゲームのようなビジュアル、極彩色のカラーリングや暴力的なテーマ、中毒性の高いゲーム性とそれら全てがまとまった高い完成度が特徴。
『Hotline Miami』の概要
Dennaton Gamesによって制作され、パブリッシャーのDevolver DigitalからWindows用ソフトとして2012年8月23日に発売された2D見下ろし型アクションゲーム。対象年齢は17歳以上。
日本語版は、MAGES.(5pb.)が運営するパソコン用ゲーム販売サイトMagino Driveから2014年2月21日に発売が開始され、ゲーム配信プラットフォーム「Steam」および「GOG.com」配信版においても、日本語版を追加するアップデートが行われた。また、PlayStation Vita版『ホットライン・マイアミ Collected Edition』は2015年6月25日にスパイク・チュンソフトより発売された。また2015/07/08にはPlayStation 3版が配信された。また、続編である「Hotline Miami 2:Wrong Number」も発売されているほか、Steamからはゲームで描かれないストーリーの背景を描いたデジタルコミックが配信されている。
レトロなドットグラフィック、80年代テクノ風の音楽、グロテスクな表現や中毒性のあるスピーディーなアクションが特徴。また、シナリオは時系列が狂っている、事実か妄想なのか区別がつかないなどの「信用できない語り手」方式が用いられており、1度プレイしただけでは実際にストーリー上で何が起きたか理解するのは難しい。そもそも明確にこれが正解というストーリーが提示されているわけでもなく、今なおネット上ではストーリー解釈の議論が行われている。また、映画「ドライヴ」と日本のゲーム「はかいマン」に強い影響を受けている。インディーゲームとして異例の大ヒットを記録した。
『Hotline Miami』のゲームシステム
基本的に難易度は高く、主人公は簡単なことで死んでしまうが代わりにボタン1つで復活出来るいわゆる「死に覚えゲー」。これにより何度も試行錯誤をしてゲームクリアを目指すスタイルになっている。基本的に複数のチャプターに分かれてシナリオ、ゲームプレイが配置されており、1つのチャプターに複数のステージが用意されている。ステージ開始前に選択するマスクによってJacketの能力が変化する。各ステージでは、キャラクターを見下ろし視点で操作し、フロア内の全エネミーを殺害することがクリア条件となる。Jacketは素手での攻撃の他、落ちている近接武器、銃火器、投擲武器に加え殺した相手の武器も拾って使用できる。これらを駆使し、時には相手の視界から隠れ、時には背後から襲撃し、わざと物音を立てて相手を誘い込んで殺すなどのステルス戦術と、銃を乱射したり武器を振り回して一気に敵を殺す無双戦術を適宜使い分けながらクリアを目指す。Bikerは落ちている武器が使用できない代わりに近接武器としても投擲武器としても使えるナイフを所持しており、それらを使用してクリアを目指す。ステージクリア後には行動やかかった時間、コンボによってスコアが算出され、スコアの値次第で新たなマスクや武器が解放される。
『Hotline Miami』のあらすじ・ストーリー
1989年4月3日のアメリカ、フロリダ州のマイアミ。主人公の青年「Jacket(ジャケット)」は夢の中でマスクをかぶった3人組が謎めいた言葉を投げかけてくる不可解な夢を見る。
夢から覚めると自宅アパートの留守番電話に伝言が入っており、それにしたがって荷物を開封すると、夢で見た3人組がかぶっていたニワトリマスクが入っていた。そして、Jacketは留守電の伝言に従ってロシアンマフィアのアジトに乗り込み、殺戮を繰り返していくようになる。殺戮の帰りに立ち寄る店には「Beard(ベアード)」という男がJacketの殺戮を賞賛し、無料で商品をプレゼントしてくれる。ある日、とある映画監督のいる建物で殺戮を繰り広げたJacketは、そこで薬漬けにされていた娼婦「Hooker(フーカー)」を救出し、家に連れ帰る。娼婦と交流を続けながら殺戮を繰り返す中、ある日いつもと様子の違う伝言が入り、それに従うと、そこにはフルフェイスヘルメットをかぶった男「Biker(バイカー)」がいた。命令どおりにJacketは男Bikerを殺すと、それ以後彼の周囲の現実が歪み始め、アパートや店に殺した人物の死体が現れるようになり、それにつれて娼婦との交流も減っていく。ある殺戮のあと、現場にSWATが乗り込んでくるが、Jacketは辛くもそれから逃げおおせる。しかし、帰りに立ち寄った店には殺したはずのBikerの死体が転がっていた。そして現れたBeardはJacketに「ここでの全ては現実にはなかったことなんだ」と告げる。それを聞くと、画面がフラッシュし、店員の言ったとおり死体は消え去る。その後、店員はどの店でも死体となっており、代わりに血まみれの禿頭の男が店に立っているようになる。彼は何も伝えない。なおもJacketは殺戮を続けるが、ある日アパートに帰ると、娼婦はネズミマスクの男「Richter(リヒター)」に殺害されていた。RichterはJacketに挨拶した後、Jacketの脳天を銃で撃ち抜く。その後Jacketは、ベッドを抜け出して自分の死体を見る夢を見る。さっきまでRichterがいた場所にいたのは、最初に見た夢に現れたニワトリマスクの男「Richard(リチャード)」だった。RichardはJacketに「我々が会うのもこれで最後だ、お前が物事の全体像を掴むことは決して無いだろう」と告げる。
その後、Jacketは病院で寝ている自分の姿を見て、自分の頭を引き裂く。数週間がたち、Jacketは病人のガウスを着て病院にいた。警察と医者から傷は致命傷ではなかったが昏睡していたことを聞き、病院を抜け出すと、アパートに戻り、いつもの衣装に着替えると、落書きされた車で警察署を襲撃し、拘留されていたRichterを発見する。Richterから「自分もJacketと同じ電話を受けていた」、「何かアドバイスをしてやりたいところだが、それは出来ない。警察の調査書を見てはどうか」ということを聞き、調査書を漁ると、その中からロシアン・マフィアのボスの居場所を見つける。彼はすぐさま現場に駆けつけ、建物内で殺戮を繰り広げる。ボスも含め、建物内にいた全ての人間を殺したJacketは、バルコニーに出て写真を1枚放り投げ、煙草に火をつける。
その後、テープが巻き戻る演出がなされ、時間が1989年5月13日に時間が戻る。Bikerが動物マスクの男を脅迫し、情報を聞き出す。BikerはJacketと同じように電話に従って殺人をしていたが、その指示から解放されたいと考えていることが語られる。Bikerはその情報の通り「ブルードラゴン」なる中華料理屋に赴いてマフィアを殺害、そこから電話の主の手がかりを得る。その後、Bikerは電話の指示を無視し続けて調査を続けていき、ある男を殺害した折にその男のパソコンから情報を得る。直後、電話の主について探りすぎたBikerを消すためにニワトリマスクの男(Jacket)が送られてくるが、頭を踏み潰して排除、殺害する。翌日、Bikerの家に電話の主から警告が届くが、Bikerはパソコンから得た情報に従って電話の主の本拠地へ向かう。するとそこには今までのストーリーで度々登場した清掃員の男が現れ、Bikerを見ると逃げていく。それを追うと、コンンピュータと、ケーブルが地下まで繋がった排水口があった。Bikerはパソコンを調査するが、パスワードがわからず諦め、排水口を下る。そこには清掃員が2人待ち構えていた。Bikerは彼らに質問を浴びせるが、2人はにやにやと馬鹿にしたような笑みを浮かべて答えず、Bikerを罵るばかりだった。Bikerは結局2人を殺害してそこを立ち去った。
シークレット要素を解放し、パソコンのパスワードを手に入れていると、Bikerは清掃員たちから電話の主が「50の祝福」という極右集団であることを知らされる。彼らは冷戦期にアメリカに入り込んだロシアンマフィアを敵視し、それを排除するために発行しているニュースレターの読者にマスクと電話による脅迫を行い、ロシアンマフィアの殺害を指示してきたことを告白する。更に「50の祝福」は反米勢力の排除に一役買っている事実と、バックについている強大な権力の存在を知るが、殺戮の連鎖に飽き飽きしていたBikerは真相を一蹴し、清掃員たちを殺害してその場を去る。
『Hotline Miami』の登場人物・キャラクター
Jacket
主人公にしてプレイヤーが操作することになるキャラクター。プレイヤーキャラクターであるにも関わらず素性は全く不明で、ジャケットを着ていること(このことからJacketと呼ばれる)、デロリアンを愛車とすること、雑誌(もしくは新聞)を講読していることしかわからない。本名さえも不明。デジタルコミックでは本ゲームの物語終了後に逮捕されていることが分かる。
Biker
Jacketと対峙するフルフェイスヘルメットの殺し屋。後半の物語は彼の視点からのもの。Jacket同様本名は不明だが、バイクに乗ることからBikerと呼ばれる。続編「Hotline Miami2 Wrong Number」にも変わり果てた姿で登場し、複数いる主人公のうち1人の情報源となる。
Beard
Jacketの立ち寄る店に現れる店員。彼がバー、ビデオ屋、ピザ屋などどこに寄ろうと必ず彼が店員である。Jacketに出会うたび彼の殺戮を賞賛し、まるで旧友のような話しぶりをしながら商品を無料で提供してくれる。先述の続編にも極めて重要な役割を持って登場する。
Richter
ネズミマスクの男。Hookerを殺害するほか、警察署でJacketにアドバイスをする。素顔は厳つい顔をした禿頭の一般人。こちらも続編に登場し、複数いる主人公のうち1人を務めることになる。
Richard
Jacketの夢に出てくるマスクの3人組のマスクのうち、ニワトリマスクをかぶった人物。3人のうち最も積極的にJacketに干渉し、警告とも教唆ともつかない謎めいた言葉を浴びせる。続編にも登場し、物語の終局にて暗示的な言葉を再び齎すことになる。